2014/12/09(火) - 19:01
就任1年目にして「結果」を残した宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督。しかしその勝利を手にするまでには、計り知れない葛藤があったに違いない。シクロワイアードでの連載が50回を迎えたパナレーサー ホイールトーク、苦闘と栄光の1年を清水監督自らに振り返ってもらった。
この時、優勝を確信できました。
11月9日、ツールドおきなわの最終局面、ラスト10km地点から単独で飛び出したエースの増田成幸が、自身初めてのUCIレースを制した瞬間です。このレースが新生「宇都宮ブリッツェン」1年目の集大成となるレースでした。
ツール・ド・おきなわ2014、平井栄一(チーム右京)らを引き離し、独走態勢に持ち込む増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.Takagi
2013年12月。2014年シーズンの宇都宮ブリッツェンメンバーが集まりました。偉大な前監督の栗村修氏(現テクニカルアドバイザー)からは、親身になってアドバイスをいただきながら、私のやり方を尊重してくださり、運営会社もそれに準ずる様に可能な限り希望を受け入れてくれました。
「外様大名」と言っても良い私の抜擢に戸惑う方も多かったと思いますが、こうしたバックアップのおかげで良い準備が出来た事に感謝しています。
続いて、各選手の目標、運営会社の意向、スポンサー、サプライヤー、ファン、支援者の気持ちを知ると、このチームの抱えている「大きなもの」を感じ取りました。各方面からの期待にすべて応えることはできるのか?この疑問が、今シーズンのモチベーションへと変わっていきました。
2013年ジャパンカップで宇都宮ブリッツェンの監督が栗村修氏から清水裕輔氏へ交代することが発表された photo:Hideaki TAKAGI
2013年12月の体制発表会で意気込みを語る清水監督 photo:So.Isobe
2014年の宇都宮ブリッツェンチームメンバー (c)Makoto.AYANO
所属2年目の鈴木真理キャプテンを中心に、このチームが残さなければならない「結果」を説いてもらい、現場チームはまとまることができました。監督の私にとって、年上の現役選手で、元チームメイトの先輩の存在は頼もしく、彼の飾らない性格が強力なチームワークを築き上げてくれました。
私の仕事は「調整役」。
もちろん、チームの目標設定は私が決めましたが、各選手の目標設定に合わせて、それぞれの得意分野を発揮できるように設定したつもりでした。しかし、それが最初の壁としてぶつかりました。
「誰で勝ちに行ったら良いのか?」「どう動いたら良いのか分からない」そんな疑問が選手たちからあがってきました。現在のロードレースは無線を使うことが禁止され、選手達は自分たちの感覚で走らざる終えない状況です。
清水監督が選手に指示を伝える (c)Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
レース後のミーティングを行う清水監督 (c)Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
JBCFタイムトライアル南紀白浜2014、うれしい今季初優勝を飾った宇都宮ブリッツェン photo:Nobumichi KOMORI/JBCF
続くJBCF白浜クリテリウム2014、大久保陣が初優勝。同時にチームに1年半ぶりの勝利をもたらした photo:Hideaki TAKAGI
富士山ヒルクライム2014、2年ぶり優勝の増田成幸 photo:Hideaki TAKAGI
シーズン始めから、「選手はどうしたい?」「自分の気持ちは?」と常に問いかけて、レース中に本人が判断できるようにするために、選手の発言回数を増やすように心がけました。それが全日本選手権ロードでの失敗にも繋がったと感じています。
この壁を乗り越え、結果として現れたのは、東日本ロードクラシックの鈴木譲の勝利でした。常勝チームは常に複数のメンバーが先頭集団に残ります。その中で誰が勝ちに行くのかは選手の勘に左右される事が多く、言葉にしなくても、選手間でしっかりと伝わっていたように感じます。結束力の強まったチームは勝利を量産できる所まで来ました。しかし、ライバルチームの外国人選手の補強により、新たな壁に打ち当たりました。
東日本ロードクラシック大会2014では鈴木譲が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
優勝した鈴木譲を祝福する清水監督 (c)Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
7月、阿部嵩之がJBCF湾岸クリテリウム2014を制しチーム5勝目となる photo:Hideaki TAKAGI
不穏な雰囲気も流れ始めましたが、チームの最大目標の「日本一奪還」「Jプロツアー総合優勝」を合い言葉に、不本意でありながらチームランキング首位を守るためにライバルチームの動きに合わせるレース展開を選びました。
宇都宮ブリッツェンのスポンサー、ファン、支援者へ結果で応えるしかない。前年度の勝利無し、タイトル無しの状況が続けば、チーム運営は崩壊する危機さえあります。応援してくださる皆さんにも結果でお返しし、シーズン最後に喜んでもらえる結果を目指して、我慢のレースを、選手・スタッフも一緒に耐え抜きました。
美浜クリテリウム2014、阿部嵩之が逃げ集団のスプリントを制し優勝。チームの年間タイトルを手繰り寄せる photo:Hideaki TAKAGI
いわきクリテリム。潜在能力ナンバーワンの青柳憲輝の、復活を思わせるその走りから、本来の宇都宮ブリッツェンの走りが甦り始めました。各選手の戦術面の経験値、得意な分野で発揮するスタイル、若手の成長も見えて来ました。美浜クリテリウムでは、年間タイトルを決定づける様な阿部嵩之の爽快な勝利でした。
おおいた いこいの道クリテリウムでメイン集団をコントロールする宇都宮ブリッツェン photo:Hideaki TAKAGI新開催された大分クリテリウムでは、選手たち自らレースを「最初から最後までコントロールしたい」という希望がでました。私としてはレース中盤からのコントロールをするつもりでしたが、選手たちの気持ちを優先し、チャレンジしてもらいました。
結果こそ2位と、惜しくも優勝を逃しましたが、過去なかったレース展開にファン、支援者、運営会社も喜んでくれました。宇都宮ブリッツェンの実力と、レーススタイルを魅せられたJプロツアー最終戦になりました。
そして日本一奪還。シーズン当初から設定していた目標を達成した安堵感と、シーズンを通して変わらないメンバーで目標を達成できたことが何より嬉しく感じました。
大分でのレースを終え、宇都宮ブリッツェンは2014年のJプロツアー チーム総合優勝を達成。チーム史上最強メンバーと言われる重圧の中、清水監督は就任1年目で最高の成果を上げた photo:Hideaki TAKAGI
エースとして挑んだ5月のツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、全日本選手権ロードでは素晴らしい走りをみせてくれましたが、数字上は納得の行く結果ではありませんでした。そんなエース増田を勝たせることを最大の目的として沖縄は挑みました。
「最後の登り区間で単独で抜け出せれば、勝てる。」
チームの誰もがそれを信じていました。少し矛盾するかもしれませんが、チームの誰もが勝ちを意識している中で、エースをサポートする最高のチームのエースとして増田選手が安心して単独で飛び出して行った様に見えました。沖縄の勝利は増田選手の実力そのものですが、チームの勝利でもありました。
エース増田成幸のレースを有利に運ぶために序盤に逃げに出た阿部嵩之 photo:Hideaki.Takagi
ラスト6km 独走でゴールを目指す増田成幸 photo:Hideaki.Takagi
後続を大きく引き離してゴールへと飛び込む増田成幸 photo:Hideaki.Takagi
増田の勝利を知りガッツポーズでゴールする鈴木真理 photo:Hideaki.Takagi
今シーズン、通算7勝を挙げることができましたが、そのどれもがチームで掴んだ勝利です。これが今年のチームを良く表していると思います。
就任1年目にして、こんなに素晴らしいメンバーでこの結果を迎えられたことに感謝しています。各方面からは「監督就任1年目にこの結果は素晴らしいですね」というお言葉をいただきますが、私としましては、運良くこのメンバー、スタッフ、スポンサー、ファン、運営会社と巡りあえたことがこの結果に繋がったと思っています。
来期のメンバーもそろそろ発表になりますが、2015年シーズンの方が厳しいシーズンになることは容易に予想できます。今年のバックアップ体制があれば、来年のメンバーもモチベーションを高く、シーズンを通して戦えるはずです。
パナレーサー GravelKing (c)パナレーサー
いま最も注目を浴びているカテゴリーのグラベルロードに最適な新シリーズ。舗装路から未舗装路を自由に快適に走りたいサイクリストのために。
サイドカットやリム打ちに効果を発揮する「アンチフラットケーシング」と、耐久性と耐摩耗性に優れた「ZSGナチュラルコンパウンド」で荒れた路面でも安心。軽量で衝撃吸収性にすぐれた「AX-αコード」との組み合わせにより、長距離走行でも疲れない高性能なツーリングタイヤに。
トレッドパターンは、多様なツーリングスタイルに合わせやすいように、700x23C〜28Cはオンロードを意識したミックスパターンを、700x32Cはグラベル走破性を意識したブロックパターンを採用。
関連ニュース:パナレーサー 待望のグラベルロード用タイヤ GravelKingが登場
監督として、チームとして、壁を乗り越え得た勝利
「ラスト5km、ゼッケン41番、35秒差で追走2名!」この時、優勝を確信できました。
11月9日、ツールドおきなわの最終局面、ラスト10km地点から単独で飛び出したエースの増田成幸が、自身初めてのUCIレースを制した瞬間です。このレースが新生「宇都宮ブリッツェン」1年目の集大成となるレースでした。

2013年12月。2014年シーズンの宇都宮ブリッツェンメンバーが集まりました。偉大な前監督の栗村修氏(現テクニカルアドバイザー)からは、親身になってアドバイスをいただきながら、私のやり方を尊重してくださり、運営会社もそれに準ずる様に可能な限り希望を受け入れてくれました。
「外様大名」と言っても良い私の抜擢に戸惑う方も多かったと思いますが、こうしたバックアップのおかげで良い準備が出来た事に感謝しています。
続いて、各選手の目標、運営会社の意向、スポンサー、サプライヤー、ファン、支援者の気持ちを知ると、このチームの抱えている「大きなもの」を感じ取りました。各方面からの期待にすべて応えることはできるのか?この疑問が、今シーズンのモチベーションへと変わっていきました。



所属2年目の鈴木真理キャプテンを中心に、このチームが残さなければならない「結果」を説いてもらい、現場チームはまとまることができました。監督の私にとって、年上の現役選手で、元チームメイトの先輩の存在は頼もしく、彼の飾らない性格が強力なチームワークを築き上げてくれました。
私の仕事は「調整役」。
もちろん、チームの目標設定は私が決めましたが、各選手の目標設定に合わせて、それぞれの得意分野を発揮できるように設定したつもりでした。しかし、それが最初の壁としてぶつかりました。
「誰で勝ちに行ったら良いのか?」「どう動いたら良いのか分からない」そんな疑問が選手たちからあがってきました。現在のロードレースは無線を使うことが禁止され、選手達は自分たちの感覚で走らざる終えない状況です。





シーズン始めから、「選手はどうしたい?」「自分の気持ちは?」と常に問いかけて、レース中に本人が判断できるようにするために、選手の発言回数を増やすように心がけました。それが全日本選手権ロードでの失敗にも繋がったと感じています。
この壁を乗り越え、結果として現れたのは、東日本ロードクラシックの鈴木譲の勝利でした。常勝チームは常に複数のメンバーが先頭集団に残ります。その中で誰が勝ちに行くのかは選手の勘に左右される事が多く、言葉にしなくても、選手間でしっかりと伝わっていたように感じます。結束力の強まったチームは勝利を量産できる所まで来ました。しかし、ライバルチームの外国人選手の補強により、新たな壁に打ち当たりました。



我慢のレース チーム目標達成のための戦略
夏以降、レース最終局面になると、外国勢が増えたライバルチームの「数的有利な状況」が多くなり、太刀打ち出来なくなって来ました。純日本人チームで戦う私達に、外国人を補強する予算はもちろん、考えもありませんでした。若手の成長しか太刀打ちする術はありませんでした。また、完璧な状態で戦うために、スタッフへの負担も多くなったように思います。不穏な雰囲気も流れ始めましたが、チームの最大目標の「日本一奪還」「Jプロツアー総合優勝」を合い言葉に、不本意でありながらチームランキング首位を守るためにライバルチームの動きに合わせるレース展開を選びました。
宇都宮ブリッツェンのスポンサー、ファン、支援者へ結果で応えるしかない。前年度の勝利無し、タイトル無しの状況が続けば、チーム運営は崩壊する危機さえあります。応援してくださる皆さんにも結果でお返しし、シーズン最後に喜んでもらえる結果を目指して、我慢のレースを、選手・スタッフも一緒に耐え抜きました。

いわきクリテリム。潜在能力ナンバーワンの青柳憲輝の、復活を思わせるその走りから、本来の宇都宮ブリッツェンの走りが甦り始めました。各選手の戦術面の経験値、得意な分野で発揮するスタイル、若手の成長も見えて来ました。美浜クリテリウムでは、年間タイトルを決定づける様な阿部嵩之の爽快な勝利でした。

結果こそ2位と、惜しくも優勝を逃しましたが、過去なかったレース展開にファン、支援者、運営会社も喜んでくれました。宇都宮ブリッツェンの実力と、レーススタイルを魅せられたJプロツアー最終戦になりました。
そして日本一奪還。シーズン当初から設定していた目標を達成した安堵感と、シーズンを通して変わらないメンバーで目標を達成できたことが何より嬉しく感じました。

悲願のUCIレース優勝へ シーズンラストレース、ツール・ド・おきなわ
しかし、まだ戦いは終わらず、チームの絶対的エースの増田選手の本来の力を発揮させてあげられなかったことが心残りのまま、国内レース最終戦のツール・ド・おきなわをむかえます。エースとして挑んだ5月のツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、全日本選手権ロードでは素晴らしい走りをみせてくれましたが、数字上は納得の行く結果ではありませんでした。そんなエース増田を勝たせることを最大の目的として沖縄は挑みました。
「最後の登り区間で単独で抜け出せれば、勝てる。」
チームの誰もがそれを信じていました。少し矛盾するかもしれませんが、チームの誰もが勝ちを意識している中で、エースをサポートする最高のチームのエースとして増田選手が安心して単独で飛び出して行った様に見えました。沖縄の勝利は増田選手の実力そのものですが、チームの勝利でもありました。




今シーズン、通算7勝を挙げることができましたが、そのどれもがチームで掴んだ勝利です。これが今年のチームを良く表していると思います。
就任1年目にして、こんなに素晴らしいメンバーでこの結果を迎えられたことに感謝しています。各方面からは「監督就任1年目にこの結果は素晴らしいですね」というお言葉をいただきますが、私としましては、運良くこのメンバー、スタッフ、スポンサー、ファン、運営会社と巡りあえたことがこの結果に繋がったと思っています。
来期のメンバーもそろそろ発表になりますが、2015年シーズンの方が厳しいシーズンになることは容易に予想できます。今年のバックアップ体制があれば、来年のメンバーもモチベーションを高く、シーズンを通して戦えるはずです。
プロフィール
Panaracer「GRAVELKING」 新製品!

いま最も注目を浴びているカテゴリーのグラベルロードに最適な新シリーズ。舗装路から未舗装路を自由に快適に走りたいサイクリストのために。
サイドカットやリム打ちに効果を発揮する「アンチフラットケーシング」と、耐久性と耐摩耗性に優れた「ZSGナチュラルコンパウンド」で荒れた路面でも安心。軽量で衝撃吸収性にすぐれた「AX-αコード」との組み合わせにより、長距離走行でも疲れない高性能なツーリングタイヤに。
トレッドパターンは、多様なツーリングスタイルに合わせやすいように、700x23C〜28Cはオンロードを意識したミックスパターンを、700x32Cはグラベル走破性を意識したブロックパターンを採用。
カラー | ブラック、ブラウンサイド |
サイズ/重量 | 700×23C 平均重量 220g 700×26C 平均重量 240g 700×28C 平均重量 270g 700×32C 平均重量 320g ※ブラウンサイドは330g |
ビード | アラミドビード |
関連ニュース:パナレーサー 待望のグラベルロード用タイヤ GravelKingが登場
Panaracer 2014年度サポートチーム&選手情報 | |||||||||||||||
Jプロツアー第20戦 おおいたサイクルロードレース2014 | |||||||||||||||
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Jプロツアー第21戦 おおいた いこいの道クリテリウム2014 | |||||||||||||||
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ツール・ド・おきなわ2014 国際レース | |||||||||||||||
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ニューヨークシティマラソン - 車いすマラソン | |||||||||||||||
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第34回大分国際車いすマラソン大会 | |||||||||||||||
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