2019/07/29(月) - 14:58
埼玉川越市のモトクロスコース「オフロードヴィレッジ」で開催されているダート耐久レース、川越サイクルエンデューロ。2019年シーズンの第3戦となる今回は、CW編集部よりフジワラが実際に走ってみた。オフロードで遊びたいという欲求を気軽に満たせるアットホームな大会だ。
MTBを持っていないにも拘らず、XCOのW杯を見てしまったためにどうしてもMTBで遊びたくなってしまった。しかし、パークに行こうにも時間も無い。どうにかすることはできないか、仕事の時間をMTB遊びの画策していた頃、私、CW編集部のフジワラに妙案が浮かんだ。
それは取材とかこつけて川越サイクルエンデューロに行くことだった。昨年末よりCWにレポートを掲載している上、自分でも取材として足を運んだこともあったため、MTB初心者でも楽しめることは知っていたし、手持ちのCXバイクでも遊べると思っていたのだ。
CXでもオフロード遊びはできるけど、本来の目的はMTBを楽しむことだ。ツール・ド・フランス取材で現地入りしている編集長に連絡を取り、MTBを貸し出してくれる約束を取り付けた。私は編集長がMTBを複数台所有していることを知っていたし、取材といえば快く貸してくれることも織り込み済だ。かくしてMTBを手に入れた(仮)私は取材と称した遊びのために川越にあるオフロードヴィレッジに乗り込んだ。
開催1週間前の天気予報では雨と報じられていたものの、当日は曇り空、時折太陽が顔を覗かせる梅雨の合間1日となった。6月大会はあいにくの雨で中止となってしまったが、7月大会は早い段階から雨天決行のアナウンスが流れており、雨天も覚悟して準備を進めていたため、肩透かしを食らった感は否めない。雨が降らないだけでもラッキーなはずなのに、人は身勝手なのである。
「前回は雨天中止だったでしょ?今回は雨が降っても自転車で走れるコースにしたから雨でもやるって決めたの」と言うのはオフロードヴィレッジの福本社長。私は以前、雪模様の時の大会を取材しており、その時はモトクロスが飛び跳ねる本格的なバイク用コースを使用していたため、濡れた路面は非常に重馬場かつ泥が容易く自転車に付着し走るのも困難になっていたのだ。路面が濡れると自転車での走行が難しいのがモトクロスコースなのだろう。
この日のコースは、福本社長が言っていたように、泥が自転車に堆積してしまって走行不能になることはない。ウッドチップが撒かれたストレートがやや重馬場、水が溜まる泥区間がスリッピーでタイヤのグリップが奪われやすい程度。
さらに今回は昨年の秋に大会がスタートして以来初めて使用するエリアがコースとなっていた。モトクロスコースにはないドロップオフなどが用意されており、オフロードの上下にバイクを操るコースに仕立てられていた。ドロップオフ直後には轍が形成されており、そこにタイヤを通していく楽しみも。
CXバイクでもコースの難易度は高く感じないそう。堆積する泥による難しさはあるようだが、ハイスピード区間とテクニカルな区間が綺麗に分離されているため、CXバイクの平坦スピードも生きるようだ。
この日は遊び8割だが仕事の側面も無くはないため、ダートケイリンの参加は見送り。「見た目以上に面白さはあるんですよ」とは参加者の1人。引き締められた路面の上に薄っすらと砂利が乗るオーバルコースは見た目以上にタイヤをグリップさせるのが難しいそう。レースでも落車が1回。バイクコントロールとパワーが求められる奥深い競技なのだとか。
短時間で1着を争うという競技のため見ている方も非常にわかりやすい。「人数が多くなり、予選なども行えるようになればもっと盛り上がると思うんですけどね。レース展開も変わってくるだろうし」と笑顔で語ってくれるものだから、私にも参加したい気持ちが芽生えたのだった。
北風と太陽、天岩戸の話ではないが、人が楽しそうにしている様子を見ると、ミーハーな私は釣られてしまうようだ。次回は編集部の誰かをカメラ係として連れてきて、写真を撮ってもらおう。その傍で私はレースに仕事として参加しようと心の中で誓うのだった。
ダートケイリンの後にエンデューロというプログラムとなっている。今回は20名ほどというコンパクトな人数が集まっており、その全員がソロでの参加。全員がお一人様なので気軽に声をかけやすいし、顔も覚えやすい。これぞローカルレースという感じだ。もちろん仲間と誘い合わせてソロで参加している方もいる。私に友達がいないので、そういう部分に目が行くだけだが…。
スタートの写真を撮り終えたら、私もしれっとコースイン。「ここからは仕事を放棄して遊びの時間だ!」意気込んで飛び出したはいいものの、ウッドチップが撒かれた重馬場路面はパワーを要求する上、見た目以上にバンピー。
サスペンションが備えられたバイクでも上半身は揺られ、サドルに座ろうものなら後輪から突き上げを受け腰が暴れる。スピードを殺さないように腰を少し浮かせ踏み込もうとすると腰への負担が大きい。直線でバイクを前に進めるのも一苦労。これぞオフロード!
泥でぬかるんだセクションはタイヤのスリップを恐れてソロリソロリと進んでいく。路面が引き締まったコーナーではタイヤがブリブリと音を鳴らしながら路面を捉えていく。速い人のラインを勇気を出してトレースしてみたら、タイヤは滑るものの速く走れたり、スキルアップを実感できる瞬間が楽しくてたまらない。怖いけど。
バイクを操る楽しさにのめり込んでいく一方で、息は荒くなり腰は限界を迎えることに。加えて、恐怖感が勝りグリップを必要以上の力で握りこんでいたのか、両手首に痛みが発生。辛さの向こうに栄光が待っていると信じるタイプなのだが、自分に甘い性格でもあるため3周でギブアップ。2時間もソロで走り続けられる強靭な肉体と精神力を持つ参加者の方には尊敬しかない。取材のために降りましたが、何か?という態度を取る狡い私とは大違いだ。
今回のコースはXCEの全日本チャンピオンである澤木さんが7分程度、シクロクロスでいうとC1カテゴリーを走っていること考えると、万年C4の私のラップタイムは10分程度だと推測できる。つまり3周というと30分、レースタイムと同じであるため、ここで辞めるのも妥当なところだろう。
1時間エンデューロのカテゴリーもあるため、C1やC2などハイレベルなシクロクロッサーの練習場所としても良さそうだ。長い時間集中してオフロードトレーニングできる環境は非常に少ないため、今年は川越エンデューロでコソ練してレースに臨もうかな。
今回はエンデューロ後にキッズレースが行われたため、初めてじっくりと観戦できる機会となった。どの子もスムーズに悪路をこなしてしまうので驚きだ。30分で限界を迎えた私に対し、彼らは30分しっかりと元気に走りきれるところも羨ましい。大人として弱い私は恥ずかしい限りだ。
全てのレースと表彰が終わっても14時前後。朝7時より半日使ってもなお、どこかで遊び直せるスケジュールなのは嬉しいところ。今回はウェアに付着した泥を落とすために、ほぼ全参加者が洗濯に時間を費やしたことだろう。
また、レース中に汚れた自転車はオフロードヴィレッジ備え付けの洗浄機で洗うことができる。高圧洗浄機で頑固な泥汚れを一瞬で落とせるため、晴れやかな気分で帰路につけるのも美点だ。借り物のMTBも簡単に綺麗できるので、私としても助かった。
さて、今回は自分の不甲斐なさばかり気がついてしまう川越サイクルエンデューロだったが、今度はしっかりと1時間走りきれるように、オフロードヴィレッジの自転車走行可能な時間を利用してコソ練しようと思う。
text&photo:Gakuto Fujiwara
MTBを持っていないにも拘らず、XCOのW杯を見てしまったためにどうしてもMTBで遊びたくなってしまった。しかし、パークに行こうにも時間も無い。どうにかすることはできないか、仕事の時間をMTB遊びの画策していた頃、私、CW編集部のフジワラに妙案が浮かんだ。
それは取材とかこつけて川越サイクルエンデューロに行くことだった。昨年末よりCWにレポートを掲載している上、自分でも取材として足を運んだこともあったため、MTB初心者でも楽しめることは知っていたし、手持ちのCXバイクでも遊べると思っていたのだ。
CXでもオフロード遊びはできるけど、本来の目的はMTBを楽しむことだ。ツール・ド・フランス取材で現地入りしている編集長に連絡を取り、MTBを貸し出してくれる約束を取り付けた。私は編集長がMTBを複数台所有していることを知っていたし、取材といえば快く貸してくれることも織り込み済だ。かくしてMTBを手に入れた(仮)私は取材と称した遊びのために川越にあるオフロードヴィレッジに乗り込んだ。
開催1週間前の天気予報では雨と報じられていたものの、当日は曇り空、時折太陽が顔を覗かせる梅雨の合間1日となった。6月大会はあいにくの雨で中止となってしまったが、7月大会は早い段階から雨天決行のアナウンスが流れており、雨天も覚悟して準備を進めていたため、肩透かしを食らった感は否めない。雨が降らないだけでもラッキーなはずなのに、人は身勝手なのである。
「前回は雨天中止だったでしょ?今回は雨が降っても自転車で走れるコースにしたから雨でもやるって決めたの」と言うのはオフロードヴィレッジの福本社長。私は以前、雪模様の時の大会を取材しており、その時はモトクロスが飛び跳ねる本格的なバイク用コースを使用していたため、濡れた路面は非常に重馬場かつ泥が容易く自転車に付着し走るのも困難になっていたのだ。路面が濡れると自転車での走行が難しいのがモトクロスコースなのだろう。
この日のコースは、福本社長が言っていたように、泥が自転車に堆積してしまって走行不能になることはない。ウッドチップが撒かれたストレートがやや重馬場、水が溜まる泥区間がスリッピーでタイヤのグリップが奪われやすい程度。
さらに今回は昨年の秋に大会がスタートして以来初めて使用するエリアがコースとなっていた。モトクロスコースにはないドロップオフなどが用意されており、オフロードの上下にバイクを操るコースに仕立てられていた。ドロップオフ直後には轍が形成されており、そこにタイヤを通していく楽しみも。
CXバイクでもコースの難易度は高く感じないそう。堆積する泥による難しさはあるようだが、ハイスピード区間とテクニカルな区間が綺麗に分離されているため、CXバイクの平坦スピードも生きるようだ。
この日は遊び8割だが仕事の側面も無くはないため、ダートケイリンの参加は見送り。「見た目以上に面白さはあるんですよ」とは参加者の1人。引き締められた路面の上に薄っすらと砂利が乗るオーバルコースは見た目以上にタイヤをグリップさせるのが難しいそう。レースでも落車が1回。バイクコントロールとパワーが求められる奥深い競技なのだとか。
短時間で1着を争うという競技のため見ている方も非常にわかりやすい。「人数が多くなり、予選なども行えるようになればもっと盛り上がると思うんですけどね。レース展開も変わってくるだろうし」と笑顔で語ってくれるものだから、私にも参加したい気持ちが芽生えたのだった。
北風と太陽、天岩戸の話ではないが、人が楽しそうにしている様子を見ると、ミーハーな私は釣られてしまうようだ。次回は編集部の誰かをカメラ係として連れてきて、写真を撮ってもらおう。その傍で私はレースに仕事として参加しようと心の中で誓うのだった。
ダートケイリンの後にエンデューロというプログラムとなっている。今回は20名ほどというコンパクトな人数が集まっており、その全員がソロでの参加。全員がお一人様なので気軽に声をかけやすいし、顔も覚えやすい。これぞローカルレースという感じだ。もちろん仲間と誘い合わせてソロで参加している方もいる。私に友達がいないので、そういう部分に目が行くだけだが…。
スタートの写真を撮り終えたら、私もしれっとコースイン。「ここからは仕事を放棄して遊びの時間だ!」意気込んで飛び出したはいいものの、ウッドチップが撒かれた重馬場路面はパワーを要求する上、見た目以上にバンピー。
サスペンションが備えられたバイクでも上半身は揺られ、サドルに座ろうものなら後輪から突き上げを受け腰が暴れる。スピードを殺さないように腰を少し浮かせ踏み込もうとすると腰への負担が大きい。直線でバイクを前に進めるのも一苦労。これぞオフロード!
泥でぬかるんだセクションはタイヤのスリップを恐れてソロリソロリと進んでいく。路面が引き締まったコーナーではタイヤがブリブリと音を鳴らしながら路面を捉えていく。速い人のラインを勇気を出してトレースしてみたら、タイヤは滑るものの速く走れたり、スキルアップを実感できる瞬間が楽しくてたまらない。怖いけど。
バイクを操る楽しさにのめり込んでいく一方で、息は荒くなり腰は限界を迎えることに。加えて、恐怖感が勝りグリップを必要以上の力で握りこんでいたのか、両手首に痛みが発生。辛さの向こうに栄光が待っていると信じるタイプなのだが、自分に甘い性格でもあるため3周でギブアップ。2時間もソロで走り続けられる強靭な肉体と精神力を持つ参加者の方には尊敬しかない。取材のために降りましたが、何か?という態度を取る狡い私とは大違いだ。
今回のコースはXCEの全日本チャンピオンである澤木さんが7分程度、シクロクロスでいうとC1カテゴリーを走っていること考えると、万年C4の私のラップタイムは10分程度だと推測できる。つまり3周というと30分、レースタイムと同じであるため、ここで辞めるのも妥当なところだろう。
1時間エンデューロのカテゴリーもあるため、C1やC2などハイレベルなシクロクロッサーの練習場所としても良さそうだ。長い時間集中してオフロードトレーニングできる環境は非常に少ないため、今年は川越エンデューロでコソ練してレースに臨もうかな。
今回はエンデューロ後にキッズレースが行われたため、初めてじっくりと観戦できる機会となった。どの子もスムーズに悪路をこなしてしまうので驚きだ。30分で限界を迎えた私に対し、彼らは30分しっかりと元気に走りきれるところも羨ましい。大人として弱い私は恥ずかしい限りだ。
全てのレースと表彰が終わっても14時前後。朝7時より半日使ってもなお、どこかで遊び直せるスケジュールなのは嬉しいところ。今回はウェアに付着した泥を落とすために、ほぼ全参加者が洗濯に時間を費やしたことだろう。
また、レース中に汚れた自転車はオフロードヴィレッジ備え付けの洗浄機で洗うことができる。高圧洗浄機で頑固な泥汚れを一瞬で落とせるため、晴れやかな気分で帰路につけるのも美点だ。借り物のMTBも簡単に綺麗できるので、私としても助かった。
さて、今回は自分の不甲斐なさばかり気がついてしまう川越サイクルエンデューロだったが、今度はしっかりと1時間走りきれるように、オフロードヴィレッジの自転車走行可能な時間を利用してコソ練しようと思う。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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