連続山岳でアタックの応酬　ニーバリとウランと逃げ切ったサガンが勝利

勝負は登りではなく、下りで決まった。空気抵抗の少ない得意のエアロポジションで集団の中から飛び出したペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）に2名が合流。スプリントで勝利したサガンが総合リーダーの座についている。

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オマーンの山岳地帯に向かうプロトン photo:Tim de Waele

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ツアー・オブ・オマーン2014第4ステージ image:A.S.O.後半にかけて標高355mのKOMブシェール・アラムラットを4回通過するツアー・オブ・オマーン第4ステージ。ステージ全長は173kmで、最後のKOMブシェール・アラムラットからフィニッシュラインまでは13kmしかない。オマーンの総合争いはこの第4ステージと翌日の第5ステージで決する。

スルタン・カブース・グランド･モスク前を通過する photo:A.S.O.レースは序盤からエヴァン・ホフマン（アメリカ、アスタナ）、ヤロスラフ・ポポヴィッチ（ウクライナ、トレックファクトリーレーシング）、フレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシング）、イェーレ・ワレイス（ベルギー、トップスポートフラーンデレン）の4名が飛び出し、8分先行して後半の山岳地帯へ。中間スプリントで奮闘したワレイスが総合敢闘賞トップに立っている。

逃げグループを形成するエヴァン・ホフマン（アメリカ、アスタナ）ら4名 photo:Tim de Waele1回目のKOMブシェール・アラムラットに差し掛かると、アンドレ・グライペル（ドイツ、ロット・ベリソル）をはじめとするピュアスプリンターたちが脱落し、逃げとメイン集団のタイム差は3分50秒に。

下りで先行したペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）に2名が追いつく photo:Tim de Waele2回目の登坂でタイム差は2分25秒。すると3回目の登坂でポポヴィッチ、ホフマン、ワレイスは吸収される。単独で粘ったファンアフェルマートも、フィニッシュラインまで14kmを残して60名ほどに絞られた集団に吸収された。

そして迎えた4回目の、つまり最後のKOMブシェール・アラムラット。繰り返されたアタックはいずれも成功せず、ハイスピードで進んだ集団は人数を減らした状態で頂上をクリアする。2日連続でクリス・フルーム（イギリス、チームスカイ）が頂上でアタックを仕掛けた。

フルームには元チームメイトのリゴベルト・ウラン（コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ）が食らいついたが、長い下りで集団を引き離すことが出来ずに吸収される。

フルームらが吸収されると、残り10km地点でペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）が先行。ここにヴィンチェンツォ・ニーバリ（イタリア、アスタナ）とウランが飛びついた。

総合狙いのニーバリとウラン、そしてステージ優勝狙いのサガンは協力して先頭交代し、後続集団を18秒引き離して残り5km。最終的に2秒差で3名が逃げ切り、スプリント力で他を圧倒したサガンが勝利した。

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ウランとニーバリを振り切ったペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール） photo:Tim de Waele

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「登りでフルームとウランが飛び出した時は、タイミングが早すぎだと判断して反応しなかった。その後のハイスピードダウンヒルで、ペダリングすることなくエアロポジションで先行。そこにニーバリとウランが追いついてきたので"これだ！"と思って協力して逃げたんだ」と、今シーズン初勝利を飾ったサガン。2012年に1勝、2013年に2勝しているサガンが、自身4度目のオマーンでの勝利を掴んだ。

リーダージャージに袖を通すペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール） photo:Tim de Waele「今年は"勝たなければならない"というプレッシャーを感じずに走っていたけど、やはり勝つのは嬉しい。調子が上向きであると感じていたので、遅かれ早かれ勝利が回ってくると思っていた」とコメントするサガンは、ボーナスタイムによりリーダージャージを獲得。10秒差の総合2位にウラン、14秒差の総合3位にニーバリがつけており、フルームらは18秒遅れだ。

翌日の第5ステージは、標高1235mのKOMグリーンマウンテンにフィニッシュする最難関ステージ。オマーン名物の難関山岳が、僅差の総合争いの行方を決める。

選手コメントはキャノンデール公式サイトより。

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ツアー・オブ・オマーン2014第4ステージ結果
1位　ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）　　　　　　　　　　　　　4h02'20"
2位　リゴベルト・ウラン（コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ）
3位　ヴィンチェンツォ・ニーバリ（イタリア、アスタナ）
4位　ダリル・インピー（南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ）　　　　　　　　　　　　+02"
5位　トニー・ギャロパン（フランス、ロット・ベリソル）
6位　ダニエル・モレーノ（スペイン、カチューシャ）
7位　フランチェスコ・ガヴァッツィ（イタリア、アスタナ）
8位　ゼネク・スティバル（チェコ、オメガファーマ・クイックステップ）
9位　トーマス・ロヴクヴィスト（スウェーデン、IAMサイクリング）
10位　モレーノ・モゼール（イタリア、キャノンデール）

個人総合成績
1位　ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）　　　　　　　　　　　　　14h46'44"
2位　リゴベルト・ウラン（コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ）　　　　　　+10"
3位　ヴィンチェンツォ・ニーバリ（イタリア、アスタナ）　　　　　　　　　　　　　　　+14"
4位　トニー・ギャロパン（フランス、ロット・ベリソル）　　　　　　　　　　　　　　　+17"
5位　ダリル・インピー（南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ）　　　　　　　　　　　　+18"
6位　フランチェスコ・ガヴァッツィ（イタリア、アスタナ）
7位　ロマン・クロイツィゲル（チェコ、ティンコフ・サクソ）
8位　クリス・フルーム（イギリス、チームスカイ）
9位　ティージェイ・ヴァンガーデレン（アメリカ、BMCレーシング）
10位　ロバート・ヘーシンク（オランダ、ベルキン）

ポイント賞
アンドレ・グライペル（ドイツ、ロット・ベリソル）

ヤングライダー賞
ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデール）

総合敢闘賞（中間スプリント賞）
イェーレ・ワレイス（ベルギー、トップスポートフラーンデレン）

チーム総合成績
オリカ・グリーンエッジ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele