2014/01/26(日) - 17:33
2014年のUCIワールドツアー開幕戦ツアー・ダウンアンダーの主役はサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)だった。ともに大会の記録を作る走りで6日間の闘いを終えた。
「目を見張るほど素晴らしいチームのおかげで3回目の優勝を果たすことが出来た。オーストラリアデーに、オーストラリアチームが、オーストラリアのUCIワールドツアーレースで勝ったんだ」(ゲランス)
1月26日はオーストラリア人にとって大切な日。1788年にイギリス艦隊がオーストラリア大陸に到着し、植民地化を開始させた日であり、「オーストラリアデー(オーストラリアの日)」として国民の祝日に指定されている。
前日の第5ステージで1秒差の総合逆転を果たしたゲランスは、ライバルたちの動きに警戒しながら、オリカ・グリーンエッジの安定したトレインに率いられながら、アデレードの市街地周回コースを駆け抜けた。
1985年から1995年までF1オーストラリアGPが開催されたライミル公園を起点にした、初登場の4.75km周回コース。主催者発表で11万人が詰めかけたコースを選手たちは18周(全長85.5km)する。
最終ゴールスプリントはピュアスプリンターの独壇場になるため、6周目と12周目に設定されたスプリントポイントでのボーナスタイムが総合順位に変動を起こす最後のチャンスとなる。実際に、2013年にはスプリントポイントで果敢に攻めたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が総合5位から総合3位へのジャンプアップを果たしている。
総合首位ゲランスから1秒差でエヴァンス、5秒差でウリッシ、10秒差でポートが続く僅差の総合争い。しかし、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)の3名が集団から飛び出すと、メイン集団はあっさりと逃げを見送った。
ボーナスタイムを独占する3名の逃げにより、メイン集団は"通常の平坦ステージ"の動きを見せる。
リーダージャージ擁するオリカ・グリーンエッジがコントロールし、チームスカイやロット・ベリソルがこれに合流。2つのスプリントポイント通過後に逃げを吸収したメイン集団は、スプリント体勢に入った。
この日の新城幸也(ユーロップカー)は「最終日になって脚が回り始めました」と笑いながら、チームメイトのケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)のポジション取りに力を尽くす。終盤にかけてエースを集団前方に連れて行き、残り2kmでロット・ベリソルのトレインにレザを乗せたところでペースダウン。新城はスプリントに絡まず81位でフィニッシュしている。
スプリントに向けて主導権を握ったのは、前座クリテリウムを制したマルセル・キッテル(ドイツ)擁するジャイアント・シマノではなく、真っ赤なロットトレインだった。
台本どおりのリードアウトで、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)がグライペルを発射。ほぼ同時にスプリントを開始したマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)をグイグイと引き離すグライペル。「今日は初めての周回コースだったので難しかった」と語りながらも、圧勝だった。
グライペルは今大会2勝目。ステージ通算成績を、他の追随を許さない16勝目に伸ばした。「ここ数日で自分の脚にスピードを感じていたので、自信をもってスプリントした。チームの経験値が勝利に繋がったと言える。ツアー・ダウンアンダーの主役の座に戻ってくることが出来て嬉しいよ」。ドイツチャンピオンジャージを着るグライペルは、表彰式で新しいチームロゴをアピールした。
グライペルの後ろでガッツポーズしたのは、安全に、ライバルたちの動きを封じ込めたゲランスだった。「僅差(タイム差ゼロ)の総合優勝だった2年前の経験から、今日どう走れば良いのか心得ていた。ウリッシが何か動きを見せるんじゃないかと警戒していたけど、チームがそんな隙を与えなかった。1週間続いた厳しいレースを走り抜いてくれたチームメイトに感謝だ」。
ゲランスは2006年と2012年に続く自身3回目の総合優勝。これまでグライペルとスチュアート・オグレディ(オーストラリア)がそれぞれ2回の総合優勝を果たしていたが、ゲランスは最多勝記録で頭一つ抜け出した。
総合56位で初めてのツアー・ダウンアンダーを走りきった新城は、翌日のフライトでチームメイトとともにフランスに帰国。その後すぐにマヨルカに渡り、2月9日から14日まで開催されるチャレンジマヨルカに出場する。
2014年の展望について聞いた新城のインタビューや、ツアー・ダウンアンダーを走った全チームのバイク特集は後日お届けする予定です。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・ダウンアンダー2014第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 1h55'16"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 アンドリュー・フェン(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・シマノ)
5位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、ドラパック)
6位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 ミカエル・コラー(スロベニア、ティンコフ・サクソ)
10位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
81位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +59"
個人総合成績
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 19h57'35"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +01"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +05"
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) +10"
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +27"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +30"
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +34"
8位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) +37"
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
10位 エゴール・シリン(ロシア、カチューシャ) +47"
56位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +17'43"
スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 75pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 56pts
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 50pts
山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) 28pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル) 28pts
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) 24pts
ヤングライダー賞
1位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 19h59'43"
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ) +1'09"
3位 ケニー・エリッソンド(フランス、FRJ.fr) +20'56"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 59h56'16"
2位 BMCレーシングチーム +28"
3位 ドラパック +3'58"
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
「目を見張るほど素晴らしいチームのおかげで3回目の優勝を果たすことが出来た。オーストラリアデーに、オーストラリアチームが、オーストラリアのUCIワールドツアーレースで勝ったんだ」(ゲランス)
1月26日はオーストラリア人にとって大切な日。1788年にイギリス艦隊がオーストラリア大陸に到着し、植民地化を開始させた日であり、「オーストラリアデー(オーストラリアの日)」として国民の祝日に指定されている。
前日の第5ステージで1秒差の総合逆転を果たしたゲランスは、ライバルたちの動きに警戒しながら、オリカ・グリーンエッジの安定したトレインに率いられながら、アデレードの市街地周回コースを駆け抜けた。
1985年から1995年までF1オーストラリアGPが開催されたライミル公園を起点にした、初登場の4.75km周回コース。主催者発表で11万人が詰めかけたコースを選手たちは18周(全長85.5km)する。
最終ゴールスプリントはピュアスプリンターの独壇場になるため、6周目と12周目に設定されたスプリントポイントでのボーナスタイムが総合順位に変動を起こす最後のチャンスとなる。実際に、2013年にはスプリントポイントで果敢に攻めたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が総合5位から総合3位へのジャンプアップを果たしている。
総合首位ゲランスから1秒差でエヴァンス、5秒差でウリッシ、10秒差でポートが続く僅差の総合争い。しかし、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)の3名が集団から飛び出すと、メイン集団はあっさりと逃げを見送った。
ボーナスタイムを独占する3名の逃げにより、メイン集団は"通常の平坦ステージ"の動きを見せる。
リーダージャージ擁するオリカ・グリーンエッジがコントロールし、チームスカイやロット・ベリソルがこれに合流。2つのスプリントポイント通過後に逃げを吸収したメイン集団は、スプリント体勢に入った。
この日の新城幸也(ユーロップカー)は「最終日になって脚が回り始めました」と笑いながら、チームメイトのケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)のポジション取りに力を尽くす。終盤にかけてエースを集団前方に連れて行き、残り2kmでロット・ベリソルのトレインにレザを乗せたところでペースダウン。新城はスプリントに絡まず81位でフィニッシュしている。
スプリントに向けて主導権を握ったのは、前座クリテリウムを制したマルセル・キッテル(ドイツ)擁するジャイアント・シマノではなく、真っ赤なロットトレインだった。
台本どおりのリードアウトで、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)がグライペルを発射。ほぼ同時にスプリントを開始したマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)をグイグイと引き離すグライペル。「今日は初めての周回コースだったので難しかった」と語りながらも、圧勝だった。
グライペルは今大会2勝目。ステージ通算成績を、他の追随を許さない16勝目に伸ばした。「ここ数日で自分の脚にスピードを感じていたので、自信をもってスプリントした。チームの経験値が勝利に繋がったと言える。ツアー・ダウンアンダーの主役の座に戻ってくることが出来て嬉しいよ」。ドイツチャンピオンジャージを着るグライペルは、表彰式で新しいチームロゴをアピールした。
グライペルの後ろでガッツポーズしたのは、安全に、ライバルたちの動きを封じ込めたゲランスだった。「僅差(タイム差ゼロ)の総合優勝だった2年前の経験から、今日どう走れば良いのか心得ていた。ウリッシが何か動きを見せるんじゃないかと警戒していたけど、チームがそんな隙を与えなかった。1週間続いた厳しいレースを走り抜いてくれたチームメイトに感謝だ」。
ゲランスは2006年と2012年に続く自身3回目の総合優勝。これまでグライペルとスチュアート・オグレディ(オーストラリア)がそれぞれ2回の総合優勝を果たしていたが、ゲランスは最多勝記録で頭一つ抜け出した。
総合56位で初めてのツアー・ダウンアンダーを走りきった新城は、翌日のフライトでチームメイトとともにフランスに帰国。その後すぐにマヨルカに渡り、2月9日から14日まで開催されるチャレンジマヨルカに出場する。
2014年の展望について聞いた新城のインタビューや、ツアー・ダウンアンダーを走った全チームのバイク特集は後日お届けする予定です。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・ダウンアンダー2014第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 1h55'16"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 アンドリュー・フェン(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・シマノ)
5位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、ドラパック)
6位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 ミカエル・コラー(スロベニア、ティンコフ・サクソ)
10位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
81位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +59"
個人総合成績
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 19h57'35"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +01"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +05"
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) +10"
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +27"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +30"
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +34"
8位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) +37"
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
10位 エゴール・シリン(ロシア、カチューシャ) +47"
56位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +17'43"
スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 75pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 56pts
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 50pts
山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) 28pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル) 28pts
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) 24pts
ヤングライダー賞
1位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 19h59'43"
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ) +1'09"
3位 ケニー・エリッソンド(フランス、FRJ.fr) +20'56"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 59h56'16"
2位 BMCレーシングチーム +28"
3位 ドラパック +3'58"
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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