2013/04/26(金) - 11:06
中級山岳を2つ越えるツール・ド・ロマンディ第2ステージは、80名ほどの大集団によるスプリントで決着。ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)のロングスプリントが決まり、追いすがるエンリコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)を僅差で破りステージ優勝を上げた。
4月25日に開催されたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。前日に続き、この日も中級山岳が2つ登場する。レマン湖畔のプリイをから北上し、ヌーシャテル湖を横目に見つつ、ビール湖ほとりの街グレンヘンへと至るコースの全長は190.3km。
基本的に平坦基調ではあるものの、中盤とゴール前30km地点にはそれぞれカテゴリー2級と3級の山岳ポイントが登場。後半のプラーニュ峠はゴールまでおよそ20km地点に位置しているため、アタッカーとスプリンターチームの攻防が展開されるものと予想された。
この日はスタート後のアタック合戦が長く続き、エスケープが決まったのはスタート後およそ20kmを経過してから。マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)が1人先行すると、ここにマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)とジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が合流し、3名で先を急ぐ。ブランドルは昨ステージ後半のアタックに続き、積極的にレースを展開した。
最大4分ほどのタイム差を稼いだ先頭3名に対し、集団のコントロールを担うのは、この日もリーダージャージのクリス・フルーム(イギリス)を擁するスカイプロサイクリング。レースを支配下に置くと、後半になるにつれ徐々にタイムギャップを削り取っていく。第2エースであるリッチー・ポルト(オーストラリア)も集団の先頭に立ち、フルームのためにアシスト役をこなした。
そしてレースは後半へ。アスタナ勢が集団のペースを上げたことで、ゴールまで25kmを残したプラーニュ峠で逃げはすべて吸収。ここからアタックが繰り返されていくこととなる。
まずは昨日に続きピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー)がアタックし、30秒ほど先行したものの、BMCレーシングチームの動きによって吸収。カウンターでホセ・ルハノ(ベネズエラ、ヴァカンソレイユ・DCM)や新人賞ジャージ着るをティボー・ピノ(フランス、FDJ)らが抜け出しを図ったが、いずれも決定的なアドバンテージを奪えない。
不安定になった集団からは、更にアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)も攻撃を仕掛けたが、スカイプロサイクリングやスプリンターチームの牽引により引き戻される。
このスピーディーな展開の中でマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)は遅れ、80名ほどに絞られた状態で残り10kmのゲートをくぐる。
スプリンターチームの間隙をついたクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)やキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)ら4名の動きも封じ込まれ、ブランコプロサイクリングやBMCレーシングチーム優勢のままスプリント体制へ。しかし残り400mの直角コーナーが明暗を分けた。
ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)がタイトなラインでコーナーに進入したことで5番手以降が遅れ、ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らは脚を使わざるをえない状況に。5名がわずかに飛び出した形となり、その最後尾からナヴァルダスカスがタイミングを計り、ロングスプリントを開始した。
スリップから抜け出たエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)や、巻き返したメールスマンが並びかけたものの、勢いを維持したナヴァルダスカスが僅差で勝利。昨年のリトアニアTTナショナル選手権以来、久しぶりの嬉しい勝利を飾った。
「ラスト数メートルは本当に長く感じたよ!とても嬉しいし、チームが僕のケアをしてくれたことを本当に誇りに思っている。最後の山岳で、もし集団に残れたらゴールを狙うチャンスがあると思った。そして、それを掴んだんだ。監督が僕に"最後のコーナーから行け"と伝えてくれた。ポジションをキープして、出来る限り踏み込んだんだ。」とナヴァルダスカスは語った。
総合上位勢は問題無く集団ゴールを果たしたため総合成績は変わらず。混沌とした集団内では新城幸也(ユーロップカー)はチーム最上位となる26位でゴールしている。
ツール・ド・ロマンディ2013 第2ステージ結果
1位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) 4h51′49″
2位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
5位 ドミニク・ネルツ(ドイツ、BMCレーシングチーム)
6位 フランチェスコ・ガバッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)
8位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
9位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
26位 新城幸也(ユーロップカー)
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 9h34′13″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +06″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +17″
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
ポイント賞
マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
山岳賞
ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
4月25日に開催されたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。前日に続き、この日も中級山岳が2つ登場する。レマン湖畔のプリイをから北上し、ヌーシャテル湖を横目に見つつ、ビール湖ほとりの街グレンヘンへと至るコースの全長は190.3km。
基本的に平坦基調ではあるものの、中盤とゴール前30km地点にはそれぞれカテゴリー2級と3級の山岳ポイントが登場。後半のプラーニュ峠はゴールまでおよそ20km地点に位置しているため、アタッカーとスプリンターチームの攻防が展開されるものと予想された。
この日はスタート後のアタック合戦が長く続き、エスケープが決まったのはスタート後およそ20kmを経過してから。マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)が1人先行すると、ここにマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)とジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が合流し、3名で先を急ぐ。ブランドルは昨ステージ後半のアタックに続き、積極的にレースを展開した。
最大4分ほどのタイム差を稼いだ先頭3名に対し、集団のコントロールを担うのは、この日もリーダージャージのクリス・フルーム(イギリス)を擁するスカイプロサイクリング。レースを支配下に置くと、後半になるにつれ徐々にタイムギャップを削り取っていく。第2エースであるリッチー・ポルト(オーストラリア)も集団の先頭に立ち、フルームのためにアシスト役をこなした。
そしてレースは後半へ。アスタナ勢が集団のペースを上げたことで、ゴールまで25kmを残したプラーニュ峠で逃げはすべて吸収。ここからアタックが繰り返されていくこととなる。
まずは昨日に続きピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー)がアタックし、30秒ほど先行したものの、BMCレーシングチームの動きによって吸収。カウンターでホセ・ルハノ(ベネズエラ、ヴァカンソレイユ・DCM)や新人賞ジャージ着るをティボー・ピノ(フランス、FDJ)らが抜け出しを図ったが、いずれも決定的なアドバンテージを奪えない。
不安定になった集団からは、更にアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)も攻撃を仕掛けたが、スカイプロサイクリングやスプリンターチームの牽引により引き戻される。
このスピーディーな展開の中でマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)は遅れ、80名ほどに絞られた状態で残り10kmのゲートをくぐる。
スプリンターチームの間隙をついたクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)やキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)ら4名の動きも封じ込まれ、ブランコプロサイクリングやBMCレーシングチーム優勢のままスプリント体制へ。しかし残り400mの直角コーナーが明暗を分けた。
ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)がタイトなラインでコーナーに進入したことで5番手以降が遅れ、ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らは脚を使わざるをえない状況に。5名がわずかに飛び出した形となり、その最後尾からナヴァルダスカスがタイミングを計り、ロングスプリントを開始した。
スリップから抜け出たエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)や、巻き返したメールスマンが並びかけたものの、勢いを維持したナヴァルダスカスが僅差で勝利。昨年のリトアニアTTナショナル選手権以来、久しぶりの嬉しい勝利を飾った。
「ラスト数メートルは本当に長く感じたよ!とても嬉しいし、チームが僕のケアをしてくれたことを本当に誇りに思っている。最後の山岳で、もし集団に残れたらゴールを狙うチャンスがあると思った。そして、それを掴んだんだ。監督が僕に"最後のコーナーから行け"と伝えてくれた。ポジションをキープして、出来る限り踏み込んだんだ。」とナヴァルダスカスは語った。
総合上位勢は問題無く集団ゴールを果たしたため総合成績は変わらず。混沌とした集団内では新城幸也(ユーロップカー)はチーム最上位となる26位でゴールしている。
ツール・ド・ロマンディ2013 第2ステージ結果
1位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) 4h51′49″
2位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
5位 ドミニク・ネルツ(ドイツ、BMCレーシングチーム)
6位 フランチェスコ・ガバッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)
8位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
9位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
26位 新城幸也(ユーロップカー)
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 9h34′13″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +06″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +17″
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
ポイント賞
マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
山岳賞
ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
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