海中道路を渡って昔ながらの雰囲気が残る島々を体験した取材班は、本島に戻って様々なスポットに立ち寄りながら、中北部のツール・ド・おきなわに登場するコースも体験。のんびりサイクリングにも、本格レーサーのトレーニングコースにも向く沖縄サイクリングの懐の深さをお届けしよう。

小さな島々を渡り、お昼目指して本島へと戻る小さな島々を渡り、お昼目指して本島へと戻る

2度目の海中道路でパチリ。編集長、落っこちますよ!2度目の海中道路でパチリ。編集長、落っこちますよ! ローカルな島々でサイクリングを楽しんだ後は、再び海中道路を渡り本島に戻った。海中道路の素晴らしい景観は何度渡っても爽快な気分を味わうことができる。

ふと気付くと時間はちょうどお昼時。せっかくなので沖縄でしか味わえない超ローカルフードを求めて海中道路からほど近い「丸一食品」へと向かった。



お昼ご飯は「いなり」と「チキン」。究極の地元フードに舌鼓

うるま市にある「丸一食品」は、メニューはフライドチキンといなり寿司のみのお店。地元では知らない人のいない有名店で、ビーチパーリー(パーティー)を開くときは無くてはならない食べ物なんだとか。薄色のいなり寿司は大ぶりで、極薄の油揚げにぎゅうぎゅうに酢飯が詰まっていて、酸味と甘みのバランスが絶妙なまろやかな味わいだ。

丸一食品の工場兼販売店 チキンの香ばしい匂いが漂っていて、もう!丸一食品の工場兼販売店 チキンの香ばしい匂いが漂っていて、もう! これが地元で有名なファーストフード いなりとチキンこれが地元で有名なファーストフード いなりとチキン


ガーリックの効いたフライドチキンも不思議といなり寿司と相性が良くってどんどん進んでしまう。どちらも店先で気軽にパクつくことができるので、サイクリストにうってつけ(?)のお昼ご飯だと思う。いなり寿司は酢飯なので練習中の補給食にも良いかもしれないな、なんて感じもした。

ちなみにこの店、沖縄観光コンベンションビューローの福井さんのオススメで、観光ガイドには絶対に載ってない、地元の人にしか知られていない店だ。しかし昼時は行列ができるので並ぶ覚悟が必要。なお、「食堂」ではなく、「持ち帰り」専門店なので、店内では食べられない。

いなりずし・チキン専門店 丸一食品
うるま市塩屋494-6
※「持ち帰り」専門店。チキンは量り売りで1個120-130円。いなり寿司は5個で425円。
定休日:月曜


空軍基地が見渡せるスポット「道の駅かでな」

なんだか食べ過ぎなような気もしつつ、がっつりとお昼ご飯を補給したら、本島を横切ってふたたび西側の国道58号線を目指すことにしよう。

本島中部は細かいアップダウンが連続する本島中部は細かいアップダウンが連続する 海沿いは交通量も少なく、走りやすい海沿いは交通量も少なく、走りやすい


沖縄の道路を走っていると多くの米軍施設があるのに気づくだろう。太平洋戦争後に一度アメリカとなった沖縄の地は、今年返還40周年を迎えた。基地問題に揺れる沖縄だが、基地の存在で独自の文化発展を遂げてきたこともまた事実だ。基地の周りにあるアメリカンなネオン煌めくフードショップや、フェンスの向こうのに広がる緑の芝生の米軍住宅地を見ながら、なんとなくそんなことを思ってみたりした。

沖縄を走っているとたくさんのキャンプやベースがある沖縄を走っているとたくさんのキャンプやベースがある 道の駅かでなの展望スポットから空軍基地を眺める道の駅かでなの展望スポットから空軍基地を眺める


嘉手納町の「道の駅かでな」は、展望フロアに上れば隣接する米軍嘉手納飛行場が一望できるパノラマスポット。滑走路が見渡せ、タイミングが合えば軍用機の飛ぶ姿を間近で見られる。学習展示室や案内・休憩室、レストランもあり。

道の駅かでな
沖縄県嘉手納町字屋良1026番地3
http://www.town.kadena.okinawa.jp/jigyou2/miti/


・風光明美な国道58号線を走り万座毛へ

金湾沿いの石川から丘を越えて、西側の恩納村に戻ってきた。次なるポイントは景勝地として有名な万座毛だ。
今までこの辺りのルートと言えば海沿いを走る国道58号線だけだったが、最近になって山側を走るバイパスが完成した。

恩納村南バイパスと呼ばれるこちらは丘越えルートのため、終始アップダウンが連続するものの約5kmに渡って信号が全く無く、新しいバイパスとあって道も綺麗で非常に走りやすい。
山側は沖縄の自然がが色濃く残る原生林が広がり、反対側には東シナ海を望むビューポイントも点在している。このエリアを走るのには、58号線とともにオススメのルートと言えるだろう。

名護湾を背景に走る 青い海が気持ちいい名護湾を背景に走る 青い海が気持ちいい 万座毛へ到着 像の鼻の形が特徴的万座毛へ到着 像の鼻の形が特徴的


バイパスを走りぬけるとほどなくして万座毛(まんざもう)へと到着だ。サンゴ硝の海にそそり立つ絶壁に、象の鼻の形の岩がある景勝地。とても爽快な眺めを楽しみことができる。沖縄の一大観光名所であるため、駐車場にはお土産屋さんや休憩所が完備されている。休日にはかなりの人で賑わう場所なので、ちょっとバイクから離れる際はしっかりとカギを掛けるか、売店の方にでも見ていてもらえるように頼んでおこう。

紅いもタルトの製造ラインを見学。すごい規模!紅いもタルトの製造ラインを見学。すごい規模! 1つから購入でき、サイクリングの立ち寄りスポットとしてもピッタリ1つから購入でき、サイクリングの立ち寄りスポットとしてもピッタリ


万座毛で観光を済ませると、ちょうど2時過ぎとおやつ時間となっていた。小腹を満たすべく、近くにある「御菓子御殿恩納店」へと向かった。御菓子御殿は沖縄みやげ定番の紅いもタルト発売メーカーの工場兼テーマパークで、製造ラインを見学しながらスイーツの購入ができる施設だ。定番の紅いもタルトも1つから購入することができるので、サイクリングの立ち寄りスポットとしてもピッタリだ。なんだか道中食べてばっかりの食いしん坊取材班もしっかりとこちらで糖分補給を済ませた。

御菓子御殿
恩納村字瀬良垣100番地(恩納店)
http://www.okashigoten.co.jp/

・ツール・ド・おきなわのヒルクライムを楽しむ

これまではのんびりサイクリングだったので、ちょっと本格的に走ってみたいと思う方もいるかと思う。ここでは名護からほど近い羽地ダムの上りを紹介しよう。名護市にある羽地ダムへと至るこの上りは、ツール・ド・おきなわのコースに2010年から組み込まれた、レースの最後の上りの「勝負ポイント」だ。

ツール・ド・おきなわ最後の勝負ポイント、羽地ダムへと至る上りツール・ド・おきなわ最後の勝負ポイント、羽地ダムへと至る上り 道沿いにはやんばるの原生林が残る道沿いにはやんばるの原生林が残る


毎年ゴールへ向けての熾烈な勝負が行われるポイントとなっているこの上りを、我々取材班も大浦湾側から上ってみた。距離は約2km・頂上付近の標高が約120m程度と、短いものの勾配もそれなりにあって、一日走った後にはなかなかキツい。しっかりトレーニングになりました。この上りは名護市側から上ってもいいし、ツール・ド・おきなわにならって大浦湾側から18号線沿いを上ってもいい。

また、名護市側からは国道58号線・川上交差点から上る(レースコースとは逆にさかのぼる)か、名護市街のオリオンビール工場(住所:名護市東江2丁目2-1)前の道から上るルートがある。どちらも約2km・標高差120mほど。とくにオリオンビール工場から続く道は、名護市街を見下ろす景観が見事だ。

青い海を横目に見ながらのサイクリングは最高!青い海を横目に見ながらのサイクリングは最高!

羽地ダム周辺は、滞在の拠点としやすい名護からもほど近く、付近には多野岳へと上る約4kmの上りなども存在するちょっとした山岳エリアだ。このあたり一帯の西海岸と東海岸を結ぶ道路は無数にあり、そのどれもが山越えを伴う。ジャングルの小山を上る道はいずれもクルマの交通量も少なく、自転車では走りやすい。かつてツール・ド・おきなわで勝負ポイントとなっていた、有銘から源河にかけての「源河の三段坂」も、激坂を楽しめるスポットだ(2010年大会からコースから外れている)。

走った後はお約束のブルーシールアイスクリームでシメ!走った後はお約束のブルーシールアイスクリームでシメ! 北部へと足を延ばせば、そこはトレーニングにうってつけのフィールドが無限に広がる"やんばる地方"だ。サイクリングにプラスして、本格的なヒルクライムにチャレンジしてみるのも良いだろう。のんびりサイクリストにも、バリバリのレーサーにも広く対応する沖縄の懐の広さといえる。

羽地ダムの上りを楽しんだ後は、海岸線を走る58号線を戻り、拠点の恩納村へと戻ってきた。取材した行程を走行すると距離は約150kmほど。一日たっぷりサイクリングと沖縄の食を楽しんで大満足できた。

次回は一日で回りきれなかったオススメスポットをピックアップしてお伝えします。vol.3へ続く。

今回走ったコース(ルートラボ)
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=218493408b8c74a6c318e9bac2…

福井英之さん(沖縄観光コンベンションビューロー)福井英之さん(沖縄観光コンベンションビューロー) 旅のアドバイザー
福井英之さん(沖縄観光コンベンションビューロー)

沖縄の観光・リゾート、コンベンション振興の推進母体として、沖縄県を訪れる人への様々なサポートを行う「財団法人沖縄観光コンベンションビューロー」に勤務。沖縄の観光にまつわるあらゆることをお仕事にしている福井さんは、沖縄の伝統的な手漕ぎ船競争「ハーリー」を愛する海の男。恩納村周辺に住んだこともあり、MTBでの自転車散歩も楽しむ44歳。



text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
取材協力:財団法人沖縄観光コンベンションビューロー