2010/09/12(日) - 18:55
前回の”つくば10耐”では、我々を心の底からがっかりさせてくれたメタボ会長が、いつもと変わらぬ退屈な編集会議をこなす我々のもとへ笑顔で近寄ってくる。「いま君達が打ち合わせてた”Mt.FIJIエコサイクリング”って、取材申請はしてあるのかな?」
「主催者側には3名で申請はしてありますけど、120kmの実走取材になりますから、もちろん会長はパスですよね?」自衛本能を全面に押し出しながら、メタボ会長の出鼻をへし折ったつもりだったのだが。
「"つくば10耐"みたいなスピードイベントは俺にはハードルが高すぎたけど、のんびりサイクリングなら大丈夫だよ。」何を根拠に大丈夫という言葉が出てくるのかが我々には全く持って理解不能である。
「ちなみに、会長の1日間の最長到達距離ってどれくらいでしたっけ?」
何とか出走を思い留まらそうと、意地悪な眼差しで質問する編集長に対し、空気を読めない天才がサラリと答える。
「ん?多摩湖ロードを5周した事があるから、60kmってところだな。いずれは100kmの壁を超えなきゃイカンと思ってたから丁度いい機会だよ。じゃ、登録ヨロシク!」
こうして、撮影機材6kgに加えてメタボ会長と云うお荷物を抱えての厳しい実走取材に耐えるハメになった我々編集部であった。
早朝の山中湖畔スタートゲート。天候に恵まれた清々しい朝を迎えた。
快晴にめぐまれたサイクリング当日。
何故か朝からメタボ会長のご機嫌が優れない様子だ。 「会長、体調でも崩されましたか?」
それとなく気を遣って問いかけた私に、しかめっ面のメタボ会長が答えてくる。
「昨日の宿に牛ガエルが一匹まぎれ込んでたお陰で寝不足全開だよ。」 振り返ると、編集長まで恨めしそうに私を見ているではないか。どうやら、牛ガエルとやらの正体はこの私の様である。
MCの絹代さんとスタッフ統括責任者の中島さん
寝不足のせいで朝からご機嫌ななめです
1000人以上の参加者がスタートを待つ
サイスポは吉本さんと美人モデルさんのカッコイイ2人が実走ロケ。なんでCWはアナタなんですか...。
朝陽が溢れる山中湖畔に向けて次々とスタートして行く参加者に交じり、颯爽とスタートしてゆくメタボ会長。前半の60kmは下り基調の平坦路が続く。爽やかな気候も手伝い、参加者の皆さんの表情も明るい。都心に比べると7℃ほど低い気温20℃の朝焼けの中を1500名を超えるサイクリストが駆け抜けてゆく。
朝日に包まれながらスタート。高原の空気は底抜けに気持ち良い。
避暑地ならではの美味しい空気と広々とした風景が、日常のストレスから我々を解き放ってくれる気がする。都心の雑踏とはかけ離れた長閑な景色に包まれながら、順調に車列は進む。
青木ヶ原樹海に差しかかった辺りで、何の前触れも無くメタボ会長から編集長にむけてゲキが飛ぶ。
「君達の事業部がこのまま赤字を垂れ流し続けると、いずれ俺はこのあたりをさまようハメになるぞ!」
どうやら寝不足からくるご機嫌斜めは継続中の様子である。八つ当たりの的になった編集長が気の毒になる。
青木が原樹海辺りで編集長に八つ当たりするメタボ会長
交通量の少ないコースをのんびり進む
長閑な農道。新鮮な空気を胸一杯に深呼吸
「牛さんがいっぱいいるぞ。」牧場なので当たり前ですが?
2時間程で55kmを走破し、日本初の盲導犬育成総合センターである盲導犬の里「富士ハーネスエイドステーション」に滑り込む。
「おいおい、全然楽勝なんですけど? やはり普段の練習のタマモノだな」満足顔のメタボ会長が吠える。
もっとも、ここまでは下り基調で誰でも楽勝のコースレイアウトになっているのだから当たり前の話である。
「盲導犬のために100円募金しといたぞ。有名な富士宮ヤキソバでも食っちゃぉ~。」そう言い残して、そそくさと出店に向かうメタボ会長を遠目に見ながら編集長が怒りの表情でつぶやく。
「アンタの社会的立場を考えたら募金が100円じゃオカシイだろ!せめて1万円位は寄付しとかんかい!」
ここまではいたって順調。疲労感は全く無し。
盲導犬ドレミちゃんとトレーナーのお姉さま。
「募金しちゃお~っと。」 って、たった100円かよ!
補給水よりもスタッフさんの笑顔のほうが効果大?
B級グルメの王様 富士宮ヤキソバは外せないぞ。
スタイリッシュな女性ライダーさんが増えてきましたね。
一仕切りまどろんだ所で「富士ハーネスAS」を後にし、「富士山こどもの国AS」を目指し走り出す。ここからが今コースの最初の難関である。5%~8%の登りがダラダラと15km以上続き、ラスト1kmは10%を超える急坂が控えている。
交通量が少なくとても走りやすいレイアウトなのだが、メタボ会長の表情はみるみる険しくなっていく。オヤジにとっては初体験となる本当の登りだ。
「いやぁ~キツイぞぉ!」 と叫びながら赤鬼のような形相で漕ぎ続ける姿が、チョッピリ可愛く見えるから不思議である。
登りが続く林間道路。はるか前方でメタボ会長がもがく。
林間部を抜けても登りはひたすら続く。
「みんな俺についてこ~い」 半分ヤケになってませんか?
「電池が切れる~!」 かなり苦しそうです。
「こんなトコで牛さん達が昼寝してるぞ。」 都会の雑踏ではお目に掛れない景色に心が豊かになった気がしますね。
「え~?1時間で15kmしか進んでないぞ。これ合ってるのか?」
10%超えの急坂にみなさん苦戦しています。
ラストの急坂も何とかこなし「富士山こどもの国AS」に転がりこむメタボ会長。かなりヘコタレた様子で暫し座り込んだ後、疲労回復の為にエイドステーションでひたすら補給に努める。
ボランティアスタッフさんから「メタボ会長がんばって下さいね。」と声を掛けられ、いい気になったオヤジは、差しだされる補給食を黙々とその腹に流し込む。
今大会は読者の皆さんからメタボ会長に掛けて頂く声援がとても多い。
「いつも仕事中にサボッて愛読してます。頑張って完走してくださいね」
「家族に内緒でこっそり読んでますよ。自転車で一緒に痩せましょう」
「メタボ会長の記事をきっかけに健康の為に自転車はじめたんですよ。」などなど...。
それらが声援と呼べるか否かはともかく、皆さんそっと近寄ってきて視線を合わせない様に小声で激励し、まるで周囲に悟られることを警戒するかの様な姿で立ち去ってゆく(笑)。
中には「一緒に写真撮って貰えますか?」 と切り出す熱心なメタボファン?の方も何組かいらして、当のメタボ会長は嬉しそうにファインダーに納まっていた。ただ、こんなオヤジと同じ写真に写ってしまった読者の皆さんに災いが起こらなければと願うしかできない編集部ではあったが・・・。
「いや~まいった。完全にガス欠だよ。」
ヤマザキさんが惣菜パンを無料配布。ありがたいですね。
明るいスタッフさんの笑顔に元気回復かな?
アンタは補給と食事を間違えてやいませんか?
マトリックスの名物監督安原さんに遭遇
「もう食べれないよ~。」 どんだけバナナ好きなんですか?
「富士山こどもの国AS」を後にした私達は、山間部の涼しい下り区間と富士裾野の大平原を颯爽と駆け抜ける。この楽チン区間でスタイリッシュな女性ライダーとのランデブーを楽しむメタボ会長。
「やっぱり、女性ライダーとのサイクリングは心躍るね~。」 とオヤジの顔は弛みっ放しだ。
残り22km看板を通過し、いよいよ富士パノラマラインの籠坂峠越えに挑む。この区間が今大会のクライマックスとも呼べる所で、日蔭の無い登り坂が20km弱続き、勾配も所々で10%を超える。
最後のASで無償至急のアミノバイタルゼリーをガッツリ補給し、登り続けるメタボ会長。いつも饒舌なオヤジも無言でひたすら漕ぎ続ける。
「やっぱり、女性ライダーとのサイクリングは心躍るね~。」
富士山麓の見渡す限りの大草原は雄大な景色だ。
ここから本当のクライマックスを迎えます。
アミノバイタルゼリーをガッツリ補給。このサービスは助かりました。
最大の難所「籠坂峠」へのアプローチ。
陽気なメタボ会長も無言のまま漕ぎ続ける
峠頂部まであと1km。ヘロヘロのご様子です。
「登り切ったぞぉ~!」 メタボ会長にしては上出来?
ヘロヘロになりながらも何とか籠坂峠を登りきったメタボ会長。我々の予想を裏切る頑張りで漕ぎ切ったその姿に思わず感心させられそうになったが、よくよく考えれば、編集長はこの登り区間を、首から一眼レフをぶら下げ、背中のザックに望遠レンズとビデオカムを背負ったまま、取材のために撮影をしながら2往復半しているのだ。
メタボ会長がだらしないのか、それとも編集長がバケモノなのかの判断は難しい所ではあるが、少なくとも私は取材そっちのけで籠坂峠を越えるだけで精一杯だった事だけは、恥ずかしながら紛れもない事実である。
更に、普段は52-11T、52-13T、52-15T、52-17Tの4種類のギアしか使わないメタボ会長が、十里木高原への坂と籠坂峠の2か所で、初めてインナーロー(39-28T)を使用したのもまた、紛れもない事実であった。
ゴールに飛び込むメタボ会長。生涯初の100km超えだったが、なんとか無事に達成だ。
こうして難所の籠坂峠を越えた私達は、再び山中湖畔を駆け抜け、無事にゴールを迎えた。
メタボ会長の生涯初の100km超えも無事完走である。ゴール地点の山中湖面が太陽を受けてキラキラと輝いている。その湖面に負けず劣らず、メタボ会長の表情も充実感で光り輝いている。
「いやぁ~キツかったな。でもなんだかとっても清々しいぞ!充実した疲労感ってとこだな。」
ゴールと共にいつもの饒舌なオヤジに戻ったメタボ会長をみると、やっぱり連れてきてあげてよかったなと心から感じる。ゴールした時の充実感こそ自転車イベントの醍醐味である。走行中は苦痛でしかない登り坂があるからこそ、この充実感がより深まるものだと再認識させられる私だった。
NIPPOルックで決めたチビッコ君ファミリー。カッコイイぞ!
「ファイテンさん、腰が痛いんですけど。」 その腹の方が重傷では?
ゴール後、暫し座り込んでいたメタボ会長もすっかり回復し、参加者の方々と楽しそうに談笑している。ゴール地点に設置された出店をハシゴしながら吉田ウドンを腹に流し込むメタボ会長の姿を見ると、間違ってもこの人が痩せる日は来ないなと感じながらも何故か私の表情が緩んでくるのを感じる。
やっぱり、自転車ってイイもんである。
今回の実走取材中には、今までには無い同情の言葉を読者の方々から頂いた。
「メタボ会長のお守は大変ですね、御苦労さまです。」 こんな言葉を掛けてくれた読者さんが20人程は居ただろうか?この言葉で少しは報われる気がした我々編集部だった。
今回、編集部チームが実走取材にお伺いした「Mt.富士エコサイクリング」を支えて下さった大会関係者並びにサポートスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。 編集部一同。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
「ポイ捨てはダメだぞ!」 メタボ会長
身長 : 172cm 体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 15ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立し平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。
「主催者側には3名で申請はしてありますけど、120kmの実走取材になりますから、もちろん会長はパスですよね?」自衛本能を全面に押し出しながら、メタボ会長の出鼻をへし折ったつもりだったのだが。
「"つくば10耐"みたいなスピードイベントは俺にはハードルが高すぎたけど、のんびりサイクリングなら大丈夫だよ。」何を根拠に大丈夫という言葉が出てくるのかが我々には全く持って理解不能である。
「ちなみに、会長の1日間の最長到達距離ってどれくらいでしたっけ?」
何とか出走を思い留まらそうと、意地悪な眼差しで質問する編集長に対し、空気を読めない天才がサラリと答える。
「ん?多摩湖ロードを5周した事があるから、60kmってところだな。いずれは100kmの壁を超えなきゃイカンと思ってたから丁度いい機会だよ。じゃ、登録ヨロシク!」
こうして、撮影機材6kgに加えてメタボ会長と云うお荷物を抱えての厳しい実走取材に耐えるハメになった我々編集部であった。
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快晴にめぐまれたサイクリング当日。
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それとなく気を遣って問いかけた私に、しかめっ面のメタボ会長が答えてくる。
「昨日の宿に牛ガエルが一匹まぎれ込んでたお陰で寝不足全開だよ。」 振り返ると、編集長まで恨めしそうに私を見ているではないか。どうやら、牛ガエルとやらの正体はこの私の様である。
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青木ヶ原樹海に差しかかった辺りで、何の前触れも無くメタボ会長から編集長にむけてゲキが飛ぶ。
「君達の事業部がこのまま赤字を垂れ流し続けると、いずれ俺はこのあたりをさまようハメになるぞ!」
どうやら寝不足からくるご機嫌斜めは継続中の様子である。八つ当たりの的になった編集長が気の毒になる。
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交通量が少なくとても走りやすいレイアウトなのだが、メタボ会長の表情はみるみる険しくなっていく。オヤジにとっては初体験となる本当の登りだ。
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それらが声援と呼べるか否かはともかく、皆さんそっと近寄ってきて視線を合わせない様に小声で激励し、まるで周囲に悟られることを警戒するかの様な姿で立ち去ってゆく(笑)。
中には「一緒に写真撮って貰えますか?」 と切り出す熱心なメタボファン?の方も何組かいらして、当のメタボ会長は嬉しそうにファインダーに納まっていた。ただ、こんなオヤジと同じ写真に写ってしまった読者の皆さんに災いが起こらなければと願うしかできない編集部ではあったが・・・。
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残り22km看板を通過し、いよいよ富士パノラマラインの籠坂峠越えに挑む。この区間が今大会のクライマックスとも呼べる所で、日蔭の無い登り坂が20km弱続き、勾配も所々で10%を超える。
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メタボ会長がだらしないのか、それとも編集長がバケモノなのかの判断は難しい所ではあるが、少なくとも私は取材そっちのけで籠坂峠を越えるだけで精一杯だった事だけは、恥ずかしながら紛れもない事実である。
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こうして難所の籠坂峠を越えた私達は、再び山中湖畔を駆け抜け、無事にゴールを迎えた。
メタボ会長の生涯初の100km超えも無事完走である。ゴール地点の山中湖面が太陽を受けてキラキラと輝いている。その湖面に負けず劣らず、メタボ会長の表情も充実感で光り輝いている。
「いやぁ~キツかったな。でもなんだかとっても清々しいぞ!充実した疲労感ってとこだな。」
ゴールと共にいつもの饒舌なオヤジに戻ったメタボ会長をみると、やっぱり連れてきてあげてよかったなと心から感じる。ゴールした時の充実感こそ自転車イベントの醍醐味である。走行中は苦痛でしかない登り坂があるからこそ、この充実感がより深まるものだと再認識させられる私だった。


ゴール後、暫し座り込んでいたメタボ会長もすっかり回復し、参加者の方々と楽しそうに談笑している。ゴール地点に設置された出店をハシゴしながら吉田ウドンを腹に流し込むメタボ会長の姿を見ると、間違ってもこの人が痩せる日は来ないなと感じながらも何故か私の表情が緩んでくるのを感じる。
やっぱり、自転車ってイイもんである。
今回の実走取材中には、今までには無い同情の言葉を読者の方々から頂いた。
「メタボ会長のお守は大変ですね、御苦労さまです。」 こんな言葉を掛けてくれた読者さんが20人程は居ただろうか?この言葉で少しは報われる気がした我々編集部だった。
今回、編集部チームが実走取材にお伺いした「Mt.富士エコサイクリング」を支えて下さった大会関係者並びにサポートスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。 編集部一同。
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
身長 : 172cm 体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 15ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立し平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。
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