2020/05/16(土) - 14:31
国民スポーツの普及・振興、生涯スポーツの推進を担う公益財団法人日本スポーツ協会が、スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドラインを発表。各地で緊急事態宣言が解除される中、中止が相次ぐイベントの再開の一つの目安となりそうだ。
春先の人気イベントは既に多くが中止されている ※写真は昨年のアルプスあづみのセンチュリーライド
東京や大阪をはじめとした8つの特定警戒都道府県を除く39県にて緊急事態宣言が解除され、「新たな日常のスタート」とされた5月14日、公益財団法人日本スポーツ協会がスポーツイベントの再開に向けたガイドラインを発表した。
このガイドラインは、5月4日に開催された第33回新型コロナウイルス感染症対策本部にて改正された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を受け、スポーツ庁からの助言を得つつ作成されたという。
スポーツイベントの開催可否判断基準や、開催するにあたっての感染拡大予防のための留意点、具体的なチェックリスト例などが盛り込まれたガイドラインとなっている。
日本最大のヒルクライムレース、My.富士ヒルクライムも6月開催は中止、延期が検討されている状況だ photo:So.Isobe
最も注目されるスポーツイベントの開催可否に関しては、全国13の特定警戒都道府県においてはこれまで同様、都道府県知事からの自粛要請等に基づく適切な対応を求める一方、それら以外の地域では「全国的かつ大規模なスポーツイベント」の開催については各県知事からの要請などに基づいた慎重な対応が求められるとしたうえで、地域住民が主体となる「比較的少人数が参加するスポーツイベント」については、各地域の感染状況を踏まえ、自治体の判断によって開催制限が解除された場合は適切な感染防止対策を講じた上で実施可能とした。
「比較的少人数が参加するスポーツイベント」についての目安は「最大でも50人程度」とされており、その中でも以下3つの条件を満たす必要があるとされている。
1:三つの密(密閉、密集、密接)の発生が原則想定されないこと(人と人との間隔はできるだけ2mを目安に)
2:大声での発声、歌唱や声援、又は近接した距離での会話等が原則想定されないこと
3:その他、必要に応じて、適切な感染防止対策(入場者の制限や誘導、手指の消毒設備の設置、マスクの着用、室内の換気等)が講じられること
開催に当たって求められる感染対策 参加者にも感染防止への協力が必要
今後のエイドステーションは、バイキング方式ではなく、こういったお弁当などの方式で提供されるイベントが増えるかもしれない (※昨年の南アルプスロングライド)
それらの条件をクリアして開催可能となったイベントにおいても、感染拡大防止のために様々な取り組みが求められる。手洗いの励行や更衣室等のスペース確保や換気、ドアノブなどの定期的な消毒、スタッフへのマスク着用や受付での透明スクリーンの設置、飲食物の提供に当たっては小分けにすることなど、様々な対策が求められている。
一方、イベント参加者に対しても、それらの取り組みへの協力が求められる。体調悪化時の自主的な参加見合わせや、マスクの持参、ソーシャルディスタンスの確保に努めること、大声での会話や声援をしないこと、イベント終了後2週間以内に新型コロナウィルス感染症を発症した際は速やかに主催者へ報告することなどを参加者へ要請し、それらが遵守されない場合は参加の取り消しや途中退場の可能性があると周知されることが求められている。
主催者のみならず、参加者にも対策が求められる。運動時のマスクの着用については、熱中症などの危険もあることから個々人の判断とされているが、運動時以外は着用が求められる
なお、参加者のマスク着用については、参加受付や着替え、表彰式等の運動・スポーツを行っていない間、特に会話する時にはマスクの着用が求められる一方で、運動時には十分な呼吸を行うことが出来ず人体に影響を及ぼす可能性も考慮し、参加者個々人の判断に委ねられている。
これらの必要とされる対策の詳細については、スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドラインに詳しい。
サイクルイベントの再開については?
少人数のガイド付きサイクリングなどは早期の再開が可能かもしれない
今回発表されたガイドラインをまとめると、感染が収まりつつある地域、かつ参加人数50名以下のイベントにおいては、適切な感染拡大予防策を取り自治体との合意を得ることが出来れば、開催できる可能性がある、という事になる。
つまり数百人以上が集まる大規模なレースやロングライドイベントに関しては再開の目途はいまだ立たず、といったところだろう。例え参加人数の条件が無かったとしても、スタート待機列などで人と人の間隔を2mずつ空けることは会場のスペースなど物理的な制約もあり非常に厳しいだろう。今後、人数に関する条件が緩和されるとしても、人気イベントに関しては大幅な募集人数の削減が起こる可能性も高い。
個別に発走する個人TTは今回のガイドラインの条件を満たしやすいだろう photo:Naoki.Yasuoka
一方で、地域に密着した少人数型のガイドツーリズム的なイベントや小規模のレースであれば開催できる可能性もありそうだ。密にならないという意味ではマスドスタートのイベントではなく、タイムトライアルのようなイベントから再開されていくことも十分に考えられる。
とはいえ、外出規制の解除後に再度感染が拡大している地域や国も報告されている現時点では、イベント再開へ過度な期待をすることは時期尚早かもしれない。一刻も早い状況の終息とイベントの再開を待ち望みつつも、慎重な対応が必要とされる時期だろう。
text:Naoki.YASUOKA
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東京や大阪をはじめとした8つの特定警戒都道府県を除く39県にて緊急事態宣言が解除され、「新たな日常のスタート」とされた5月14日、公益財団法人日本スポーツ協会がスポーツイベントの再開に向けたガイドラインを発表した。
このガイドラインは、5月4日に開催された第33回新型コロナウイルス感染症対策本部にて改正された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を受け、スポーツ庁からの助言を得つつ作成されたという。
スポーツイベントの開催可否判断基準や、開催するにあたっての感染拡大予防のための留意点、具体的なチェックリスト例などが盛り込まれたガイドラインとなっている。
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最も注目されるスポーツイベントの開催可否に関しては、全国13の特定警戒都道府県においてはこれまで同様、都道府県知事からの自粛要請等に基づく適切な対応を求める一方、それら以外の地域では「全国的かつ大規模なスポーツイベント」の開催については各県知事からの要請などに基づいた慎重な対応が求められるとしたうえで、地域住民が主体となる「比較的少人数が参加するスポーツイベント」については、各地域の感染状況を踏まえ、自治体の判断によって開催制限が解除された場合は適切な感染防止対策を講じた上で実施可能とした。
「比較的少人数が参加するスポーツイベント」についての目安は「最大でも50人程度」とされており、その中でも以下3つの条件を満たす必要があるとされている。
1:三つの密(密閉、密集、密接)の発生が原則想定されないこと(人と人との間隔はできるだけ2mを目安に)
2:大声での発声、歌唱や声援、又は近接した距離での会話等が原則想定されないこと
3:その他、必要に応じて、適切な感染防止対策(入場者の制限や誘導、手指の消毒設備の設置、マスクの着用、室内の換気等)が講じられること
開催に当たって求められる感染対策 参加者にも感染防止への協力が必要
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それらの条件をクリアして開催可能となったイベントにおいても、感染拡大防止のために様々な取り組みが求められる。手洗いの励行や更衣室等のスペース確保や換気、ドアノブなどの定期的な消毒、スタッフへのマスク着用や受付での透明スクリーンの設置、飲食物の提供に当たっては小分けにすることなど、様々な対策が求められている。
一方、イベント参加者に対しても、それらの取り組みへの協力が求められる。体調悪化時の自主的な参加見合わせや、マスクの持参、ソーシャルディスタンスの確保に努めること、大声での会話や声援をしないこと、イベント終了後2週間以内に新型コロナウィルス感染症を発症した際は速やかに主催者へ報告することなどを参加者へ要請し、それらが遵守されない場合は参加の取り消しや途中退場の可能性があると周知されることが求められている。
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これらの必要とされる対策の詳細については、スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドラインに詳しい。
サイクルイベントの再開については?
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今回発表されたガイドラインをまとめると、感染が収まりつつある地域、かつ参加人数50名以下のイベントにおいては、適切な感染拡大予防策を取り自治体との合意を得ることが出来れば、開催できる可能性がある、という事になる。
つまり数百人以上が集まる大規模なレースやロングライドイベントに関しては再開の目途はいまだ立たず、といったところだろう。例え参加人数の条件が無かったとしても、スタート待機列などで人と人の間隔を2mずつ空けることは会場のスペースなど物理的な制約もあり非常に厳しいだろう。今後、人数に関する条件が緩和されるとしても、人気イベントに関しては大幅な募集人数の削減が起こる可能性も高い。
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一方で、地域に密着した少人数型のガイドツーリズム的なイベントや小規模のレースであれば開催できる可能性もありそうだ。密にならないという意味ではマスドスタートのイベントではなく、タイムトライアルのようなイベントから再開されていくことも十分に考えられる。
とはいえ、外出規制の解除後に再度感染が拡大している地域や国も報告されている現時点では、イベント再開へ過度な期待をすることは時期尚早かもしれない。一刻も早い状況の終息とイベントの再開を待ち望みつつも、慎重な対応が必要とされる時期だろう。
text:Naoki.YASUOKA
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