7月23日~28日に開催されたツール・アルザス(UCI2.2)に、昨年に引き続きブリヂストンアンカーが出場。最終ステージで清水都貴が山岳賞を獲得する活躍を見せた。

第5ステージ、メイン集団で走る清水都貴第5ステージ、メイン集団で走る清水都貴 photo:Chiho.IWASAツール・アルザスに出場したブリヂストン・アンカーのメンバーは、清水都貴、初山翔、六峰亘、トマ・ルバ、ダミアン・モニエ、ヴァンサン・カナールの6人。レースは6日間で6ステージを走り、ユーロップカーやロット・ベリソル、ソジャサン、BKCPパワープラスなど計26チームが参加した。

灼熱の日差しの下、牧草地帯を駆け抜ける灼熱の日差しの下、牧草地帯を駆け抜ける photo:Chiho.IWASA7月25日の第3ステージで清水都貴はステージ2位に入ったとの結果を知り、総合5位につけていたため、27日第5ステージからレースに合流した。「スプリントになれば勝てると思ったんですが、ラスト1キロで一人が飛び出して、後ろがけん制してしまい、追いかけたときには遅かったです」と清水は悔しげに第3ステージのレースを振り返った。

第6ステージ、集団内で走る清水都貴第6ステージ、集団内で走る清水都貴 photo:Chiho.IWASA7月27日第5ステージ、この日はとにかく暑かった。選手たちがどんどん落ちていく中、この日3つ目の峠でカテゴリー1級のPlatzerwasel峠を過ぎ、集団の先頭できたのはブリヂストンアンカーのトマ・ルバだった。その後方、小さな体で隠れるように走る清水都貴がいた。走りからしてかなり調子は良さそうだった。その後、最後の難関カテゴリー1級のグランバロンへ。逃げのメンバーに清水の姿はなく、その後10番手のグループで上ってきた。

2回目のWattwiller峠を先頭通過し、山岳賞を獲得2回目のWattwiller峠を先頭通過し、山岳賞を獲得 photo:Chiho.IWASA「去年は色々あってぜんぜんダメだったレースだったので、今年はきちんと走れて嬉しいです。フランスでこんな峠を越えるレースって走ったことないんです。だから、もうゴールだと思ったら、まだ上りがあって心がくじけました。ゴールの距離も思っていたところと違っていて、ゴール手前で力を出し尽くしてしまって・・・。総合5位は守りたかったんですけど、今日でかなり遅れました」。ステージ優勝も狙えた第5ステージだったが、終わってみれば、この日トップから3分28秒遅れの19位でゴールし、総合も13位となった。

翌日、最終日の第6ステージは前半平坦で、後半にカテゴリー2級のWattwiller峠を2回越えるRIbeauvillé~Cernay間139,6kmのコース。「今日はミヤタカのステージ優勝と山岳賞狙い」と水谷監督は清水に期待をかける。清水都貴は山岳賞2位につけており、トップの選手とは7ポイント差。峠はトップ通過で10ポイント、2位で8ポイント、3位で6ポイント、4位で4ポイントが入る。

表彰台に立つ清水都貴表彰台に立つ清水都貴 photo:Chiho.IWASA清水は、「山岳賞を狙いたいけれど、トップはアスタナの選手なので、アスタナの選手たちが潰しにくると思う。逃げができたら、山岳ポイントを取るのは難しい」とスタート前に頭を悩ませていた。

レースは前日とは違い曇り空。1回目のWattwiller峠は4人の逃げが出来ていて、清水が集団から飛び出し追うものの前には追いつけず。ポイントは獲得できなかった。

ゴールまで5,9キロ手前となる2回目のWattwiller峠、雨が降り出し気温も一気に下がる。ラジオツール(レース無線)では集団一つで峠を上っているとの情報。雨雲で薄暗くなった中、トップできたのは清水だった。「トマのアシストがすごくて、麓からかなり引いてくれました。最後は山岳賞ポイントを取るために、早がけして行きました。総合狙いの選手が付いて来るかと思ったけれど、誰も来なかったですね。」

清水は得意の登坂力をみせ峠の頂上、後ろとの差を十分に広げガッツポーズで通過した。これで、山岳10ポイントを獲得。4位のポイント圏内に総合トップだったAYAZBAYEV Maxat(アスタナ・コンチネンタル)が入らなかったため、この時点で逆転し山岳賞を獲得した。

清水都貴と水谷監督清水都貴と水谷監督 photo:Chiho.IWASA山岳賞ジャージを受け取った清水都貴山岳賞ジャージを受け取った清水都貴 photo:Chiho.IWASA


ゴール後、表彰台に上がった清水は、雨の中集まった観客たちに祝福され、満面の笑顔で山岳ジャージに袖を通した。「山岳賞取れました、良かったです」。表彰台から降りた清水は、ほっとした表情の笑顔で水谷監督と喜びあった。「山岳賞が取れたことより、都貴の笑顔を見られたことが嬉しい」と水谷監督。

今年からブリヂストンアンカーの監督になった水谷壮宏、フランス人監督のドゥニ・ルプルーともフランス語で作戦を練り、フランス人選手と日本人選手の連携もうまく出来きている。この山岳賞獲得を皮切りに、今後も活躍するだろう。


text&photo:Chiho.IWASA


最新ニュース(全ジャンル)