2013/03/31(日) - 07:48
3月15日に終えたジュニアアジア選手権ロードレース。コーチの柿木孝之氏によるインサイドレポート後編は、男女ロードについてお送りする。
3月15日 男子ジュニアロード
前日の男子アンダー23のTT時と同じくゴール地点の直線は向かい風であり、外周コースは追い風区間になっていることが伺われた。逃げグループが出来た際にこの追い風区間で集団が牽制すると一気にタイム差が広がることが想定される。
この日はスタート時間前に余裕を持ってバスも到着したので、選手はコースを全部試走することが出来た。前日のミーティングではチームとして戦ってくるカザフスタン、そして香港、韓国との戦いになることを話し合う。特に今回強力なメンバーのカザフスタンは前半からアタックをかけてレースを厳しいものにしてくると予想される。
日本チームの作戦は
レースは14.2km×7周の99.4km。日本チームとしては、ラスト2周のテクニカル区間までで集団だった場合は黒枝のスプリントにすべてを賭けることとする。ただアジア選手権の場合は逃げが決まる場合が多く、スプリントというのは最終的なオプションであり、複数名の特にカザフを含む逃げは絶対に逃さないように注意する。
黒枝のみはスプリントの脚を残すために他の選手の半分くらいだけアタックに対応するように伝える。カザフスタン以外はアジアのレースでは逃げが出来てもローテーションを拒否してくる場合が多く、他の国が牽かないようなら自分達もその逃げは諦めて次のアタックに対応していくようにする。山本以外はスプリント力もあるので、逃げの展開になっても勝つチャンスは大きい。
横山航太をキャプテンに指名
集団スプリントの際には現シクロクロスジュニアチャンピオンでありバイクを操る能力に長けた横山にラスト1.5kmのコーナーの多いテクニカル区間で攻撃させて、それによる逃げ切りが無理な場合でも集団はここで大きく分断することが予想されるので、その際に黒枝が前にとどまれば最後スプリントで勝つことが出来る。
今回のレースでは直前に横山をキャプテンに指名して、レース中に攻めないといけない場面、守らないといけない場面では彼を中心に話し合うようにする。チームで気になるのは、逃げの展開でも集団スプリントの際でも強力な牽引を期待できる山本がTT後から体調を崩していること。前日自転車には乗らず回復に努めたこともあり、レースを走ることは出来るがあまり期待は出来ない。
カザフスタンの強烈な攻撃
レースは19か国57名でスタート。スタートと同時にカザフスタンが4人全員で先頭に固まり、ペースアップ。危険箇所での落車回避を目的としているが、日本チームにとっても同じ考えであったのでこのペースアップはありがたい。
1周目が終了し、2周目からカザフスタンがアタックを開始する。一時的に山本がカザフスタンと逃げる場面もあったが日本チームで集団前方にいるのは横山だけで、日本には厳しい展開になる。カザフスタンは複数名を逃げに乗せていこうと2名でのアタックやカザフスタンを含む逃げにさらに単独ブリッジをかける動きを度々見せる。
しだいにカザフ対日本に
2周目終了前にカザフスタンの逃げにベトナムの選手が追いつき20秒ほどのリードを得る。2名の逃げであり、まだ距離もあるので危険ではないが次の追撃にカザフスタンが入り日本が乗り遅れたら致命的な展開のなかでウズベキスタンの選手が単独追走に成功し先頭は3名になる。この3名の逃げは日本チーム全員で追撃して4周目終了時には集団を一つに戻す。
このあたりから集団は20名ほどになり、山本、吉田は集団後方になる。カザフスタンは攻撃の手をさらに強め、アタックを仕掛けてくる。ウズベキスタン、マレーシアにも勝負したい選手がいたため日本チームだけで対応しなければならない状況ではなくなり、これには助けられた。そしてレース後半はカザフスタン対日本の戦いになってくる。
山本、吉田は厳しいが、少しでもチームのためになるようにペースが緩んだ時に前に出て働こうとしている。6周目には横山、カザフスタン、ウズベキスタンを含む6名の逃げが決まり、後ろの集団が躊躇しており決まりかけたが、カザフスタンがそこに後ろからさらにブリッジをかけたため集団もペースを上げて追いつく。
ラスト10kmでカザフ2名が先行
この段階で集団は14名で、日本とカザフスタンだけが4名とも残している。最後のスプリントに絶対の自信のある黒枝も疲れの見える日本チームの中で他の選手を休ませようとアタックに反応している。ラスト10kmを切り、ゴールスプリントでの争いが見え始めたころにカザフスタンが1名アタックし、それにもう1人のカザフスタンの選手が反応。
日本チームはこの攻撃を防ぐことが出来ず一気にタイム差が20秒以上と広がっていく。ここで日本の選手らは優勝が難しいと判断し、3位争いに狙いを変更せざるを得なかった。集団では牽制が続く中で、ラスト1.5kmからのテクニカルな区間で横山が当初の予定通り先行する。カザフスタンの選手も1,2,3位独占を狙い狭いコースで対抗してくる。
横山航太が黒枝咲哉をリードアウト
しかしテクニックに勝る横山がここでは勝ち、カザフスタンの選手はコースアウト。横山がそのまま黒枝をゴールまでの向かい風の中を一人で牽き続け、カザフスタンのスプリンターと黒枝の勝負に。向かい風の中で横山を最後まで風よけとして使えた黒枝が短い区間で急加速して3位を獲ることが出来た。
レース前から今回のアジア選手権はチームで勝ち取ろうという意識の中で走り、最後は横山を中心に黒枝をアシストして3位を獲ることが出来た。7位の横山は自分のためだけに走っていたならば上位に入っていただろう。日本選手4名で獲得した3位の結果には誰一人満足しておらず、「チーム全員がしっかり機能していれば日本チームが勝つことが出来たレースであった」と悔やんでいた。
レース後にチーフコミッセールをはじめ、レースを車からみていた審判に「レース全体を通して素晴らしく攻撃的なレースであり、常にその中に日本選手が絡んでいた」と言われた。今回のカザフスタンのメンバーはネイションズカップに連れてくる強力な選手達であった。
世界で戦うために
ネイションズカップではアジアの中でカザフスタンのみがヨーロッパ勢を相手に互角以上の戦いをしている。彼らは全員が独走力を持ち、常に攻撃を仕掛けてくる。4月のクロアチア、5月のドイツではカザフスタンのような強力な選手が80名以上いる中でのレースとなる。
今以上に強くならなければ世界のレベルでは勝負できない。今回勝つことは出来なかったが、今回参加した4名とも次のネイションズカップに向けてすでに闘志を燃やしており、今回の負けをきっかけにクロアチア、ドイツ、そして9月の世界選手権までにどこまで成長するか楽しみである。
結果
男子ジュニアロードレース99.4km
1位 PERNEBEKOV YERLAN カザフスタン 2時間18分12秒
2位 RIVE, DMITRIY カザフスタン 2時間18分12秒
3位 黒枝 咲哉 日本 2時間19分30秒
7位 横山 航太 日本 2時間19分35秒
12位 吉田 優樹 日本 2時間19分39秒
15位 山本 大喜 日本 2時間21分47秒
3月15日 女子ジュニアロード
女子は14時半からの一番暑い中でレースがスタートをする。男子のレースを走り終えた直後の横山を坂口のコース試走に付き合わせて、危険個所をチェックする。前日のミーティングでは、ゴールスプリントの際の位置取りと、逃げが出来そうな場合はそれに乗っていくことを伝える。集団スプリントになった場合はスプリント力が優れているわけではない坂口には勝ち目はないので、逃げが出来る展開になった方がありがたい。
女子のレースは14.2km×5周の71km。例年女子のレースは集団のスピードが遅く、そのまま集団ゴールになる場合が多いので、坂口には選考合宿後にアジア選手権に向けてスプリント練習をしっかり行なってきてもらいたいことを伝えた。
香港選手1人が独走
女子のレースで優勝候補となるのはカザフスタンとTTチャンピオンの香港の選手。1周目から3周目までは単発のアタックがあるもののタイム差をつけるほどのものではなく坦々と進む。危険なコースであるが、シクロクロス、マウンテンバイクもこなす坂口は集団の前方で安全にこなす。
4周目の中盤の追い風区間に入る前に韓国の選手のアタックに反応した香港の選手が一気に韓国選手を抜き去り単独アタックに成功。このアタックが強烈で集団とのタイム差が徐々に広がる。それを坂口含む5名が追撃を開始。タイの選手がその追撃メンバーに2名いたが、まとまって追撃をする意思もなく、坂口が牽いている時間が長く感じる。
2位争いのスプリントへ
ラスト10kmでタイム差が40秒以上に開き、こうなると2位を狙うしかない。坂口の集団でも後ろの集団が迫っていることを知った選手がようやくローテーションをしてくれるようになり、この5名での2位争いに。優勝は逃げ続けた香港のPang Yao が牽制の入った2位集団に1分39秒差をつけて優勝。
2位争いの追撃グループはラスト1.5kmからのテクニカル区間に入るところで若干ばらけ、前に残った坂口は台湾、ヨルダンの選手との3名でのスプリントに持ちこむ。コースが向かい風であったのでスプリントをゴール直前まで我慢するように伝えていたが、後ろが少し離れたのをみてとっさの判断でゴールまで遠い距離からスプリントを開始。
瞬時の好判断で2位に
低い姿勢で一気にゴールまでもがききり、後続を離してゴールし2位となる。合宿での様子からスプリント勝負になったら厳しいと予想していたが、向かい風の中素晴らしいスプリントをみせた。レース全体でも常に前をキープして後ろに下がる場面は一度もなく、1名の逃げが決まった後もレース展開に乗ったのではなく、自分から追撃をして自分自身の力で2位を獲得したのは評価できる。坂口はジュニア1年目の選手であり、今後の更なる成長を期待したい。
結果
女子ジュニアロードレース71km
1位 PANG, YAO香港 1時間48分12秒
2位 坂口 聖香 日本 1時間49分51秒
3位 SOBOH, RAZAN ヨルダン 1時間49分51秒
text:柿木孝之(JCFジュニア強化育成部会)
edit:高木秀彰
photo:中村賢二(JCF)、柿木孝之(JCFジュニア強化育成部会)
3月15日 男子ジュニアロード
前日の男子アンダー23のTT時と同じくゴール地点の直線は向かい風であり、外周コースは追い風区間になっていることが伺われた。逃げグループが出来た際にこの追い風区間で集団が牽制すると一気にタイム差が広がることが想定される。
この日はスタート時間前に余裕を持ってバスも到着したので、選手はコースを全部試走することが出来た。前日のミーティングではチームとして戦ってくるカザフスタン、そして香港、韓国との戦いになることを話し合う。特に今回強力なメンバーのカザフスタンは前半からアタックをかけてレースを厳しいものにしてくると予想される。
日本チームの作戦は
レースは14.2km×7周の99.4km。日本チームとしては、ラスト2周のテクニカル区間までで集団だった場合は黒枝のスプリントにすべてを賭けることとする。ただアジア選手権の場合は逃げが決まる場合が多く、スプリントというのは最終的なオプションであり、複数名の特にカザフを含む逃げは絶対に逃さないように注意する。
黒枝のみはスプリントの脚を残すために他の選手の半分くらいだけアタックに対応するように伝える。カザフスタン以外はアジアのレースでは逃げが出来てもローテーションを拒否してくる場合が多く、他の国が牽かないようなら自分達もその逃げは諦めて次のアタックに対応していくようにする。山本以外はスプリント力もあるので、逃げの展開になっても勝つチャンスは大きい。
横山航太をキャプテンに指名
集団スプリントの際には現シクロクロスジュニアチャンピオンでありバイクを操る能力に長けた横山にラスト1.5kmのコーナーの多いテクニカル区間で攻撃させて、それによる逃げ切りが無理な場合でも集団はここで大きく分断することが予想されるので、その際に黒枝が前にとどまれば最後スプリントで勝つことが出来る。
今回のレースでは直前に横山をキャプテンに指名して、レース中に攻めないといけない場面、守らないといけない場面では彼を中心に話し合うようにする。チームで気になるのは、逃げの展開でも集団スプリントの際でも強力な牽引を期待できる山本がTT後から体調を崩していること。前日自転車には乗らず回復に努めたこともあり、レースを走ることは出来るがあまり期待は出来ない。
カザフスタンの強烈な攻撃
レースは19か国57名でスタート。スタートと同時にカザフスタンが4人全員で先頭に固まり、ペースアップ。危険箇所での落車回避を目的としているが、日本チームにとっても同じ考えであったのでこのペースアップはありがたい。
1周目が終了し、2周目からカザフスタンがアタックを開始する。一時的に山本がカザフスタンと逃げる場面もあったが日本チームで集団前方にいるのは横山だけで、日本には厳しい展開になる。カザフスタンは複数名を逃げに乗せていこうと2名でのアタックやカザフスタンを含む逃げにさらに単独ブリッジをかける動きを度々見せる。
しだいにカザフ対日本に
2周目終了前にカザフスタンの逃げにベトナムの選手が追いつき20秒ほどのリードを得る。2名の逃げであり、まだ距離もあるので危険ではないが次の追撃にカザフスタンが入り日本が乗り遅れたら致命的な展開のなかでウズベキスタンの選手が単独追走に成功し先頭は3名になる。この3名の逃げは日本チーム全員で追撃して4周目終了時には集団を一つに戻す。
このあたりから集団は20名ほどになり、山本、吉田は集団後方になる。カザフスタンは攻撃の手をさらに強め、アタックを仕掛けてくる。ウズベキスタン、マレーシアにも勝負したい選手がいたため日本チームだけで対応しなければならない状況ではなくなり、これには助けられた。そしてレース後半はカザフスタン対日本の戦いになってくる。
山本、吉田は厳しいが、少しでもチームのためになるようにペースが緩んだ時に前に出て働こうとしている。6周目には横山、カザフスタン、ウズベキスタンを含む6名の逃げが決まり、後ろの集団が躊躇しており決まりかけたが、カザフスタンがそこに後ろからさらにブリッジをかけたため集団もペースを上げて追いつく。
ラスト10kmでカザフ2名が先行
この段階で集団は14名で、日本とカザフスタンだけが4名とも残している。最後のスプリントに絶対の自信のある黒枝も疲れの見える日本チームの中で他の選手を休ませようとアタックに反応している。ラスト10kmを切り、ゴールスプリントでの争いが見え始めたころにカザフスタンが1名アタックし、それにもう1人のカザフスタンの選手が反応。
日本チームはこの攻撃を防ぐことが出来ず一気にタイム差が20秒以上と広がっていく。ここで日本の選手らは優勝が難しいと判断し、3位争いに狙いを変更せざるを得なかった。集団では牽制が続く中で、ラスト1.5kmからのテクニカルな区間で横山が当初の予定通り先行する。カザフスタンの選手も1,2,3位独占を狙い狭いコースで対抗してくる。
横山航太が黒枝咲哉をリードアウト
しかしテクニックに勝る横山がここでは勝ち、カザフスタンの選手はコースアウト。横山がそのまま黒枝をゴールまでの向かい風の中を一人で牽き続け、カザフスタンのスプリンターと黒枝の勝負に。向かい風の中で横山を最後まで風よけとして使えた黒枝が短い区間で急加速して3位を獲ることが出来た。
レース前から今回のアジア選手権はチームで勝ち取ろうという意識の中で走り、最後は横山を中心に黒枝をアシストして3位を獲ることが出来た。7位の横山は自分のためだけに走っていたならば上位に入っていただろう。日本選手4名で獲得した3位の結果には誰一人満足しておらず、「チーム全員がしっかり機能していれば日本チームが勝つことが出来たレースであった」と悔やんでいた。
レース後にチーフコミッセールをはじめ、レースを車からみていた審判に「レース全体を通して素晴らしく攻撃的なレースであり、常にその中に日本選手が絡んでいた」と言われた。今回のカザフスタンのメンバーはネイションズカップに連れてくる強力な選手達であった。
世界で戦うために
ネイションズカップではアジアの中でカザフスタンのみがヨーロッパ勢を相手に互角以上の戦いをしている。彼らは全員が独走力を持ち、常に攻撃を仕掛けてくる。4月のクロアチア、5月のドイツではカザフスタンのような強力な選手が80名以上いる中でのレースとなる。
今以上に強くならなければ世界のレベルでは勝負できない。今回勝つことは出来なかったが、今回参加した4名とも次のネイションズカップに向けてすでに闘志を燃やしており、今回の負けをきっかけにクロアチア、ドイツ、そして9月の世界選手権までにどこまで成長するか楽しみである。
結果
男子ジュニアロードレース99.4km
1位 PERNEBEKOV YERLAN カザフスタン 2時間18分12秒
2位 RIVE, DMITRIY カザフスタン 2時間18分12秒
3位 黒枝 咲哉 日本 2時間19分30秒
7位 横山 航太 日本 2時間19分35秒
12位 吉田 優樹 日本 2時間19分39秒
15位 山本 大喜 日本 2時間21分47秒
3月15日 女子ジュニアロード
女子は14時半からの一番暑い中でレースがスタートをする。男子のレースを走り終えた直後の横山を坂口のコース試走に付き合わせて、危険個所をチェックする。前日のミーティングでは、ゴールスプリントの際の位置取りと、逃げが出来そうな場合はそれに乗っていくことを伝える。集団スプリントになった場合はスプリント力が優れているわけではない坂口には勝ち目はないので、逃げが出来る展開になった方がありがたい。
女子のレースは14.2km×5周の71km。例年女子のレースは集団のスピードが遅く、そのまま集団ゴールになる場合が多いので、坂口には選考合宿後にアジア選手権に向けてスプリント練習をしっかり行なってきてもらいたいことを伝えた。
香港選手1人が独走
女子のレースで優勝候補となるのはカザフスタンとTTチャンピオンの香港の選手。1周目から3周目までは単発のアタックがあるもののタイム差をつけるほどのものではなく坦々と進む。危険なコースであるが、シクロクロス、マウンテンバイクもこなす坂口は集団の前方で安全にこなす。
4周目の中盤の追い風区間に入る前に韓国の選手のアタックに反応した香港の選手が一気に韓国選手を抜き去り単独アタックに成功。このアタックが強烈で集団とのタイム差が徐々に広がる。それを坂口含む5名が追撃を開始。タイの選手がその追撃メンバーに2名いたが、まとまって追撃をする意思もなく、坂口が牽いている時間が長く感じる。
2位争いのスプリントへ
ラスト10kmでタイム差が40秒以上に開き、こうなると2位を狙うしかない。坂口の集団でも後ろの集団が迫っていることを知った選手がようやくローテーションをしてくれるようになり、この5名での2位争いに。優勝は逃げ続けた香港のPang Yao が牽制の入った2位集団に1分39秒差をつけて優勝。
2位争いの追撃グループはラスト1.5kmからのテクニカル区間に入るところで若干ばらけ、前に残った坂口は台湾、ヨルダンの選手との3名でのスプリントに持ちこむ。コースが向かい風であったのでスプリントをゴール直前まで我慢するように伝えていたが、後ろが少し離れたのをみてとっさの判断でゴールまで遠い距離からスプリントを開始。
瞬時の好判断で2位に
低い姿勢で一気にゴールまでもがききり、後続を離してゴールし2位となる。合宿での様子からスプリント勝負になったら厳しいと予想していたが、向かい風の中素晴らしいスプリントをみせた。レース全体でも常に前をキープして後ろに下がる場面は一度もなく、1名の逃げが決まった後もレース展開に乗ったのではなく、自分から追撃をして自分自身の力で2位を獲得したのは評価できる。坂口はジュニア1年目の選手であり、今後の更なる成長を期待したい。
結果
女子ジュニアロードレース71km
1位 PANG, YAO香港 1時間48分12秒
2位 坂口 聖香 日本 1時間49分51秒
3位 SOBOH, RAZAN ヨルダン 1時間49分51秒
text:柿木孝之(JCFジュニア強化育成部会)
edit:高木秀彰
photo:中村賢二(JCF)、柿木孝之(JCFジュニア強化育成部会)