2021/12/08(水) - 17:25
秋晴れの袖ヶ浦サーキットで開催されたエンデューロレース「サイクルジャンボリー袖ケ浦 ディスタンスチャレンジ」の上位入賞者バイクを前後2編で紹介。今回は男女200km優勝者にも登場頂きます。
200kmチャレンジ優勝:高岡亮寛さん(Roppongi Express) アンカー RP9
今回のサイクルジャンボリー最長カテゴリーとなった200kmクラスで後半単独逃げを決め、見事優勝を飾ったのは、言わずと知れた最速ホビーレーサーであり、Roppongi Express代表、そして目黒のプロショップRX BIKEの代表を務める高岡亮寛さん。途中160kmクラスのトップグループと逃げ、その後200kmクラスの後続集団が合流してからもう一度逃げ、単独のまま5周を逃げきるという異次元の強さを披露した氏のバイクは、最近組み上げたという話題モデル、アンカーRP9だ。
高岡さんと言うとスペシャライズドのイメージが強いかもしれないが、これまでタイムやピナレロなど他ブランドも多く所有するなど「その時に興味のある、好きなバイクに乗ってみたい」主義。その走りは「期待していた通り、上りだろうが平地だろうがすごく良く進むバイク」だと言う。
コンポーネントは12速化を果たした新型デュラエースで、「ディレイラーの動きが良いし、ブレーキの感触も良くなった」とのこと。クランク長やハンドル幅などはこれまでのものから変更して試行錯誤しているという。
ホイールは「一番オールマイティに使えると思う」と言うロヴァールのRAPIDE CLXで、RX BIKEメカスタッフ鏑木さんによるゴールドステッカーチューンが施されていた(色が合わないのは他のバイク用に作ったからとのこと)。
高岡さんは自身の目標とするニセコクラシックやグランフォンド世界選手権を目指す傍ら、グラベルやシクロクロスなど、オフロードカテゴリーにもお店のユーザーと一緒にチャレンジしている。アメリカで来年開催されるアンバウンドグラベルも自身の目標の一つだ。
「ガタガタ道って走ってるだけで楽しいですよね。レースはまだ出ていないけれど、見てるだけでも楽しいのでチャレンジしてみたいな、と思ったんです。そのスキルはロードでも活かせるものだし、その楽しみをみんなで共有できるのは、とても嬉しいんです」と話してくれた(しかし高岡さんは翌日のシクロクロス参戦で怪我をしてしまった...)。
200kmチャレンジ女子優勝:山田菜月さん(Team 一匹狼) ルック 765 HM
男子でも過酷な200kmクラスにチャレンジし、平均36.10km/hで走りきり女子カテゴリー優勝を飾ったのが山田菜月さん(Team 一匹狼)。「とても楽しかったけれど、最初の1時間は男子の先頭集団に入っていたので平均44km/hとかでキツかったです。千切れたあとはハシケンさんのグループでずっと走らせてもらいました」とレースを振り返る。
「一目惚れで買ったんです」と言うバイクはモンドリアンカラーが目立つルックの765HMで、「最近他のバイクに乗る機会があったのですが、やっぱり私にはこのバイクだなあ、とその時改めて思いましたね」とのこと。エンデュランスモデルでヘッドチューブが長いため、角度の深いステムでハンドル位置を下げるなど、レースユースのための工夫が見て取れる。
実は山田さん、自転車を初めて僅か3年弱なのに今年の全日本選手権参加資格を取るほどの脚の持ち主。この765は僅か半年で事故廃車になってしまったという初代機に続く2台目だと言う。
「今年の全日本はコロナがまだ流行っていたので見送ったんです。来年はこのバイクと一緒に良い走りをしたいな、と。まだ競技歴が浅いのにここまでこれたのは一緒にトレーニングしてくれる仲間のおかげです」と話してくれた。
100kmチャレンジ優勝:中川恵太さん サーヴェロ S5
混戦の100kmクラスで、後半10周回をたった一人で逃げ切り優勝したのがこの人、中川恵太さん。普段はトライアスロンに取り組んでいるという大学4年生で、「今回がちゃんとした自転車レースは3回目」と言うから取材班もライバル勢も驚かされた。
「集団のペースが落ち着いていたので一人でペースを上げてみました。意外とキツかったけれど逃げ切れて良かったです」と笑顔を見せる中川さんのバイクは、サーヴェロのS5。もちろんトライアスロンのためにエアロを重視して選んだバイクであり、その独走劇に大きく貢献してくれたという。
パーツやセッティングもエアロを重視した仕様だ。例えばハンドルは単体のエアロとTTハンドルを付けることを考えてスペシャライズドのAEROFLYに。DHバーもしくは上ハンドルを握ることを前提とした前乗りセッティングにしているとのこと。ちなみにバーテープは「海水がついても滑らずとても良い」と言うフィジークのVentoマイクロテックス。
ホイールはデュラエースC60のチューブラーで、S5への乗り換えにあたって買い換えたという。DI2コンポーネントもTTポジションを取った時の効率を考えてのものだ。
ちなみに中川さん、表彰式後はランニングシューズに履き替えてピット周辺でずっとラントレーニングをしてました(恐)。ロードのホビーレース界でも注目の存在になるかも?
50kmチャレンジ3位:福山舞さん(Sheg) ビアンキ Oltre XR3 Disc
混戦の女子50kmで3位表彰台に乗ったのが福山舞さん(Sheg)。バイクはビアンキ Oltre XR3 Discだが、よく見れば今大会参加者中おそらく唯一かもしれない(?)フロントシングル仕様である。サーキットエンデューロなのに前1枚!?と驚かされたので登場をお願いさせて頂きました。
スラムの最高峰コンポーネントであるRED eTAP AXSを基本にしつつ、クランクセットはForce1 AXSでフロントシングル化(40T)したうえクォークのPower Meter Spiderを組み合わせる。リアカセットは10-33Tがセットされていた(最大ギア比4.0、最小1.21)。
フロントシングルの理由は、「頭が悪くて(笑)今アウターなのかインナーなのか分からなくなることが多かったんです。だからフロントシングルにしようと思って。たまたまショップに在庫があったこれにしてみました」というまさかのお答え。それでも実際ギア不足を感じることもなく、脚にはぴったりだという。
バイク自体は納車してから2,3年ほど。「乗り換えを考えなくもないですが、それでも好きなビアンキになるかなってと思います」とのこと。50kmクラスで優勝した高橋瑞恵さん(Roppongi Express)と競り合ってレースを走りたいという目標があるそうで、「でも今日は2回くらいラップされちゃったのでまだまだですね。インターバルが弱いので頑張ります」と意気込みを話してくれた。
text&photo:So Isobe
200kmチャレンジ優勝:高岡亮寛さん(Roppongi Express) アンカー RP9
今回のサイクルジャンボリー最長カテゴリーとなった200kmクラスで後半単独逃げを決め、見事優勝を飾ったのは、言わずと知れた最速ホビーレーサーであり、Roppongi Express代表、そして目黒のプロショップRX BIKEの代表を務める高岡亮寛さん。途中160kmクラスのトップグループと逃げ、その後200kmクラスの後続集団が合流してからもう一度逃げ、単独のまま5周を逃げきるという異次元の強さを披露した氏のバイクは、最近組み上げたという話題モデル、アンカーRP9だ。
高岡さんと言うとスペシャライズドのイメージが強いかもしれないが、これまでタイムやピナレロなど他ブランドも多く所有するなど「その時に興味のある、好きなバイクに乗ってみたい」主義。その走りは「期待していた通り、上りだろうが平地だろうがすごく良く進むバイク」だと言う。
コンポーネントは12速化を果たした新型デュラエースで、「ディレイラーの動きが良いし、ブレーキの感触も良くなった」とのこと。クランク長やハンドル幅などはこれまでのものから変更して試行錯誤しているという。
ホイールは「一番オールマイティに使えると思う」と言うロヴァールのRAPIDE CLXで、RX BIKEメカスタッフ鏑木さんによるゴールドステッカーチューンが施されていた(色が合わないのは他のバイク用に作ったからとのこと)。
高岡さんは自身の目標とするニセコクラシックやグランフォンド世界選手権を目指す傍ら、グラベルやシクロクロスなど、オフロードカテゴリーにもお店のユーザーと一緒にチャレンジしている。アメリカで来年開催されるアンバウンドグラベルも自身の目標の一つだ。
「ガタガタ道って走ってるだけで楽しいですよね。レースはまだ出ていないけれど、見てるだけでも楽しいのでチャレンジしてみたいな、と思ったんです。そのスキルはロードでも活かせるものだし、その楽しみをみんなで共有できるのは、とても嬉しいんです」と話してくれた(しかし高岡さんは翌日のシクロクロス参戦で怪我をしてしまった...)。
200kmチャレンジ女子優勝:山田菜月さん(Team 一匹狼) ルック 765 HM
男子でも過酷な200kmクラスにチャレンジし、平均36.10km/hで走りきり女子カテゴリー優勝を飾ったのが山田菜月さん(Team 一匹狼)。「とても楽しかったけれど、最初の1時間は男子の先頭集団に入っていたので平均44km/hとかでキツかったです。千切れたあとはハシケンさんのグループでずっと走らせてもらいました」とレースを振り返る。
「一目惚れで買ったんです」と言うバイクはモンドリアンカラーが目立つルックの765HMで、「最近他のバイクに乗る機会があったのですが、やっぱり私にはこのバイクだなあ、とその時改めて思いましたね」とのこと。エンデュランスモデルでヘッドチューブが長いため、角度の深いステムでハンドル位置を下げるなど、レースユースのための工夫が見て取れる。
実は山田さん、自転車を初めて僅か3年弱なのに今年の全日本選手権参加資格を取るほどの脚の持ち主。この765は僅か半年で事故廃車になってしまったという初代機に続く2台目だと言う。
「今年の全日本はコロナがまだ流行っていたので見送ったんです。来年はこのバイクと一緒に良い走りをしたいな、と。まだ競技歴が浅いのにここまでこれたのは一緒にトレーニングしてくれる仲間のおかげです」と話してくれた。
100kmチャレンジ優勝:中川恵太さん サーヴェロ S5
混戦の100kmクラスで、後半10周回をたった一人で逃げ切り優勝したのがこの人、中川恵太さん。普段はトライアスロンに取り組んでいるという大学4年生で、「今回がちゃんとした自転車レースは3回目」と言うから取材班もライバル勢も驚かされた。
「集団のペースが落ち着いていたので一人でペースを上げてみました。意外とキツかったけれど逃げ切れて良かったです」と笑顔を見せる中川さんのバイクは、サーヴェロのS5。もちろんトライアスロンのためにエアロを重視して選んだバイクであり、その独走劇に大きく貢献してくれたという。
パーツやセッティングもエアロを重視した仕様だ。例えばハンドルは単体のエアロとTTハンドルを付けることを考えてスペシャライズドのAEROFLYに。DHバーもしくは上ハンドルを握ることを前提とした前乗りセッティングにしているとのこと。ちなみにバーテープは「海水がついても滑らずとても良い」と言うフィジークのVentoマイクロテックス。
ホイールはデュラエースC60のチューブラーで、S5への乗り換えにあたって買い換えたという。DI2コンポーネントもTTポジションを取った時の効率を考えてのものだ。
ちなみに中川さん、表彰式後はランニングシューズに履き替えてピット周辺でずっとラントレーニングをしてました(恐)。ロードのホビーレース界でも注目の存在になるかも?
50kmチャレンジ3位:福山舞さん(Sheg) ビアンキ Oltre XR3 Disc
混戦の女子50kmで3位表彰台に乗ったのが福山舞さん(Sheg)。バイクはビアンキ Oltre XR3 Discだが、よく見れば今大会参加者中おそらく唯一かもしれない(?)フロントシングル仕様である。サーキットエンデューロなのに前1枚!?と驚かされたので登場をお願いさせて頂きました。
スラムの最高峰コンポーネントであるRED eTAP AXSを基本にしつつ、クランクセットはForce1 AXSでフロントシングル化(40T)したうえクォークのPower Meter Spiderを組み合わせる。リアカセットは10-33Tがセットされていた(最大ギア比4.0、最小1.21)。
フロントシングルの理由は、「頭が悪くて(笑)今アウターなのかインナーなのか分からなくなることが多かったんです。だからフロントシングルにしようと思って。たまたまショップに在庫があったこれにしてみました」というまさかのお答え。それでも実際ギア不足を感じることもなく、脚にはぴったりだという。
バイク自体は納車してから2,3年ほど。「乗り換えを考えなくもないですが、それでも好きなビアンキになるかなってと思います」とのこと。50kmクラスで優勝した高橋瑞恵さん(Roppongi Express)と競り合ってレースを走りたいという目標があるそうで、「でも今日は2回くらいラップされちゃったのでまだまだですね。インターバルが弱いので頑張ります」と意気込みを話してくれた。
text&photo:So Isobe
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