CONTENTS
オルベアのフラッグシップエアロロード、ORCA AEROがフルモデルチェンジ。バイクとライダーをシステムとして捉えるアプローチに加え、未来のレースシーンをも想定した先進的な設計によって、あらゆる場所、あらゆるシーンで最速の一台へと生まれ変わった。

常に選手のニーズに応えるエアロロードとして歩んできたORCA AERO

新生を果たしたオルベア ORCA AERO photo:Naoki Yasuoka

ロット・アンテルマルシェをサポートし、世界最高峰のレースを戦うバスクブランド、オルベア。そのロードラインアップの頂点に、軽量オールラウンダーのORCAと並び立つのがエアロロードのORCA AEROだ。

2018モデルとしてデビューした初代ORCA AEROは、当時オルベアが供給していたコフィディスの選手たちからの要望に応えて開発されたもの。改定されたUCIルールを最大限利用するエアロプロファイルチュービングを採用し、驚きをもって迎えられた。

2018シーズン、コフィディスが駆った初代オルベア ORCA AERO
2024年からロット・デスティニーとのパートナーシップを開始。ORCA AEROはその走りを支え続けてきた photo:CorVos



2022年モデルとして登場した1世代前のORCA AERO (c)オルベア

その後、ディスクブレーキ化を経て、4年後にはTTバイクであるORDUをロード化したようなデザインへと再構成され、ロードレースからショートトライアスロンまでも視野に入れるピュアエアロマシンとして活躍した。その前作から更に4年。再びのフルモデルチェンジによってORCA AEROは生まれ変わった。

目指したのは最速のシステム。新型ORCA AERO

オルベア ORCA AERO (c)オルベアジャパン

2年に渡る開発期間を経て送り出される新型ORCA AERO。その最初のステップは、新型ORCA AEROの開発目標を設定すること。もちろん「速いバイク」であることは論を俟たない。しかし一方で、現行モデルがライバルブランドのエアロロードと比較しても全く遜色ないパフォーマンスを見せており、プロトンの「最速バイク」と名乗るに相応しい性能を既に発揮していたことが目標設定のハードルとなった。

すでに卓越した製品を更なる高みへと引き上げる。そのために、オルベアはこれまでのバイク開発とは異なる発想を持ち込んだ。オルベアが「トータルシステムアプローチ」と呼ぶ手法はフレームセット単位での最速ではなく、ライダーとバイクを一つのシステムとしてみなすこと、そして速さに影響する全ての外的要因を考慮し、最適化することで、更なるスピードをもたらす新世代のレーシングスタンダードを実現する。

最速の座を揺るぎないものとする新型ORCA AERO (c)オルベアジャパン

エアロロードとして最速のシステムを組み上げるため、必須となるのがCdAの低減。あらゆる状況において、つまり様々なヨー角からの風に対して、CdAを最小化するため、オルベアは3つの側面からアプローチを行った。

一つが、フレーム単体でのエアロダイナミクス。もう一つが、先にも触れたライダーを含めたトータルシステムアプローチ、そして最後の一つが未来のトレンドの先取り。これらを組み合わせることで、新型ORCA AEROは前作に対し、50km/hで21Wのアドバンテージを実現するという。

わずかなチャンスをスピードに繋げる徹底したエアロデザイン

現行ORCA AEROにフェアリングを装着し、エアロダイナミクスを測定することで、新型の方向性を探った (c)オルベアジャパン

3つの要素の中で、最も端的で分かりやすいのが、フレームの空力性能の改善だ。開発にあたり、まずオルベアは前作のORCA AEROと現在の主要なライバルモデルを風洞実験にかけ、現状を把握した。先述した通り、前作の時点でライバルモデルに対してもアドバンテージを有していることが判明したが、オルベアはそこに満足せず更なる改善を追求した。

まず彼らが行ったのは、第2世代のORCA AEROにフェアリングを装着すること。第1世代から第2世代のようにラディカルなデザイン変更は行わず、各部のチューブ形状を改善するというアプローチで空気抵抗を削り取ることを試みた。

前後方向にボリュームを増しつつ、鋭い形状とされたフロントセクション (c)オルベアジャパン

フェアリングを装着した第2世代ORCA AEROは装着前に対して全てのヨー角において空力が向上していることが風洞実験によって示され、第3世代のフレームデザインの方向性を固めることになった。

まず、最も風の影響を受けるフロント回りのデザインを徹底的に解析し、幅広いヨー角に対してフォークブレードの断面形状を10種類近くテストすることで最適化。近年注目を集めるワイドスタンスフォークデザインこそ採用していないが、これも開発段階でUCIルール上限の形状まで想定し、CFD解析を実施した結果、最速のデザインではなかったから。

フォークブレードも数多くの形状から最適化されている。ワイドスタンスフォークもテストされた結果、このデザインに行きついた (c)オルベアジャパン

ヘッドチューブの形状は、より前後方向へのボリュームを増すと同時に前方を鋭くモディファイしている。これにより、前作から7.3%ドラッグを軽減することに成功したという。そしてフォーククラウンからダウンチューブへのかけての形状も洗練され、あらゆるヨー角とタイヤ幅において最適化されている。

そしてダウンチューブはよりワイドな形状に。これは新型ORCA AERO専用に開発されたボトルケージ"BC-RA11"を前提とした形状で、ボトルを完全に覆い隠すほどのボリュームを誇っている。ボトルまでを統合してデザインを施すことで気流の剥離を抑え、更なるエアロダイナミクス向上を実現。この部分だけで、前作に対して2.7Wのアドバンテージを生み出している。

ダウンチューブと統合された専用ボトルケージにより優れた空力性能を発揮する (c)オルベアジャパン

BB下のエアロフィンがリアホイールへの気流を整える (c)オルベアジャパン

更に細やかなディテールにおいても、オルベアはエアロの追求をおろそかにはしない。BB下にはまるで船の竜骨(キール)のようなフィンが設けられ、リアホイールへ流れる空気を整流し、ドラッグを低減。そして、前作ではシートポストに内蔵されていたDi2バッテリーをBBエリアに移動することで、シートポストをより細身にすることを可能とした。

このような工夫の積み重ねによって、バイクのみの純粋な比較において前作から5.1W(50km/h走行時)の空気抵抗軽減を成し遂げた。

無二のジオメトリーが生み出す、前人未到のスピード

バイクとライダーを一体として捉え、一つのシステムとして分析、開発を行った (c)オルベアジャパン

ライダーとバイクを一つの系として捉え、トータルでの空力向上を図るというアプローチは、既に多くのバイクブランドが導入している。ペダリングマネキンの普及が後押ししている中、実際にその問題に対してどのような解法を用意するのか、それこそが開発力の差であると言えよう。

オルベアの回答はシンプル、そしてユニーク。

ライダーの不安定性を排除する。そのためにBBハイトを極限まで下げる。これがオルベアの示した答えだ。

BBドロップを増やすことでライダーの前面投影面積を低減。さらに、横方向への姿勢変化を抑制し、空力向上に結び付ける (c)オルベアジャパン

新型ORCA AEROのBBドロップは78mm。一般的なレーシングフレームであれば72~74mm程度となり、その差は非常に大きなものとなっている。

BBが下がることで、ライダーのポジションも全体的に下がり、よりコンパクトに。前方投影面積を減らすことで、空気抵抗軽減に繋がるというのが最も分かりやすいメリットだ。

コックピットのサイズはハンドル幅とステム長の異なる13種類を展開 (c)オルベアジャパン

しかしオルベアは低BBのメリットはそれだけではないという。BBハイトが下がることによって、より低重心となり、安定感とコントロール性が飛躍的に向上。空力に悪影響を及ぼすライダーの左右への姿勢変化量も少なくなり、エアロダイナミクスにおいてもプラスに働くのだ。

もちろん、その効果は最適なポジションが出ていることが前提となる。オルベアは13種類のコックピットを展開し、細やかなニーズに対応。シートポジションに対しても真摯に取り組んでおり、オフセット量が異なる2つのシートポストを展開。さらに前後を入れ替えることで10mmセットバックが可能なリバーシブルサドルクランプを搭載し、0mm-10mm、15mm-25mmという計4つのセットバックサイズを用意した。

2種類のオフセットに加え、前後方向に入れ替え可能なヤグラを搭載することで、4つのオフセットオプションを実現 (c)オルベアジャパン

このサドルクランプは、シンプルな2本締めを採用しつつ低スタックハイトを実現。サドルとクランプのクリアランスを従来から12mm縮小することでCdAの削減と、より広いサドルハイトの調整幅を実現した。

これらのバイク・ライダーシステムをベースとしたアプローチによってライダーの不安定性から発生する抵抗を排除した結果、新型ORCA AEROは14W(50km/h時)を節約することに成功したという。

現在だけではない。未来のレースシーンにおいても最前線を行く一台に。


ここまで挙げた改善点だけであっても、今現在のライバルに対して優位性を持つバイクに仕上がっていることは間違いない。しかし、オルベアの開発陣がそれだけで満足することは無かった。

彼らが見据えていたのは、未来。日々変化し、進化し、高速化するレースシーンにおいて、「最速」の座は目まぐるしく移ろいゆく。一分一秒でも長くホットシートを維持するためにもがく選手たちと同じ情熱が、オルベアのバイク開発にも宿っている。

重量剛性比も改善しており、登りでもアドバンテージをもたらすエアロロードへと進化した (c)オルベアジャパン

次のシーズンも、次の次のシーズンも、ORCA AEROがレースシーンにおいて卓越したポジションを維持し続けるため、オルベアが用意したアプローチは2つ。その1つは、重量剛性比の改善だ。

ロードレーサーの歴史において、重量と剛性という要素は常に重要であり続けてきた。「未来のレーシングスタンダード」というキーワードから想像される解法からはすこし距離があるように思えるが、未来においてもレースバイクの性能において非常に大きなウェイトを占め続けることは間違いない。

ボリューミーなBB部。優れた重量剛性比に貢献している (c)オルベアジャパン
ワイドなタイヤクリアランスが将来の拡張性を担保する (c)オルベアジャパン



重量においては6.8kgというUCIルールによる制約があるのは間違いないが、形状面で不利になる純粋なエアロレーサーにおいては、まだ改善の余地のある要素でもある。

実際、オルベアは新型ORCA AEROにおいて、前作(80 Nm/Kg、2,070g)から剛性を25%向上させ、重量を290g削減することに成功した(102 Nm/Kg、1,780g)。この大幅な重量剛性比の改善は、ORCA AEROの活躍の場を平坦だけでなく登り区間にまで広げることを意味している。具体的には8%の勾配において、17km/hで走行時に2Wを節約する。

軽量性と空力、それぞれに特化したORCAとORCA AEROという専用モデルを用意してきたオルベアだが、新型ORCA AEROはエアロロードでありながらヒルクライムでもアドバンテージを発揮する真のオールラウンドレーサーとして新たなステージに立った。

UCIルールの上限に対応するタイヤクリアランスを確保した (c)オルベアジャパン

そしてもう一つがワイドタイヤを前提としたデザインだ。ディスクブレーキ化以降、一気に加速したワイドタイヤのトレンドに対応し、新型ORCA AEROは29~35mmタイヤを前提に、最大37mmのタイヤクリアランスが与えられている。各部の空力設計もワイドタイヤを前提に解析、設計されているのだ。

最大37mmという数値は、タイヤを含めたホイールの直径が700mm以下とするUCIルールを前提としている。700cホイールが622mmとなり、タイヤ2本分の為に残る幅は78mm。つまり最大で39mmがUCIルールの限界となる。オルベアはその上限ギリギリを攻め、698mm分の空間に5mmのセーフティクリアランスを設けた。

悪路においてもワイドタイヤは大きなメリットを発揮する。空力だけでなく快適かつグリップを向上させることでトータルのスピードに繋げる (c)オルベアジャパン

このデザインにより、UCIルールが改訂されない限り、ORCA AEROはワイド化のトレンドが今より進んだとしても上限まで対応することが可能なキャパシティを確保。このワールドツアーバイクの中で最大のタイヤクリアランスによって、パヴェを始めとした悪路において6-7W(40km/h時)をセーブする。

加えるならこのワイドクリアランス設計は、一つの機材と長く付き合い続けるアマチュアレーサーにとっても非常に安心できるものだ。トレンドが移り変わったとしても、タイヤの入手性に悩まされる心配が無いのだから。

ダウンチューブとフォーククラウンの干渉を防ぐスピンブロック90を搭載 photo:Naoki Yasuoka

そして、多くのユーティリティ面においても最先端のスペックがあたえられている。BBに統合されたDi2バッテリー、UDHハンガー、クラッシュのダメージを少なくするスピンブロック90°、ホイールを外した際に地面においても塗装を傷つけないフォーク先端のプロテクター、大容量のサービスボックスなど、ライダーが求める装備を搭載した。

平坦でも登りでも最速。実走テストで前作比-21Wを達成

平坦でも、登りでも、最速のパフォーマンスを示したORCA AERO (c)オルベアジャパン

速さという要素に真摯に向き合い、あらゆる方向からの改善を積み重ねた新型ORCA AERO。しかし、そのパフォーマンスを最終的に証明するのは風洞やCFD解析ではなく、あくまで現実世界での実走テストだ。

集大成ともいえる試験において、新型ORCA AEROは旧型に対し40kmを50km/hで走った場合、21Wのアドバンテージをもたらすことを証明した。これは、時間に直せば1分19秒という大差となる。そして、巷間ではトップティアに位置づけられるライバルモデルに対しては44W、1分57秒の差をつけている。

ORCA AEROラインアップ

オルベア ORCA AERO(フローズンコンクリート オーラブレイズ) (c)オルベアジャパン

最速のバイク・ライダーシステムとして、レーシングバイクの最前線を引き上げる新型ORCA AERO。全てのグレードでフレーム/フォークは共通となり、オルベアが誇るハイエンドマテリアルであるOMXカーボンモデルとなる。

ラインアップはオークォのカーボンスポーク採用ホイール、RA57 LTD CSをアセンブルしたM10グレードにはシマノ DURA-ACEとスラム RED AXS仕様をラインアップ。続くM20グレードにはシマノ Ultegra、スラム Force、カンパニョーロ Record仕様が、M30グレードはシマノ 105DI2仕様がそれぞれ用意され、計6モデルがラインアップされる。

カラーはM10グレードがフローズンコンクリート オーラブレイズ(マット)、マジックゴールドカーボンビュータイタングロス、ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロスの3カラー。M20とM30グレードはライトレインボー サンセットグロス、マジックゴールドカーボンビュータイタングロス、ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロスの3カラーでの展開。

もちろん、オルベアが誇るパーソナルオーダーシステム、MyOにも対応しており、カラーパターンやパーツのグレードやサイズを自分自身に合わせた状態でオーダー可能だ。各グレードのベースとなるパーツアセンブルは下記一覧にて。

ORCA AERO M10i LTD

オルベア ORCA AERO M10i LTD(フローズンコンクリート オーラブレイズ) (c)オルベアジャパン

コンポーネントShimano Dura Ace Di2 PowerMeter
ホイールOQUO RA57 LTD CS
タイヤVittoria Corsa Pro Speed TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R1 Cabon Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーフローズンコンクリート オーラブレイズ(マット)
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格1,699,000円

ORCA AERO M11e LTD

オルベア ORCA AERO M11e LTD PWR(マジックゴールドカーボンビュータイタングロス) (c)オルベアジャパン

コンポーネントSRAM Red AXS PowerMeter
ホイールOQUO RA57 LTD CS
タイヤVittoria Corsa Pro Speed TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R1 Cabon Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーフローズンコンクリート オーラブレイズ(マット)
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格1,699,000円

ORCA AERO M21e LTD

オルベア ORCA AERO M21e LTD(ライトレインボーサンセットグロス) (c)オルベアジャパン

コンポーネントSRAM Force
ホイールOQUO RP50 LTD
タイヤVittoria Corsa N.EXT TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R1 Cabon Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーライトレインボー サンセットグロス
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格1,268,300円

ORCA AERO M20i LTD

オルベア ORCA AERO M20i LTD (マジックゴールドカーボンビュータイタングロス) (c)オルベアジャパン

コンポーネントShimano Ultegra Di2
ホイールOQUO RP50 LTD
タイヤVittoria Corsa N.EXT TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R1 Cabon Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーライトレインボー サンセットグロス
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格1,133,000円

ORCA AERO M22 LTD

オルベア ORCA AERO M22 LT(ロイヤルプラム マットファンタジーパープルカーボンビューグロス) (c)オルベアジャパン

コンポーネントCampagnolo Record
ホイールOQUO RP50 TEAM
タイヤVittoria Corsa N.EXT TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R1 Cabon Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーライトレインボー サンセットグロス
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格1,133,000円

ORCA AERO M30i LTD

オルベア ORCA AERO M30i LTD(ライトレインボーサンセットグロス) (c)オルベアジャパン

コンポーネントShimano 105 Di2
ホイールOQUO RP50 TEAM
タイヤVittoria Corsa N.EXT TLR 700x29C
サドルFizik Vento Antares R3 Kium Rail 140mm
サイズ47/49/51/53/55/57/60
カラーライトレインボー サンセットグロス
マジックゴールドカーボンビュータイタングロス
ロイヤルプラム マット ファンタジーパープルカーボンビューグロス
税込価格963,600円
提供:オルベア・ジャパン| text:Naoki Yasuoka