4月23日(日)、伊豆半島を舞台とした山岳ロングライド「The PEAKS」が開催された。距離163km、獲得標高4,841mというエクストリームなイベントに参加したキャノンデール・ジャパンの山本和弘さんのレポートをお届けする。弩級ライドを走ってカズさんが得たものとは?
キャノンデール・ジャパンの社員として毎日を送る山本和弘さん
キャノンデール一筋12年間してきた選手を引退して2年。今はキャノンデール・ジャパンのマーケティングとしてメディアとのやりとりやイベントに足を運ぶ毎日を送っている。スポーツバイクの魅力をより多くの人に伝えたい。この気持ちで仕事に没頭する毎日をすごしている。
「達成感のあるチャレンジがしたい。」
ある日、この言葉が頭の中を支配する1日があった。毎日の生活に満足していないわけではないのだけれど、頭の片隅に何かがひっかかる。夢中になれるなにか。無心でできるなにか。自分のチャレンジとしてなにかをしたい。
そうかんじるようになった。一度、そう感じるとそれをやるまで気がすまない性格の自分は、その答えを探しだした。
初の山本和弘・幸平兄弟でのワン・ツーフィニッシュを喜ぶ(写真は2012年のJシリーズ八幡浜) (c)Akihiro.NAKAO
MTB選手として最後のレースとなった2012年Jシリーズ白馬。山本和弘(キャノンデールレーシングチーム) photo:Akihiro.NAKAO
2013年からはロード選手として2年間活動する photo:So.Isobe
プロキャリアの最後を飾った弱虫ペダルシクロクロスチーム photo:Makoto.AYANO
そんなある日。「『日本最強!最悪!』日本最強の山岳ロングライドチャレンジイベント」という文字がSNSのタイムラインに流れてきた。その名は「The PEAKS」。この名は一度、聞いたことがあったのだけれどその時は大切なレースと重なっていたことで出場を断念していた。
「4月23日『日本最強!最悪!』の伝説を一緒に作ろう!」この言葉で出場を決意した。参加を決意したのが2月上旬。ここから準備、トレーニング、そして本番の様子とレポートしていこうと思う。
The PEAKS 準備編
出場を決めてから一番の変化は自分の「気持ち」に表れた。毎日の自転車通勤でも目的をもって走れるようになって、通勤自体を楽しめるようになった。選手であった自分でも現役時代とは体の状態は違うし、今回はあえてロードバイクにLEFTYサスペンションフォークを搭載したSLATEというバイクで走ることを決めていたので、軽量ではないバイクを走らせるためには体を作っていくしかなかった。
スタート前の写真。準備は整った (c)Kazuhiro.Yamamoto
毎日が楽しいというか、自転車に乗ることが楽しくなったのが一番の変化だった。これは自分の中でも新たな発見だった。気持ちが乗ってくると、自然と走る距離も伸びてトレーニング効果は高まっていった。
バイクの準備
ストレスのないSLATEを作る。そうしないと長い時間気持ちよく走れないし、力をだせないので。今は速さを求める走りをしないのでライドフォームはハンドル高めが基本。これは3cmのサスペンションがあることも影響して、わざとそうしている。
ストレスのないバイクとは現役時代からの考えで、一瞬跨っただけでも力がでるようなバイクポジションよりも、継続的に力を出し続けられる方が美しいという考え方。
適度な「しなり」があって終始快適だった (c)Kazuhiro.Yamamoto
今回のハンドル周り。左からライト、ガーミン EDGE1000J、suunto、ベル (c)Kazuhiro.Yamamoto
バックライト。ファブリック「30 Lumens」 (c)Kazuhiro.Yamamoto
650B x 38Cの「COMPASS」 この規格は走りの楽しみを倍増させてくれる (c)Kazuhiro.Yamamoto
ロングライドの時に大切なサドルは、このチャレンジにあわせてファブリック「scoop radius ultimate」に変更。ベースとレールがカーボンとされたこのサドルは見た目以上の軽さと、乗り心地の良さが特徴。取り付けてからはライドのたびに数mm単位でサドルの高さ、角度の調整を行った。
ギア比はフロントはコンパクト、後ろは11-32T仕様。獲得標高が多いイベントなので、下りでの安全性を考えてブレーキパッドは新品に交換。タイヤは純正品が42Cのところ、38Cの「COMPASS」というブランドのタイヤをチョイス。純正品より40gの軽量化に成功。タイヤの圧は4.5barに設定。それ以外にも軽量にできるものは変えていった。ここは大人の事情があってすべてファブリック製品で揃える。
サスペンションへエアーを送り適切なセッティングに
The PEAKS用の装備を購入するカズさん
それ以外ではミスコースをしないようにガーミン「Edge1000J」を選択。大きな画面で自分の位置情報と登録したコースをトレースしながら走ることができるのがとても心強い。今回は長旅になることが予想されたので、GPSのマップ機能のみを使用し、電池の消耗を最小限にするように工夫。それ以外の心拍数やスピードの管理は普段使っているsunntoを使用。
細かな調整では、LEFTYの初期の動きをよくするために「リセット」という作業を本番前にやっておいた。これは新型LEFTYに共通するセッティング方法で、エアバルブにポンプを付けた状態でエア圧を0まで空気を抜き、フルボトムさせ、その後規定量のエアを入れなおすというもの。そうすることで内部にあるベアリングが正常な位置に戻り気持ちよくサスペンションが反応するようになる。
The PEAKS トレーニング編
トレーニングの時間を作るためになるべく「自転車通勤」をできるように工夫。そして、通勤の質を上げるために会社で必要なものは電車通勤の時に事前に持参し、自転車に乗る時はなるべく軽い装備で走れるように心がけて通勤を行った。
スタート、ゴール地点の「かんぽの宿 別館」からの眺め。天気が良くてよかった (c)Kazuhiro.Yamamoto
社長を囲む、キャノンデールオーナー (c)Kazuhiro.Yamamoto
部屋の前もバイクを置けるので安心 (c)Kazuhiro.Yamamoto
片道25km、1日往復50kmの通勤がトレーニングのベースを作っていった。トレーニングの負荷は「ミドルペース」という呼吸が少し乱れる寸前をキープする走り方で心肺機能を高めていく。通勤の時も心拍計は欠かさず装着し管理。
それ以外の休日は家庭のこともあるので2時間と時間を決めて濃密時短トレーニング。坂道でやるインターバルトレーニングで強い負荷をかけていった。バイクを一番速く進ませられるペースで30秒がんばって、1分30秒休む。こういった走りを10本やって家に帰るという休日を過ごしていった。選手時代はいくらでも時間があったけど、今は家庭が優先。
The PEAKSラウンド3 プロフィール image:www.longridefan.com
トレーニングが楽しい。そう思えるのも選手を引退して、少し気持ちに余裕ができたからなのだろう。落ちていた体力がトレーニングをするたびに上がっていくのは本当にうれしいこと。練習は裏切らない。そう感じながら毎日のトレーニングを重ねていった。
The PEAKSラウンド3 マップ image:www.longridefan.comThe PEAKS 本番
今回、私が出場を決めてから、我が社の社長も参戦を表明。「ノリタクナルセカイツクル」がミッションの我が社の中で一番のイベント好きな社長。大会前は同部屋で翌日の作戦会議などをしながら夜は更けていった。3秒で寝たのには驚いたが(笑)
本番当日、日本一の「坂バカ」が集結。約300名のライダーが熱気ムンムンでスタートの時を待っていた。それぞれにこだわりが詰まったバイクは見ているだけでも面白い。スタートは朝6時。それぞれがグループに分かれてスタートしていく。
今回、挑戦したコースは距離163km、獲得標高4,841mで静岡県「熱海」を舞台に開催された。宿のあるポイントを中心に「ノースルート」と「サウスルート」どちらを先にいくかは選択可能で、自分は「ノースルート」を先に走ることを選択。大きな山が続くルートを先に終えたいとこのルートを選んだ。
神奈川県の坂好きの方なら1度は上ったことがあるであろう、「熱海峠」「十国峠」「箱根峠」「大観山」を好きな順番で超えていくというコース。途中にはチェックポイントがあり、スタッフから受け取る「通過チップ」と、指定されたコンビニのレシートを受け取り、スタート地点でのチェックを受けて、残りの「サウスルート」を回るというもの。詳しくはコースマップを見てもらいたいが、イベントでなければ走ろうと思わないSっ気たっぷりなコース設定となっている。
スタートを待つこだわりのバイク (c)Kazuhiro.Yamamoto
キャノンデール仲良し3人組 (c)Kazuhiro.Yamamoto
6時のスタートを待つライダー (c)Kazuhiro.Yamamoto
スタートはグループごとに走りだし、坂がはじまると足の合うメンバーが自然と集まりそれぞれのペースで進んでいく。坂を登って、下ってを繰り返す。このイベントの特徴は往復区間が多いことでライダー同士がすれ違って互いに声を掛け合えるというのが他のイベントとは違うポイントだと感じた。
速さを争うのではなく、完走を目指す。1つ1つの山を力いっぱいに走るライダーもいれば、休憩所で必要最小限のストップのみで走り続けるタイプのライダーまでスタイルはそれぞれ。自分は今回のチャレンジを無理しないと決めていたので、苦しいと感じたらペースを落として、一番気持ちのいいペースで走り続けることを優先した。
コース中の最高到達点「大観山」 ここから15kmのダウンヒルを楽しむ (c)Kazuhiro.Yamamoto
このコースマップを見ながらペース配分 (c)Kazuhiro.Yamamoto
全部で9か所あるエイドステーション。どこも選びたい放題でついつい手が出てしまう (c)Kazuhiro.Yamamoto
ランチタイム。前半を終え一安心 (c)Kazuhiro.Yamamoto
チェックポイントでは話好きなので止まりすぎた感はあるのだけれど。ただ、そのおかげで多くのライダーと交流を持てたし、一緒に走ることができたのは大きな今回の思い出である。
これだけ長い時間走っていると、バイクについていろいろと感じることがあった。タイヤが太く、LEFTYサスペンションのおかげで終始ソフトな乗り心地の上でコースを走ることができたのがよかった。特に長い下りではコーナーのたびにLEFTYの恩恵を実感することができた。F1のように路面にバイクが貼りつきどんなスピードでも曲がっていけるのではないかと錯覚してしまうくらいに走行性能の高さを感じた。
景色の変化が楽しかった。写真の中央部は湯河原 (c)Kazuhiro.Yamamoto
景色が綺麗で足を止めてしまった。下を見るとライダーが続く (c)Kazuhiro.Yamamoto
コースの脇道が気になる。ここ走れるのだろうか? (c)Kazuhiro.Yamamoto
山を登って下るたびに頭の中を支配するアドレナリン。「The PEAKS」でなければここまで走りにエキサイトすることはできなかったであろう。幸いにも本番当日は走るのにちょうどいい気温と天候で距離を伸ばすたびに変わる景色を心の底から楽しむことができた。
この「The PEAKS」はしっかりとした準備をしなければ本番を楽しむことができないし、準備期間を楽しめるライダーのみが完走という名誉ある証を受け取ることができるのだと感じた。苦難をともにした仲間とのゴールの瞬間は最高の瞬間だったし、この達成感は想像をはるかに超えるものだった。
「通過チップ」峠を登るたびに受けとる (c)Kazuhiro.Yamamoto
「オレは止まらない派なんだ。」何度も抜いて抜かされを繰り返した (c)Kazuhiro.Yamamoto
これをゲットすれば、残りは1つ (c)Kazuhiro.Yamamoto
指定されたコンビニのレシートを集めてゴールを目指す (c)Kazuhiro.Yamamoto
「The PEAKS」の参加についてはじめから「無理」と決め込むよりも、参加を決めて準備を楽しみながら毎日を過ごしていくことで日常では味わうことのできない達成感を得ることができるのだと感じた。
「達成感のあるチャレンジがしたい。」
そう感じてからこの日の完走までの過程すべてが楽しかった。何かに向かってチャレンジする日々がこんなにも充実した気持ちになれるとは。「The PEAKS」ありがとう。
今回はチャレンジすることで体の疲労感はあったけど、それ以上に心を満たす最高の経験をすることができた。
さぁ、明日からもがんばろ。
完走した者だけがこのフィニッシャーパネルに書き込むことができる (c)Kazuhiro.Yamamoto
社長池田も見事に完走 (c)Kazuhiro.Yamamoto
筆者も完走後に書き込む。達成感に満ちた瞬間 (c)Kazuhiro.Yamamoto
社長と二人。完走を喜び合う (c)Kazuhiro.Yamamoto
大会スタッフ「安野さん」と。最悪なコースをありがとう! (c)Kazuhiro.Yamamoto
会社のデスクに飾る。フィニッシャーコインを眺めながらこれから仕事をしていく (c)Kazuhiro.Yamamoto
report:Kazuhiro.Yamamoto

キャノンデール一筋12年間してきた選手を引退して2年。今はキャノンデール・ジャパンのマーケティングとしてメディアとのやりとりやイベントに足を運ぶ毎日を送っている。スポーツバイクの魅力をより多くの人に伝えたい。この気持ちで仕事に没頭する毎日をすごしている。
「達成感のあるチャレンジがしたい。」
ある日、この言葉が頭の中を支配する1日があった。毎日の生活に満足していないわけではないのだけれど、頭の片隅に何かがひっかかる。夢中になれるなにか。無心でできるなにか。自分のチャレンジとしてなにかをしたい。
そうかんじるようになった。一度、そう感じるとそれをやるまで気がすまない性格の自分は、その答えを探しだした。




そんなある日。「『日本最強!最悪!』日本最強の山岳ロングライドチャレンジイベント」という文字がSNSのタイムラインに流れてきた。その名は「The PEAKS」。この名は一度、聞いたことがあったのだけれどその時は大切なレースと重なっていたことで出場を断念していた。
「4月23日『日本最強!最悪!』の伝説を一緒に作ろう!」この言葉で出場を決意した。参加を決意したのが2月上旬。ここから準備、トレーニング、そして本番の様子とレポートしていこうと思う。
The PEAKS 準備編
出場を決めてから一番の変化は自分の「気持ち」に表れた。毎日の自転車通勤でも目的をもって走れるようになって、通勤自体を楽しめるようになった。選手であった自分でも現役時代とは体の状態は違うし、今回はあえてロードバイクにLEFTYサスペンションフォークを搭載したSLATEというバイクで走ることを決めていたので、軽量ではないバイクを走らせるためには体を作っていくしかなかった。

毎日が楽しいというか、自転車に乗ることが楽しくなったのが一番の変化だった。これは自分の中でも新たな発見だった。気持ちが乗ってくると、自然と走る距離も伸びてトレーニング効果は高まっていった。
バイクの準備
ストレスのないSLATEを作る。そうしないと長い時間気持ちよく走れないし、力をだせないので。今は速さを求める走りをしないのでライドフォームはハンドル高めが基本。これは3cmのサスペンションがあることも影響して、わざとそうしている。
ストレスのないバイクとは現役時代からの考えで、一瞬跨っただけでも力がでるようなバイクポジションよりも、継続的に力を出し続けられる方が美しいという考え方。




ロングライドの時に大切なサドルは、このチャレンジにあわせてファブリック「scoop radius ultimate」に変更。ベースとレールがカーボンとされたこのサドルは見た目以上の軽さと、乗り心地の良さが特徴。取り付けてからはライドのたびに数mm単位でサドルの高さ、角度の調整を行った。
ギア比はフロントはコンパクト、後ろは11-32T仕様。獲得標高が多いイベントなので、下りでの安全性を考えてブレーキパッドは新品に交換。タイヤは純正品が42Cのところ、38Cの「COMPASS」というブランドのタイヤをチョイス。純正品より40gの軽量化に成功。タイヤの圧は4.5barに設定。それ以外にも軽量にできるものは変えていった。ここは大人の事情があってすべてファブリック製品で揃える。


それ以外ではミスコースをしないようにガーミン「Edge1000J」を選択。大きな画面で自分の位置情報と登録したコースをトレースしながら走ることができるのがとても心強い。今回は長旅になることが予想されたので、GPSのマップ機能のみを使用し、電池の消耗を最小限にするように工夫。それ以外の心拍数やスピードの管理は普段使っているsunntoを使用。
細かな調整では、LEFTYの初期の動きをよくするために「リセット」という作業を本番前にやっておいた。これは新型LEFTYに共通するセッティング方法で、エアバルブにポンプを付けた状態でエア圧を0まで空気を抜き、フルボトムさせ、その後規定量のエアを入れなおすというもの。そうすることで内部にあるベアリングが正常な位置に戻り気持ちよくサスペンションが反応するようになる。
The PEAKS トレーニング編
トレーニングの時間を作るためになるべく「自転車通勤」をできるように工夫。そして、通勤の質を上げるために会社で必要なものは電車通勤の時に事前に持参し、自転車に乗る時はなるべく軽い装備で走れるように心がけて通勤を行った。



片道25km、1日往復50kmの通勤がトレーニングのベースを作っていった。トレーニングの負荷は「ミドルペース」という呼吸が少し乱れる寸前をキープする走り方で心肺機能を高めていく。通勤の時も心拍計は欠かさず装着し管理。
それ以外の休日は家庭のこともあるので2時間と時間を決めて濃密時短トレーニング。坂道でやるインターバルトレーニングで強い負荷をかけていった。バイクを一番速く進ませられるペースで30秒がんばって、1分30秒休む。こういった走りを10本やって家に帰るという休日を過ごしていった。選手時代はいくらでも時間があったけど、今は家庭が優先。

トレーニングが楽しい。そう思えるのも選手を引退して、少し気持ちに余裕ができたからなのだろう。落ちていた体力がトレーニングをするたびに上がっていくのは本当にうれしいこと。練習は裏切らない。そう感じながら毎日のトレーニングを重ねていった。

今回、私が出場を決めてから、我が社の社長も参戦を表明。「ノリタクナルセカイツクル」がミッションの我が社の中で一番のイベント好きな社長。大会前は同部屋で翌日の作戦会議などをしながら夜は更けていった。3秒で寝たのには驚いたが(笑)
本番当日、日本一の「坂バカ」が集結。約300名のライダーが熱気ムンムンでスタートの時を待っていた。それぞれにこだわりが詰まったバイクは見ているだけでも面白い。スタートは朝6時。それぞれがグループに分かれてスタートしていく。
今回、挑戦したコースは距離163km、獲得標高4,841mで静岡県「熱海」を舞台に開催された。宿のあるポイントを中心に「ノースルート」と「サウスルート」どちらを先にいくかは選択可能で、自分は「ノースルート」を先に走ることを選択。大きな山が続くルートを先に終えたいとこのルートを選んだ。
神奈川県の坂好きの方なら1度は上ったことがあるであろう、「熱海峠」「十国峠」「箱根峠」「大観山」を好きな順番で超えていくというコース。途中にはチェックポイントがあり、スタッフから受け取る「通過チップ」と、指定されたコンビニのレシートを受け取り、スタート地点でのチェックを受けて、残りの「サウスルート」を回るというもの。詳しくはコースマップを見てもらいたいが、イベントでなければ走ろうと思わないSっ気たっぷりなコース設定となっている。



スタートはグループごとに走りだし、坂がはじまると足の合うメンバーが自然と集まりそれぞれのペースで進んでいく。坂を登って、下ってを繰り返す。このイベントの特徴は往復区間が多いことでライダー同士がすれ違って互いに声を掛け合えるというのが他のイベントとは違うポイントだと感じた。
速さを争うのではなく、完走を目指す。1つ1つの山を力いっぱいに走るライダーもいれば、休憩所で必要最小限のストップのみで走り続けるタイプのライダーまでスタイルはそれぞれ。自分は今回のチャレンジを無理しないと決めていたので、苦しいと感じたらペースを落として、一番気持ちのいいペースで走り続けることを優先した。




チェックポイントでは話好きなので止まりすぎた感はあるのだけれど。ただ、そのおかげで多くのライダーと交流を持てたし、一緒に走ることができたのは大きな今回の思い出である。
これだけ長い時間走っていると、バイクについていろいろと感じることがあった。タイヤが太く、LEFTYサスペンションのおかげで終始ソフトな乗り心地の上でコースを走ることができたのがよかった。特に長い下りではコーナーのたびにLEFTYの恩恵を実感することができた。F1のように路面にバイクが貼りつきどんなスピードでも曲がっていけるのではないかと錯覚してしまうくらいに走行性能の高さを感じた。



山を登って下るたびに頭の中を支配するアドレナリン。「The PEAKS」でなければここまで走りにエキサイトすることはできなかったであろう。幸いにも本番当日は走るのにちょうどいい気温と天候で距離を伸ばすたびに変わる景色を心の底から楽しむことができた。
この「The PEAKS」はしっかりとした準備をしなければ本番を楽しむことができないし、準備期間を楽しめるライダーのみが完走という名誉ある証を受け取ることができるのだと感じた。苦難をともにした仲間とのゴールの瞬間は最高の瞬間だったし、この達成感は想像をはるかに超えるものだった。




「The PEAKS」の参加についてはじめから「無理」と決め込むよりも、参加を決めて準備を楽しみながら毎日を過ごしていくことで日常では味わうことのできない達成感を得ることができるのだと感じた。
「達成感のあるチャレンジがしたい。」
そう感じてからこの日の完走までの過程すべてが楽しかった。何かに向かってチャレンジする日々がこんなにも充実した気持ちになれるとは。「The PEAKS」ありがとう。
今回はチャレンジすることで体の疲労感はあったけど、それ以上に心を満たす最高の経験をすることができた。
さぁ、明日からもがんばろ。






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