昨年のジャパンカップで再起を果たした、2006年のジロ・デ・イタリア総合優勝者イヴァン・バッソ(イタリア)。ジロを闘うバッソに、ニュースーパーシックスの印象を訊いた。

選手の声を反映したスーパーシックス

スタート直前のバッソ。山岳を背に緊張感が漂うスタート直前のバッソ。山岳を背に緊張感が漂う photo:Kei.TSUJI 「まず初めに、キャノンデールが選手の意見をフレームにフィードバックしたことを強調したいね」。バッソは開口一番そう言い放った。

最大の目標に掲げるジロに向けて、冬期から数えて5ヶ月で480時間、約14,500kmを乗り込んできたバッソは語る。
「キャノンデールバイクに乗り始めたのは昨年のこと。しばらくしてエンジニアにバイクの印象や改善点を伝えたんだ。すると、今年になってその要求が具現化されて、ニュースーパーシックスが登場した。驚いたよ。プロ選手が使用する機材として申し分ない出来だと思う。」

「キャノンデールのバイクに乗ったのは初めてだけど、熱心に素材を研究し、テストし、そして製品開発に没頭する。それがキャノンデールの第一印象で、それは今でも変わっていない。とにかくより良い製品作りに非常に熱心だと思う。いつでも選手やメカニックの意見を取り入れようとしているし、その姿勢がフレームとして形になった。」

「僕は機材にこだわる人間だと自分では思っている。ニュースーパーシックスはそんな僕が信頼出来るバイクだよ」とバッソは語る。実際、選手の中で誰が一番機材にこだわりがあるのかチームメカニックに尋ねると、答えはバッソ。
「イヴァンは機材にとても慎重で、そして熱心だ。サイズ調整やギア比に関して積極的に意見を言うし、より良い走りを求めている。より速く走ることにストイックだと思う」と語ってくれた。

バッソが語るスーパーシックスの強み

「力をこめてダンシングしてもヘッドチューブ周りがよじれる感じは全くない」バッソとベンナーティの意見が一致する高剛性ヘッドチューブ「力をこめてダンシングしてもヘッドチューブ周りがよじれる感じは全くない」バッソとベンナーティの意見が一致する高剛性ヘッドチューブ photo:Kei.TSUJI そんな機材に慎重なバッソが明かす、スーパーシックス最大の強みは、軽量さと剛性感。「僕の走りの特性を考えると、軽さと剛性の高さは非常に重要なポイント。この二点をニュースーパーシックスは高い次元で満たしてくれている。パワーをスポイルするような軟弱さなんて皆無。BB周りの剛性の高さはペダリング毎に感じられるし、力をこめてダンシングしてもヘッドチューブ周りがよじれる感じは全くない。これはハイパワーのダニエーレ(ベンナーティ)も同意見なんだ」

「そして僕の得意分野である山岳の上りでは、その軽量性が非常に活きてくる。ヒルクライムで軽さは正義だ。これはプロ選手なら誰でも追求する部分で、ニュースーパーシックスはこの点は保証済みだ。フレームが軽ければ、その他の部分に高剛性のパーツが使用できる。レースには直接関係の無いことだけど、デザインもモダンで魅力的で、チームのイメージに合っていて好きだよ」と、新しい相棒のたくましさに満足している様子。

「それでいて疲労が蓄積されにくいのが驚き。剛性を追求したフレームに有りがちな下からの突き上げ感や細かな振動が上手く抑えられている。あと忘れてはならないのがダウンヒルかな。以前と比べて臆することなくコーナーに突っ込めるようになった」。これまで下りでタイムを失うこともあったバッソだが、ジロに向けて下りを克服したとも言われている。

第12ステージ、テクニカルなアップダウンが続くコースに、バッソはTT専用バイクではなく、ニュースーパーシックスHi-Modを選んだ第12ステージ、テクニカルなアップダウンが続くコースに、バッソはTT専用バイクではなく、ニュースーパーシックスHi-Modを選んだ photo:Kei.TSUJI
バッソはジロ第12ステージの距離60kmオーバーのテクニカルな個人タイムトライアルでも、このスーパーシックスを駆った。その理由については「そもそもチンクエテッレはTTバイクで走るコースじゃないよ。アップダウンの連続で平地が無い。直進性の高いTTバイクは向いてないんだ。上りと下りの走行性能が問われるコースだから、迷うことなくスーパーシックスを使うことにした」。

バッソのニュースーパーシックスHi-Mod。マペイのスポーツ研究所に通ってポジションを徹底的に煮詰めたバッソのニュースーパーシックスHi-Mod。マペイのスポーツ研究所に通ってポジションを徹底的に煮詰めた photo:Kei.TSUJI
白地に緑の花柄。バッソのアリオネCXカーボンは、彼のためにだけ作られた特注品だ白地に緑の花柄。バッソのアリオネCXカーボンは、彼のためにだけ作られた特注品だ photo:Kei.TSUJI バッソの年々微妙に変化しているライディングポジションは、シーズン前からマペイのスポーツ研究所に通って煮詰めたという。ジロを制した2006年当時と、ブランクを経た今もパワー出力は変わっていない。

身長183cmのバッソが使用するフレームサイズは58。バイク重量は実測で6.9kg。クランク長は172.5cmで、ステムは130mm。ハンドルは芯〜芯で44cm。サドルはフィジークのアリオネCXカーボンで、バッソのみ白地に緑の花柄が入る。

Vol.1 レースの舞台裏、選手の活躍を支えるメカニック Vol.3 リクイガスが闘った3週間、ダブルエースがもたらしたローマ表彰台
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