まさにプロユースのトップグレード
2008年のプロロードレースシーンでテストされ、期待を一身に背負ってリリースされた、TCRシリーズの最高峰「TCR ADVANCED SL」。フレームはもちろん「Advanced SL-Grade Composite ISP」だ。2009年シーズンでは、有力チームの「ラボバンク」にも供給されることになった。今回試乗したのは、シマノ・デュラエース完成車の「TCR ADVANCED SL Team」。レース経験豊富な2人のライダーも、そのポテンシャルの高さに舌を巻いた。インプレッション
戸津井は、再ダッシュしたときのスピードの持続性が「すごく高かった」と話す。レース中でアタックがかかり、さらなる加速が必要になる場面でも対応しやすいということ。
戸津井:重量的な軽さが、まっすぐ走ってもゆっくり走っても感じることができます。踏み出しの軽さは特筆に値するものですね。コツコツしたところでスピードを出しても尖った部分はいなされて、地面にすいつくように走り、気がつくとギアがトップにかかってスピードが出ている。バイクに乗せられて、自分の能力以上に走っている感じがしました。山本:軽さだけで走らされる自転車って、踏み込むと腰砕けになるじゃないですか。しかし、この自転車はそんなことがなく、本当に剛性がありますね。この高い剛性は、特殊な形状も寄与しているのだと思われます。
戸津井:上り坂で重いギアでダッシュしてから、さらに再ダッシュすると、スピードの持続性がすごく高かったです。軽いだけのバイクって、持続しないんですよ。ところがこのTCR ADVANCED SL Teamは、巡航速度を保ちながらギアもあげてスピードをあげて……という走りをすることができる。
山本:しかし全体として腰高というか、ハンドリングは上級者レベルだと感じますね。ビギナーがいきなり乗るのではなく、段階を踏んで乗るべきレベルの、本当にプロスペックの自転車と言えるかもしれません。もっとも、それが一般に流通しているというのもすごいことなのですが。
プロスペックそのものであるこのバイクに対し、山本は「選ばれた人のためのもの」と話しつつ「プロツアーで採用されているものとしては、コストパフォーマンスはいちばん」とも。
戸津井:それなりの脚を持った人ではないと、神経を使うのかな……という感じはしますね。山本:裏を返せば、選ばれた人が乗ることができる、上級者向けの自転車ということでしょう。研ぎすまされた軽さとステアリング性能は、プロが求める、1秒を争う世界では必要とされているものです。そもそも、そのままレース会場に持ち込んで走れるアッセンブルなわけです。
戸津井:本当に軽いですよね。
山本:ええ、風にふかれるくらい軽い(笑) ところでこのTCR ADVANCED SL Team、プロツアーで採用されているあらゆる自転車の中で、おそらくコストパフォーマンスはいちばんではないでしょうか。この性能をこの価格で出しているのは、さすがGIANTといったところでしょう。他社だと、150万円してもおかしくないですよね。
そして、特徴的なフレーム断面形状やインテグラルシートピラー等、あらゆる最新トレンドを採用したまったくのニューモデルであるにも関わらず、完成度が高い。そんなところに、GAINTらしさが出ていると言えますね。
GIANT TCR ADVANCED SL Team
スペック
| フレーム | Advanced SL-Grade Composite ISP |
| フォーク | Advanced SL-Grade Composite,Full Composite Over Drive Column |
| メインコンポーネント | SHIMANO DURA ACE |
| クランクセット | SHIMANO DURA ACE |
| ブレーキ | SHIMANO DURA ACE |
| ハンドル | PRO VIBE CARBON |
| ホイール | SHIMANO DURA ACE C24 CL |
| タイヤ | SCHWALBE ULTREMO 700x23C |
| 変速 | 20 Speed |
| 価格 | 787,500円(税込) |
提供:株式会社ジャイアント 企画/制作:シクロワイアード TEXT:須貝弦



