2012/07/09(月) - 13:46
「FAST IS EVERYTHING」。つまり「速く走ることが全て」。OCLVの粋を集め、軽量・空力・剛性・快適性のベストバランスを突き詰めた新型Madoneがツール・ド・フランス開幕直前のタイミングで発表された。Madone史上初めて7シリーズに進化したフラッグシップモデルの概要を速報でお伝えする。
プレゼンテーションが行なわれたのは、ベルギー東部、ツール開幕地リエージュに近い丘陵地帯にある博物館。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのコース脇(今年アンディ・シュレクが軽くアタックした場所)にある歴史的な建物の一角で、世界から集まった報道陣に7シリーズが披露された。
ツール出場を控えたレディオシャック・ニッサンのフランク・シュレク(ルクセンブルク)、クリストファー・ホーナー(アメリカ)、アンドレアス・クレーデン(ドイツ)、イェンス・フォイクト(ドイツ)もプレゼンテーションにサプライズで出席し、トレック社のジョン・バーク社長の進行でバイクの全貌が明らかにされて行った。
新たなMadoneシリーズを開発するにあたって、開発陣が至上命題に掲げたのが「FAST IS EVERYTHING」。つまり、バイクをゼロから設計し直し、「速く走ること」をひたすら追求した。そこで重要となるのが「軽量」「空力」「剛性」「快適性」の4つのポイント。
トレックはこの4点を高次元で達成するため、数々の先進技術を投入した。トレックが目指したのは、重いエアロバイクや、エアロダイナミクス性能に乏しい軽量バイク、快適性に乏しい高剛性バイクではない。トレックは何一つ妥協すること無く、新型Madoneを開発し、それを製品として完成させた。
ドロップアウトからフロントディレイラーのマウント、ボトルマウントの受け口まですべてチューブと一体成形。塗料の重量が僅か5gというU5 Vapar coat(ベイパーコート)技術を採用したフレームは重さ750g。これはもちろんMadone史上、そしてトレック史上最軽量の数値である。
フレーム単体の軽量性では他社のバイクに譲るが、フュースラージ(シートマスト、BBベアリング、フォークを含めたフレームシステム全体重量)の点では世界最軽量となっている。
インテグレートブレーキは軽量化にも繋がっている。リアのブレーキブリッジを省略し、元来剛性のあるBB付近にストッピングパワーを委ねることで、シートステーの重量を大幅にダウンさせた。
さらにTTバイクのスピードコンセプトに先立って採用されたKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)チューブをフレーム各所に採用。フォークからダウンチューブ、シートステー、シートチューブに至るまで、翼断面の後方をスパっと切り落としたような独特の形状をもつ。これにより軽量性を高めるとともに、仮想テール効果で高いエアロダイナミクス性能を実現させた。
風洞実験により、仰角10度(斜め前)から風を受けながら40km/hで走るという現実的なシチュエーションの中で、25Wのパワーをセーブすることができることが実証された。これはつまり、今まで1時間かかっていたルートを、同じパワーで57分56秒で走りきることを示している。
ヘッドチューブは定評のある「E2」で、上がオーバーサイズ1 1/8、下が1 1/2のテーパード形状。BBもヘッドチューブも、後処理を必要としないネットモールディングで成形され、余計なパーツを排除することで軽量化も同時に達成している。即ち、Modoneは正真正銘フルカーボンバイクであり、ここにOCLV700を採用したことで鬼に金棒と言ったところ。
軽量性と柔軟性に優れたシートマストや、前後から潰しが入った横扁平形状のE2アシンメトリック(非対称)フォークコラムなどの採用により、横剛性を高めるとともに縦方向の柔軟性をアップ。驚くことに、高剛性を謳う他社フレームと同等の剛性をもちながら、その中でもMadoneはずば抜けて高い縦方向の柔軟性をもつ。
Domaneから採用されている3Sチェーンキーパーにより、ほぼ100%チェーン落ちを防ぎ、ストレスをより一層軽減する。インテグレート・ケーブルルーティングや、デジタルスピード/ケイデンスセンサーをチェーンステーに埋め込んだデュオトラップを採用するなど、とにかく抜け目が無い。
6月30日開幕のツール・ド・フランスでは、レディオシャック・ニッサンのメンバーが新型Madoneを駆る。シクロワイアードでは、Madoneの続報として、テクノロジーの詳細や開発者インタビュー、そしてインプレッションをお伝えして行く。
ツール開幕に合わせてデビューする新型Madone
2003年に産声をあげ、進化を続けているMadoneシリーズ。その10年目の節目にあたる2013年モデルとして、一新されたシリーズがデビューする。プレゼンテーションが行なわれたのは、ベルギー東部、ツール開幕地リエージュに近い丘陵地帯にある博物館。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのコース脇(今年アンディ・シュレクが軽くアタックした場所)にある歴史的な建物の一角で、世界から集まった報道陣に7シリーズが披露された。
ツール出場を控えたレディオシャック・ニッサンのフランク・シュレク(ルクセンブルク)、クリストファー・ホーナー(アメリカ)、アンドレアス・クレーデン(ドイツ)、イェンス・フォイクト(ドイツ)もプレゼンテーションにサプライズで出席し、トレック社のジョン・バーク社長の進行でバイクの全貌が明らかにされて行った。
新たなMadoneシリーズを開発するにあたって、開発陣が至上命題に掲げたのが「FAST IS EVERYTHING」。つまり、バイクをゼロから設計し直し、「速く走ること」をひたすら追求した。そこで重要となるのが「軽量」「空力」「剛性」「快適性」の4つのポイント。
トレックはこの4点を高次元で達成するため、数々の先進技術を投入した。トレックが目指したのは、重いエアロバイクや、エアロダイナミクス性能に乏しい軽量バイク、快適性に乏しい高剛性バイクではない。トレックは何一つ妥協すること無く、新型Madoneを開発し、それを製品として完成させた。
フレーム重量わずか750g システム全体で最軽量を誇る軽量性
トレックのお家芸であるOCLVカーボンは700へと進化。アメリカ国内でしか生産が許可されていない(軍事や宇宙開発にも転用されている)HEXCEL社製のカーボンを含め、15種類のカーボンを使用し、素材の面から一新した。ドロップアウトからフロントディレイラーのマウント、ボトルマウントの受け口まですべてチューブと一体成形。塗料の重量が僅か5gというU5 Vapar coat(ベイパーコート)技術を採用したフレームは重さ750g。これはもちろんMadone史上、そしてトレック史上最軽量の数値である。
フレーム単体の軽量性では他社のバイクに譲るが、フュースラージ(シートマスト、BBベアリング、フォークを含めたフレームシステム全体重量)の点では世界最軽量となっている。
KVF形状を多用し、25Wのパワー削減に成功したエアロダイナミクス性能
フレームを見た時に、真っ先に目がいくのが美しいシートステーだ。これはリアブレーキをBB下部に移動させたことによるもの。シマノ社と共同開発した新しいマウント規格を採用し、前後ともにインテグレーテッド・ブレーキを搭載する。ボントレガー製のブレーキアーチがフレームにフィットし、当然エアロダイナミクス性能に優れる。インテグレートブレーキは軽量化にも繋がっている。リアのブレーキブリッジを省略し、元来剛性のあるBB付近にストッピングパワーを委ねることで、シートステーの重量を大幅にダウンさせた。
さらにTTバイクのスピードコンセプトに先立って採用されたKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)チューブをフレーム各所に採用。フォークからダウンチューブ、シートステー、シートチューブに至るまで、翼断面の後方をスパっと切り落としたような独特の形状をもつ。これにより軽量性を高めるとともに、仮想テール効果で高いエアロダイナミクス性能を実現させた。
風洞実験により、仰角10度(斜め前)から風を受けながら40km/hで走るという現実的なシチュエーションの中で、25Wのパワーをセーブすることができることが実証された。これはつまり、今まで1時間かかっていたルートを、同じパワーで57分56秒で走りきることを示している。
更に高められた剛性こそレーシングバイクたる由縁
フレーム剛性は、従来モデル比で更にアップ。現在マーケットには様々なBB規格が出回っているが、最高レベルの剛性を実験で証明したというBB90を引き続き採用。マーケットの中で最もワイドなBBが鋭い加速を可能にする。ヘッドチューブは定評のある「E2」で、上がオーバーサイズ1 1/8、下が1 1/2のテーパード形状。BBもヘッドチューブも、後処理を必要としないネットモールディングで成形され、余計なパーツを排除することで軽量化も同時に達成している。即ち、Modoneは正真正銘フルカーボンバイクであり、ここにOCLV700を採用したことで鬼に金棒と言ったところ。
「Madoneらしさ」を残したライドクオリティーと快適性
ゼロからフレームを設計しながらも、ライドクオリティーはMadoneらしさを残した。フレームのストラクチャーはDomaneと同様、ダウンチューブとチェーンステーがパワー伝導を担い、トップチューブとシートステーがステアリング性を高める。軽量性と柔軟性に優れたシートマストや、前後から潰しが入った横扁平形状のE2アシンメトリック(非対称)フォークコラムなどの採用により、横剛性を高めるとともに縦方向の柔軟性をアップ。驚くことに、高剛性を謳う他社フレームと同等の剛性をもちながら、その中でもMadoneはずば抜けて高い縦方向の柔軟性をもつ。
Domaneから採用されている3Sチェーンキーパーにより、ほぼ100%チェーン落ちを防ぎ、ストレスをより一層軽減する。インテグレート・ケーブルルーティングや、デジタルスピード/ケイデンスセンサーをチェーンステーに埋め込んだデュオトラップを採用するなど、とにかく抜け目が無い。
Trek Madone 7 シリーズ
SPEC (Madone 7.9)
カラー | Trek Black/Trek Charcoal |
フレーム | 700 Series OCLV Carbon, made in the USA, KVF (Kammtail Virtual Foil) tube shape, E2, BB90, internal cable routing, DuoTrap compatible, Ride Tuned seatmast |
フォーク | Madone KVF full carbon, E2, carbon dropouts |
サイズ | 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64cm |
フレームフィット | H2 |
ホイール | Bontrager Aeolus 3 D3 |
タイヤ | Bontrager R4, 700x23c |
コンポーネント | Shimano Dura-Ace Di2, 11 speed |
サドル | Bontrager Affinity Race X Lite, carbon rails |
シートポスト | Bontrager Ride Tuned Carbon seatmast cap, 20mm offset |
ハンドルバー | Bontrager Race XXX Lite Aero, OCLV carbon, VR-CF, 31.8mm |
ステム | Bontrager Race XXX Lite, 31.8mm, 7 degree |
ヘッドセット | Cane Creek AER upper, cartridge bearing lower, sealed, 1-1/8" top, 1.5" bottom |
グリップ | Bontrager Gel Cork tape |
6月30日開幕のツール・ド・フランスでは、レディオシャック・ニッサンのメンバーが新型Madoneを駆る。シクロワイアードでは、Madoneの続報として、テクノロジーの詳細や開発者インタビュー、そしてインプレッションをお伝えして行く。
提供:トレックジャパン 編集:シクロワイアード / Kei Tsuji