2013/07/03(水) - 12:40
フランス本土に場所を移してのツール・ド・フランス2013の第4ステージのチーム・タイムトライアルは、オリカ・グリーンエッジが制して、2日連続のステージ優勝となった。総合1位も同チームのサイモン・ゲランスが獲得し、オーストラリア旋風を巻き起こしている。
総合1位のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
チームメイトと健闘をたたえ合うサイモン・ゲランス(写真左手、オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:CorVosこれで夢が叶った。本当だ。昨日は、チームの素晴らしい仕事のおかげでステージ優勝できた。今日は、ぼくたちがチームとして綿密に連携が取れて機能できているかを実際に示せた。今日という日の締めくくりに、チームのステージ優勝と、さらにマイヨ・ジョーヌの獲得を報告できた。これにまさる喜びはない。
マイヨジョーヌを奪取したサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Makoto.Ayano昨晩、チームメイト全員に感謝するときに述べたことのひとつが、僕が達成した大きな勝利が、チームとしての契機に繋がればいいということだった。ぼくはオリカ・グリーンエッジで初めてツール・ド・フランスで1勝した。初めての勝利というのは、たいていの場合、とても難しい。今日のような勝利の経験がこれから次第に増えていくと確信している。
素朴に勝利を夢見ていたときとは異なり、今日すでに勝利することができたのだから。今日、勝てたのはコースが特別だったとか、特別なことをしたからではない。ただ単に素晴らしいほど一体感のある働きをしただけだ。ぼくたちは互いの距離がとても近い集団、つまり全員が良き友人だ。それがチーム・タイムトライアルでうまく示せたのだと思う。
全員がチームTTに真剣に取り組み、100%の力を出したことが、この結果に結びついた。このツール・ド・フランスで、このチームはとても大きく報道された。今度は正当な理由で取り上げられて、とても気分がいい。チームオーナーのゲリー・ライアンは今フランスにいるので、たぶん、ぼくたちが勝利する度に今後もシャンパンを差し入れしてくれるはずだ。
オリカ・グリーンエッジのマシュー・ホワイト監督
スタートを切るオリカ・グリーンエッジ photo:Makoto.Ayanoチームとしてはコルシカにターゲットをしぼっていて、そこでの勝利を狙っていた。先週末のツールの開幕前には、ダリル・インピー(南アフリカ)、マシュー・ゴス(オーストラリア)、サイモン・ゲランス(オーストラリア)と一緒に現地に行って、各ステージが彼らの脚質に最適なことを確認していた。でも、チーム・タイムトライアルで勝利するとは……まったく想像していなかった。
綺麗な隊列を維持しながらゴールへ進むオリカ・グリーンエッジ photo:A.S.O今日はしっかり走れるだろうと思ってはいたけど、でも勝利までは。驚いている。それにマイヨ・ジョーヌまで獲得できた……もう今日はこれ以上のことは考えられない。いまでも充分にサプライズだ。今日は個人にとっての日ではなく、チームにとっての日だ。ぼくはまだチームにきて7~8ヵ月も経っていないと思う。
でも、選手たち全員とは、仲間として密接に連絡を取り続けていて、それが良好な関係に結びついている。こうすることのほうが、自分は好きだからだ。それがぼくの情熱でもある——選手たちはぼくの熱い情念だよ。今日の勝利は必然性があったと思う。
今日のレースでは、次の順番で隊列を組んだ。キャメロン・マイヤー(オーストラリア)、スヴェイン・タフト(カナダ)、ブレット・ランカスター(オーストラリア)、ダリル・インピー(南アフリカ)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)、サイモン・ゲランス(オーストラリア)、サイモン・クラーク(オーストラリア)、ミハエル・アルバジーニ(スイス)、マシュー・ゴス(オーストラリア)。
基本的なプランは、力のある選手たちをひとまとまりにして、スピードを長時間一定に維持させておき、小柄でパンチャータイプの選手たちが短いサイクルでローテーションするものだった。今日はスヴェインが牽き倒してくれた! それからオグレディも良かった。でも、こういうレースは1人や2人の力では勝てない。チームの全員が協力してレース中のスピードを一定に保てたから勝利を掴めたのだ。
勝利への意欲を見せるマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
先頭に出てチーム牽引するマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:CorVos昨日のステージ優勝で吹っ切れた。今日の勝利は、まさにそれを裏付けている。表彰台に9人全員で立って、全員が表彰を受けるのは、本当に格別だ。ティレノ〜アドリアティコのチーム・タイムトライアルで勝利したときのことを思い出した。
あれがチームのヨーロッパでの初勝利で、チームとしても特別な思い入れができて、あそこでより団結力が強まった。もし大きなレースで自分ひとりの力で勝ったとしても、その勝利の背後にはチーム全体の働きがある。今日は、そういうことを実際に示せた良いチャンスだ。
次はぼくの番だ。この2ステージ連続で活躍したサイモン・ゲランスに続く責任がある。でも、チームからはプレッシャーはなくなった。昨年は、勝利まであと一歩のケースが何回もあって、自分自身にとてもストレスになった。でも、楽観的な思い込みだけど、こうして成功が続くことで、少し気軽に勝利できそうな気がする。調子もコンディションも良いので、今後の数ステージのうちに勝利を狙いたい。
新人賞のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
新人賞をキープしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O全員がベストを尽くしたけど、自分とチームの(結果が出なくて)少し残念に思っている。今日は人生でも最良の日になるはずだったのに。でも、この最初の4日間の成績には満足している。この調子がいつまで続くかはわからない。でも、この新人賞の白いジャージをキープするように努力するつもりだ。
今回は登坂の調子が良いし、コンディションも良い。今後も調子を見ていくつもりだ。それから、今回のツールで、どの程度まで総合上位に留まれるかにも挑戦したい。チームとしてはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のためのステージを控えているので、ピレネーに入ってから、自分のベストを出して、総合上位にしがみついてみようと思う。
驚異的な回復力を見せるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
先頭に出てチームをけん引するトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:CorVos
第1ステージで怪我を負ったトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto.Ayanoチーム全体のモチベーションは高かった。今日の目的はたしかにステージ優勝だった。今日のコースは自分たちに最適だったと思う。長距離のストレートがあって、コーナーもそれほど多くなかった。実際にかなりのスピードだったはずだ。
直線では良いリズムで充分なスピードを維持できていた。実際には誰かが遅かったとか、誰かが速すぎたということもなかった。結果として、どこで1秒失ったとか、どこでもう少し速く走れたとは言い難い。チームとしてモラルを保ち、戦う気力を維持できたことが重要だろう。
今回のツールでは、チームとしてまだまだたくさんの目標が残っている。とくにクヴィアトコウスキーとシャヴァネルがマイヨ・ジョーヌと1秒差以内にいることはしっかり覚えておきたい。ぼくたちのチームは初日の落車のせいでベストな状態ではない。
それでも今日は、チーム全体として素晴らしく機能していた。これには満足したいがチーム全員が少し落胆している。でも、ここからのスロースタートで再び笑えればいいと思う。ぼくたちは遅かれ早かれ、実力を出せることがわかっている。
スプリントにはカヴェンディッシュがいるし、個人TTならぼくがいる。そして、総合ならクヴィアトコウスキーとシャヴァネルがいる。それに新人賞のジャージも持っている。チームとしては準備万端で、すぐにでもチャンスが掴めると思っている。いまの自分の目標は、最初の休養日までトラブルなしで走ることだ。ケガの大半はほとんど大丈夫だと思う。思ったよりも早く回復してきているので、個人TTのステージでは100%の実力が出せればいいと思う。
総合7位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
スタートを切るスカイプロサイクリング(フルームは右から2番目) photo:Makoto.Ayanoとても満足できるタイムで僕らはその結果をとても喜んでいるよ。個人的にもとても調子が良く、先頭でいつもより長く牽くことができたし、これから始まる山岳ステージにもとても良いコンディションで臨むことができると思っている。今日の僕らの目標はジャージ(マイヨジョーヌ)を獲得することだったけれど、僅か3秒差で逃してしまった。
でももしジャージを獲得していたら、明日やこの先数日続く平坦ステージでのコントロールを担うことになる。それは(他チームに対しての)アドバンテージにはなるけれど、あまり必要の無い労力かもしれない。もしジャージを獲得すればとてもハッピーだっただろうけれど、3秒遅れた。僕らはもう数日プロトンの一部として走り、タイミングを待つことにするよ。僕らの力が抜群に優れている山岳までね。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI,So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,CorVos,A.S.O.
総合1位のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)


素朴に勝利を夢見ていたときとは異なり、今日すでに勝利することができたのだから。今日、勝てたのはコースが特別だったとか、特別なことをしたからではない。ただ単に素晴らしいほど一体感のある働きをしただけだ。ぼくたちは互いの距離がとても近い集団、つまり全員が良き友人だ。それがチーム・タイムトライアルでうまく示せたのだと思う。
全員がチームTTに真剣に取り組み、100%の力を出したことが、この結果に結びついた。このツール・ド・フランスで、このチームはとても大きく報道された。今度は正当な理由で取り上げられて、とても気分がいい。チームオーナーのゲリー・ライアンは今フランスにいるので、たぶん、ぼくたちが勝利する度に今後もシャンパンを差し入れしてくれるはずだ。
オリカ・グリーンエッジのマシュー・ホワイト監督


でも、選手たち全員とは、仲間として密接に連絡を取り続けていて、それが良好な関係に結びついている。こうすることのほうが、自分は好きだからだ。それがぼくの情熱でもある——選手たちはぼくの熱い情念だよ。今日の勝利は必然性があったと思う。
今日のレースでは、次の順番で隊列を組んだ。キャメロン・マイヤー(オーストラリア)、スヴェイン・タフト(カナダ)、ブレット・ランカスター(オーストラリア)、ダリル・インピー(南アフリカ)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)、サイモン・ゲランス(オーストラリア)、サイモン・クラーク(オーストラリア)、ミハエル・アルバジーニ(スイス)、マシュー・ゴス(オーストラリア)。
基本的なプランは、力のある選手たちをひとまとまりにして、スピードを長時間一定に維持させておき、小柄でパンチャータイプの選手たちが短いサイクルでローテーションするものだった。今日はスヴェインが牽き倒してくれた! それからオグレディも良かった。でも、こういうレースは1人や2人の力では勝てない。チームの全員が協力してレース中のスピードを一定に保てたから勝利を掴めたのだ。
勝利への意欲を見せるマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

あれがチームのヨーロッパでの初勝利で、チームとしても特別な思い入れができて、あそこでより団結力が強まった。もし大きなレースで自分ひとりの力で勝ったとしても、その勝利の背後にはチーム全体の働きがある。今日は、そういうことを実際に示せた良いチャンスだ。
次はぼくの番だ。この2ステージ連続で活躍したサイモン・ゲランスに続く責任がある。でも、チームからはプレッシャーはなくなった。昨年は、勝利まであと一歩のケースが何回もあって、自分自身にとてもストレスになった。でも、楽観的な思い込みだけど、こうして成功が続くことで、少し気軽に勝利できそうな気がする。調子もコンディションも良いので、今後の数ステージのうちに勝利を狙いたい。
新人賞のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

今回は登坂の調子が良いし、コンディションも良い。今後も調子を見ていくつもりだ。それから、今回のツールで、どの程度まで総合上位に留まれるかにも挑戦したい。チームとしてはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のためのステージを控えているので、ピレネーに入ってから、自分のベストを出して、総合上位にしがみついてみようと思う。
驚異的な回復力を見せるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)


直線では良いリズムで充分なスピードを維持できていた。実際には誰かが遅かったとか、誰かが速すぎたということもなかった。結果として、どこで1秒失ったとか、どこでもう少し速く走れたとは言い難い。チームとしてモラルを保ち、戦う気力を維持できたことが重要だろう。
今回のツールでは、チームとしてまだまだたくさんの目標が残っている。とくにクヴィアトコウスキーとシャヴァネルがマイヨ・ジョーヌと1秒差以内にいることはしっかり覚えておきたい。ぼくたちのチームは初日の落車のせいでベストな状態ではない。
それでも今日は、チーム全体として素晴らしく機能していた。これには満足したいがチーム全員が少し落胆している。でも、ここからのスロースタートで再び笑えればいいと思う。ぼくたちは遅かれ早かれ、実力を出せることがわかっている。
スプリントにはカヴェンディッシュがいるし、個人TTならぼくがいる。そして、総合ならクヴィアトコウスキーとシャヴァネルがいる。それに新人賞のジャージも持っている。チームとしては準備万端で、すぐにでもチャンスが掴めると思っている。いまの自分の目標は、最初の休養日までトラブルなしで走ることだ。ケガの大半はほとんど大丈夫だと思う。思ったよりも早く回復してきているので、個人TTのステージでは100%の実力が出せればいいと思う。
総合7位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)

でももしジャージを獲得していたら、明日やこの先数日続く平坦ステージでのコントロールを担うことになる。それは(他チームに対しての)アドバンテージにはなるけれど、あまり必要の無い労力かもしれない。もしジャージを獲得すればとてもハッピーだっただろうけれど、3秒遅れた。僕らはもう数日プロトンの一部として走り、タイミングを待つことにするよ。僕らの力が抜群に優れている山岳までね。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI,So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,CorVos,A.S.O.
Amazon.co.jp