2018/04/04(水) - 09:19
袖ヶ浦サーキットのピットを埋め尽くしたのは、400台ものブロンプトンと、ブリティッシュフォーマルに身を包んだ紳士淑女たち。あのデヴィッド・ミラーも緊急参戦したブロンプトンオーナーの祭典、BWC JAPANの模様をお届けします。
サーキットを疾走するレーサーたちと、ピットで応援する仲間たち。最速を狙う人も、マイペースで完走を目指すのも、はたまたレースそっちのけでバーベキューを楽しむスタイルだってOK…と、ここまではよくあるレースイベントの光景だけれども、全く違うのはバイクが100%ブロンプトンオンリーで、参加者全員がスーツ&タイをバッチリ決めたフォーマルスタイルなこと。そんなのってあり?いやいや、ちゃんと歴史があって、熱狂的なファンがいるんです。それが3月25日(日)に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されたBWC JAPAN、正式名称ブロンプトン・ワールドチャンピオンシップ・ジャパン。こんなに本気で、それでいて遊びゴコロ満点のイベントは他に無いかもしれない。
そもそもBWCとは、2008年よりイギリスで毎年開催されているブロンプトン限定のレースイベントだ。日本でも2010年より開催され、今年で第9回。会場を見渡せば右も左もブロンプトンだらけでその数おおよそ400台!日本国内で自転車イベントは数あれど、これだけのブロンプトンが一堂に会する機会は他にないだろう。
ある意味マニアックなイベントではあるものの、年を重ねる毎に参加者が増え続けているBWC JAPAN。今年も全国各地からブロンプトン日本最速の座を賭けて、そして各国のチャンピオンがずらり揃うイギリス大会(BWC Final)への出場権を賭けて激しい(?)戦いが繰り広げられたのだ。
そして最もユニークなのが、ただ一人もジャージ姿のレーサーがいないこと。むしろ自転車に乗る格好ではなく、お洒落なカフェでティーでもエンジョイしちゃおうかと言ったスタイルなのだ。それもそのはず、参加者はジャケット+シャツ+タイ+レーパン以外のパンツという英国フォーマルに則らないとならない。それでいてサーキットを爆走しているのだから、何とも不思議といえば不思議。
また今年は元プロロードレーサーとして活躍したデヴィッド・ミラー氏がなんとゲスト参戦。自身が立ち上げたアパレルブランド「CHPT3」とブロンプトンとのコラボを記念し、そのアピールのために今回来日を果たした。「ロードレースを辞めてからはブロンプトンばかり乗っているよ。今日はCHPT3モデルのオーナーもたくさんいて感激。参加者みんながレースを楽しんでほしいけど、CHPT3モデルに乗る人は特に頑張ってほしいね」と言う彼は写真撮影やサイン攻めに気さくに対応していた様子が印象的だった。せっかくの機会なので自分もツーショットを撮ってもらうことに。
正直小径車でのレースってどうなの?と観戦する前は思っていた筆者だが、コレが何とも面白いのだ。集団が迫ってくる様子はロードレースさながらだし、そのスピードは想像以上。目の前を駆け抜ける速度感や見た目とギャップのある白熱した走りはなかなかどうして迫力がある。
午前中にはまず2時間エンデューロ種目が、そして午後からはBWC本戦が開幕。300名以上がル・マン形式のスタートで(バイクを組み立ててから)飛び出していく。レースの先頭集団はロードバイクにも負けずとも劣らないハイスピードを刻み、なんと平均時速35km超え。小径車ってそんなにスピードが出るものなの?と疑問に思った方は、今すぐブロンプトン取扱店へ急ぐべし。ガチガチの真剣勝負の中、女子は一昨年、昨年と2年連続2位に入っていた渡邉千里さんが、男子はシクロクロスやMTBレースに出場している川村誠さんが勝利を掴んだ。
本国イギリスを中心にヨーロッパで大人気を誇るブロンプトンの特徴は、なんといってもコンパクトかつスピーディーに折り畳める独自設計を採用していることだ。ステージ上ではいかに早く組み立てられるかを競う勝負も行われ、最速タイムはまさかの8秒!他にもブロンプトンのタイヤで「輪投げ」と「的当て」が、「スタンディングコンテスト」や「フォールディングコンテスト」といったアクティビティが催され、どのブースもお祭りのような盛況ぶりだった。
ピットサイドのリラックスエリアではテントを張ったりテーブルを広げたり。アウトドアグッズを持ち寄りバーベキューをするグループもあったりと、レースだけではないのがこのBWCの人気の秘密なのかもしれない。
マニアックな世界が広がるブロンプトンだけに、こだわりのカスタムが目につく。クランクやサドルはロード用の製品をアッセンブルしている人もいれば、小径車用のカーボンホイール・カーボンロングシートポストを合わせる人も。ハンドル形状も好みのライズを選べるし、グリップや折りたたみ用のヒンジレバーといった小物類にまで、それぞれオーナーのセンスが溢れ出てやまないのも一つの魅力。
また、ブロンプトンCHPT3モデルが当たる特別賞はイベント開催日に因んでBWC本戦で25位に入った男性がゲット。なんとこの方、昨年も同様にブロンプトンバイクを当てており、2年連続での獲得となるスーパーラッキー。またミラー氏選考の下、英国風な装いでお洒落に決めた男女1名ずつがベストドレッサー賞として表彰された。
ブロンプトンオーナーの祭典として今年も大成功に終わったBWC JAPAN。来年は第10回の記念大会としてさらにパワーアップしたイベントとなるに違いない。ブロンプトン乗りの輪をつなぐイベントとして、今後もより一層盛り上がりを見せることだろう。
シクロワイアードではイベント終了後にデヴィッド・ミラー氏へインタビュー。今回感想やCHPT3の活動について語ってもらった。
デヴィッド・ミラー氏 インタビュー
― まずは今日のBWC JAPANはいかがでしたか
ブロンプトンバイクの走りや作りなどテクニカルな部分は当然良いものですが、それよりもこういったイベントの開催やオーナーの集まりといったブランドを取り巻くコミュニティが何より素晴らしいですね。今日イベントに参加して改めて感動しました。個人的には、ロードレースを引退してから時間が経っているのにも関わらず、多くの日本のファンが声をかけてくれて非常に嬉しかったですね。
― ミラー氏が立ち上げたCHPT3というのはどういったブランドですか
プロ選手を引退後、私自身が今までにやってきた取り組みや自転車との関わりを伝えていく1つの手段とでも言いましょうか。それをロードレースではなく、より商業的な側面からアプローチした結果がCHPT3というブランドなのです。今回コラボレーションしたブロンプトンも良いバイクで、自転車という乗り物で括るのではなく、移動したり物を運んだり幅広く活用できる一つのツールとして楽しめる製品だと思っています。最初に見たときは組み立てることもできませんでしたが笑。
― 今後はどういった活動をしていくのですか、また日本は楽しめましたか
もちろんCHPT3に力を入れていきます。今までテレビ出演や映画制作、本の執筆等も行ってきましたが、それらはどれも自身のクリエイティブな活動の一つにすぎません。今回のブロンプトンとのコラボなど、よりブランドを広く知ってもらえるよう取り組んでいきたいですね。
今まで香港や台湾などの土地には住んだことがありましたが日本は今回が初めてでした。アジアにいたのももう25年以上前の話なので、日本は漠然とすごいところなのだろうとしか想像していませんでしたね。今回来日して様々な環境の良さには驚きましたし、いろいろと楽しむことができましたよ。
text&photo:Yuto.Murata
サーキットを疾走するレーサーたちと、ピットで応援する仲間たち。最速を狙う人も、マイペースで完走を目指すのも、はたまたレースそっちのけでバーベキューを楽しむスタイルだってOK…と、ここまではよくあるレースイベントの光景だけれども、全く違うのはバイクが100%ブロンプトンオンリーで、参加者全員がスーツ&タイをバッチリ決めたフォーマルスタイルなこと。そんなのってあり?いやいや、ちゃんと歴史があって、熱狂的なファンがいるんです。それが3月25日(日)に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されたBWC JAPAN、正式名称ブロンプトン・ワールドチャンピオンシップ・ジャパン。こんなに本気で、それでいて遊びゴコロ満点のイベントは他に無いかもしれない。
そもそもBWCとは、2008年よりイギリスで毎年開催されているブロンプトン限定のレースイベントだ。日本でも2010年より開催され、今年で第9回。会場を見渡せば右も左もブロンプトンだらけでその数おおよそ400台!日本国内で自転車イベントは数あれど、これだけのブロンプトンが一堂に会する機会は他にないだろう。
ある意味マニアックなイベントではあるものの、年を重ねる毎に参加者が増え続けているBWC JAPAN。今年も全国各地からブロンプトン日本最速の座を賭けて、そして各国のチャンピオンがずらり揃うイギリス大会(BWC Final)への出場権を賭けて激しい(?)戦いが繰り広げられたのだ。
そして最もユニークなのが、ただ一人もジャージ姿のレーサーがいないこと。むしろ自転車に乗る格好ではなく、お洒落なカフェでティーでもエンジョイしちゃおうかと言ったスタイルなのだ。それもそのはず、参加者はジャケット+シャツ+タイ+レーパン以外のパンツという英国フォーマルに則らないとならない。それでいてサーキットを爆走しているのだから、何とも不思議といえば不思議。
また今年は元プロロードレーサーとして活躍したデヴィッド・ミラー氏がなんとゲスト参戦。自身が立ち上げたアパレルブランド「CHPT3」とブロンプトンとのコラボを記念し、そのアピールのために今回来日を果たした。「ロードレースを辞めてからはブロンプトンばかり乗っているよ。今日はCHPT3モデルのオーナーもたくさんいて感激。参加者みんながレースを楽しんでほしいけど、CHPT3モデルに乗る人は特に頑張ってほしいね」と言う彼は写真撮影やサイン攻めに気さくに対応していた様子が印象的だった。せっかくの機会なので自分もツーショットを撮ってもらうことに。
正直小径車でのレースってどうなの?と観戦する前は思っていた筆者だが、コレが何とも面白いのだ。集団が迫ってくる様子はロードレースさながらだし、そのスピードは想像以上。目の前を駆け抜ける速度感や見た目とギャップのある白熱した走りはなかなかどうして迫力がある。
午前中にはまず2時間エンデューロ種目が、そして午後からはBWC本戦が開幕。300名以上がル・マン形式のスタートで(バイクを組み立ててから)飛び出していく。レースの先頭集団はロードバイクにも負けずとも劣らないハイスピードを刻み、なんと平均時速35km超え。小径車ってそんなにスピードが出るものなの?と疑問に思った方は、今すぐブロンプトン取扱店へ急ぐべし。ガチガチの真剣勝負の中、女子は一昨年、昨年と2年連続2位に入っていた渡邉千里さんが、男子はシクロクロスやMTBレースに出場している川村誠さんが勝利を掴んだ。
本国イギリスを中心にヨーロッパで大人気を誇るブロンプトンの特徴は、なんといってもコンパクトかつスピーディーに折り畳める独自設計を採用していることだ。ステージ上ではいかに早く組み立てられるかを競う勝負も行われ、最速タイムはまさかの8秒!他にもブロンプトンのタイヤで「輪投げ」と「的当て」が、「スタンディングコンテスト」や「フォールディングコンテスト」といったアクティビティが催され、どのブースもお祭りのような盛況ぶりだった。
ピットサイドのリラックスエリアではテントを張ったりテーブルを広げたり。アウトドアグッズを持ち寄りバーベキューをするグループもあったりと、レースだけではないのがこのBWCの人気の秘密なのかもしれない。
マニアックな世界が広がるブロンプトンだけに、こだわりのカスタムが目につく。クランクやサドルはロード用の製品をアッセンブルしている人もいれば、小径車用のカーボンホイール・カーボンロングシートポストを合わせる人も。ハンドル形状も好みのライズを選べるし、グリップや折りたたみ用のヒンジレバーといった小物類にまで、それぞれオーナーのセンスが溢れ出てやまないのも一つの魅力。
また、ブロンプトンCHPT3モデルが当たる特別賞はイベント開催日に因んでBWC本戦で25位に入った男性がゲット。なんとこの方、昨年も同様にブロンプトンバイクを当てており、2年連続での獲得となるスーパーラッキー。またミラー氏選考の下、英国風な装いでお洒落に決めた男女1名ずつがベストドレッサー賞として表彰された。
ブロンプトンオーナーの祭典として今年も大成功に終わったBWC JAPAN。来年は第10回の記念大会としてさらにパワーアップしたイベントとなるに違いない。ブロンプトン乗りの輪をつなぐイベントとして、今後もより一層盛り上がりを見せることだろう。
シクロワイアードではイベント終了後にデヴィッド・ミラー氏へインタビュー。今回感想やCHPT3の活動について語ってもらった。
デヴィッド・ミラー氏 インタビュー
― まずは今日のBWC JAPANはいかがでしたか
ブロンプトンバイクの走りや作りなどテクニカルな部分は当然良いものですが、それよりもこういったイベントの開催やオーナーの集まりといったブランドを取り巻くコミュニティが何より素晴らしいですね。今日イベントに参加して改めて感動しました。個人的には、ロードレースを引退してから時間が経っているのにも関わらず、多くの日本のファンが声をかけてくれて非常に嬉しかったですね。
― ミラー氏が立ち上げたCHPT3というのはどういったブランドですか
プロ選手を引退後、私自身が今までにやってきた取り組みや自転車との関わりを伝えていく1つの手段とでも言いましょうか。それをロードレースではなく、より商業的な側面からアプローチした結果がCHPT3というブランドなのです。今回コラボレーションしたブロンプトンも良いバイクで、自転車という乗り物で括るのではなく、移動したり物を運んだり幅広く活用できる一つのツールとして楽しめる製品だと思っています。最初に見たときは組み立てることもできませんでしたが笑。
― 今後はどういった活動をしていくのですか、また日本は楽しめましたか
もちろんCHPT3に力を入れていきます。今までテレビ出演や映画制作、本の執筆等も行ってきましたが、それらはどれも自身のクリエイティブな活動の一つにすぎません。今回のブロンプトンとのコラボなど、よりブランドを広く知ってもらえるよう取り組んでいきたいですね。
今まで香港や台湾などの土地には住んだことがありましたが日本は今回が初めてでした。アジアにいたのももう25年以上前の話なので、日本は漠然とすごいところなのだろうとしか想像していませんでしたね。今回来日して様々な環境の良さには驚きましたし、いろいろと楽しむことができましたよ。
text&photo:Yuto.Murata
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