2017/06/16(金) - 12:43
ジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の足元を支えたのが、ジロでニュートラルサポートも行なうイタリアのレーシングタイヤブランドVittoria(ヴィットリア)だ。合計8チームが使用し、ステージ7勝&マリアローザ獲得という好成績を残した3週間を振り返ります。
フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)もヴィットリア CORSAを使用する
ロット・ソウダルのトランスポーターには、CORSAタイヤが装着されたホイールがズラッと並べられる photo:Kei Tsuji
UAEチームエミレーツはヴィットリアがサポートする4チームのうちの1つだ photo:Kei Tsuji
タイムトライアルにはヴィットリア CORSA SPEEDが使用される photo:Kei Tsuji
新緑のイタリア全土をめぐるプロトンの中で大きなシェアを築いたのがヴィットリアのタイヤだ。UCIワールドツアーの中ではBMCレーシング、ロットNLユンボ、ロット・ソウダル、UAEチームエミレーツ、サンウェブ、トレック・セガフレードの6チームが使用し、ワイルドカード枠でジロに出場したUCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディポルコウィチェやウィリエール・トリエスティーナもヴィットリアタイヤを使用。2015年の年末にリリースされた新型コルサが好評なことも影響し、2017年は大きくシェアを伸ばした。
トレック・セガフレードも自費購入チームの1つ photo:Kei Tsuji
今年のジロは驚くことに雨が全く降らない好天続きで、パンクの数は全体的に例年よりも少なめ。中でもヴィットリアタイヤのパンクは少なく、現地でチームサポートを行っていたスタッフによると、取材を行った第17ステージまでのロットNLユンボのパンクはたったの1回で、ロット・ソウダルは2回。それまで3,000km以上にわたって各チーム9名ずつが過酷なレースを走っていることを考えると、極めてパンクが少ないと言えるだろう。もちろんその裏にはメカニックによる毎日のケアがあることを忘れてはいけない。
どのチームもタイヤはドライとウェットに対応するオールラウンドなコルサチューブラーの一択で、ホイールリムのワイド化に伴ってタイヤ幅はほぼ25mmのみ。なお、コルサの25mmと23mmを比べるとその重量差は15g。単純な登りっぱなしの山岳タイムトライアルであればタイヤ重量を優先することも考えられるが、下りで勝負が決まることもある実際のレースでは総合的なバランスが優先される。ワイドタイヤの走行抵抗に関しては賛否が分かれるところだが、ヴィットリアタイヤに限らずプロトン内ではすっかり25mmが標準化している。
ヴィットリアがニュートラルサポートを行う photo:Kei Tsuji / TDWsport
そんなヴィットリア CORSAのキーポイントはナノ素材「Graphene(グラフェン)」にある。軽く、ダイヤモンドより硬く、鋼鉄の200倍の強度を持つこの素材をコンパウンドに添加することで、転がりの軽さとグリップ力、耐久性などタイヤに求められる性能をバランスよく、かつ高水準で実現。
具体的な数値で表すならば、CORSAの前モデルより19%も転がり抵抗を削減した。タイムトライアル/TTモデルのCORSA SPEEDでは、市販される最も転がり性能に優れるタイヤに対し、50kmTTで32秒のタイム差をつけることに成功している。また、耐久性に関しては従来モデルの約3倍のライフタイムを達成。約6,000kmもの距離を走行したとしてもトレッドパターンが残るほど摩耗に対して強いのだ。
娘の名前が刻まれた左腕をあげてフィニッシュするアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ランダとのスプリント一騎打ちに勝利したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
33分08秒のトップタイムで優勝したヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ヨーロッパ最大の活火山として知られるエトナ山にフィニッシュする今大会最初の難所(第4ステージ)でヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が勇敢なる逃げ切り勝利を飾り、続いて第6ステージでもシルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング)が逃げ切りスプリントで勝利。ヴィットリアタイヤは前半から着実に勝利を重ねていく。その勢いはマリアローザ争いが活発化する後半に入っても衰えなかった。
第10ステージの個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出してマリアローザを手にしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は、伝統のオローパ山頂フィニッシュが設定された第14ステージでも勝利して王者ぶりをアピール。最終週のドロミテの難関山岳ステージではピュアクライマーたちに苦しめられて総合首位を明け渡したが、最終日の個人タイムトライアルで逆転して見事オランダ人選手初のジロ総合優勝を果たしている。
2級山岳ガルデーナ峠でライバルたちの動きに目を光らすトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
序盤から圧倒的なペースで進むトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ガッツポーズでフィニッシュするトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ドゥオーモ前でトロフェオ・センツァフィーネを掲げるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
グライペル、ポランツェディリエ、そしてデュムランの他にも、ドロミテ最難関の第18ステージでティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が、最終日第21ステージの個人タイムトライアルでヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)が勝利。平坦、山岳、TTと、コースに関係なくヴィットリアのコルサが常に主役だった。
世界の強豪チームから信頼を集めるヴィットリアタイヤ
近年海外に足を伸ばすことも多かったジロだが、2017年は100回記念大会に合わせてイタリア100%のスペシャルなコースが登場。地中海に浮かぶサルデーニャ島で開幕し、シチリア島を経てイタリア本土に移る長い旅は3回の休息日を含めて24日間に及んだ。
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新緑のイタリア全土をめぐるプロトンの中で大きなシェアを築いたのがヴィットリアのタイヤだ。UCIワールドツアーの中ではBMCレーシング、ロットNLユンボ、ロット・ソウダル、UAEチームエミレーツ、サンウェブ、トレック・セガフレードの6チームが使用し、ワイルドカード枠でジロに出場したUCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディポルコウィチェやウィリエール・トリエスティーナもヴィットリアタイヤを使用。2015年の年末にリリースされた新型コルサが好評なことも影響し、2017年は大きくシェアを伸ばした。
サポート外のワールドチームも愛用するCORSA
従来のコルサとは異なり、Graphene(グラフェン)を添加したコンパウンドを採用し、新しいトレッドパターンやコットンケーシング、サイドウォールの色(従来より薄い色)をもつコルサ。イメージを一新したが、選手に聞くと「コルサの安定感と安心感は素晴らしい」という声が返ってくる。基本的に選手には機材の選択権がなく、チームスポンサーがサポートする製品を使用するのが当然だが、ヴィットリアタイヤに絶大な信頼を寄せていることを肌で感じる。実はサンウェブとトレック・セガフレードはヴィットリアのサポートチームではなく自費で購入している。そのことからもチームや選手のお気に入りであることがよく分かる。
今年のジロは驚くことに雨が全く降らない好天続きで、パンクの数は全体的に例年よりも少なめ。中でもヴィットリアタイヤのパンクは少なく、現地でチームサポートを行っていたスタッフによると、取材を行った第17ステージまでのロットNLユンボのパンクはたったの1回で、ロット・ソウダルは2回。それまで3,000km以上にわたって各チーム9名ずつが過酷なレースを走っていることを考えると、極めてパンクが少ないと言えるだろう。もちろんその裏にはメカニックによる毎日のケアがあることを忘れてはいけない。
どのチームもタイヤはドライとウェットに対応するオールラウンドなコルサチューブラーの一択で、ホイールリムのワイド化に伴ってタイヤ幅はほぼ25mmのみ。なお、コルサの25mmと23mmを比べるとその重量差は15g。単純な登りっぱなしの山岳タイムトライアルであればタイヤ重量を優先することも考えられるが、下りで勝負が決まることもある実際のレースでは総合的なバランスが優先される。ワイドタイヤの走行抵抗に関しては賛否が分かれるところだが、ヴィットリアタイヤに限らずプロトン内ではすっかり25mmが標準化している。
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そんなヴィットリア CORSAのキーポイントはナノ素材「Graphene(グラフェン)」にある。軽く、ダイヤモンドより硬く、鋼鉄の200倍の強度を持つこの素材をコンパウンドに添加することで、転がりの軽さとグリップ力、耐久性などタイヤに求められる性能をバランスよく、かつ高水準で実現。
具体的な数値で表すならば、CORSAの前モデルより19%も転がり抵抗を削減した。タイムトライアル/TTモデルのCORSA SPEEDでは、市販される最も転がり性能に優れるタイヤに対し、50kmTTで32秒のタイム差をつけることに成功している。また、耐久性に関しては従来モデルの約3倍のライフタイムを達成。約6,000kmもの距離を走行したとしてもトレッドパターンが残るほど摩耗に対して強いのだ。
ステージ7勝、デュムランの総合優勝を支えるCORSA
ヴィットリアタイヤによるステージ優勝は大会2日目にやってきた。集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がステージ通算7勝目。大柄ながら登りも得意とするグライペルが獲得標高差2,800mの中級山岳コースを攻略した。グライペルは2008年のブエルタ・ア・エスパーニャ以降、出場したすべてのグランツールでステージ優勝を飾っており、今回初めてマリアローザに袖を通した。
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ヨーロッパ最大の活火山として知られるエトナ山にフィニッシュする今大会最初の難所(第4ステージ)でヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が勇敢なる逃げ切り勝利を飾り、続いて第6ステージでもシルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング)が逃げ切りスプリントで勝利。ヴィットリアタイヤは前半から着実に勝利を重ねていく。その勢いはマリアローザ争いが活発化する後半に入っても衰えなかった。
第10ステージの個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出してマリアローザを手にしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は、伝統のオローパ山頂フィニッシュが設定された第14ステージでも勝利して王者ぶりをアピール。最終週のドロミテの難関山岳ステージではピュアクライマーたちに苦しめられて総合首位を明け渡したが、最終日の個人タイムトライアルで逆転して見事オランダ人選手初のジロ総合優勝を果たしている。
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グライペル、ポランツェディリエ、そしてデュムランの他にも、ドロミテ最難関の第18ステージでティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が、最終日第21ステージの個人タイムトライアルでヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)が勝利。平坦、山岳、TTと、コースに関係なくヴィットリアのコルサが常に主役だった。
ジロ・デ・イタリアで活躍するCORSAチューブラー
提供:ヴィットリア・ジャパン text&photo:Kei Tsuji