2014/04/11(金) - 09:39
エアロロードバイクの先駆けとして、2009年にデビューしたREACTOが2014年モデルでフルモデルチェンジし、さらなる進化を果たした。フィリッポ・ポッツァート(イタリア)が愛用するエアロロードの実力に迫る。
メリダ REACTO CF TEAM (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
1978年創業、世界第2の規模を持つ台湾の総合自転車ブランドであるメリダ。MTBの世界においては、マルチバン・メリダバイキングチームを10年以上の長き渡りスポンサードし続けることで、コンペティティブなブランドとしての地位を築いてきた。
ブランドとしての大きな転機は2013年より、イタリアの名門プロツアーチーム、ランプレの共同スポンサーに就いたことだ。たちまちオールラウンドバイクのSCULTURA、エンデュランスバイクのRIDE、TTバイクのWARP TT、そしてエアロロードのREACTOと4種類のバイクをデビュー(またはモデルチェンジ)させ、それまでカラーの薄かったロードラインナップの充実を図った。隙の無いラインナップはランプレ・メリダの要望に応えた結果であるが、その開発速度は特筆に値すると言っても良いだろう。
シフターケーブルはトップチューブ上部からフレームに内蔵される
剛性を向上させる下側1.5インチのX-Taperヘッド
TTマシンから得たノウハウを活用させたフロントフォーク
メリダの驚異的な開発力の背景には、製品の生産拠点は台湾に置きつつも、開発を行うR&Dセンターはドイツ拠点という特徴がある。自転車レースの中心地であるヨーロッパ、特にテクノロジーにおいてはその中でも抜きんでているドイツにR&D拠点を置くことで、選手からのフィードバックを最新のテクノロジーで反映していくというサイクルを最速で回すことができる。生産拠点を台湾に置く理由は、生み出す工業製品の高水準さと生産コストを安くできるということにある。この2つのシナジーが、メリダの開発力の源泉となっているのだ。
臼型のシートピラー固定方式
制動力向上を狙ったダイレクトマウント方式のフロントブレーキ
高いエアロダイナミクスと剛性を両立させたリアバックセクション
空力性能を向上させた「ファストバック」形状フレーム
そんな流れの中で登場した新型REACTO。そのテーマはエアロダイナミクスのみならず、スプリントやヒルクライムといった一般的なのエアロフレームが苦手とするようなシーンでも活躍できる、オールラウンドなエアロロードだ。フルモデルチェンジを経て各チューブの形状は一新され、解析の結果から最適化された「ファストバック」形状とされている。直線を基調としたデザインは、卓越した空力性能を追い求めた末に生み出された。
空力性能を向上させるためにモディファイされたのはチューブ形状だけではない。メリダの開発陣はTTモデルのWARP TTの開発時に得られた、フォークのデザインとブレーキの位置に関する理論をREACTOにも応用した。結果、左右のフォークブレードの間隔を広げることで、フロント周りのエアロダイナミクスを大幅に向上。更にダイレクトマウントブレーキを採用することで、フォークのデザイン変更で獲得した空力性能をそのままに、力強い制動力をも手に入れている。
ランプレ・メリダ仕様カラーリングが施された周辺パーツ
空力性能を追求しているためダイレクトマウント式のリアブレーキとなった
万能なエアロロードとして開発されたREACTOにとって、空力性能の向上はバイク全体の要素の一部にすぎない。ヘッドチューブは下側1.5インチのX-Taperヘッドを採用し、キレのあるハンドリングとダイレクトマウントブレーキの強大な制動力にも負けない剛性を確保。BBハンガーはBB386を採用することで、フレーム全体のねじれ剛性を高めると同時に、クランクの選択肢も特殊規格より多くなった。
ダウンチューブとフロントフォークには、ダブルチャンバーテクノロジーを用いることでチューブ内に強化リブが設けられており、圧倒的なねじれ剛性を実現している。コンパクトに設計された特徴的なリアバックは、空気抵抗の削減に寄与すると同時に、スプリントにも十分にこたえる剛性を確保している。エアロ効果を生かして逃げを成功させた後のスプリント勝負において、勝利を掴むための設計だ。
快適な乗り心地を生み出すS-Flexシートポスト
ねじれ剛性を高めると同時にクランクの選択肢も確保したBB386
空気抵抗の減少を狙った狭いタイヤクリアランス
マイクロサスペンション機構を搭載し、快適な乗り心地を生み出すS-Flexシートポストはヤグラ部分を調節することで、シートアングルを72~75°の間で設定できる。TTポジションにも対応するため、トライアスロンなどでも活躍できるだろう。まさに1台で何役もこなせる万能エアロロードだ。
今回のテストバイクはチームカラーが印象的な完成車のトップグレードモデル、REACTO CF TEAM。コンポーネントはシマノ ワイヤー式デュラエースを使用し、ホイールはランプレのチームカラーの紫が鮮やかなフルクラム RED WIND 50を履くチームレプリカだ。それでは早速2人のインプレッションに移ろう。
―インプレッション
「見た目のイメージよりもオールマイティな走行性能を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
そのルックスはボリューム感があり、エアロに特化されているという印象を与えますが、実際にテストしてみると、比較的オールマイティな走行性能を持っていることに驚かされます。パーツやホイールもエアロを重視した設定だったため「平地専用」という先入観がありました。しかしそのイメージを払拭してくれる意外性を持っています。
非常にハイレベルな平地巡航性能を持ちながらも、ホイールを変えれば一般的なロードバイクと遜色無く、期待以上の登り性能も持っていました。下りでは車のドラフティングについているような加速感があり、ギアを掛ける分だけスピードが乗っていく印象を受けました。
フレーム形状的に縦剛性が強くダイレクトに振動を伝えてくるイメージがありますが、シートピラーも含めフレーム全体が細かい振動をカットしています。
さらに、縦方向の振動吸収性が高く、全体的に癖がない路面追従性を持ち合わせていますね。ただし縦の剛性感に対してフロント周りの横剛性がやや落ちる感じがあります。コーナーで切り込んだ際にはほんの少し外にラインが振られました。直線志向なのでしょうね。ブレーキングに関して不安はありませんが、特にリアのダイレクトマウントはワイヤーの処理如何で性能が変わってきますから、信頼のおけるプロショップで整備を行いましょう。
「見た目のイメージよりもオールマイティな走行性能を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) エアロポジションを可能にしているシートピラーやシートアングルは、TTやトライアスロンといったオールマイティに使う上で便利な機構。TTバイクよりも遥かに扱いやすく、一般的なロードバイクよりもエアロ性能が高い。時間を競うレースではタイムを伸ばせるはずです。やはり平坦を意識したバイクですから、エンデューロやクリテリウムには最適でしょう。集団内でも、逃げにおいてもエアロ効果によって脚を貯めることができるはずです。
強いて言えば、デメリットは少し重量があることと、ホリゾンタルであることの振りにくさ。ただし大柄かつパワー系ライダーならばこれら不得意な性格を消し、特性を活かす事ができるはず。よりトルクを掛けて踏んだ時にこそ、このバイクは本領を発揮してくれます。
フレーム性能やパーツアッセンブルを考えると、決してコストパフォーマンスは低くありません。金額が高いので最初の一台としてはハードルが高いですが、エアロロード然としたルックスや、それを裏切らない性能など、このフォルムに惚れたならば損はしないでしょう。
プロチームに機材を供給することでブランド力を強化しているメリダのエアロバイク。エアロフレーム、プロ使用機材という所有感を満たしたり、決戦用バイクとして考えているライダーにおススメの1台です。
「空力性能に優れつつも汎用性が高いロードバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
第一印象は、フォルム通りのエアロ効果を追求した「直線番長」。印象通り直線では気持ち良くスピードが伸びていきました。ダウンヒルなどハイスピードなシチュエーションでは誰でも空気抵抗の少なさを感じる事ができるはず。
これはフレームにカムテール形状を採用し、タイヤクリアランスが非常に狭く設計されていることが貢献しているのでしょう。特に、ダウンチューブとタイヤのクリアランスが狭くエアロ効果を追求していることがわかります。
「空力性能に優れつつも汎用性が高いロードバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) エアロフレームは縦長のパイプ形状が特徴で、横方向への剛性が不足しているというイメージが有りますが、REACTOに関してはあまりそれを感じません。全体的に剛性高く仕上げられたバイクです。
そのためハンドルには路面からの突き上げを感じますが、S-FLEXシートポストが働くことでシート付近は振動を感じませんでした。突き上げも前後でバランスが取られていることが分かります。長い距離走った際には身体への影響が緩和されますね。
直進安定性が非常に高いため、コーナリングはややアンダーステア気味でした。タイトコーナーが連続するようなコースは不得意ですが、特にストレスを感じることはありません。セットされていたホイールの重量があるため、コーナリングに影響があったのかもしれません。
単純な登り性能こそ高いとは言えません。ダンシングでは振りがやや重くダルさを感じました。しかし、スピードを活かすフレームであるため、スピードを維持したままクリアするような登りは得意でしょう。ホイールを軽量なものに変更することで乗り味が大きく変わるはずです。
アッセンブルされているダイレクトマウントブレーキに関してですが、キャリパータイプと比べるとやや効きは弱め。フレームとのマッチングもしくはセッティングの影響かは判断が付きませんが、ブレーキングはある程度の慣れが必要だと思います。
ただしエアロロードとしてはフレームの性能が良く、シートアングルやシートピラーも工夫がされているため様々なパーツアッセンブルを試したい。コンポーネントをDi2にすればシフティングの重たさは解消しますし、ハンドリングも軽くなる。DHバーを取り付けてTT、トライアスロン用にしてみたいですね。発展性があるバイクといえるでしょう。
メリダ REACTO CF TEAM (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
メリダ REACTO CF TEAM
フレーム:Reacto Pro-direct-E
フォーク:Reacto Carbon Pro-direct
コンポーネント:シマノ9000系デュラエース
ホイール:フルクラム Red Wind 50
重量:6.9kg(54cmサイズ)
価 格:822,857円(税込、完成車)、307,543円(税込、フレームセット)
インプレライダーのプロフィール
戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
ショップHP
鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。過去には大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の北浦和に店を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。ショップでは個人のポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考えている。「買ってもらった方に自転車を続けてもらう」ことをモットーに魅力あるバイクライフを提案する日々を送っている。
CWレコメンドショップページ
ショップHP
ウェア協力:レリック
text:Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
![メリダ REACTO CF TEAM](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/1-imp04mar%20-%20001.jpg)
1978年創業、世界第2の規模を持つ台湾の総合自転車ブランドであるメリダ。MTBの世界においては、マルチバン・メリダバイキングチームを10年以上の長き渡りスポンサードし続けることで、コンペティティブなブランドとしての地位を築いてきた。
ブランドとしての大きな転機は2013年より、イタリアの名門プロツアーチーム、ランプレの共同スポンサーに就いたことだ。たちまちオールラウンドバイクのSCULTURA、エンデュランスバイクのRIDE、TTバイクのWARP TT、そしてエアロロードのREACTOと4種類のバイクをデビュー(またはモデルチェンジ)させ、それまでカラーの薄かったロードラインナップの充実を図った。隙の無いラインナップはランプレ・メリダの要望に応えた結果であるが、その開発速度は特筆に値すると言っても良いだろう。
![シフターケーブルはトップチューブ上部からフレームに内蔵される](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/2-imp04mar%20-%20005.jpg)
![剛性を向上させる下側1.5インチのX-Taperヘッド](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/3-imp04mar%20-%20042.jpg)
![TTマシンから得たノウハウを活用させたフロントフォーク](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/4-imp04mar%20-%20010.jpg)
メリダの驚異的な開発力の背景には、製品の生産拠点は台湾に置きつつも、開発を行うR&Dセンターはドイツ拠点という特徴がある。自転車レースの中心地であるヨーロッパ、特にテクノロジーにおいてはその中でも抜きんでているドイツにR&D拠点を置くことで、選手からのフィードバックを最新のテクノロジーで反映していくというサイクルを最速で回すことができる。生産拠点を台湾に置く理由は、生み出す工業製品の高水準さと生産コストを安くできるということにある。この2つのシナジーが、メリダの開発力の源泉となっているのだ。
![臼型のシートピラー固定方式](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/5-imp04mar%20-%20017.jpg)
![制動力向上を狙ったダイレクトマウント方式のフロントブレーキ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/6-imp04mar%20-%20011.jpg)
![高いエアロダイナミクスと剛性を両立させたリアバックセクション](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/7-imp04mar%20-%20019.jpg)
![空力性能を向上させた「ファストバック」形状フレーム](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/8-imp04mar%20-%20059.jpg)
そんな流れの中で登場した新型REACTO。そのテーマはエアロダイナミクスのみならず、スプリントやヒルクライムといった一般的なのエアロフレームが苦手とするようなシーンでも活躍できる、オールラウンドなエアロロードだ。フルモデルチェンジを経て各チューブの形状は一新され、解析の結果から最適化された「ファストバック」形状とされている。直線を基調としたデザインは、卓越した空力性能を追い求めた末に生み出された。
空力性能を向上させるためにモディファイされたのはチューブ形状だけではない。メリダの開発陣はTTモデルのWARP TTの開発時に得られた、フォークのデザインとブレーキの位置に関する理論をREACTOにも応用した。結果、左右のフォークブレードの間隔を広げることで、フロント周りのエアロダイナミクスを大幅に向上。更にダイレクトマウントブレーキを採用することで、フォークのデザイン変更で獲得した空力性能をそのままに、力強い制動力をも手に入れている。
![ランプレ・メリダ仕様カラーリングが施された周辺パーツ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/9-imp04mar%20-%20038.jpg)
![空力性能を追求しているためダイレクトマウント式のリアブレーキとなった](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/10-imp04mar%20-%20070.jpg)
万能なエアロロードとして開発されたREACTOにとって、空力性能の向上はバイク全体の要素の一部にすぎない。ヘッドチューブは下側1.5インチのX-Taperヘッドを採用し、キレのあるハンドリングとダイレクトマウントブレーキの強大な制動力にも負けない剛性を確保。BBハンガーはBB386を採用することで、フレーム全体のねじれ剛性を高めると同時に、クランクの選択肢も特殊規格より多くなった。
ダウンチューブとフロントフォークには、ダブルチャンバーテクノロジーを用いることでチューブ内に強化リブが設けられており、圧倒的なねじれ剛性を実現している。コンパクトに設計された特徴的なリアバックは、空気抵抗の削減に寄与すると同時に、スプリントにも十分にこたえる剛性を確保している。エアロ効果を生かして逃げを成功させた後のスプリント勝負において、勝利を掴むための設計だ。
![快適な乗り心地を生み出すS-Flexシートポスト](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/11-imp04mar%20-%20033.jpg)
![ねじれ剛性を高めると同時にクランクの選択肢も確保したBB386](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/12-imp04mar%20-%20067.jpg)
![空気抵抗の減少を狙った狭いタイヤクリアランス](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/13-imp04mar%20-%20025.jpg)
マイクロサスペンション機構を搭載し、快適な乗り心地を生み出すS-Flexシートポストはヤグラ部分を調節することで、シートアングルを72~75°の間で設定できる。TTポジションにも対応するため、トライアスロンなどでも活躍できるだろう。まさに1台で何役もこなせる万能エアロロードだ。
今回のテストバイクはチームカラーが印象的な完成車のトップグレードモデル、REACTO CF TEAM。コンポーネントはシマノ ワイヤー式デュラエースを使用し、ホイールはランプレのチームカラーの紫が鮮やかなフルクラム RED WIND 50を履くチームレプリカだ。それでは早速2人のインプレッションに移ろう。
―インプレッション
「見た目のイメージよりもオールマイティな走行性能を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
そのルックスはボリューム感があり、エアロに特化されているという印象を与えますが、実際にテストしてみると、比較的オールマイティな走行性能を持っていることに驚かされます。パーツやホイールもエアロを重視した設定だったため「平地専用」という先入観がありました。しかしそのイメージを払拭してくれる意外性を持っています。
非常にハイレベルな平地巡航性能を持ちながらも、ホイールを変えれば一般的なロードバイクと遜色無く、期待以上の登り性能も持っていました。下りでは車のドラフティングについているような加速感があり、ギアを掛ける分だけスピードが乗っていく印象を受けました。
フレーム形状的に縦剛性が強くダイレクトに振動を伝えてくるイメージがありますが、シートピラーも含めフレーム全体が細かい振動をカットしています。
さらに、縦方向の振動吸収性が高く、全体的に癖がない路面追従性を持ち合わせていますね。ただし縦の剛性感に対してフロント周りの横剛性がやや落ちる感じがあります。コーナーで切り込んだ際にはほんの少し外にラインが振られました。直線志向なのでしょうね。ブレーキングに関して不安はありませんが、特にリアのダイレクトマウントはワイヤーの処理如何で性能が変わってきますから、信頼のおけるプロショップで整備を行いましょう。
![「見た目のイメージよりもオールマイティな走行性能を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/14-imp04mar%20-%20497.jpg)
強いて言えば、デメリットは少し重量があることと、ホリゾンタルであることの振りにくさ。ただし大柄かつパワー系ライダーならばこれら不得意な性格を消し、特性を活かす事ができるはず。よりトルクを掛けて踏んだ時にこそ、このバイクは本領を発揮してくれます。
フレーム性能やパーツアッセンブルを考えると、決してコストパフォーマンスは低くありません。金額が高いので最初の一台としてはハードルが高いですが、エアロロード然としたルックスや、それを裏切らない性能など、このフォルムに惚れたならば損はしないでしょう。
プロチームに機材を供給することでブランド力を強化しているメリダのエアロバイク。エアロフレーム、プロ使用機材という所有感を満たしたり、決戦用バイクとして考えているライダーにおススメの1台です。
「空力性能に優れつつも汎用性が高いロードバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
第一印象は、フォルム通りのエアロ効果を追求した「直線番長」。印象通り直線では気持ち良くスピードが伸びていきました。ダウンヒルなどハイスピードなシチュエーションでは誰でも空気抵抗の少なさを感じる事ができるはず。
これはフレームにカムテール形状を採用し、タイヤクリアランスが非常に狭く設計されていることが貢献しているのでしょう。特に、ダウンチューブとタイヤのクリアランスが狭くエアロ効果を追求していることがわかります。
![「空力性能に優れつつも汎用性が高いロードバイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/15-imp04mar%20-%20521.jpg)
そのためハンドルには路面からの突き上げを感じますが、S-FLEXシートポストが働くことでシート付近は振動を感じませんでした。突き上げも前後でバランスが取られていることが分かります。長い距離走った際には身体への影響が緩和されますね。
直進安定性が非常に高いため、コーナリングはややアンダーステア気味でした。タイトコーナーが連続するようなコースは不得意ですが、特にストレスを感じることはありません。セットされていたホイールの重量があるため、コーナリングに影響があったのかもしれません。
単純な登り性能こそ高いとは言えません。ダンシングでは振りがやや重くダルさを感じました。しかし、スピードを活かすフレームであるため、スピードを維持したままクリアするような登りは得意でしょう。ホイールを軽量なものに変更することで乗り味が大きく変わるはずです。
アッセンブルされているダイレクトマウントブレーキに関してですが、キャリパータイプと比べるとやや効きは弱め。フレームとのマッチングもしくはセッティングの影響かは判断が付きませんが、ブレーキングはある程度の慣れが必要だと思います。
ただしエアロロードとしてはフレームの性能が良く、シートアングルやシートピラーも工夫がされているため様々なパーツアッセンブルを試したい。コンポーネントをDi2にすればシフティングの重たさは解消しますし、ハンドリングも軽くなる。DHバーを取り付けてTT、トライアスロン用にしてみたいですね。発展性があるバイクといえるでしょう。
![メリダ REACTO CF TEAM](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/16-imp04mar%20-%20039.jpg)
メリダ REACTO CF TEAM
フレーム:Reacto Pro-direct-E
フォーク:Reacto Carbon Pro-direct
コンポーネント:シマノ9000系デュラエース
ホイール:フルクラム Red Wind 50
重量:6.9kg(54cmサイズ)
価 格:822,857円(税込、完成車)、307,543円(税込、フレームセット)
インプレライダーのプロフィール
![戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/17-imp04mar%20-%20413.jpg)
1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
ショップHP
![鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2014/03/20/18-imp04mar%20-%20418.jpg)
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。過去には大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の北浦和に店を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。ショップでは個人のポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考えている。「買ってもらった方に自転車を続けてもらう」ことをモットーに魅力あるバイクライフを提案する日々を送っている。
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text:Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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