2018/09/18(火) - 17:39
シマノが提供するバイクフィッティングシステムをフィーチャー。専用の測定機器を用い、自身の体格や柔軟性、ペダリングのクセなどからライダーにマッチした最適ポジションを導いてくれるサービスだ。本編ではバイクフィッティングの概要と、実際の流れに沿って各工程を紹介しよう。
ライダーの理想ポジションを導き出すシマノのバイクフィッティング
スポーツバイクの楽しみをより深く追求するツールとして、近年定着しつつあるフィッティングのサービス。ロードバイクを始めたばかりで正しいポジションがわからない、今以上に速く効率的な走りがしたい、痛みやストレスなく快適なポジションを見つけたい、など様々な理由からフィッティングを受ける人は増えており、年々注目度が増す分野だ。
厳しいトレーニングを経た選手であれば身体的な許容範囲は広く、バイクに合わせた身体の使い方ができるライダーもいるだろうがそれもプロレベルの話。一般ライダーには適切な姿勢やペダリングが不可欠で、マッチしないポジションは身体の痛みや故障にも繋がりかねない。そんな中バイクを自身の体に合わせ、より快適で効率的なパフォーマンスを生み出そうというのがバイクフィッティングの基礎だ。
今や数多くのブランドがフィッティングサービスを展開しているが、その中でも国内100店舗以上のプロショップで導入しているのがシマノのbikefitting.comである。ショップ内に設置されたロードバイクを模したフィッティング機器、それに付随したモニターやカメラなどに見覚えのある方もいるだろう。
シマノバイクフィッティングを受けるトム・デュムラン(オランダ) (c)bikefitting.com
TT世界王者デュムランもTTバイクポジションはフィッティングによって煮詰めていく photo:Makoto.AYANO
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)らバーレーン・メリダもシーズン前にシマノのフィッティングを受けたチームだ (c)CorVos
ワンティ・グループゴベールもバイクフィッティングを活用するチームの一つ (c)bikefitting.com
フィッティングを専門に研究を進めてきたオランダの企業で、現在はシマノ傘下となった「bikefitting.com」が開発したシマノのフィッティングサービス。bikefitting.comはバイクフィッティングの分野で20年にも渡る経験を持ち、100万人以上を対象とした静止測定の実績を誇る。蓄積された膨大な数のフィッティングデータを元に、ライダーへ理想のポジションを提案してくれるのがこのサービスだ。
バイクのポジションを調整するだけに留まらず、自身のペダリングの分析を行えるのもこのバイクフィッティングの強み。個々の身体的特性からポジションを割り出すとともに、そのポジションが本当に効率的なのかをペダリング解析を通して評価、改善していくことができるのだ。
シマノのbikefitting.comでは実際に3つのプロセスから適正ポジションを導き出す。それぞれ3つの工程は自分の試したい項目や予算によって選択可能だ。導入店舗によって3段階の取り扱い度合いは異なるので注意して欲しい。それでは各工程に沿って、シマノバイクフィッティングの内容を解説していこう。
メジャーメントジグによって体の寸法を測っていくスタティックフィッティング
スタティック、日本語に訳せば静的なフィッティングとして、動きを伴わず体の各部の長さを測定することで適正ポジションを導き出す、最も手軽に受けられるサービスが第1段階の”スタティックフィッティング”だ。専用の測定機器「メジャーメントジグ」を用い、身長や股下長、胴体や腕の長さなど全8か所の寸法を測りソフト上に入力するだけで、ライダーに合ったポジションを導き出してくれる。
専用ソフトには2018年モデルだけでも96ブランド、合計では1万1千種類ものフレーム情報が記録されており、自身の今のバイクでどれだけのサドル高やステム長が適正なのかを瞬時に表示できる。ポジション改善のヒントをライダーに教えてくれるのだ。
身長はバイクサイズを決める大きな要素
体の寸法から最適なバイクサイズやパーツサイズを提案してくれる
新たにバイク購入予定の人であれば、事前にスタティックフィッティングを受けることで推奨フレームサイズを算出し、乗り初めから自分の体格に合ったステムやハンドルのサイズを選ぶことも可能になる。この工程はシマノバイクフィッティングの基礎となる部分で、最も導入店舗の多いサービスでもある。実際の所要時間は15分ほどと短く、より気軽に受けられる内容となっているのもポイントだ。
3Dペダリングアナライザーによって自身のペダリングのクセを見ていく
クランクに対し力の掛かっている方向や左右のブレを確認
クランクの何時の位置でトルクをかけているかも判別できる
ペダルのどの位置に荷重しているか、ペダリング効率はどのくらいか
スタティックフィッティングで得られた適正ポジション、もしくは自身のバイクポジションを、自転車を模したフィッティング機器「ポジションシミュレーター」で再現し、実際にペダリング分析を行っていくのが第2段階目の”ペダリングアナリシス”だ。ペダリング時のパワーや力の掛かり方を検知するセンサーを搭載した「3Dペダリングアナライザー」によって、様々なデータを3次元的に解析していく。
ペダリングにおいて重要なのは、いかに効率の良い回転運動を実現し、力を分散せず打ち消すことなくバイクに伝えられるかという点だろう。それを数値と図によって可視化するのがこのペダリングアナリシスなのだ。
ペダリング時にどの方向に踏み込んでいるのか、左右のブレはどれほどか、トルクが掛かる位置はどこか、ペダルのどの位置に荷重しているか、ペダリング効率は何%なのか、これらの項目をリアルタイムで確認できる他、レポートとしてプリントアウトも可能。自身のペダリングを総合的に判断することで、シューズのセッティングやポジションのマッチング度合いを確かめることができる。
また一度受けた結果は保存され、2回目移行は前回のデータと比較できる点もポイント。定期的に行うことでポジションやペダリングの改善具合を感覚ではなく数値で知ることができ、確かな指標として活用することができる。
体にマーカーを取り付け3Dモーションアナライザーによって解析、ポジションを評価していく
体の各部の動きを「3Dモーションアナライザー」によって解析し、さらにバイクポジションを煮詰めていくのが第3段階の”ダイナミックフィッティング”。体の8ヶ所にマーカーを取り付け真横から3Dカメラで撮影し、膝の前後位置や伸び具合、前傾の角度、腰-肩-手首の距離を測定し、その値が適正かどうか専用ソフトが自動的に評価してくれる。
ポジションシミュレーターはペダリングを行いながらサドルとハンドルの高さや前後位置を自由に変更することができ、解析を行いながらリアルタイムで最適ポジションを探り出す。時にはフィッター自身が目で見てアドバイスを送り、変更したポジションに違和感がないかヒアリングを行いつつ決定していく。
8ヶ所に取り付けたマーカーを基準点とし体の動きを見ていく
専用ソフトで各項目が適正範囲に入っているかどうかをひと目で確認できる
実際にポジションシミュレーター上で決定した各部のバイク寸法は、「XYポジションツール」によって自身のバイクに正確に反映することができ、すぐに実走で試すことも可能だ。ただし大幅なポジション変更は逆に体への負担となる。数週間~数ヶ月の長いスパンで何mmかずつ変えていくなど、徐々に慣らしていきポジションを確定させていこう。
シマノのバイクフィッティングは、現在全国104のプロショップにて実施中だ。店舗によって各工程の取り扱い度合いが異なるためショップリストにて確認の上、お近くのディーラーにて一度体験してみてほしい。
次編では実際にフィッティングを受けてみたCW編集部員のポジションの変化や感想をお届け。またバイクフィッティングを活用するシマノレーシングの入部正太朗や本国スタッフへのインタビューも交え、フィッティングをより深く掘り下げていきたい。
フィッティングを科学する”bikefitting.com”
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スポーツバイクの楽しみをより深く追求するツールとして、近年定着しつつあるフィッティングのサービス。ロードバイクを始めたばかりで正しいポジションがわからない、今以上に速く効率的な走りがしたい、痛みやストレスなく快適なポジションを見つけたい、など様々な理由からフィッティングを受ける人は増えており、年々注目度が増す分野だ。
厳しいトレーニングを経た選手であれば身体的な許容範囲は広く、バイクに合わせた身体の使い方ができるライダーもいるだろうがそれもプロレベルの話。一般ライダーには適切な姿勢やペダリングが不可欠で、マッチしないポジションは身体の痛みや故障にも繋がりかねない。そんな中バイクを自身の体に合わせ、より快適で効率的なパフォーマンスを生み出そうというのがバイクフィッティングの基礎だ。
今や数多くのブランドがフィッティングサービスを展開しているが、その中でも国内100店舗以上のプロショップで導入しているのがシマノのbikefitting.comである。ショップ内に設置されたロードバイクを模したフィッティング機器、それに付随したモニターやカメラなどに見覚えのある方もいるだろう。
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フィッティングを専門に研究を進めてきたオランダの企業で、現在はシマノ傘下となった「bikefitting.com」が開発したシマノのフィッティングサービス。bikefitting.comはバイクフィッティングの分野で20年にも渡る経験を持ち、100万人以上を対象とした静止測定の実績を誇る。蓄積された膨大な数のフィッティングデータを元に、ライダーへ理想のポジションを提案してくれるのがこのサービスだ。
バイクのポジションを調整するだけに留まらず、自身のペダリングの分析を行えるのもこのバイクフィッティングの強み。個々の身体的特性からポジションを割り出すとともに、そのポジションが本当に効率的なのかをペダリング解析を通して評価、改善していくことができるのだ。
シマノのbikefitting.comでは実際に3つのプロセスから適正ポジションを導き出す。それぞれ3つの工程は自分の試したい項目や予算によって選択可能だ。導入店舗によって3段階の取り扱い度合いは異なるので注意して欲しい。それでは各工程に沿って、シマノバイクフィッティングの内容を解説していこう。
最適ポジションを見つけ出す3つのプロセス
スタティックフィッティング:体の寸法から適正ポジションを提案
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専用ソフトには2018年モデルだけでも96ブランド、合計では1万1千種類ものフレーム情報が記録されており、自身の今のバイクでどれだけのサドル高やステム長が適正なのかを瞬時に表示できる。ポジション改善のヒントをライダーに教えてくれるのだ。
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新たにバイク購入予定の人であれば、事前にスタティックフィッティングを受けることで推奨フレームサイズを算出し、乗り初めから自分の体格に合ったステムやハンドルのサイズを選ぶことも可能になる。この工程はシマノバイクフィッティングの基礎となる部分で、最も導入店舗の多いサービスでもある。実際の所要時間は15分ほどと短く、より気軽に受けられる内容となっているのもポイントだ。
ペダリングアナリシス:ペダリング解析でポジションを評価
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スタティックフィッティングで得られた適正ポジション、もしくは自身のバイクポジションを、自転車を模したフィッティング機器「ポジションシミュレーター」で再現し、実際にペダリング分析を行っていくのが第2段階目の”ペダリングアナリシス”だ。ペダリング時のパワーや力の掛かり方を検知するセンサーを搭載した「3Dペダリングアナライザー」によって、様々なデータを3次元的に解析していく。
ペダリングにおいて重要なのは、いかに効率の良い回転運動を実現し、力を分散せず打ち消すことなくバイクに伝えられるかという点だろう。それを数値と図によって可視化するのがこのペダリングアナリシスなのだ。
ペダリング時にどの方向に踏み込んでいるのか、左右のブレはどれほどか、トルクが掛かる位置はどこか、ペダルのどの位置に荷重しているか、ペダリング効率は何%なのか、これらの項目をリアルタイムで確認できる他、レポートとしてプリントアウトも可能。自身のペダリングを総合的に判断することで、シューズのセッティングやポジションのマッチング度合いを確かめることができる。
また一度受けた結果は保存され、2回目移行は前回のデータと比較できる点もポイント。定期的に行うことでポジションやペダリングの改善具合を感覚ではなく数値で知ることができ、確かな指標として活用することができる。
ダイナミックフィッティング:実際の動作を判別しポジションを煮詰める
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体の各部の動きを「3Dモーションアナライザー」によって解析し、さらにバイクポジションを煮詰めていくのが第3段階の”ダイナミックフィッティング”。体の8ヶ所にマーカーを取り付け真横から3Dカメラで撮影し、膝の前後位置や伸び具合、前傾の角度、腰-肩-手首の距離を測定し、その値が適正かどうか専用ソフトが自動的に評価してくれる。
ポジションシミュレーターはペダリングを行いながらサドルとハンドルの高さや前後位置を自由に変更することができ、解析を行いながらリアルタイムで最適ポジションを探り出す。時にはフィッター自身が目で見てアドバイスを送り、変更したポジションに違和感がないかヒアリングを行いつつ決定していく。
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実際にポジションシミュレーター上で決定した各部のバイク寸法は、「XYポジションツール」によって自身のバイクに正確に反映することができ、すぐに実走で試すことも可能だ。ただし大幅なポジション変更は逆に体への負担となる。数週間~数ヶ月の長いスパンで何mmかずつ変えていくなど、徐々に慣らしていきポジションを確定させていこう。
シマノのバイクフィッティングは、現在全国104のプロショップにて実施中だ。店舗によって各工程の取り扱い度合いが異なるためショップリストにて確認の上、お近くのディーラーにて一度体験してみてほしい。
次編では実際にフィッティングを受けてみたCW編集部員のポジションの変化や感想をお届け。またバイクフィッティングを活用するシマノレーシングの入部正太朗や本国スタッフへのインタビューも交え、フィッティングをより深く掘り下げていきたい。
提供:シマノセールス 制作:シクロワイアード編集部