果敢に逃げたフォイクトはラスト3kmで吸収　サガンが2勝目をマーク　

USAプロチャレンジ（UCI2.HC）第3ステージ。来月42歳の誕生日を迎えるイェンス・フォイクト（ドイツ、レディオシャック・レオパード）が闘志むき出しの単独エスケープを試みたがゴール3km手前で吸収。好調のペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）が今大会2勝目を飾った。

---

レース前半からメイン集団をコントロールするガーミン・シャープ photo:Cor Vos

USAプロチャレンジ2013第3ステージ image:usaprocyclingchallenge.comブリッケンリッジからスティームボート・スプリングズまで、標高2200mオーバーの高地を170.4kmにわたって走る第3ステージ。前日の第2ステージより難易度は低いが、ゴール34km手前で2級山岳ラビットイアーズパスが登場するなど、決してイージーなステージではない。

チームメイトに守られて走るラクラン・モートン（オーストラリア、ガーミン・シャープ） photo:Cor Vosスタート直後に始まる3級山岳スワンマウンテンでメイン集団はペースアップ。ダヴィデ・ヴィッレッラ（イタリア、キャノンデールプロサイクリング）らが積極的に動き、頂上通過後に5名の先行が決まる。

単独で逃げ続けるイェンス・フォイクト（ドイツ、レディオシャック・レオパード） photo:Cor Vos先頭グループを形成したのはヴィッレッラ、ジョシュア・エドモンソン（イギリス、スカイプロサイクリング）、イェンス・フォイクト（ドイツ、レディオシャック・レオパード）、セルゲイ・ツヴェトコフ（モルドバ、ジェリーベリー）、タイラー・ウレン（アメリカ、ジェイミス・ハーゲンズバーマン）。

スプリント2勝目を飾ったペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング） photo:Cor Vosメイン集団をコントロールしたのはリーダージャージ擁するガーミン・シャープ。タイム差が5分を推移する中、ゴールまで50kmを残して早くもフォイクトが先頭グループから飛び出した。この早めの仕掛けについてフォイクトは「逃げグループの5人はそれぞれが違う意志と戦術で走っていた。キャノンデールの選手（ヴィッレッラ）に至ってはチームの指示で全くローテーションに加わらなかった。5人の逃げで、1人でも先頭交代に加わらないのは痛手だ。だから最大の防御としてアタックすることに決めた」と説明する。

フォイクトの独走が始まると、ステージ優勝狙いのキャノンデールプロサイクリングがメイン集団の前に出る。増田成幸（キャノンデールプロサイクリング）はこの日も集団ローテーションに合流。サガンのために逃げとのタイム差を詰めて行く。

フォイクトは一緒に逃げていたメンバーから2分、メイン集団から3分30秒のリードで2級山岳ラビットイアーズパスをクリア。しかし向かい風の影響もあってフォイクトは失速してしまった。

結局残り3kmを切ってすぐ吸収されたフォイクトは「今日は逃げ切れると思っただけに、失敗に終わって怒りと失望を覚えた」とコメントしている。9月に42歳の誕生日を迎えるフォイクトは、2014年トレックのワールドツアーチームと契約済みだ。

BMCレーシングチームとアルゴス・シマノが主導権を握って、残り1マイル（残り1.6km）アーチを通過。ゴールスプリントで早めに仕掛けたフレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシングチーム）を追い抜き、ルーカ・メスゲツ（スロベニア、アルゴス・シマノ）を振り切ったサガンが勝利した。

「今日も素晴らしい働きをしてくれたチームメイトたちに感謝している」と、マーク・カヴェンディッシュ（イギリス、オメガファーマ・クイックステップ）と並ぶ世界最多シーズン16勝目を飾ったサガンは喜ぶ。終盤に発生した落車でリードアウト役のファビオ・サバティーニ（イタリア）を失いながらも、抜群のセンスで自分の勝ちパターンに持ち込んだ。第1ステージに続く今大会2勝目を飾ったサガンは、総合トップを守ったラクラン・モートン（オーストラリア、ガーミン・シャープ）と11秒差の総合3位につけている。ポイント賞ランキングでは首位を独走中だ。

USAプロチャレンジ第3ステージのトップスリーが表彰台に上がる photo:Cor Vosリーダージャージを守ったラクラン・モートン（オーストラリア、ガーミン・シャープ） photo:Cor Vos

選手コメントはチーム公式サイトと各選手Twitterより。

---

USAプロチャレンジ2013第3ステージ結果
1位　ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）　　　　　　　4h04'18"
2位　ルーカ・メスゲツ（スロベニア、アルゴス・シマノ）
3位　ライアン・アンダーソン（カナダ、オプティム・ケリーベネフィット）
4位　フレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシングチーム）
5位　アレッサンドロ・バッツァーナ（イタリア、ユナイテッドヘルスケア）
6位　エドウィン・アビラバネガス（コロンビア、コロンビア）
7位　マルティン・フェルスホール（オランダ、ノヴォノルディスク）
8位　トニー・ギャロパン（フランス、レディオシャック・レオパード）
9位　タナー・プット（アメリカ、ボントレガーサイクリング）
10位　ダミアーノ・カルーゾ（イタリア、キャノンデールプロサイクリング）
75位　増田成幸（日本、キャノンデールプロサイクリング）
101位　西薗良太（日本、チャンピオンシステム）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　+3'34"

個人総合成績
1位　ラクラン・モートン（オーストラリア、ガーミン・シャープ）　　　　　　　　　11h35'40"
2位　マティアス・フランク（スイス、BMCレーシングチーム）　　　　　　　　　　　　　+02"
3位　ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）　　　　　　　　+11"
4位　ティージェイ・ヴァンガーデレン（アメリカ、BMCレーシングチーム）
5位　ローソン・クラドック（アメリカ、ボントレガーサイクリング）　　　　　　　　　　+18"
6位　トム・ダニエルソン（アメリカ、ガーミン・シャープ）　　　　　　　　　　　　　　+29"
7位　ダルウィン・アタプマ（コロンビア、コロンビア）　　　　　　　　　　　　　　　　+35"
8位　ダミアーノ・カルーゾ（イタリア、キャノンデールプロサイクリング）　　　　　　　+41"
9位　フレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシングチーム）
10位　トニー・ギャロパン（フランス、レディオシャック・レオパード）

ポイント賞
ペーター・サガン（スロバキア、キャノンデールプロサイクリング）

山岳賞
マシュー・クック（アメリカ、ジェイミス・ハーゲンズバーマン）

新人賞
ラクラン・モートン（オーストラリア、ガーミン・シャープ）

チーム総合成績
BMCレーシングチーム

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos