2013/04/27(土) - 03:23
幾つもの峠を越えるツール・ド・ロマンディ第3ステージ。最後は集団スプリントへと持ち込まれ、フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)の追い上げをかわしたジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が優勝。ステージ2勝目を上げた。
スイス・ロマンディ地方を舞台に開催中のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。4月26日に開催された第2ステージは、パイェルヌを発着する181kmで、ヌーシャテル湖東側に広がる丘陵地帯やジュラ山脈を駆け巡る。
コースはスタート直後からゴールまで長い平坦路が現れること無く、カテゴリー2級と3級の山岳がそれぞれ2つずつ登場。他にもカテゴライズされない小さな峠や丘が連続するため、重量級スプリンターにとっては厳しいコースレイアウトだ。この日も人数が絞られた集団によるスプリント、もしくは逃げ切りの展開になると予想された。
この日はスタート後アタックの応酬が続き、30km地点を通過しても集団は一つのまま。やがてマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)やステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ブランコプロサイクリング)、マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)ら5名が抜け出し、ペイオ・ビルバオ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が後に合流すると、この日のエスケープが決まった。
ブルグハートやブランドルは2日連続の逃げ。6名はローテーションを繰り返しつつ、重たい雲が顔をのぞかせる天候のもと湖畔の丘陵地帯を駆け抜けていく。
序盤にスピーディーな展開となったため一時は7分ほどまで広がったタイム差も、連日積極的な動きを見せるアスタナやユーロップカーに加え、コフィディスが集団のコントロールを行ったため徐々に縮小していく。その中でブルグハートは2つの2級山岳を先頭で通過。山岳ポイント首位に立ち、翌日のジャージ着用を確定させた。
やがてオメガファーマ・クイックステップが集団牽引に加わってペースを上げたことで、残り32kmを残して先頭6名は集団に吸収される。ここからトーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード)のアタックをきっかけに集団前方は一気に熱を帯びた。
最大勾配15%を誇る最後の3級山岳・シャーブルでは、昨ステージ2位のエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)やシモーネ・ストルトーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)が、さらに2名を追ってステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ブランコプロサイクリング)らが抜けだしたものの、ダビ・ロペス(スペイン)らスカイプロサイクリングの強力な牽きによって集団に飲み込まれた。
リーダージャージのクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)はリッチー・ポルト(オーストラリア)に守られる形で、常に集団前方でレースを展開していく。
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)やトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)らの散発的なアタックは全て決まらないまま、残り10km。各チームスプリント体制に移行しつつある中、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)が単独でアタック。トップギアで加速すると、すぐさま15秒程のアドバンテージを得ることに成功する。
2011年のイタリアナショナルTTチャンピオンであるマローリは、およそ7kmにわたって力強い独走を披露する。しかし人数を揃えたオメガファーマ・クイックステップが全開で牽く集団に、残り400mで惜しくも吸収されてしまう。
好位置につけたのは、アシストを一枚残したメールスマン。すると、その隙をついてミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が左側からスプリントを開始した。しかしメールスマンは素早くアルバジーニのスリップに潜り込み、持ち前の爆発力を活かして先頭に立つ。フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)の追い上げも振り切り、今大会2回目のガッツポーズを繰り出した。
「昨日の自分のスプリントに落ち込んでいて、今日は良いところを見せたかった。特にチームメイトにね。今日はみんなが素晴らしい動きをしてくれたし、リードアウトも完璧だった。ここロマンディで2勝目を飾ることができて本当に嬉しいよ。」
「多分イージーなスプリントのように見えただろうけれど、実際はそうでは無かった。マローリが逃げていたから追わなくてはならず、チームの消耗も激しかった。最後は(トニ)マルティンが僕を最高の位置へと導いてくれたんだ。レースに来る前から、今日までの3ステージでチャンスがあると考えていたよ。その1つ目で勝って、次が3位で、今日また勝てた。とてもハッピーさ。」と語るメールスマン。今シーズン4勝目、通算23度目の勝利となった。
総合順位はメールスマンが3位に浮上した以外大きな変動は見られず。1級山岳を4つ含む翌日のクイーンステージで、激しい総合争いが繰り広げられるだろう。
ツール・ド・ロマンディ2013第3ステージ結果
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 4h19′03″
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
5位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
6位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、アルゴス・シマノ)
10位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、カチューシャ)
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13h53′16″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +06″
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +09″
4位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
5位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
7位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +17″
8位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
ポイント賞
マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
山岳賞
マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
スイス・ロマンディ地方を舞台に開催中のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。4月26日に開催された第2ステージは、パイェルヌを発着する181kmで、ヌーシャテル湖東側に広がる丘陵地帯やジュラ山脈を駆け巡る。
コースはスタート直後からゴールまで長い平坦路が現れること無く、カテゴリー2級と3級の山岳がそれぞれ2つずつ登場。他にもカテゴライズされない小さな峠や丘が連続するため、重量級スプリンターにとっては厳しいコースレイアウトだ。この日も人数が絞られた集団によるスプリント、もしくは逃げ切りの展開になると予想された。
この日はスタート後アタックの応酬が続き、30km地点を通過しても集団は一つのまま。やがてマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)やステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ブランコプロサイクリング)、マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)ら5名が抜け出し、ペイオ・ビルバオ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が後に合流すると、この日のエスケープが決まった。
ブルグハートやブランドルは2日連続の逃げ。6名はローテーションを繰り返しつつ、重たい雲が顔をのぞかせる天候のもと湖畔の丘陵地帯を駆け抜けていく。
序盤にスピーディーな展開となったため一時は7分ほどまで広がったタイム差も、連日積極的な動きを見せるアスタナやユーロップカーに加え、コフィディスが集団のコントロールを行ったため徐々に縮小していく。その中でブルグハートは2つの2級山岳を先頭で通過。山岳ポイント首位に立ち、翌日のジャージ着用を確定させた。
やがてオメガファーマ・クイックステップが集団牽引に加わってペースを上げたことで、残り32kmを残して先頭6名は集団に吸収される。ここからトーマス・ローレッガー(オーストリア、レディオシャック・レオパード)のアタックをきっかけに集団前方は一気に熱を帯びた。
最大勾配15%を誇る最後の3級山岳・シャーブルでは、昨ステージ2位のエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)やシモーネ・ストルトーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)が、さらに2名を追ってステフェン・クルイシュウィック(オランダ、ブランコプロサイクリング)らが抜けだしたものの、ダビ・ロペス(スペイン)らスカイプロサイクリングの強力な牽きによって集団に飲み込まれた。
リーダージャージのクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)はリッチー・ポルト(オーストラリア)に守られる形で、常に集団前方でレースを展開していく。
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)やトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)らの散発的なアタックは全て決まらないまま、残り10km。各チームスプリント体制に移行しつつある中、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)が単独でアタック。トップギアで加速すると、すぐさま15秒程のアドバンテージを得ることに成功する。
2011年のイタリアナショナルTTチャンピオンであるマローリは、およそ7kmにわたって力強い独走を披露する。しかし人数を揃えたオメガファーマ・クイックステップが全開で牽く集団に、残り400mで惜しくも吸収されてしまう。
好位置につけたのは、アシストを一枚残したメールスマン。すると、その隙をついてミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が左側からスプリントを開始した。しかしメールスマンは素早くアルバジーニのスリップに潜り込み、持ち前の爆発力を活かして先頭に立つ。フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)の追い上げも振り切り、今大会2回目のガッツポーズを繰り出した。
「昨日の自分のスプリントに落ち込んでいて、今日は良いところを見せたかった。特にチームメイトにね。今日はみんなが素晴らしい動きをしてくれたし、リードアウトも完璧だった。ここロマンディで2勝目を飾ることができて本当に嬉しいよ。」
「多分イージーなスプリントのように見えただろうけれど、実際はそうでは無かった。マローリが逃げていたから追わなくてはならず、チームの消耗も激しかった。最後は(トニ)マルティンが僕を最高の位置へと導いてくれたんだ。レースに来る前から、今日までの3ステージでチャンスがあると考えていたよ。その1つ目で勝って、次が3位で、今日また勝てた。とてもハッピーさ。」と語るメールスマン。今シーズン4勝目、通算23度目の勝利となった。
総合順位はメールスマンが3位に浮上した以外大きな変動は見られず。1級山岳を4つ含む翌日のクイーンステージで、激しい総合争いが繰り広げられるだろう。
ツール・ド・ロマンディ2013第3ステージ結果
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 4h19′03″
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
5位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
6位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、アルゴス・シマノ)
10位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、カチューシャ)
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13h53′16″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +06″
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +09″
4位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
5位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
7位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +17″
8位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
ポイント賞
マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
山岳賞
マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
Amazon.co.jp