イタリア北部で行なわれたキャノンデール新車発表会後、ブドウ畑の広がる丘陵地帯で2日間に渡ってニュースーパーシックスHi-Modをテストする機会を得た。リクイガス所属のロマン・クロイツィゲル(チェコ)とジャコボ・グアルニエーリ(イタリア)がライドに同伴。豪華な先導役に牽かれながら、絶え間なく続くアップダウンコースを堪能した。

世界の脚自慢のジャーナリストが大集合。新型スーパーシックスHi-Modを駆ってドロミテに向かう世界の脚自慢のジャーナリストが大集合。新型スーパーシックスHi-Modを駆ってドロミテに向かう

剛性感、安定感、操舵性。あらゆる点において確かな進化を感じる。

ライドに参加してくれたロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)。将来の大器と呼ばれる彼も新型バイクをかなりお気に入りとのことだったライドに参加してくれたロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)。将来の大器と呼ばれる彼も新型バイクをかなりお気に入りとのことだった
踏み出しから高速域までよどみなく加速し、まさに流れるように走ってくれる踏み出しから高速域までよどみなく加速し、まさに流れるように走ってくれる

ダンシングではフォークやヘッド周りの剛性感を実感する。バイクに助けられるように、軽く、スイスイ登るダンシングではフォークやヘッド周りの剛性感を実感する。バイクに助けられるように、軽く、スイスイ登る キャノンデールが生み出すバイクに共通すること。それは初めて乗っても不自然なところが無く、すぐにカラダに馴染んでくれる素直さだ。テストライド開始直後に登場したテクニカルなダウンヒルで、自然とハイスピードコーナーを攻めている自分がいた。

とにかく踏み出しから高速域まで、よどみなく加速していく様はまさにプロスペック。渡欧前に旧型のスーパーシックスを2週間乗り込んでいたため、バイクの進化は明確だった。

ガツンと踏めばガツンと加速していく。シッティングからダンシングに移行して加速する際、先ずはフロントセクションの剛性感が腕を通して伝わってくる。フォークで路面を突き刺しているような剛性を誇っているため、最初はダンシングに少し違和感を感じたが、すぐに馴染んできた。慣れてからはバイクの軽量性も手伝って、クイックな軽快感がたまらない。

一体成型したチェーンステーとBBを捨て、左右一体成型されたチェーンステーをモノコック成型の前三角に接合する造形への変更は一見剛性ダウンに思われるが、実際にはウィップ感が薄れ、リアセンターが縮まったかのような剛性の向上を感じた。フレーム全体のカタマリ感が一層高まったと言うべきか。パワーがしっかりと路面へと伝達され、ロスすることなく力強くバイクを前に押し出してくれる。リクイガスの選手が開発に携わったという事実がヒシヒシと伝わるポイントだ。

スプリンターの脚質にも耐えるヒルクライム対応バイク。上りに関しては、シッティング固定でハイケイデンスで回すも良し、ダンシングで強弱をつけて踏むも良し。ヒルクライムレースでも心強いパートナーになるだろう。

パワーがしっかりと路面に伝達され、バイクが前へ前へと出されていくかのような感覚を受けた。まさに快感だパワーがしっかりと路面に伝達され、バイクが前へ前へと出されていくかのような感覚を受けた。まさに快感だ
筆者のような日本人の小サイズでもそのバランスは高次元。過剛性の心配も杞憂だった筆者のような日本人の小サイズでもそのバランスは高次元。過剛性の心配も杞憂だった
優れたパワー伝達性能に加えて、特筆すべきはそのダウンヒル性能だ。これは優れたヘッド剛性の賜物だろう。上部がサイズダウンし、軽量性を兼ね備えた大径ヘッドがコーナリングに活きている。高速コーナーに突っ込んでも、バイクはよれることなくベストラインを描いてくれる。これは感覚的なものだけではなく、スピードの違いにも現れているはずだ。

ブレーキング性能も秀逸で、旧型と同じくフォーク&ヘッド周りの剛性から、ブレーキアーチの剛性が問われるほどにフロントブレーキが強烈に効く。旧型は細いシートステーの印象も手伝ってリアブレーキの効きにシャープさは感じられなかったが、新型はシートステーが強化されたことで前後のバランスが取れたように感じた。このブレーキングの安心感が優れたダウンヒル性能を支えている。

横方向に扁平したシートステーは、横剛性の強化と同時に衝撃吸収性を維持。「レーシングスペックのバイクに快適性?」と思われるかもしれないが、レース終盤まで如何に疲労せずに走り、来るべく勝負どころにフルパワーで挑めるかは重要なアドバンテージになる。

トップ選手のパワーに耐えるべく設計されたマッチョなバイクだが、許容範囲が広く一般ライダーにまで取り扱い易いだろう。充実した2日間のライドを終え、エネルギーを出し切った心地よい疲労感に、ニュースーパーシックスのポテンシャルの高さを実感した。
インプレッション by 辻啓

古く荒れたパヴェ(石畳)でも快適性は十分なレベル。振動をうまく消し去ってくれるからスピードが落ちない古く荒れたパヴェ(石畳)でも快適性は十分なレベル。振動をうまく消し去ってくれるからスピードが落ちない

各国ジャーナリストのインプレッション

フィリッポ・ロレンツォン

イタリア、ビチスポルト誌
「普段乗っている強固なシステムシックスと比べても剛性面で引けを取らないね。それでいて快適性は段違いだ。最も気に入っているのはコーナリング性能かな。歴代のキャノンデールバイクの中で最もまとまり感のあるバイクに仕上がっていると思う。」

マイケル・フランク

アメリカ、バイシクリング.com
「レーススペックのバイクの中には、週末ライドのような乗り方には向かない“クイックすぎる”ハンドリングのものが多いが、これは違う。ライダーの意思に的確に反応してくれ、それでいて安定感もある。とにかくフレームの剛性の高さが際立っている。」

サイモン・ウィザーズ

イギリス、サイクリングプラス誌
「いくらポジショニングに気を使っても、テストライドではいつも腰や首周りが痛くなるんだ。でも今回のライドでは、長時間乗っても痛みとは無縁だった。剛性が高いのは当たり前だけど、その前に快適に乗れることに感心した。レース以外にもその用途は広いだろう。」

ルカ・マーラ

スウェーデン、ケイデンス・マガジン誌
「剛性が高く、ハンドリングも素直で非常にニュートラルな印象が強い。小さいサイズでもスケルトンに無理が無い。クイックなハンドリングを望むなら他社のバイクでもいいと思うけど、ニュースーパーシックスは万人に受け入れられる乗り味だと思う。」

ニュースーパーシックスHi-Mod 中世の美城で華々しくデビュー ジロ・デ・イタリア2009 チームリクイガス密着レポートVol.1
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