2018/09/18(火) - 11:21
ツール・ド・フランス開幕に合わせて華々しくデビューし、勝ち星の量産体制に入ったスペシャライズドのエアロロード、VENGE。今回はプロが使うトップモデル「S-WORKS」にフォーカスし、スペシャライズドを良く知るライダーのインプレッションを通してその実力を問うていく。
ツール・ド・フランスに合わせてデビューした新型Venge。写真は最高峰完成車のS-Works Di2だ photo:Makoto.AYANO
スペシャライズドが誇る常勝エアロロードマシン、Venge(ヴェンジ)。モータースポーツで名を馳せるマクラーレンとのコラボレーションによって生まれた初代、スペシャライズド本社内に完成した風洞実験施設「Win-Tunnel」を駆使した2代目の「Vias(ヴァイアス)」は途中ディスクブレーキ化という大きな変遷を遂げ、今年のツール・ド・フランスでは第3世代が正式デビューを飾った、言わずと知れた生粋のレースバイクだ。
2011年にデビューした初代S-WORKS VENGE photo:Kei Tsuji
WIN-TUNNELを駆使して生まれた第2世代、Vias photo:So.Isobe
世界選手権を3連覇中のペーター・サガン(スロバキア)。2度目のアルカンシエルはVenge Viasで成し遂げられた photo:Kei Tsuji / TDWsport
アルカンシエルを着用するペーター・サガン(スロバキア) photo:Kei Tsuji / TDWsport
UCIレースで初めて勝利したのはVenge Vias Discだった。トム・ボーネン(ベルギー)もVengeを愛した一人だ photo:TDWsport
今年のジロ・デ・イタリアでマリアチクラミーノを獲得し、スペシャルカラーのVias Discに乗るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) photo:Kei Tsuji
その歴史は常にビッグレースでの勝利と共にあった。デビュー戦のミラノ〜サンレモではマシュー・ゴス(オーストラリア)が勝利し、その年の世界選手権ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が、そして2016年はペテル・サガン(スロバキア)が勝利と合計2枚ものアルカンシエルを獲得。カヴ、サガン、トム・ボーネン(ベルギー)、マルセル・キッテル(ドイツ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)といった並み居る有名スプリンターが挙げた勝ち星は数知れず、2017年には世界で初めてUCIレースで勝利したディスクブレーキロードという称号すら得ることとなる。
デビューしたばかりの新型Vengeを駆り、先のツールで3勝したペテル・サガン(スロバキア) photo:Makoto.AYANO
マイヨヴェールカラーのVengeでシャンゼリゼを走るペテル・サガン(スロバキア) photo:Makoto.AYANO
同ツールではフェルナンド・ガビリア(コロンビア)もVengeで2勝を挙げ、マイヨジョーヌも獲得した photo:Makoto.AYANO
ぺテル・サガン(スロバキア)が乗る「サガンコレクション」も限定販売された。9月14日現在、まだ各販売店に少数が残っているという。今がラストチャンスだ photo:Makoto.AYANO
そんな栄光を引き継ぎ誕生した第3代Vengeのコンセプトは、「エアロダイナミクスをさらに高めること」「軽量化」「ハンドリング性能の維持」という3点。つまりロードバイクとしてのバランスの追求をターゲットにして開発が進められ、SL5のS-Works Tarmac DISCよりも軽く(56フレームサイズで960g)、Venge Viasよりも40km走行時に8秒速いという意欲作に仕上げられている。車体の詳細やテクノロジーに関しては、以下に示す写真の説明、そしてデビュー時のレビュー記事を参照してほしい。
新型Vengeはすぐさまボーラ・ハンスグローエとクイックステップフロアーズに届けられ、正式デビュー前にサガンが3勝、ヴィヴィアーニが4勝、ツール・ド・フランスではサガン3勝&マイヨヴェール獲得、ガビリアが2勝と既に「世界最速」の称号を欲しいままに。さらにブエルタ・ア・エスパーニャでも、サガンと競り合ったヴィヴィアーニが最終ステージを含めて区間3勝を達成している。
新型の専用コックピット。スプリンターの要求を満たして余りある剛性が与えられているという photo:Makoto.AYANO
ヘッドチューブ周辺の変化も大きい。オールラウンドバイクとして研ぎ澄まされた結果だ photo:Makoto.AYANO
コンパクトなリアバックは先代の面影を感じさせるもの。ディスクブレーキがもたらす設計上の恩恵は大きい photo:Makoto.AYANO
ボトムブラケットはスペシャライズド伝統のOSBB。セラミックスピード製のベアリングが投入される photo:Makoto.AYANO
大きくフォルムを変えたダウンチューブ。ホログラムのS-WORKSロゴが主張する photo:Makoto.AYANO
また、新型VengeはVias比で240g減という圧倒的な軽さを身につけたことで、ほとんど平坦専用機だったViasとは異なり、グランツールの山岳ステージでも使われるという大きな変化が起きた。例えばサガンはツール参戦時、よほどの難関山岳でない限りVengeを愛用するなど、まさにコンセプト通りのオールラウンド能力が証明される結果に。残るシーズン終盤戦、そして来季以降も幅広いステージで勝利を重ねていくことに疑いの余地はない。
宮ヶ瀬湖周辺でインプレッションを実施。緩やかなアップダウンが続くこの場所で新型Vengeを試した photo:Makoto.AYANO
2019年モデルとして用意される新型Vengeのラインアップは、最上級のS-Works(完成車/フレームセット)と、全く同じフレーム・コックピットにアルテグラDi2とロヴァールのCL50ホイールを組み合わせた超お買い得モデルの「PRO」の2グレード計3種類。今回はデュラエースDi2とCLX50ホイールを組み合わせた最高峰パッケージ(129.6万円)を用意し、スペシャライズド製品を良く知るショップ店長にインプレッションを担当してもらった。
高木友明(左、アウトドアスペース風魔横浜)、鈴木卓史(右、スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
「一瞬のタメの後にものすごい加速がやってくる。硬すぎないからとても気持ちが良い」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜) photo:Makoto.AYANO高木:いやぁ、とんでもなく(速度が)伸びていくバイクですね。Tarmacは踏んだ瞬間に進んでいく感覚なのですが、Vengeは一瞬タイミングを置いてからバヒューンと伸びる。試乗車に装着されたCLX64ホイールも良い相乗効果を生んでいるとは思いますが、フレームそのものが加速するフィーリングが強いですね。市場にあるハイエンドバイクと比べても脚への跳ね返しも強すぎないし、気持ち良さを備えたレーシングバイクだと感じました。
鈴木:先代のVenge Viasって、重量にしろ剛性にしろ、高速域から伸びていく加速感にしろすごく「塊感」が強かったんですが、新型は「あ、これって普通のロードバイクじゃん」って。もちろんハイエンドだけに硬いは硬いものの、Viasと比べたら乗りやすさが増しました。特に私の場合49サイズだから硬さが目立つことが多いのですが、ライダーファーストエンジニアリングが進歩したのかな?とも思いましたね。なんだか悔しいんですが(笑)、とにかくフィーリングが良い。
高木:そうですよね。登坂でも普通に速いですし、重さは感じない。エアロロードというカテゴリーではなくて、普通のオールラウンドバイクとして認識するのが良いと思いますよ。走りの面ではそうなのに、実際下りや平坦を飛ばしている時はエアロ効果の恩恵を受けられるわけですから、レーサーにとってはとても良いバイクですよね。
「ハンドリングも良いですね。高速域でもフラつかないのはさすがエアロロード」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) photo:Makoto.AYANO
鈴木:ハンドリングも良いよね。エアロロードらしくかなりのスピードで下ってもフラつかない。僕はもともとディスクブレーキ賛成派だし、もうデメリットに関してああだこうだ議論する時代ではないと思っています。あとコンポーネントを電動式オンリーに割り切ったのも良いと思いますね。
高木:それにプラスして乗り心地も決して悪くないですよ。当然エンデュランスモデルのような感じではありませんが。私は普段現行型のTarmacに乗っているのですが、もしかしたらVengeの方がオールラウンドバイクと呼べるのかもしれませんね。スペシャライズドもTarmacをオールラウンダーと呼んでいるし、私もそうだと思っていましたが、新型Vengeの登場でTarmacは山岳用モデルということになるのでは?と思っている自分がいます。和田峠に行くならTarmacですが、それ以外はVengeでカバーできてしまいます。パワーがあるなら富士ヒルクライムではTarmacより速く走れるかもしれない。
「普通のオールラウンドバイクとして認識できる。なのに下りや平坦でのメリットが大きい」 photo:Makoto.AYANO
鈴木:うん、ジャンル分けがずれてきている感じはありますね。他ブランドが「ある程度の勾配までならオールラウンダーよりエアロロードの方が速い」という実験結果を公開していたのもあるし、今後はエアロロードが一般的になって、これまでの所謂「オールラウンダー」が山岳用として絞られる未来も簡単に考えられる。
正直に言うと、今まで僕はあまりエアロを信じていなかったのですが、特にここ最近のエアロロードは明らかに速いし乗りやすいですよね。様々なブランドがリリースしたことでエアロロードは特別なものではないし、エアロ=正義と認めざるを得ないほどの進化を感じます。
高木:ホイールもいいですよね。CLX64ってもっと平坦でしか使えないと思ってたんですが、全然そんなことはなかった。スピードを維持したままクリアできる登りであればすごく良い。もちろん一番使いやすいのはCLX50でしょうけれど、CLX64が付く完成車パッケージのままでも決して使いにくいことは無いでしょう。
「アップダウンがあるサーキットエンデューロでは最強の一台だと思います」 photo:Makoto.AYANO
「お客様からの評判もものすごく良いですね。試乗して即決した方もいらっしゃいました」 photo:Makoto.AYANO
整備性が向上したことも新型の特徴。ステムの上にコラムスペーサーを重ねることも可能だ photo:Makoto.AYANO
ブレーキホースやDi2ケーブルはステム下側に添わせる形に。Viasと比べてアクセスが飛躍的に向上した photo:Makoto.AYANO
鈴木:整備性が向上したのはすごく歓迎できるポイント。Venge Viasのメンテナンス性は例え僕らプロショップでも頭を悩ませるくらい難しかったから。ステム長を1cm変えるだけでもワイヤーを引き抜いて交換、あるいは切り詰める必要があったので、何のためのアヘッドヘッドなのかと...。
高木:バッテリーもアクセスしやすいですし、ハンドルの握り心地も良く、細部まで煮詰められているのが分かりますね。整備する側にも乗り手にもフレンドリーになったと思います。
鈴木:ヒルクライム以外はどんな場面でも使えるでしょうが、一番持っていきたいのはサーキットエンデューロ。それも鈴鹿や富士スピードウェイ、もてぎのように意外と登っているコース。例えばVenge Viasに対してですら下りで脚を休められるメリットはあるし、登りが軽くこなせるでしょうから。
S-Worksと同じフレームに、アルテグラDi2とCL50ホイールを組み合わせた「PRO」 photo:Makoto.AYANO
高木:来店されるお客様からの期待度もすごく高いですからね。S-WorksもPROグレードも注文がありますし、店舗で開催した試乗会での評判も良かった。乗ってその場で即決された方もいらっしゃったくらいなんです。今回は試していませんが、とにかくVenge PROのコストパフォーマンスが良くて、個人的にも一押し。S-Worksはカスタムする余地がゼロですから、あえてPROを購入して自分好みにカスタマイズしたい方にも良いと思いますよ。
例えばコンポーネントをスラムのeTapにするとか、もともと装着されているCL50をCLX64にするとか、あるいは社外ハンドルを装着できるというメリットを活かして、クイックステップやボーラ・ハンスグローエのようにPROを付けてみるとか、オールラウンドな走りだけに、遊び方の幅が広いこともVengeの良いところでしょうね。
「これだけオールラウンドに走ってしまうと、Tarmacとどちらを選ぶか悩みますね photo:Makoto.AYANO
鈴木:でも、これだけオールラウンドに走れるからTarmacとどちらを選ぶか悩みますね。どちらもクセが無いから単純に見た目だったり、加速感の違いの好みで選んでしまって損しません。瞬間的に加速する方が良いならTarmac、タメ感ある走りが好きならVenge、みたいに。あとハンドル周りのメンテは楽になったとは言え、ハンドル高さが1cm以上変化する場合はコラム破損の保安上、全バラにする必要があるので、その辺りはまだまだTarmacにメリットがある。だからVengeはある程度ポジションが固まった人向けですよね。それと、もちろん信頼できるショップで面倒を見てもらうべきバイクであることは間違いありません。
高木:そうですね。個人的にはダイレクト感のあるTarmacの方が好きなんですが(笑)、新型Vengeの登場でエアロロード=直線番長という構図は当てはまらなくなってきました。エアロな見た目が好きだけど走りが合わなくて敬遠してきた、という方に一度試してもらいたいと思います。
佐藤修平氏(スペシャライズド・ジャパン):SBCU(販売店向けの講習や、一般向けに製品の解説、普及活動を行う部門)担当としてブランドを隅から隅まで知り尽くすMr.スペシャライズド。ロードレースやシクロクロスにも積極的に取り組む photo:Makoto.AYANO今年はトレックやキャノンデール、サーヴェロなどなど様々なブランドがエアロロードをリリースしたエアロ元年になりましたね。Vengeも含めて各社のエアロロードはだいたい同じルックスに収束してきました。
でも、だからこそ注目してほしいのが各種性能の違い。フレーム重量は競合のなかで唯一1kgを切っていますし、あれだけのエアロフォルムだったViasよりも空力性能は優れているわけですから。これらを実現した風洞実験データや、独自のアルゴリズムによる空力計算など、開発工程の詳細がわかるホワイトペーパーをスペシャライズド・ジャパンが公開しています。見た目ではなく、本質的な違いを、圧倒的な量のデータからご理解いただけると思います。ぜひ、ご一読いただきたいですね。
エアロロードは硬くて重いというイメージをお持ちの方も多いでしょうが、一度新型Vengeを試乗すれば大きく意識が変わると思いますし、それはプロレーサーが山岳ステージでもVengeを使っていることでも証明されています。試乗会の情報はFacebookページで告知していきますので、是非チェックしてみてください。
S-WORKS VENGE DISC DI2 (c)スペシャライズド・ジャパン
S-WORKS VENGEフレームセット(サテン バトルシップ/クールグレー/グロスチームイエロー) (c)スペシャライズド・ジャパン
S-WORKS VENGEフレームセット(サテン ブラック/シルバーホログラム/クリーン) (c)スペシャライズド・ジャパン
S-WORKS VENGE DISC サガンコレクション(完成車) (c)スペシャライズド・ジャパン
VENGE PRO DISC (c)スペシャライズド・ジャパン
Vengeの歴史は勝利の記録 第3世代に生まれ変わった常勝エアロロード
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スペシャライズドが誇る常勝エアロロードマシン、Venge(ヴェンジ)。モータースポーツで名を馳せるマクラーレンとのコラボレーションによって生まれた初代、スペシャライズド本社内に完成した風洞実験施設「Win-Tunnel」を駆使した2代目の「Vias(ヴァイアス)」は途中ディスクブレーキ化という大きな変遷を遂げ、今年のツール・ド・フランスでは第3世代が正式デビューを飾った、言わずと知れた生粋のレースバイクだ。
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その歴史は常にビッグレースでの勝利と共にあった。デビュー戦のミラノ〜サンレモではマシュー・ゴス(オーストラリア)が勝利し、その年の世界選手権ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が、そして2016年はペテル・サガン(スロバキア)が勝利と合計2枚ものアルカンシエルを獲得。カヴ、サガン、トム・ボーネン(ベルギー)、マルセル・キッテル(ドイツ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)といった並み居る有名スプリンターが挙げた勝ち星は数知れず、2017年には世界で初めてUCIレースで勝利したディスクブレーキロードという称号すら得ることとなる。
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新型Vengeはすぐさまボーラ・ハンスグローエとクイックステップフロアーズに届けられ、正式デビュー前にサガンが3勝、ヴィヴィアーニが4勝、ツール・ド・フランスではサガン3勝&マイヨヴェール獲得、ガビリアが2勝と既に「世界最速」の称号を欲しいままに。さらにブエルタ・ア・エスパーニャでも、サガンと競り合ったヴィヴィアーニが最終ステージを含めて区間3勝を達成している。
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また、新型VengeはVias比で240g減という圧倒的な軽さを身につけたことで、ほとんど平坦専用機だったViasとは異なり、グランツールの山岳ステージでも使われるという大きな変化が起きた。例えばサガンはツール参戦時、よほどの難関山岳でない限りVengeを愛用するなど、まさにコンセプト通りのオールラウンド能力が証明される結果に。残るシーズン終盤戦、そして来季以降も幅広いステージで勝利を重ねていくことに疑いの余地はない。
最高峰モデルのS-Works Venge完成車をインプレッション
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2019年モデルとして用意される新型Vengeのラインアップは、最上級のS-Works(完成車/フレームセット)と、全く同じフレーム・コックピットにアルテグラDi2とロヴァールのCL50ホイールを組み合わせた超お買い得モデルの「PRO」の2グレード計3種類。今回はデュラエースDi2とCLX50ホイールを組み合わせた最高峰パッケージ(129.6万円)を用意し、スペシャライズド製品を良く知るショップ店長にインプレッションを担当してもらった。
インプレッションライダープロフィール
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鈴木卓史
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役。3店舗を構えるうちの1つ(草加店)はスペシャライズドに絞ったラインアップを取り揃えるため同社への理解も深い。実はエアロロード否定派だったものの、昨今の進化、そして今回新型Vengeを試して考えが変わったという。
CWレコメンドショップページ
ショップHP
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役。3店舗を構えるうちの1つ(草加店)はスペシャライズドに絞ったラインアップを取り揃えるため同社への理解も深い。実はエアロロード否定派だったものの、昨今の進化、そして今回新型Vengeを試して考えが変わったという。
CWレコメンドショップページ
ショップHP
高木友明
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに位置するアウトドアスペース風魔横浜の「走れる店長」。確かな腕とメッセンジャー上がりのスタイリッシュさで店舗を率い、取り扱いブランドの大きな柱の一つがスペシャライズド。現在の愛車は新型Tarmacとルック795。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに位置するアウトドアスペース風魔横浜の「走れる店長」。確かな腕とメッセンジャー上がりのスタイリッシュさで店舗を率い、取り扱いブランドの大きな柱の一つがスペシャライズド。現在の愛車は新型Tarmacとルック795。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
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鈴木:先代のVenge Viasって、重量にしろ剛性にしろ、高速域から伸びていく加速感にしろすごく「塊感」が強かったんですが、新型は「あ、これって普通のロードバイクじゃん」って。もちろんハイエンドだけに硬いは硬いものの、Viasと比べたら乗りやすさが増しました。特に私の場合49サイズだから硬さが目立つことが多いのですが、ライダーファーストエンジニアリングが進歩したのかな?とも思いましたね。なんだか悔しいんですが(笑)、とにかくフィーリングが良い。
高木:そうですよね。登坂でも普通に速いですし、重さは感じない。エアロロードというカテゴリーではなくて、普通のオールラウンドバイクとして認識するのが良いと思いますよ。走りの面ではそうなのに、実際下りや平坦を飛ばしている時はエアロ効果の恩恵を受けられるわけですから、レーサーにとってはとても良いバイクですよね。
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鈴木:ハンドリングも良いよね。エアロロードらしくかなりのスピードで下ってもフラつかない。僕はもともとディスクブレーキ賛成派だし、もうデメリットに関してああだこうだ議論する時代ではないと思っています。あとコンポーネントを電動式オンリーに割り切ったのも良いと思いますね。
高木:それにプラスして乗り心地も決して悪くないですよ。当然エンデュランスモデルのような感じではありませんが。私は普段現行型のTarmacに乗っているのですが、もしかしたらVengeの方がオールラウンドバイクと呼べるのかもしれませんね。スペシャライズドもTarmacをオールラウンダーと呼んでいるし、私もそうだと思っていましたが、新型Vengeの登場でTarmacは山岳用モデルということになるのでは?と思っている自分がいます。和田峠に行くならTarmacですが、それ以外はVengeでカバーできてしまいます。パワーがあるなら富士ヒルクライムではTarmacより速く走れるかもしれない。
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鈴木:うん、ジャンル分けがずれてきている感じはありますね。他ブランドが「ある程度の勾配までならオールラウンダーよりエアロロードの方が速い」という実験結果を公開していたのもあるし、今後はエアロロードが一般的になって、これまでの所謂「オールラウンダー」が山岳用として絞られる未来も簡単に考えられる。
正直に言うと、今まで僕はあまりエアロを信じていなかったのですが、特にここ最近のエアロロードは明らかに速いし乗りやすいですよね。様々なブランドがリリースしたことでエアロロードは特別なものではないし、エアロ=正義と認めざるを得ないほどの進化を感じます。
高木:ホイールもいいですよね。CLX64ってもっと平坦でしか使えないと思ってたんですが、全然そんなことはなかった。スピードを維持したままクリアできる登りであればすごく良い。もちろん一番使いやすいのはCLX50でしょうけれど、CLX64が付く完成車パッケージのままでも決して使いにくいことは無いでしょう。
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鈴木:整備性が向上したのはすごく歓迎できるポイント。Venge Viasのメンテナンス性は例え僕らプロショップでも頭を悩ませるくらい難しかったから。ステム長を1cm変えるだけでもワイヤーを引き抜いて交換、あるいは切り詰める必要があったので、何のためのアヘッドヘッドなのかと...。
高木:バッテリーもアクセスしやすいですし、ハンドルの握り心地も良く、細部まで煮詰められているのが分かりますね。整備する側にも乗り手にもフレンドリーになったと思います。
鈴木:ヒルクライム以外はどんな場面でも使えるでしょうが、一番持っていきたいのはサーキットエンデューロ。それも鈴鹿や富士スピードウェイ、もてぎのように意外と登っているコース。例えばVenge Viasに対してですら下りで脚を休められるメリットはあるし、登りが軽くこなせるでしょうから。
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高木:来店されるお客様からの期待度もすごく高いですからね。S-WorksもPROグレードも注文がありますし、店舗で開催した試乗会での評判も良かった。乗ってその場で即決された方もいらっしゃったくらいなんです。今回は試していませんが、とにかくVenge PROのコストパフォーマンスが良くて、個人的にも一押し。S-Worksはカスタムする余地がゼロですから、あえてPROを購入して自分好みにカスタマイズしたい方にも良いと思いますよ。
例えばコンポーネントをスラムのeTapにするとか、もともと装着されているCL50をCLX64にするとか、あるいは社外ハンドルを装着できるというメリットを活かして、クイックステップやボーラ・ハンスグローエのようにPROを付けてみるとか、オールラウンドな走りだけに、遊び方の幅が広いこともVengeの良いところでしょうね。

鈴木:でも、これだけオールラウンドに走れるからTarmacとどちらを選ぶか悩みますね。どちらもクセが無いから単純に見た目だったり、加速感の違いの好みで選んでしまって損しません。瞬間的に加速する方が良いならTarmac、タメ感ある走りが好きならVenge、みたいに。あとハンドル周りのメンテは楽になったとは言え、ハンドル高さが1cm以上変化する場合はコラム破損の保安上、全バラにする必要があるので、その辺りはまだまだTarmacにメリットがある。だからVengeはある程度ポジションが固まった人向けですよね。それと、もちろん信頼できるショップで面倒を見てもらうべきバイクであることは間違いありません。
高木:そうですね。個人的にはダイレクト感のあるTarmacの方が好きなんですが(笑)、新型Vengeの登場でエアロロード=直線番長という構図は当てはまらなくなってきました。エアロな見た目が好きだけど走りが合わなくて敬遠してきた、という方に一度試してもらいたいと思います。
SBCU先生イチオシ! 新型Vengeの本当のスゴさとは?

でも、だからこそ注目してほしいのが各種性能の違い。フレーム重量は競合のなかで唯一1kgを切っていますし、あれだけのエアロフォルムだったViasよりも空力性能は優れているわけですから。これらを実現した風洞実験データや、独自のアルゴリズムによる空力計算など、開発工程の詳細がわかるホワイトペーパーをスペシャライズド・ジャパンが公開しています。見た目ではなく、本質的な違いを、圧倒的な量のデータからご理解いただけると思います。ぜひ、ご一読いただきたいですね。
エアロロードは硬くて重いというイメージをお持ちの方も多いでしょうが、一度新型Vengeを試乗すれば大きく意識が変わると思いますし、それはプロレーサーが山岳ステージでもVengeを使っていることでも証明されています。試乗会の情報はFacebookページで告知していきますので、是非チェックしてみてください。
新型Venge 販売ラインアップ
S-WORKS VENGE DISC デュラエースDi2完成車
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サイズ | 49、52、54、56 |
コンポーネント | シマノ R9170系デュラエースDi2 |
クランク | S-Works Power Cranks |
ホイール | ロヴァール CLX 64 Disc |
タイヤ | S-Works Turbo Cotton(26c) |
価格 | 1,296,000円(税込) |
S-WORKS VENGE DISC フレームセット
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
サイズ | 49、52、54、56 |
ステム | 2019 Venge integrated stem, 6-degree |
シートポスト | 2019 S-Works Venge aero seatpost, FACT carbon, Di2-compatible |
ボトムブラケット | OSBB, CeramicSpeed bearings |
価格 | 540,000円(税込) |
S-WORKS VENGE DISC サガンコレクション
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サイズ | 49、52、54、56、58 |
完成車スペック | デュラエースDi2完成車と同様 |
価格 | 完成車1,350,000円(税込) フレームセット594,000円(税込) |
VENGE PRO DISC アルテグラDi2完成車
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サイズ | 49、52、54、56 |
コンポーネント | シマノ R8070系アルテグラDi2 |
ホイール | ロヴァール CL50 Disc |
タイヤ | S-Works Turbo(26c) |
価格 | 745,200円(税込) |
提供:スペシャライズド・ジャパン 制作:シクロワイアード編集部