2010/09/22(水) - 06:59
スポーツバイクに乗り始めたら、いつかは勇気を持ってチャレンジして欲しいロングライド。その魅力にはまった今中大介・鶴見辰吾&ひとみ・絹代さんの4人が、楽しさ・魅力を、ホノルルセンチュリーライドでの体験談を通して語ります。
対談出演:今中大介(インターマックス代表)、鶴見辰吾(俳優)、鶴見ひとみ、絹代(サイクルライフナビゲーター)
今中:なんといってもハワイというあこがれの場所ですね。鶴見さんもそうだけど、芸能人がお正月に行く、なんてイメージがありますからね(笑)。
鶴見:海外旅行を考える時に、とっつきやすい場所だと思うんです。よくハワイに始まりハワイに終るなんて言いますけれど、そうやってただ訪れるだけでも楽しい場所を自転車で走るって楽しみが増えて、相乗効果で面白くなる。
しかもレースじゃなくてファンライドなので、家族で楽しめる。ウチなんかもそうだけど、僕が自転車を始めた時は乗るのが楽しくて楽しくて、いかに奥さんを連れて行こうかと。ハワイというエサをぶら下げて、「ちょっと走らない?」って(笑)20kmくらいだったら走れると思っていたけど、結局160kmを走っちゃいましたからね。
絹代:その時は、ひとみさんは長い距離を乗る練習はされていたんですか?
鶴見:80kmがその時の彼女の最長距離でしたね。でも、このホノルルセンチュリーライドのコースは折り返し式で、着いちゃったんですよ、100マイルの折り返し地点に(笑)あとは完走するしかないからがんばろうって。
絹代:初めて完走された時の感想はいかがでした?
ひとみ:もうスゴかった!自分(笑)初めて走ったのは5年前だったんですが、その時は今中さんも走られていて。それで今中さんにお声をかけていただいて、感激して、テンション上がって(笑)
鶴見:あれはサンディー・ビーチあたりでしたね。
今中:そうですね、かなり早いうちでしたね。
鶴見:僕ね、その時はヘルメットかぶってサングラスをかけて、多くの人が着てそうな白いジャージ姿だったから誰もわからないだろうと思ってたんですけど、遠くから今中さんが「鶴見さん~、いらしてたんですか~!」って即発見されて(笑)
今中:わかりますよ~。だってその頃でしょう?自転車の雑誌に出始めたのも。
鶴見:いやいや、その時はまだ自分だけで乗っている時ですよ。4年前のホノルルセンチュリーライドの時に、家内がハワイに浮かれてたのかビキニ姿で自転車に乗っていたんですが、それが雑誌の記者の方の目に留まって取材されることになって。
ひとみ:その時に「取材を受けていいか、主人に聞いてみます」って言ったら、主人がその雑誌の愛読者で。その記者さんも「あっれー鶴見辰吾さん!?自転車に乗られるんですか?」って(笑)
鶴見:そこからいろんな自転車雑誌にお世話になるようになったんですよ。
今中:そうだったか~。でも4年前は、すぐ鶴見さんだとわかりましたよ。
絹代:それまでにお2人は交流はあったんですか?
今中:鶴見さんのデビュー戦がツアー・オブ・ジャパンの東京ステージの市民レースでしたよね。その時に紹介されたけど、その時の一回だけでしたね。ホノルルは2度目でした。
鶴見:よく見つけましたね~。
今中:わかりますよ。オーラが違いますもん。
ひとみ:今中さんはどこからみても今中さんですよね。どんなに遠くてもすぐわかる。それで声をかけていただいた時も「あ~ん、イメージ通りでステキ~」って(笑)
鶴見:僕ね、実は1回目の時に落車しちゃったんですよ。スワンジービーチバークの折り返しから10kmぐらいに縁石が高くなっている所があって。僕の前にも落車している人がいたんですけど、僕も縁石にひっかかって。でも植え込みにうまい具合にクルって一回転で収まって、無傷。まるでニャンコ先生みたい(笑)。「にゃんパラリのハッ、ってね(笑)」
ひとみ:それで前で落車している人に、「大丈夫ですかー!」って、人の心配をしてたんですよ(笑)
今中:その俊敏さはふだん、舞台の稽古をやっておられるからなんでしょうかね。
鶴見:それはわからないですけど(笑)
ロケーションの良さ、大会運営の良さ
今中:ハワイってねやっぱり南国の開放感あふれる雰囲気だけど、イベントでも開放感を楽しめるっていうのはいいよね。
ひとみ:コースで誘導して下さる方とか、エイドステーションでの地元のボランティアの方たちとかこう、地元との一体感もすごく良かったです。
絹代:私はセンチュリーライド以外で来たことが無いんですよ、ハワイ。だからハワイってイメージの世界で、青いビーチがあって、みんなお買い物をしてっていう(笑)でもセンチュリーライドだとジャングルみたいなところを走ったりする。だから違う印象のハワイを私は知っている的なお買い得感というか、みんな知らないところまで自分の足で行ったんだぞって。
鶴見:まさにね、自転車で海外を走ることのいいところで、走った道がなんか自分の地元のような感覚になる。海外旅行という限られた時間の中でなるべく凝縮した時間を過ごしたいとみなさん思われるはずですが、ホノルルセンチュリーライドはそれができると格好の機会だと思いますね。
今中:ロケーションもどんどん変わって、最初のダイアモンドヘッドのところなんてちょうど朝日が昇ってくるタイミング。朝日がさざ波に反射する光景なんて本当に印象的だよね。海にはサーファーがいて、それをみんな眺めてて。
そうかと思えば、ホノルルの地元の人の暮らす住宅地エリアにもコースが進んで行く。ほんとにこのイベントにはホノルルが凝縮していると思いますね。
ひとみ:序盤の「青い屋根の家」のあたりの住宅地を走っていると、自分がまだ元気なこともあって「いいなぁ~、住みたいなぁ~」なんて思っちゃう(笑)
絹代:スタートする時ってまだ暗いじゃないですか。そこはスタート時の熱気というか、みんなの緊張と期待が入り交じった独特の空気があって、そんな中スタートして登って朝焼けを見るとまだ太陽も赤い。それから走り続けて行くにつれて空が海の色とだんだん同じで青色になっていく。
そういう景色の色の移り変わりも、普通にハワイに来たのだとお寝坊したりして見れないだろうから、すごく得した気分になりますね。涼しい朝のうちなんてまさか昼に灼熱になるなんて想像がつかないくらいですもん。それで走ってて太陽が昇ると、「あ、ハワイになった」って(笑)エイドステーションでボランティアの男の子に「クッキー、食べて」って差し出されると、可愛くて嬉しくなります。
今中:こういう大会はボランティアあってのものだよね。そういう人の温かさ、優しさに感じるものはあるよね。あと、ボランティアの人だけでなくて、ライダー同士の仲間意識も心地よいよね。
絹代:そうですね、人と人との距離が近くなりますよね。「アロハ」と言うだけで、同じ時間・同じ場所を共有している気持ちになれる。日本のどこに住んでいても、ここ(ホノルル)で会ったら仲間だよ、って感じ。私もこれがきっかけで、日本に戻っても知り合いの方が何人もいます。日本だとなかなか話しかけにくくても、ハワイだとそれがないのが、とてもいいところだと思います。
絹代:一去年の参加者に新婚カップルのおふたりがいましたよね。あれもいいなぁ~って。花婿さんの前輪がディスクホイールになっていて、そこに仲間からの寄せ書きがしてあったんです。「おめでとう!」ってメッセージでいっぱい。
今中:絹代ちゃんの憧れやね(笑)
絹代:憧れで終っちゃったらどうしよう~(笑) 来年から前後ディスクホイールで走ろうかな(笑) でも、テキサスからの参加者で、テキサス名物の人形を頭につけて走っていたグループがいたけど、あれも楽しそうだったな。
160kmが人生の一大イベントになる
ひとみ:周りを見ると楽しいんだろうけど、私は走るので精一杯で記憶にないんですよね。辛すぎて(笑)制限時間ギリギリで走って。でも夕方でまた涼しくなってきたときにゴールするから、日中の暑さで辛かったことは忘れちゃうんですよね。今年はどうかな~。
絹代:今年は余裕ですよ!「坂なんてあったっけ?」くらいになってますよ。「あれ、コース変わってなーい?」みたいな(笑)ほんとに変わりますよ、感覚。
私が初めてホノルル来た時は、クロスバイクで、一日の最長走行距離は50kmっていうレベル。その時は一人で大荷物抱えて走っていて。今中さんともお会いしていなかったですしね。だから160kmってどんなに走るんだ!?って。160kmなんて学割も効く距離ですよ、電車でも(笑)
それでいざ来てみたら空気もキレイで、エイドステーションもすごい楽しくて。意外と走れた…んですけど、折り返し地点の前にある小さいアップダウン、あれがすごい辛くて。最初の年は「誰だよここ平坦だって言ったのは!」って毒づいてました(笑)。そんなだったけど、160kmって結構走れちゃうものでしたね。
今中:そうだね。全然運動をしていないOLさんで、自転車にもそんなに乗ったことがない人がホノルルにいらっしゃって。その方は上司に「絶対無理だから止めろ」って言われていたのが、160km走り切っちゃったって話を聞きましたよ。
絹代:プラクティスライドでスポーツバイクに初めて乗った方がいましたね。時速も10kmくらいしか出なくて、どう乗ったらいいのかわからない。お尻も痛くて泣きそうになっちゃって、なんとかプラクティスライドを走り切ることができたってくらい。だったのに、その後メカニックの人と相談してポジションを出したら、翌日、100マイル走り切りましたよ。その方はゴール後すごい嬉しそうで、「来て良かった」って。
今中:満足感はスゴイよね。もう人生の一大イベントになるよ。
絹代:いつまでも話のネタにできますもん(笑)あと、そうだ、国内にもロングライドイベントってたくさんありますよね。でもどれもアップダウンが厳しいんです。ちょっと最初に走るロングライドイベントとしては酷ですよね。ホノルルだと割と走りやすいから、ファーストライドとして成功しやすくていいと思いますね。景色はやっぱりキレイですし。
今中:難所はハートブレイクヒル、名前こそすごいけど標高差は40mくらいだから走れないことは無いですよね。
鶴見:押しても登りきれますもんね。これがほんとの山だったら、押して登るのさえ嫌になっちゃいますし。
今中:国内のイベントだと、400mとか600mっていう標高差のある山を走るのが当たり前ですからね。もちろんこれはキツいところにチャレンジすることに意味があるんですけれど、ホノルルはまた違いますからね。
鶴見:芸能界でもずいぶん自転車に乗りたいっていう人が増えていて、このイベントを勧めているんですよね。やっぱり160kmって短い距離ではないから、楽に走れるってわけでは無い。かといって絶対ムリということも無い。目標を立てやすいから、いろんな人に走ってもらいたいですね。
今中:国内のロングライドイベントで、半分の距離にあたる80kmを走れる人なら、きっと100マイル、160kmは充分走り切れるはずです。
鶴見:ホノルルは折り返し式だから、半分走っちゃえば、もうあとはゴールするだけですよ。意外と早く感じます。
ひとみ:イベントマジックもありますよね(笑)
本当のハワイを感じる楽しみも
絹代:ホノルルセンチュリーライドは、なかなか普通に観光では行かないようなところもコースが通るのがニクいですよね。観光客の少ないビーチとか、「いる人しかいない」所に来ちゃったんだ~って感じたりします。
今中:リアル・ハワイ、だね。昔ながらのオールドスタイルなハワイを感じることができますね。レンタカーを借りても日本人が行かないようなところだったりするから、雰囲気も満点ですよ。
絹代:ふつう海外に一人で走りにいくってコワいじゃないですか。でもこのイベントだと日本人の参加者もたくさんいるし、日本語も通じるからファーストトライとしてはすごくいいですよね。困った時は、叫べば誰かが来てくれる(笑)
今中:海外のイベントとしても、いやロングライドイベントの全ての中で一番走りやすいのはこのホノルルセンチュリーライドだと思いますね。
鶴見:ご褒美がいっぱいあるのがいいですよね。翌日リラックスするのにハワイの海を眺めに行くのもいいし、素敵なレストランに行くのもいいですよね。癒しとなってくれるものがいろいろハワイにはありますからね。体はズタボロになってたとしてもね。
ひとみ:私はズタボロでしたよ!(笑)想像できないくらい。体がもう動かないくらいでしたから(笑)その日にマッサージを受けてなんとか良くなったんですけど。
鶴見:直後のマッサージは効いたよね。あれはもう天国ですよ。みなさん、予約しておくことをおススメします(笑)そういうお楽しみプランをつけておくと、走った後もより一層楽しめますよね。
今中:翌日にアラモアナセンターに行くと、いっぱい大会のTシャツを着た方がいらっしゃいますよ。みんな腕を真っ赤にして(笑)
絹代:間違いないですね(笑)
今中:間違いない。スネ毛が無かったり(笑)
絹代:160kmっていうとなんかすごく聞こえますけど、私レベルでも初めて参加した年に完走して、翌日はビーチに遊びにいけるぐらい元気が残っていました(笑)自転車って回復が早いじゃないですか。たぶんフルマラソンだと翌日は動けないですよね。だから、走った後にもハワイが楽しめるという意味でもホノルルセンチュリーライドはいいですよね。
※この対談は2009年の大会時にハワイにて収録したものです。
編集部からのあとがき
さあ、いよいよ今週末の9月26日、ホノルルセンチュリーライドが開催されます。初めて参加する人で、これを読んだ方はきっと完走への不安感が払拭されたのではないでしょうか?
走ればきっと大丈夫。シクロワイアード編集部も今中さん、絹代さん、鶴見さんらと一緒に参加者の皆さんを一生懸命サポートします。どうぞよろしくお願いします。 では最高の旅を。アロハ!
text: Yufta.OMATA
photo:Makoto.AYANO
対談出演:今中大介(インターマックス代表)、鶴見辰吾(俳優)、鶴見ひとみ、絹代(サイクルライフナビゲーター)
今中:なんといってもハワイというあこがれの場所ですね。鶴見さんもそうだけど、芸能人がお正月に行く、なんてイメージがありますからね(笑)。
鶴見:海外旅行を考える時に、とっつきやすい場所だと思うんです。よくハワイに始まりハワイに終るなんて言いますけれど、そうやってただ訪れるだけでも楽しい場所を自転車で走るって楽しみが増えて、相乗効果で面白くなる。
しかもレースじゃなくてファンライドなので、家族で楽しめる。ウチなんかもそうだけど、僕が自転車を始めた時は乗るのが楽しくて楽しくて、いかに奥さんを連れて行こうかと。ハワイというエサをぶら下げて、「ちょっと走らない?」って(笑)20kmくらいだったら走れると思っていたけど、結局160kmを走っちゃいましたからね。
絹代:その時は、ひとみさんは長い距離を乗る練習はされていたんですか?
鶴見:80kmがその時の彼女の最長距離でしたね。でも、このホノルルセンチュリーライドのコースは折り返し式で、着いちゃったんですよ、100マイルの折り返し地点に(笑)あとは完走するしかないからがんばろうって。
絹代:初めて完走された時の感想はいかがでした?
ひとみ:もうスゴかった!自分(笑)初めて走ったのは5年前だったんですが、その時は今中さんも走られていて。それで今中さんにお声をかけていただいて、感激して、テンション上がって(笑)
鶴見:あれはサンディー・ビーチあたりでしたね。
今中:そうですね、かなり早いうちでしたね。
鶴見:僕ね、その時はヘルメットかぶってサングラスをかけて、多くの人が着てそうな白いジャージ姿だったから誰もわからないだろうと思ってたんですけど、遠くから今中さんが「鶴見さん~、いらしてたんですか~!」って即発見されて(笑)
今中:わかりますよ~。だってその頃でしょう?自転車の雑誌に出始めたのも。
鶴見:いやいや、その時はまだ自分だけで乗っている時ですよ。4年前のホノルルセンチュリーライドの時に、家内がハワイに浮かれてたのかビキニ姿で自転車に乗っていたんですが、それが雑誌の記者の方の目に留まって取材されることになって。
ひとみ:その時に「取材を受けていいか、主人に聞いてみます」って言ったら、主人がその雑誌の愛読者で。その記者さんも「あっれー鶴見辰吾さん!?自転車に乗られるんですか?」って(笑)
鶴見:そこからいろんな自転車雑誌にお世話になるようになったんですよ。
今中:そうだったか~。でも4年前は、すぐ鶴見さんだとわかりましたよ。
絹代:それまでにお2人は交流はあったんですか?
今中:鶴見さんのデビュー戦がツアー・オブ・ジャパンの東京ステージの市民レースでしたよね。その時に紹介されたけど、その時の一回だけでしたね。ホノルルは2度目でした。
鶴見:よく見つけましたね~。
今中:わかりますよ。オーラが違いますもん。
ひとみ:今中さんはどこからみても今中さんですよね。どんなに遠くてもすぐわかる。それで声をかけていただいた時も「あ~ん、イメージ通りでステキ~」って(笑)
鶴見:僕ね、実は1回目の時に落車しちゃったんですよ。スワンジービーチバークの折り返しから10kmぐらいに縁石が高くなっている所があって。僕の前にも落車している人がいたんですけど、僕も縁石にひっかかって。でも植え込みにうまい具合にクルって一回転で収まって、無傷。まるでニャンコ先生みたい(笑)。「にゃんパラリのハッ、ってね(笑)」
ひとみ:それで前で落車している人に、「大丈夫ですかー!」って、人の心配をしてたんですよ(笑)
今中:その俊敏さはふだん、舞台の稽古をやっておられるからなんでしょうかね。
鶴見:それはわからないですけど(笑)
ロケーションの良さ、大会運営の良さ
今中:ハワイってねやっぱり南国の開放感あふれる雰囲気だけど、イベントでも開放感を楽しめるっていうのはいいよね。
ひとみ:コースで誘導して下さる方とか、エイドステーションでの地元のボランティアの方たちとかこう、地元との一体感もすごく良かったです。
絹代:私はセンチュリーライド以外で来たことが無いんですよ、ハワイ。だからハワイってイメージの世界で、青いビーチがあって、みんなお買い物をしてっていう(笑)でもセンチュリーライドだとジャングルみたいなところを走ったりする。だから違う印象のハワイを私は知っている的なお買い得感というか、みんな知らないところまで自分の足で行ったんだぞって。
鶴見:まさにね、自転車で海外を走ることのいいところで、走った道がなんか自分の地元のような感覚になる。海外旅行という限られた時間の中でなるべく凝縮した時間を過ごしたいとみなさん思われるはずですが、ホノルルセンチュリーライドはそれができると格好の機会だと思いますね。
今中:ロケーションもどんどん変わって、最初のダイアモンドヘッドのところなんてちょうど朝日が昇ってくるタイミング。朝日がさざ波に反射する光景なんて本当に印象的だよね。海にはサーファーがいて、それをみんな眺めてて。
そうかと思えば、ホノルルの地元の人の暮らす住宅地エリアにもコースが進んで行く。ほんとにこのイベントにはホノルルが凝縮していると思いますね。
ひとみ:序盤の「青い屋根の家」のあたりの住宅地を走っていると、自分がまだ元気なこともあって「いいなぁ~、住みたいなぁ~」なんて思っちゃう(笑)
絹代:スタートする時ってまだ暗いじゃないですか。そこはスタート時の熱気というか、みんなの緊張と期待が入り交じった独特の空気があって、そんな中スタートして登って朝焼けを見るとまだ太陽も赤い。それから走り続けて行くにつれて空が海の色とだんだん同じで青色になっていく。
そういう景色の色の移り変わりも、普通にハワイに来たのだとお寝坊したりして見れないだろうから、すごく得した気分になりますね。涼しい朝のうちなんてまさか昼に灼熱になるなんて想像がつかないくらいですもん。それで走ってて太陽が昇ると、「あ、ハワイになった」って(笑)エイドステーションでボランティアの男の子に「クッキー、食べて」って差し出されると、可愛くて嬉しくなります。
今中:こういう大会はボランティアあってのものだよね。そういう人の温かさ、優しさに感じるものはあるよね。あと、ボランティアの人だけでなくて、ライダー同士の仲間意識も心地よいよね。
絹代:そうですね、人と人との距離が近くなりますよね。「アロハ」と言うだけで、同じ時間・同じ場所を共有している気持ちになれる。日本のどこに住んでいても、ここ(ホノルル)で会ったら仲間だよ、って感じ。私もこれがきっかけで、日本に戻っても知り合いの方が何人もいます。日本だとなかなか話しかけにくくても、ハワイだとそれがないのが、とてもいいところだと思います。
絹代:一去年の参加者に新婚カップルのおふたりがいましたよね。あれもいいなぁ~って。花婿さんの前輪がディスクホイールになっていて、そこに仲間からの寄せ書きがしてあったんです。「おめでとう!」ってメッセージでいっぱい。
今中:絹代ちゃんの憧れやね(笑)
絹代:憧れで終っちゃったらどうしよう~(笑) 来年から前後ディスクホイールで走ろうかな(笑) でも、テキサスからの参加者で、テキサス名物の人形を頭につけて走っていたグループがいたけど、あれも楽しそうだったな。
160kmが人生の一大イベントになる
ひとみ:周りを見ると楽しいんだろうけど、私は走るので精一杯で記憶にないんですよね。辛すぎて(笑)制限時間ギリギリで走って。でも夕方でまた涼しくなってきたときにゴールするから、日中の暑さで辛かったことは忘れちゃうんですよね。今年はどうかな~。
絹代:今年は余裕ですよ!「坂なんてあったっけ?」くらいになってますよ。「あれ、コース変わってなーい?」みたいな(笑)ほんとに変わりますよ、感覚。
私が初めてホノルル来た時は、クロスバイクで、一日の最長走行距離は50kmっていうレベル。その時は一人で大荷物抱えて走っていて。今中さんともお会いしていなかったですしね。だから160kmってどんなに走るんだ!?って。160kmなんて学割も効く距離ですよ、電車でも(笑)
それでいざ来てみたら空気もキレイで、エイドステーションもすごい楽しくて。意外と走れた…んですけど、折り返し地点の前にある小さいアップダウン、あれがすごい辛くて。最初の年は「誰だよここ平坦だって言ったのは!」って毒づいてました(笑)。そんなだったけど、160kmって結構走れちゃうものでしたね。
今中:そうだね。全然運動をしていないOLさんで、自転車にもそんなに乗ったことがない人がホノルルにいらっしゃって。その方は上司に「絶対無理だから止めろ」って言われていたのが、160km走り切っちゃったって話を聞きましたよ。
絹代:プラクティスライドでスポーツバイクに初めて乗った方がいましたね。時速も10kmくらいしか出なくて、どう乗ったらいいのかわからない。お尻も痛くて泣きそうになっちゃって、なんとかプラクティスライドを走り切ることができたってくらい。だったのに、その後メカニックの人と相談してポジションを出したら、翌日、100マイル走り切りましたよ。その方はゴール後すごい嬉しそうで、「来て良かった」って。
今中:満足感はスゴイよね。もう人生の一大イベントになるよ。
絹代:いつまでも話のネタにできますもん(笑)あと、そうだ、国内にもロングライドイベントってたくさんありますよね。でもどれもアップダウンが厳しいんです。ちょっと最初に走るロングライドイベントとしては酷ですよね。ホノルルだと割と走りやすいから、ファーストライドとして成功しやすくていいと思いますね。景色はやっぱりキレイですし。
今中:難所はハートブレイクヒル、名前こそすごいけど標高差は40mくらいだから走れないことは無いですよね。
鶴見:押しても登りきれますもんね。これがほんとの山だったら、押して登るのさえ嫌になっちゃいますし。
今中:国内のイベントだと、400mとか600mっていう標高差のある山を走るのが当たり前ですからね。もちろんこれはキツいところにチャレンジすることに意味があるんですけれど、ホノルルはまた違いますからね。
鶴見:芸能界でもずいぶん自転車に乗りたいっていう人が増えていて、このイベントを勧めているんですよね。やっぱり160kmって短い距離ではないから、楽に走れるってわけでは無い。かといって絶対ムリということも無い。目標を立てやすいから、いろんな人に走ってもらいたいですね。
今中:国内のロングライドイベントで、半分の距離にあたる80kmを走れる人なら、きっと100マイル、160kmは充分走り切れるはずです。
鶴見:ホノルルは折り返し式だから、半分走っちゃえば、もうあとはゴールするだけですよ。意外と早く感じます。
ひとみ:イベントマジックもありますよね(笑)
本当のハワイを感じる楽しみも
絹代:ホノルルセンチュリーライドは、なかなか普通に観光では行かないようなところもコースが通るのがニクいですよね。観光客の少ないビーチとか、「いる人しかいない」所に来ちゃったんだ~って感じたりします。
今中:リアル・ハワイ、だね。昔ながらのオールドスタイルなハワイを感じることができますね。レンタカーを借りても日本人が行かないようなところだったりするから、雰囲気も満点ですよ。
絹代:ふつう海外に一人で走りにいくってコワいじゃないですか。でもこのイベントだと日本人の参加者もたくさんいるし、日本語も通じるからファーストトライとしてはすごくいいですよね。困った時は、叫べば誰かが来てくれる(笑)
今中:海外のイベントとしても、いやロングライドイベントの全ての中で一番走りやすいのはこのホノルルセンチュリーライドだと思いますね。
鶴見:ご褒美がいっぱいあるのがいいですよね。翌日リラックスするのにハワイの海を眺めに行くのもいいし、素敵なレストランに行くのもいいですよね。癒しとなってくれるものがいろいろハワイにはありますからね。体はズタボロになってたとしてもね。
ひとみ:私はズタボロでしたよ!(笑)想像できないくらい。体がもう動かないくらいでしたから(笑)その日にマッサージを受けてなんとか良くなったんですけど。
鶴見:直後のマッサージは効いたよね。あれはもう天国ですよ。みなさん、予約しておくことをおススメします(笑)そういうお楽しみプランをつけておくと、走った後もより一層楽しめますよね。
今中:翌日にアラモアナセンターに行くと、いっぱい大会のTシャツを着た方がいらっしゃいますよ。みんな腕を真っ赤にして(笑)
絹代:間違いないですね(笑)
今中:間違いない。スネ毛が無かったり(笑)
絹代:160kmっていうとなんかすごく聞こえますけど、私レベルでも初めて参加した年に完走して、翌日はビーチに遊びにいけるぐらい元気が残っていました(笑)自転車って回復が早いじゃないですか。たぶんフルマラソンだと翌日は動けないですよね。だから、走った後にもハワイが楽しめるという意味でもホノルルセンチュリーライドはいいですよね。
※この対談は2009年の大会時にハワイにて収録したものです。
編集部からのあとがき
さあ、いよいよ今週末の9月26日、ホノルルセンチュリーライドが開催されます。初めて参加する人で、これを読んだ方はきっと完走への不安感が払拭されたのではないでしょうか?
走ればきっと大丈夫。シクロワイアード編集部も今中さん、絹代さん、鶴見さんらと一緒に参加者の皆さんを一生懸命サポートします。どうぞよろしくお願いします。 では最高の旅を。アロハ!
text: Yufta.OMATA
photo:Makoto.AYANO