2014/05/03(土) - 11:47
ロマンディのクイーンステージで、サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が飛翔。共に逃げたフルームとの一騎打ちを制し、ボーナスタイムによってリーダージャージを獲得した。
スイス南部で開催中のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)はいよいよ佳境、大会4日目にして唯一となる難関山岳ステージを迎えた。
スイスとフランスの国境を隔てるレマン湖畔のル・ブヴレから、UCIの本拠地があるエーグルまでの180.2kmの道程に用意される山岳の数は4つ。いずれもカテゴリー1級の山岳ばかりであり、頂上ゴールこそ無いものの、ステージ全体の難易度は非常にハイレベルだ。加えて冷温と降雨が一段とレースを厳しいものとした。
この日エスケープに乗ったのは、マルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)やトム・フィーラース(オランダ、ジャイアント・シマノ)ら6名。地元の期待を背負うIAMサイクリングは3日連続で逃げに乗り、積極的な姿勢を忘れない。
しかし逃げグループは45km地点から始まるコル・ド・プランシュですぐさまメンバーを減らしてしまう。後方から追うメイン集団でもリーダージャージを着たミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が遅れた。
残り60km地点を過ぎたころ、エスケープグループはダヴィデ・マラカルネ(イタリア)と、シリル・ゴティエ(フランス)のユーロップカーコンビのみに縮小する。メイン集団ではガーミン・シャープが主導権を握り、集団の人数は40名ほどまでに減少していった。
やがて20名程度となったメイン集団からは、残り40km地点でゴティエ&マラカルネをキャッチ。最後の1級山岳オロン峠に入ると、複数の散発的なアタックの末、有力勢による上り勝負がいよいよもって勃発する。
まず峠の中腹でヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が仕掛け、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)とスピラックが順に追走を試みる。失速し吸収されたニーバリに対し、合流したフルームとスピラックの勢いは頂上まで衰えない。
昨年大会の同じステージで、同じように抜け出した2名が、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、ニーバリらを含む追走グループから55秒のリードを稼ぎKOMを通過した。
冷たく濡れた危険なダウンヒルを危なげ無くこなした先頭2名は、リードをロスすること無くゴールへ。ステージを狙うスピラックと、総合でのタイム差を広げたいフルーム。まるで昨年大会同ステージのデジャヴかのような展開のまま、スプリント勝負をスピラックが制した。
後続はルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)を先頭に、57秒遅れて有力勢5名がゴール。他の選手は軒並み1分40秒以上の遅れを喫し、最終のグルペットは42分遅れでゴールラインをくぐった。
「雨の影響でとても難しいステージだったけれど、個人的には雨が好きだし、寒さも気にならない。レースが始まって序盤は凄くハイペースだったことに加えて山岳も厳しかったので、凄く調子が良いとは言えなかった。でも2つめの登りでは調子が上がってきているのを感じていたんだ。」とは、リーダージャージを獲得したスピラック。
「チームの力がとても高まっていたことにも勝因がある。チーム内のコミュニケーションも良く取れていたし、それは最終山岳の重要な局面においても一緒だった。フルームがアタックした時、これは行くべきタイミングだと感じていたよ。淡々とペースを刻んで、ニーバリとフルームに追いついた。彼とは登りでも、危険な下りの後も良い協調体制を築けていた。スプリントで勝利できて本当に嬉しい。」とスピラックは加えた。
翌第4ステージはスプリンター向けのコースレイアウトであり、日曜日に開催される最終ステージは登りを含む18.5kmの個人タイムトライアルだ。TTを得意とするフルームはスピラックから総合で1秒遅れの2位であり、その他有力勢は1分以上遅れている。トラブルを抜きに考えれば、ほぼフルームの勝利は手堅いと言えるだろう。
ツール・ド・ロマンディ2014第3ステージ結果
個人総合順位
山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
ポイント賞
マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
新人賞
ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele
スイス南部で開催中のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)はいよいよ佳境、大会4日目にして唯一となる難関山岳ステージを迎えた。
スイスとフランスの国境を隔てるレマン湖畔のル・ブヴレから、UCIの本拠地があるエーグルまでの180.2kmの道程に用意される山岳の数は4つ。いずれもカテゴリー1級の山岳ばかりであり、頂上ゴールこそ無いものの、ステージ全体の難易度は非常にハイレベルだ。加えて冷温と降雨が一段とレースを厳しいものとした。
この日エスケープに乗ったのは、マルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)やトム・フィーラース(オランダ、ジャイアント・シマノ)ら6名。地元の期待を背負うIAMサイクリングは3日連続で逃げに乗り、積極的な姿勢を忘れない。
しかし逃げグループは45km地点から始まるコル・ド・プランシュですぐさまメンバーを減らしてしまう。後方から追うメイン集団でもリーダージャージを着たミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が遅れた。
残り60km地点を過ぎたころ、エスケープグループはダヴィデ・マラカルネ(イタリア)と、シリル・ゴティエ(フランス)のユーロップカーコンビのみに縮小する。メイン集団ではガーミン・シャープが主導権を握り、集団の人数は40名ほどまでに減少していった。
やがて20名程度となったメイン集団からは、残り40km地点でゴティエ&マラカルネをキャッチ。最後の1級山岳オロン峠に入ると、複数の散発的なアタックの末、有力勢による上り勝負がいよいよもって勃発する。
まず峠の中腹でヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が仕掛け、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)とスピラックが順に追走を試みる。失速し吸収されたニーバリに対し、合流したフルームとスピラックの勢いは頂上まで衰えない。
昨年大会の同じステージで、同じように抜け出した2名が、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、ニーバリらを含む追走グループから55秒のリードを稼ぎKOMを通過した。
冷たく濡れた危険なダウンヒルを危なげ無くこなした先頭2名は、リードをロスすること無くゴールへ。ステージを狙うスピラックと、総合でのタイム差を広げたいフルーム。まるで昨年大会同ステージのデジャヴかのような展開のまま、スプリント勝負をスピラックが制した。
後続はルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)を先頭に、57秒遅れて有力勢5名がゴール。他の選手は軒並み1分40秒以上の遅れを喫し、最終のグルペットは42分遅れでゴールラインをくぐった。
「雨の影響でとても難しいステージだったけれど、個人的には雨が好きだし、寒さも気にならない。レースが始まって序盤は凄くハイペースだったことに加えて山岳も厳しかったので、凄く調子が良いとは言えなかった。でも2つめの登りでは調子が上がってきているのを感じていたんだ。」とは、リーダージャージを獲得したスピラック。
「チームの力がとても高まっていたことにも勝因がある。チーム内のコミュニケーションも良く取れていたし、それは最終山岳の重要な局面においても一緒だった。フルームがアタックした時、これは行くべきタイミングだと感じていたよ。淡々とペースを刻んで、ニーバリとフルームに追いついた。彼とは登りでも、危険な下りの後も良い協調体制を築けていた。スプリントで勝利できて本当に嬉しい。」とスピラックは加えた。
翌第4ステージはスプリンター向けのコースレイアウトであり、日曜日に開催される最終ステージは登りを含む18.5kmの個人タイムトライアルだ。TTを得意とするフルームはスピラックから総合で1秒遅れの2位であり、その他有力勢は1分以上遅れている。トラブルを抜きに考えれば、ほぼフルームの勝利は手堅いと言えるだろう。
ツール・ド・ロマンディ2014第3ステージ結果
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
6位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
6位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5h09'23"
+57"
+1'41"
+57"
+1'41"
個人総合順位
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
11h39'25"
+01"
+1'02"
+1'06"
+1'10"
+1'13"
+1'14"
+1'40"
+1'48"
+1'50"
+01"
+1'02"
+1'06"
+1'10"
+1'13"
+1'14"
+1'40"
+1'48"
+1'50"
山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
ポイント賞
マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
新人賞
ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele
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