2019/09/26(木) - 12:56
山形県庄内地方。日本有数のコメどころとして知られるエリアを舞台に、今年初開催となったロングライドイベントが「じろで庄内」だ。ボリュームたっぷりの210kmコースを実走したレポートをお届けしよう。
一面に広がる大水田地帯 庄内平野に到着だ
関東地方に大型の台風が接近する9月7日、迫る暴風から逃げ出すように一路北へと向かう。目指すは山形県の庄内地方。古くは北前船による廻船拠点として栄え、現在では広大な平野を利用した日本屈指の穀倉地帯として知られるエリアだ。
飛行機であれば庄内空港、自動車であれば鶴岡ICから約10分ほど。JR鶴岡駅ほど近くの東京第一ホテル鶴岡がこの日の目的地となる。昨年プレ大会を行い、ついに初回大会を開催することとなったロングライドイベント、じろで庄内の前日受付が行われているのだ。
東京第一ホテル鶴岡にて前日受付が行われた
ウォークライドブースでは蒔絵の技法を使ってペイントされたスペシャルなバイクが
洗車サービスが好評のワコーズブース
ブリヂストンブースでは簡単な試乗レクチャーも行われていたようだ
じろで庄内のオフィシャルホテルでもある東京第一ホテル鶴岡では、前日受付のほかにも、様々な出展ブースがずらり。大会運営に携わるウォークライドや、洗車サービスを行っていたワコーズなど、なかなかの充実ぶり。中でも大会に3名の元オリンピアン、飯島誠さん、藤田晃三さん、鈴木光広さんをゲストライダーとして派遣するブリヂストンサイクルは多くの試乗車を用意していた。
受付を済ませた後は、東京第一ホテル鶴岡の宴会場にて、大会参加者へ向けたブリーフィングが行われた。走行上の注意などのほかに、台風通過によるフェーン現象によって、季節外れの高気温が予想されるとあり、急きょ追加のエイドステーションが用意されることなどもアナウンスされ、不安を解消してくれた。
庄内名物のだだちゃ豆
ブリヂストンの西海元取締役が挨拶 鶴岡出身の縁があるのだという
飯島さんとカンパーイ!
ゲストライダーとして登場した3名のオリンピアン
山形の地酒が振舞われた
大会に華を添えてくれたゲストライダーのMIHO氏
その後はお待ちかねの前夜祭へ。机の上に山盛りになっているのは、庄内地方の特産品である「だだちゃ豆」。庄内の土でしか美味しく育たず、保存も困難だったため、長らく「幻の豆」として珍重されてきた一品だ。
大会関係者やゲストライダーたちの挨拶と平行して、庄内産の食材を活かした様々なグルメが次々に運ばれてくる。ユニークなのは、締めのお椀。麦切りと呼ばれる、これまた庄内地方のご当地麺で、いうなればかなり細麺のうどんのようなもの。ちなみに麦切りは生麺で、稲庭うどんは乾麺なのだとか。
庄内ならではのご当地麺、麦切りも登場
地元のジャズ奏者らが前夜祭を盛り上げてくれた
豪華景品が用意された抽選会
オリンピアンに直接話を聞ける貴重な機会とあって卓は盛り上がっていたようだ
前夜祭の最後は、豪華景品が用意された抽選会へ。これがまたまた大量の景品が用意されており、なかなか終わりが見えてこないほど。参加者全員に行き渡るのではないか?と思われるほどのボリュームの景品たちが何とか行きわたれば、あとは明日の本番に備えて英気を養うのみだ。
レンタサイクルとしてブリヂストンのクロスバイクが用意された
出走サインに名前を記入する
出羽三山信仰の熱い庄内らしい修験道装束に身を包む皆さん
ゲストのマルコ・ファヴァロさん、ブリヂストンサイクルの飯島誠さん、鈴木光広さん
明くる朝、まだ夜も明けきらない頃からホテルのロビーへ降りていく。自分と同じく、自転車を持ったサイクリストたちがいそいそと準備中だ。まだまだ残暑も厳しい頃で日の出もそう遅くはないはずだけれども、あたりは真っ暗だ。
210kmと数あるロングライドの中でも相当な長距離イベントとあって、スタート時刻も早いのだ。大会会場となる道の駅庄内みかわ いろり火の里まではそう遠くない。自走で20分ほどの距離だ。日の出前は程よい気温で、風が心地よいほど。会場へ近づくにつれて、テールライトを光らせた自転車が目立つようになってきた。
さあ、いよいよスタートです
スタートバルーンの下に参加者たちが集う
勇壮なほら貝と共にスタートしていく
210kmの先頭が出発!
会場には初開催を祝うかのように、大きくバルーンが聳えている。薄明の頃合いにはちらほらだった参加者たちも、明るくなるのと比例するように続々と集まってきた。
昨日のブリーフィングに参加できなかった方向けに、もう一度ゲストライドーの紹介や注意事項の伝達が行われたら、いよいよスタートの時間だ。ゲストの飯島誠さんやマルコさんらとともに、最長カテゴリとなる210kmの参加者たちから出走していく。
庄内平野の田園地帯を走っていく
曙光の差す中を行くサイクリストたち
段々と登り基調になってくる
まず目指すのは、出羽三山の羽黒山と月山の間に位置する月山高原牧場だ。スタート会場からは一路南西方面へと進路を取って走り出した。収穫を目前に迎えた田圃が広がる中をカラフルなウエアに身を包んだサイクリスト達が駆け抜けていく。たっぷり実ってこうべを垂れる稲穂が風で波打つ様は、まさに金色の海のよう。
東北が黄金郷と呼ばれていた時代は遥か昔のことだけれども、令和の時代となってもカタチを変えてエルドラドは存続していた。ちょっとばかりポエミーな感想を抱きつつ、先へ。20kmを過ぎる頃には、段々と傾斜がきつくなってくる。第1エイドとなる月山高原牧場は、その名の通り高原にあるわけで、庄内平野をスタートした僕たちは、それなりの標高差をクリアしなければいけないのだ。
第1エイドに向けて登っていく 眼下には庄内平野が広がっていく
とはいえ、本格的な峠越えというわけではなく、少し長めの登り坂と言った塩梅。まだまだ序盤で足も残っているということもあり、皆さん快調なペースで牛が見守る登りをこなす。
人は第1印象が9割、なんてベストセラー本もあったが、ロングライドイベントも第1エイドの印象はイベント全体の印象を大きく左右するもの。特に朝早くなりがちな距離の長いイベントだと、2度目の朝食のような立ち位置でもあるのでなおさら重要だ。
牛の見守る中を走っていく
思わず笑顔がこぼれる第1エイド
なんとも豪華なフルーツ盛り合わせが登場!
初回大会の第1エイド、一体何が出てくるのかしら?とワクワクしていた手に渡されたのは、500mlサイズのプラコップにこれでもかと詰め込まれたフルーツ盛り合わせ!旬のぶどうに梨や苺だコップから溢れそうなくらいに盛られている、100%フルーツパフェとも呼べそうな逸品。
これ、千疋屋とかで食べたら3000円は下らなさそうだな、なんて無粋な感想を抱いてしまうのは庶民の悲しいサガ(笑)。とにかく、水分と糖分をしっかり補給できるこの振る舞いで、既にじろで庄内の印象は赤マル急上昇である。
そんな第1エイドの歓待を受け、残る190kmの旅路へ向けて再びペダルに力を込めた。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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関東地方に大型の台風が接近する9月7日、迫る暴風から逃げ出すように一路北へと向かう。目指すは山形県の庄内地方。古くは北前船による廻船拠点として栄え、現在では広大な平野を利用した日本屈指の穀倉地帯として知られるエリアだ。
飛行機であれば庄内空港、自動車であれば鶴岡ICから約10分ほど。JR鶴岡駅ほど近くの東京第一ホテル鶴岡がこの日の目的地となる。昨年プレ大会を行い、ついに初回大会を開催することとなったロングライドイベント、じろで庄内の前日受付が行われているのだ。
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じろで庄内のオフィシャルホテルでもある東京第一ホテル鶴岡では、前日受付のほかにも、様々な出展ブースがずらり。大会運営に携わるウォークライドや、洗車サービスを行っていたワコーズなど、なかなかの充実ぶり。中でも大会に3名の元オリンピアン、飯島誠さん、藤田晃三さん、鈴木光広さんをゲストライダーとして派遣するブリヂストンサイクルは多くの試乗車を用意していた。
受付を済ませた後は、東京第一ホテル鶴岡の宴会場にて、大会参加者へ向けたブリーフィングが行われた。走行上の注意などのほかに、台風通過によるフェーン現象によって、季節外れの高気温が予想されるとあり、急きょ追加のエイドステーションが用意されることなどもアナウンスされ、不安を解消してくれた。
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その後はお待ちかねの前夜祭へ。机の上に山盛りになっているのは、庄内地方の特産品である「だだちゃ豆」。庄内の土でしか美味しく育たず、保存も困難だったため、長らく「幻の豆」として珍重されてきた一品だ。
大会関係者やゲストライダーたちの挨拶と平行して、庄内産の食材を活かした様々なグルメが次々に運ばれてくる。ユニークなのは、締めのお椀。麦切りと呼ばれる、これまた庄内地方のご当地麺で、いうなればかなり細麺のうどんのようなもの。ちなみに麦切りは生麺で、稲庭うどんは乾麺なのだとか。
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前夜祭の最後は、豪華景品が用意された抽選会へ。これがまたまた大量の景品が用意されており、なかなか終わりが見えてこないほど。参加者全員に行き渡るのではないか?と思われるほどのボリュームの景品たちが何とか行きわたれば、あとは明日の本番に備えて英気を養うのみだ。
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210kmと数あるロングライドの中でも相当な長距離イベントとあって、スタート時刻も早いのだ。大会会場となる道の駅庄内みかわ いろり火の里まではそう遠くない。自走で20分ほどの距離だ。日の出前は程よい気温で、風が心地よいほど。会場へ近づくにつれて、テールライトを光らせた自転車が目立つようになってきた。
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東北が黄金郷と呼ばれていた時代は遥か昔のことだけれども、令和の時代となってもカタチを変えてエルドラドは存続していた。ちょっとばかりポエミーな感想を抱きつつ、先へ。20kmを過ぎる頃には、段々と傾斜がきつくなってくる。第1エイドとなる月山高原牧場は、その名の通り高原にあるわけで、庄内平野をスタートした僕たちは、それなりの標高差をクリアしなければいけないのだ。
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人は第1印象が9割、なんてベストセラー本もあったが、ロングライドイベントも第1エイドの印象はイベント全体の印象を大きく左右するもの。特に朝早くなりがちな距離の長いイベントだと、2度目の朝食のような立ち位置でもあるのでなおさら重要だ。
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これ、千疋屋とかで食べたら3000円は下らなさそうだな、なんて無粋な感想を抱いてしまうのは庶民の悲しいサガ(笑)。とにかく、水分と糖分をしっかり補給できるこの振る舞いで、既にじろで庄内の印象は赤マル急上昇である。
そんな第1エイドの歓待を受け、残る190kmの旅路へ向けて再びペダルに力を込めた。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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