2009/03/26(木) - 12:15
シクロパビリオンの館長として新たな旅立ち
昨年12月に現役引退を発表した相沢(旧姓:福島)”こ〜ぢ”康司選手。彼は人生第二のステージに、自転車メーカー社員でもなく、ショップ店長でもなく「館長」を選んだ。新たな試みとなるシクロパビリオンでの彼の使命とは?まず初めに、長いようで短かった11年間にわたる競技生活を応援していただいた皆さん、本当にありがとうございました。
わたくし「こ〜ぢ」こと相沢康司(旧姓:福島)は、3月14日の総合サイクリングステーション「シクロパビリオン」のオープンより、館長という大役を株式会社シクリズムジャポン代表である浅田顕より仰せつかりました。今はそのプレッシャーに押しつぶされそうな思いを、必死に跳ね返しております。
目立ちたがり屋の自分は、選手時代はただ果敢にスタートからアタックを繰り返して、逃げきることだけを信じて生きてまいりました。
前に逃げるつもりが、一人でメイン・グループ(集団)から遅れをとっても、自己暗示イメージ・トレーニングで「ああ、僕はかっこよく先頭を独走しているんだ。」と言い聞かせて、タイムリミット相手にもがき続けてきました。
単独先行で逃げを決めることも大変ですが、実際逃げに成功してみると、今度は「果たして逃げ切れるのだろうか」という恐怖の念が湧いてきます。たとえ逃げ切れて、夢のリーダージャージに袖を通した瞬間に「それを守れるだろうか?」と、新たな怖れを感じるのです。
そして今、「シクロパビリオン」の館長となり、僕は今まで感じたことのない緊張を感じています。
レース中、正面からの向かい風や追い風の状況では、選手間の力の差はさほど出ません。なぜなら、風の抵抗の特性から、先頭にいる者だけが力を使うからです。ところがそれが、選手が均等に風を受ける状況である横風に変わったとたんに、それぞれの力の差が如実に出て、選手はふるいにかけられます。まさしく「踏まなければ進まない」登りと同じ状況になります。
エキップアサダで僕が走った5年間、欧州のプロレースで厳しい力勝負の展開のもと、わがチームだけ逃げに誰ものせれない。そんなレースも多々ありました。そのときは流れに任せて、負け犬のまま尻尾を垂らして、何もせずに終わるか? それともたとえ1%の可能性でも、前を捕まえようとチームで先頭を固めて風を切り、全力を尽くすのか?
エキップアサダは向かい風の中、「無意味なあがきだ」と他のチームから嘲笑を受けても、ひたすら一歩一歩進んできました。
そのうちに絶望的な状況を、チームワークでひっくり返すことが出来るようになりました。いつしかレースを後追いで奮闘していた状態から、自分たちがレースを仕切る側になるチャンスも掴んだのです。それは、今自分がおかれている状況、まさに残業に追われて業務をこなすだけの状況から、余裕をもって会社全体の歯車を回していける状態への発展です。
ステージレースでリーダージャージを着たら、もう誰も文句を言いません。
2006年「ブークル・ドゥ・ラ・マイエンヌ」(フランス)最終ステージで、私はチームメイトのおかげで憧れのリーダージャージを着ました。
そして残り30kmでパンクした絶体絶命のときに、集団は僕を待ってくれました。そう、自転車は駆け引きもありますが、情の厚い紳士のスポーツなのです。
それもひとえに、チームが長年誇りを持ち、正々堂々闘ってきたことに対する、欧州勢の評価なのです。
2008年度のチームの欧州2勝。清水都貴のパリ・コレーズ総合優勝。新城幸也のツール・ド・リムザンのステージ優勝。それはエキップアサダの「ツール・ド・フランス」出場へ向けての、大きな自信となっています。
日本で初めての総合サイクリングステーションである「シクロパビリオン」は無事オープンを終え、新たな緊張を胸に、夢へと走り始めました。
「スタートアタック」は、皆さまの協力のもと決まりました。
皆さんがこれから僕のチームメイトです。不景気の向かい風を、ここ「シクロパビリオン」から大自然の中で「走って・食べて」、一緒にはねのけましょう!
私の長所は「元気な挨拶、あふれん体力・明るい性格・あきらめないしつこさ」です。
サイクルライフ・プロデューサーとして、交通マナーにのっとった各人の快適ライディング・レッスンを全力でお届けします。
そして、皆さまと同じ風を切って走っている、地球の裏のわがEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインの選手に、親しみを感じてぜひ応援していただきたいです。
ここ「シクロパビリオン」が、僕が今まで受けてきた世界中の人々の優しさを、少しでも皆様にお返しできることに、今から心が躍ります。
そしてお越しいただいた皆様に、自転車を通じて出会いと感動の場をお届けしたいです。
そのためにも、サイクルライフ・プロデューサー「こ〜ぢ」は、レクチャーの中で、参加者の皆さんのレベルに応じた安全かつ、快適なサイクルライフを提案します。
プロのレースと同様に、ロードレーサーにおけるコーナーの曲がり方、正しい集団走行術、車と共存しながらも速く走る術は、安全面で一番大切な要素だと容易に想像していただけると思います。
だけど人類初の二輪車は、きっと初めはタイヤもブレーキもない状況だったのでしょうね。もちろんチェーンがないから下りじゃないと進みません。ですから、きっと木の根っこか何かにぶつかって痛い思いをされたんでしょうね…。もしくは初めからブレーキの代わりになるものを用意していたのか?
もし万が一私が発明者だったら、自分の発明にドキドキして、木の根っこにぶつかっていたのは間違いありません。しかし、「シクロパビリオン」の館長となった今、木の根っこにぶつかり続けて来た僕の経験は、「どのようにすれば木の根っこにぶつからずに済むか?」を皆さんに教える事が出来ます。
最高クオリティのライディングレッスンを、皆様にお届けする事をお約束致します。それが第2の人生を走りだした自分にとっての第1ステージのゴールです。
皆様が気軽にご来場してくださることを、心よりお待ちいたしております。
元プロロードレーサーの観点から見たタイヤの重要性
「車輪の位置関係が並列から直列になるまでには、人類の中でなが〜い時間が必要だった」という興味深い話を伺った事がある。 重いものを運ぶのに適したリヤカーから、遠くに行ける自転車の原型の誕生の軌跡だ。リヤカーは荷台を持ち上げ引きずって、力づくでないと曲がれない。だが、自転車は体重移動と前輪を切れば簡単に曲がれる。それと同時に、木や鉄の車輪にはめるゴムのタイヤが、グリップ力・衝撃吸収力・高速走行維持のために必要になった。それは火の発明に並ぶ偉大な発明だと思う。
僕がロードレースを始めた昔、ある先輩が言った。
「車輪がついていたら、ありがたいと思え」。
確かにフレームは重かろうが進む。だけど車輪が付いていないと、自転車は走れない。長々と書いてきたが、つまりは2輪車におけるタイヤの重要性とは、フレームに並ぶ大きなものだということだ。
重量のある軽快車はハンドルを切って曲がるものだが、軽量のロードレーサーはハンドルではなく、自転車と体を一体化し、体重移動でコーナーを抜ける。
そうすると過酷な状況で戦うロードレーサーにおける、タイヤの路面接地面のグリップ力・サイドの耐久力・チューブの気圧調整による衝撃吸収力と高速安定性、そして全体のホイールとのバランスは極めて重要なものだということは容易に想像出来る。さまざまな要素を考慮に入れてタイヤの開発がなされていることが、皆さまに分かっていただけると思う。
そして、プロが信頼を置くパナレーサータイヤの品質で素晴らしいのは、何よりもこまめなデータの収集及び蓄積にある。
チームに支給いただいたタイヤは全て使用後、使用状況報告とともにパナレーサーに返送するのが絶対システムとなっている。
「チームを広報として活用するよりも先に、タイヤのクオリティを高めるために協力をしていただきたい!」と、いつもパナレーサーの技術者は主張する。まさしく徹底した品質追求へのプライドが感じられる。
選手は体重のすべてを1平方cm×2(前輪+後輪)にかけている。レース中の高速な下りでも、平地のコーナーを高速で曲がるときも、まさしくタイヤと選手は一心同体なのだ。
力んでハンドルを切れば、前輪を滑らせる。コンマ一秒の前後ブレーキのタイミングとバランスで、いかにきれいにコーナーを曲がり切るか。それがTT、ゴールスプリントだけではなく、レースにおける勝負を左右する。
命を賭けていると言っても過言ではないライダー達の能力を、最大限に引き出すための熱意とプライドを持ち合わせたパナレーサー。これからも選手達に勝利の女神を引き寄せてくれるに違いないと僕は思う。
プロフィール
相沢(旧姓:福島)康司 あいざわこうじ
1973年生 35歳
1973年生 35歳
24歳より競技を始め、1999年はフランスで活動。その後、海外国内のチームを渡り歩き「梅丹本舗-GDR」を最後に2008年選手を引退。今年からサイクルライフプロデューサー「こ〜ぢ」として心機一転再出発! 子供やご老人を相手にハーモニカやトランペットで国際交流するのも得意。
EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン公式サイト
EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン公式サイト
■Panaracerサポート選手の注目リザルト 2009年3月
東京マラソン2009 車イス:男子優勝、女子優勝
男子優勝(3連覇) 副島正純選手(C's Athlete)
女子優勝(2連覇) 土田和歌子選手(サノフィ アベンティス)
男子優勝(3連覇) 副島正純選手(C's Athlete)
女子優勝(2連覇) 土田和歌子選手(サノフィ アベンティス)
提供:パナソニック ポリテクノロジー株式会社