2017/02/11(土) - 14:40
ここ数年で急速にその存在感を大きくしてきたバイクパッキング。キャリア不要、愛用の自転車で泊りがけのツーリングにも出かけられるという、魅力的な遊び方だ。そんなバイクパッキングで四国一周に年末を利用して挑戦した、ジャイアント・ジャパンに勤務する中谷亮太さんのレポートをお届けします。
2016年も終わりに近づく年の瀬。世間が年末休みムードを迎えるそんな折、筆者は四国沿岸を走る国道56号線の上、延々と続く坂と向かい風にただ一人打ちのめされていた。本来なら実家でまったり過ごしていただろうに、なぜこんなキツい思いをしているんだ?愛媛県松山市へ向かう青々とした山間の道をこなしながら、そんなやるせない心境に陥っていた。
筆者は今冬の年末休みを使い、四国4県をまたぐ単独バイクパッキングツアーを敢行した。走行距離800kmを超える旅路を4日間で走りぬき、自転車で四国一周を何とか形にしてきた次第である。目的はズバリ、「バイクパッキング」のリアルな使い勝手を体当たりで確かめるためであった。
本レポートではバイクパッキングのノウハウ、冬のロングライドのコツ、四国旅で遭遇したサイクリング体験など、ありのままをここに紹介したい。これからバイクパッキングに挑戦してみたい方の、良きアシストになれば幸いである。
バイクパッキングってどうなのよ?
ことの発端は、何気なく目に止まったシクロワイアードの記事だった。ジャパニーズオデッセイなる、エクストリームライドを扱ったそのレポートには、屈強な国外のサイクリスト達と工夫を凝らした自慢のツーリングバイクが並んでいた。スリックタイヤを履いたCXバイクに、異形とも思える特大サイズのサドルバッグをぶら下げ、一見してそのゴテゴテ感がカッコよかった。
普段乗り慣れたマイバイクに、キャリアを必要としない大型バッグを括りつけて旅に出る「バイクパッキング」というスタイル。それはロードバイクもMTBもCXも種類を問わず、荷物の積載方法はより無駄がなくスタイリッシュで、自転車旅の新たな潮流としてその領域を拡大しつつあるとのこと。
その一方で、こと関東のサイクリングシーンにおいて、あんなドデカいサドルバッグをつけて走るサイクリストなど見たことがない。メディアでの宣伝とは裏腹に、その人気の高まりには若干懐疑の目を向けていた。バイクパッキングって実際どうなのよ?という純粋な興味、そして自転車業界のトレンドを知るためにも、いつか自らテストしてみよう。そんな思いを抱きつつ、年末へ向けて忙しい日々を過ごしていた。
一周ライドへの憧れ
折しも社内では、台湾一周サイクリングを終えたばかりの先輩方が思い出話に花を咲かせていた。フォルモサ900と呼ばれ、7日間かけて台湾の風光明媚なサイクリングロードを駆け抜けるまさにグレートジャーニー。先輩方の貴重な体験を羨ましく思いつつ、学生時代に挑戦した北米ツーリングの記憶が蘇った。
いつか台湾を一周したい、また自転車で自由に旅がしたい。そうは思えど、単独海外ツーリングはスケジュール的にもコスト的にも少々ハードルが高い。ならば国内で実現できないかと真っ先に思い当たるのは、近年サイクリングアイランド化を推し進める四国。そこで閃いた。そうだ、バイクパッキングで四国を一周しよう!四国って1周800kmくらいあった気がするけど4日間でいけるか、ちょうど四国だし!とノリで全てが決定。かくして人生初めてのバイクパッキングツアー挑戦が動き出す運びとなった。
四国を4日間で一周、つまり1日約150~200kmを4日で完走する必要がある。走行ルートの作成、先々での宿泊の確保、最適な機材の準備などやるべきことは盛り沢山である。とはいえ一人旅なので、面倒臭さよりも自由な発想でスケジュールを組み立てる楽しさが勝っていた。
厳密には、四国一周サイクリングルートに決まったコースは確立されていない。グーグルマップを駆使して、実現可能な1日の走行距離と宿泊先との折り合いをつけ、ルートを練り上げた。足摺岬と佐田岬はスキップすることにしたものの、おおよそ四国の島の形をなぞるコースが出来上がった。
旅の目的はバイクパッキングのインプレと、ひたすら走り四国一周を形にすることが再優先。時間の関係で観光やグルメを堪能する余裕が無かったことが悔やまれるが、冬の走りこみ合宿も兼ねようと割り切ることにした。肝心の現地までの足は羽田から高松空港まで飛行機輪行することに決め、早朝便をいち早く予約。師走の忙しい合間をぬって、出発への準備を進めた。
満を持して新車を投入!
思う存分走れる絶好の機会とあり、直前でバイクを新調することに決めた。ジャイアントのエアロロードPROPEL ADVANCED PROのフレームセットを購入し、パーツ載せ替えと借り物を駆使して出発5日前に完成。コンポはSRAMの旧型RED、ギア構成はコンパクトクランクに11/28Tカセットを組み合わせたツーリング仕様へと変更した。ホイールは自社製品テストも兼ねてジャイアントのカーボンホイールSLR 1+チューブレスレディタイヤGAVIA SLR 25Cをセット。ペダルは旅行中ビンディングシューズ一足しか持たない前提で、シマノのSPD一択となった。さらにツーリングへの一工夫として、チェーンオイルには抜群の耐久性を誇るWAKO’Sのチェーンルブリキッド エクストリームを施工。
エアロ特性を突き詰めたレーシングバイクという位置づけのPROPELをなぜこのロングライドに向けてチョイスしたのかといえば、社内ではハイテンポのロングライドにも適していると評判だったから。直進安定性に優れ、エアロ効果でスピードを維持できるのがその理由だ。同じロングライド向けバイクとしてはDEFYもあるが、ディスクブレーキとアップライトなポジションは自分としては必要無いと判断(とはいえDEFYは乗り心地が抜群に良く、翌日の疲労もかなり軽減される素晴らしいバイクだ)。いざ旅が始まると、PROPELの高性能な走りに終始助けられることとなる。
パズルのようなパッキング
組んだばかりのバイクにバッグを取り付けるわけだが、これが非常に面白く何度も試行錯誤した。それは、お気に入りのアクセサリーをつける楽しみにも似ている。その過程で、バイクパッキングに向くバイクの傾向も見えてきた。
まずはシートポスト出代が大きいこと。大きければ大きいほど大型サドルバッグを収めやすいからだ。小さいとホイールに擦ってしまう心配もある。そして、ホリゾンタルフレームで前三角が大きいとフレームバッグを収めやすくなる。また、バッグのストラップの留めやすさとしてはフレームチューブが細いバイクのほうが向いている。ハンドルバッグを使用する場合は、ハンドル周りのケーブルがすっきりしているほうが良いだろう。総じてフレームサイズの小さいバイクは、バッグの取付に一工夫必要だと感じた。
最終的にサドルバッグ、ハンドルバーバッグ、トップチューブバッグの3点セットに絞り、本当に最低限と判断したものしか携行しないスタイルをとった。持参した機材の振り分けはおおよそ以下の通り。全て透明のチャック付き袋で小分けにし、浸水防止とバッグ中で迷子にならないように工夫した。
ハンドルバーバッグ:タオル、充電コード、マッサージオイル一式、補修パーツ一式、ワイヤーロックなど小物を中心に
サドルバッグ:着替え一式、追加の補給食、お土産など大きくてかさばるもの
トップチューブバッグ:モバイルバッテリー、CO2インフレーター、マルチツールなど
フレーム:ボトル2本、携帯ポンプ、CO2ボンベx2
アクセサリー:前ライトx2、後ライトx1、サイクルコンピューター
実際にパッキングしてみると、バックパックを背負うことなく、これだけの量のアイテムを携行できることに驚いた。後付の重たいキャリアラックは不要で、ツーリングバイク化に必要なものはバッグだけだ。装備を満載にした状態でも12kg程度と、申し分ない軽さに収まった。見た目もナイスだ。ちなみにパッキングの最終形が完成したのは出発前の晩で、それほど携行品の選定と積載スタイルには知恵を絞ることとなった。その過程はパズルのようで、なんとも楽しかった。
バイクパッキングのアイコンとも言える大型サドルバッグはもちろんスタメン起用。ジャイアントのSCOUT SEAT BAGは取付けカンタンで、かさばるウエア類をしっかりとパッキングできる。ライド中に使わない明日の着替えを奥へ押し込んでおき、手前には追加の補給食や防寒着をいれてすぐに取り出せるようにしておいた。ロールトップ方式であり、荷物の容量が増減しても柔軟に荷室サイズを変えられる構造が機能的な一品で、その上値段も安いのだ。
この手の大型サドルバッグの注意点として、サドル高の低いバイクだとバッグとリアタイヤが接触する可能性がある。サドルトップ-BBが670mmの自分のバイクは何とかバッグ下のクリアランスを確保でき、走行中ずり落ちてタイヤに擦ることはなかった。
ハンドルバーバッグはジャイアントのSCOUT HANDLEBAR BAG。ロールクロージャーの防水袋をケースで巻き込んでハンドルに固定する方式で、スマホの充電ケーブルやマッサージオイルなど、ライド中およそ使わないものを押し込んで積載。正直頻繁な中身の取り出しには不向きだが、バッグ自体が軽量コンパクトなので、走行中もハンドリングへ影響が少なく、下ハンを握る時も全く邪魔にならないメリットがある。ハンドル周りのメーターやライトのブラケットと喧嘩しないよう、上手く取り付けることができた。
トップチューブにはこちらもジャイアントのTOP TUBE BAG WPのラージサイズを装備。PROPELのシフトケーブルはトップチューブから内蔵されるため、ヘッドチューブ部分の固定はベルクロテープを延長して取付けた。モバイルバッテリーを仕込んでおいて走りながらライトを充電できるほか、補給食のゴミをビニール袋に入れてここに収納していた。欠点はダンシングで膝にあたってしまうことで、(シッティングでは問題ない)バッグがずれたら都度手で位置を直していた。
いざ四国へフライト!
出発は12月29日の朝。まずは7時35分のフライトで高松空港を目指す。まだ日も出ていない早朝のもと、自宅から羽田空港までの20kmを自走。空港でバイクを輪行袋にパッキングして、手荷物預け入れにパスした。今回お世話になった国内線はANAで、ハードケースでない普通の輪行袋でも丁寧に取り扱ってくれる印象だった。CO2ボンベも問題なく預け荷物で運ぶことができる。タイヤの空気はビードが落ちない程度に少し抜いておいたが、全然チェックされなかった
。
ちなみに飛行機輪行での四国旅は、松山空港が断然オススメだ。ハードケースを空港に預けておくことができ、工具やフロアポンプも貸してくれる。サイクリストの聖地しまなみ海道は40km程度の距離にあるので、その気になれば自走してもたどり着けるだろう。
様々な準備を済ませ、新たな愛車と共に四国へと飛び立った中谷さん。4日で四国を一周するライドは、一体どのような道のりとなるのでしょうか。後編をお楽しみに。
report:Ryota.Nakatani
2016年も終わりに近づく年の瀬。世間が年末休みムードを迎えるそんな折、筆者は四国沿岸を走る国道56号線の上、延々と続く坂と向かい風にただ一人打ちのめされていた。本来なら実家でまったり過ごしていただろうに、なぜこんなキツい思いをしているんだ?愛媛県松山市へ向かう青々とした山間の道をこなしながら、そんなやるせない心境に陥っていた。
筆者は今冬の年末休みを使い、四国4県をまたぐ単独バイクパッキングツアーを敢行した。走行距離800kmを超える旅路を4日間で走りぬき、自転車で四国一周を何とか形にしてきた次第である。目的はズバリ、「バイクパッキング」のリアルな使い勝手を体当たりで確かめるためであった。
本レポートではバイクパッキングのノウハウ、冬のロングライドのコツ、四国旅で遭遇したサイクリング体験など、ありのままをここに紹介したい。これからバイクパッキングに挑戦してみたい方の、良きアシストになれば幸いである。
バイクパッキングってどうなのよ?
ことの発端は、何気なく目に止まったシクロワイアードの記事だった。ジャパニーズオデッセイなる、エクストリームライドを扱ったそのレポートには、屈強な国外のサイクリスト達と工夫を凝らした自慢のツーリングバイクが並んでいた。スリックタイヤを履いたCXバイクに、異形とも思える特大サイズのサドルバッグをぶら下げ、一見してそのゴテゴテ感がカッコよかった。
普段乗り慣れたマイバイクに、キャリアを必要としない大型バッグを括りつけて旅に出る「バイクパッキング」というスタイル。それはロードバイクもMTBもCXも種類を問わず、荷物の積載方法はより無駄がなくスタイリッシュで、自転車旅の新たな潮流としてその領域を拡大しつつあるとのこと。
その一方で、こと関東のサイクリングシーンにおいて、あんなドデカいサドルバッグをつけて走るサイクリストなど見たことがない。メディアでの宣伝とは裏腹に、その人気の高まりには若干懐疑の目を向けていた。バイクパッキングって実際どうなのよ?という純粋な興味、そして自転車業界のトレンドを知るためにも、いつか自らテストしてみよう。そんな思いを抱きつつ、年末へ向けて忙しい日々を過ごしていた。
一周ライドへの憧れ
折しも社内では、台湾一周サイクリングを終えたばかりの先輩方が思い出話に花を咲かせていた。フォルモサ900と呼ばれ、7日間かけて台湾の風光明媚なサイクリングロードを駆け抜けるまさにグレートジャーニー。先輩方の貴重な体験を羨ましく思いつつ、学生時代に挑戦した北米ツーリングの記憶が蘇った。
いつか台湾を一周したい、また自転車で自由に旅がしたい。そうは思えど、単独海外ツーリングはスケジュール的にもコスト的にも少々ハードルが高い。ならば国内で実現できないかと真っ先に思い当たるのは、近年サイクリングアイランド化を推し進める四国。そこで閃いた。そうだ、バイクパッキングで四国を一周しよう!四国って1周800kmくらいあった気がするけど4日間でいけるか、ちょうど四国だし!とノリで全てが決定。かくして人生初めてのバイクパッキングツアー挑戦が動き出す運びとなった。
四国を4日間で一周、つまり1日約150~200kmを4日で完走する必要がある。走行ルートの作成、先々での宿泊の確保、最適な機材の準備などやるべきことは盛り沢山である。とはいえ一人旅なので、面倒臭さよりも自由な発想でスケジュールを組み立てる楽しさが勝っていた。
厳密には、四国一周サイクリングルートに決まったコースは確立されていない。グーグルマップを駆使して、実現可能な1日の走行距離と宿泊先との折り合いをつけ、ルートを練り上げた。足摺岬と佐田岬はスキップすることにしたものの、おおよそ四国の島の形をなぞるコースが出来上がった。
旅の目的はバイクパッキングのインプレと、ひたすら走り四国一周を形にすることが再優先。時間の関係で観光やグルメを堪能する余裕が無かったことが悔やまれるが、冬の走りこみ合宿も兼ねようと割り切ることにした。肝心の現地までの足は羽田から高松空港まで飛行機輪行することに決め、早朝便をいち早く予約。師走の忙しい合間をぬって、出発への準備を進めた。
満を持して新車を投入!
思う存分走れる絶好の機会とあり、直前でバイクを新調することに決めた。ジャイアントのエアロロードPROPEL ADVANCED PROのフレームセットを購入し、パーツ載せ替えと借り物を駆使して出発5日前に完成。コンポはSRAMの旧型RED、ギア構成はコンパクトクランクに11/28Tカセットを組み合わせたツーリング仕様へと変更した。ホイールは自社製品テストも兼ねてジャイアントのカーボンホイールSLR 1+チューブレスレディタイヤGAVIA SLR 25Cをセット。ペダルは旅行中ビンディングシューズ一足しか持たない前提で、シマノのSPD一択となった。さらにツーリングへの一工夫として、チェーンオイルには抜群の耐久性を誇るWAKO’Sのチェーンルブリキッド エクストリームを施工。
エアロ特性を突き詰めたレーシングバイクという位置づけのPROPELをなぜこのロングライドに向けてチョイスしたのかといえば、社内ではハイテンポのロングライドにも適していると評判だったから。直進安定性に優れ、エアロ効果でスピードを維持できるのがその理由だ。同じロングライド向けバイクとしてはDEFYもあるが、ディスクブレーキとアップライトなポジションは自分としては必要無いと判断(とはいえDEFYは乗り心地が抜群に良く、翌日の疲労もかなり軽減される素晴らしいバイクだ)。いざ旅が始まると、PROPELの高性能な走りに終始助けられることとなる。
パズルのようなパッキング
組んだばかりのバイクにバッグを取り付けるわけだが、これが非常に面白く何度も試行錯誤した。それは、お気に入りのアクセサリーをつける楽しみにも似ている。その過程で、バイクパッキングに向くバイクの傾向も見えてきた。
まずはシートポスト出代が大きいこと。大きければ大きいほど大型サドルバッグを収めやすいからだ。小さいとホイールに擦ってしまう心配もある。そして、ホリゾンタルフレームで前三角が大きいとフレームバッグを収めやすくなる。また、バッグのストラップの留めやすさとしてはフレームチューブが細いバイクのほうが向いている。ハンドルバッグを使用する場合は、ハンドル周りのケーブルがすっきりしているほうが良いだろう。総じてフレームサイズの小さいバイクは、バッグの取付に一工夫必要だと感じた。
最終的にサドルバッグ、ハンドルバーバッグ、トップチューブバッグの3点セットに絞り、本当に最低限と判断したものしか携行しないスタイルをとった。持参した機材の振り分けはおおよそ以下の通り。全て透明のチャック付き袋で小分けにし、浸水防止とバッグ中で迷子にならないように工夫した。
ハンドルバーバッグ:タオル、充電コード、マッサージオイル一式、補修パーツ一式、ワイヤーロックなど小物を中心に
サドルバッグ:着替え一式、追加の補給食、お土産など大きくてかさばるもの
トップチューブバッグ:モバイルバッテリー、CO2インフレーター、マルチツールなど
フレーム:ボトル2本、携帯ポンプ、CO2ボンベx2
アクセサリー:前ライトx2、後ライトx1、サイクルコンピューター
実際にパッキングしてみると、バックパックを背負うことなく、これだけの量のアイテムを携行できることに驚いた。後付の重たいキャリアラックは不要で、ツーリングバイク化に必要なものはバッグだけだ。装備を満載にした状態でも12kg程度と、申し分ない軽さに収まった。見た目もナイスだ。ちなみにパッキングの最終形が完成したのは出発前の晩で、それほど携行品の選定と積載スタイルには知恵を絞ることとなった。その過程はパズルのようで、なんとも楽しかった。
バイクパッキングのアイコンとも言える大型サドルバッグはもちろんスタメン起用。ジャイアントのSCOUT SEAT BAGは取付けカンタンで、かさばるウエア類をしっかりとパッキングできる。ライド中に使わない明日の着替えを奥へ押し込んでおき、手前には追加の補給食や防寒着をいれてすぐに取り出せるようにしておいた。ロールトップ方式であり、荷物の容量が増減しても柔軟に荷室サイズを変えられる構造が機能的な一品で、その上値段も安いのだ。
この手の大型サドルバッグの注意点として、サドル高の低いバイクだとバッグとリアタイヤが接触する可能性がある。サドルトップ-BBが670mmの自分のバイクは何とかバッグ下のクリアランスを確保でき、走行中ずり落ちてタイヤに擦ることはなかった。
ハンドルバーバッグはジャイアントのSCOUT HANDLEBAR BAG。ロールクロージャーの防水袋をケースで巻き込んでハンドルに固定する方式で、スマホの充電ケーブルやマッサージオイルなど、ライド中およそ使わないものを押し込んで積載。正直頻繁な中身の取り出しには不向きだが、バッグ自体が軽量コンパクトなので、走行中もハンドリングへ影響が少なく、下ハンを握る時も全く邪魔にならないメリットがある。ハンドル周りのメーターやライトのブラケットと喧嘩しないよう、上手く取り付けることができた。
トップチューブにはこちらもジャイアントのTOP TUBE BAG WPのラージサイズを装備。PROPELのシフトケーブルはトップチューブから内蔵されるため、ヘッドチューブ部分の固定はベルクロテープを延長して取付けた。モバイルバッテリーを仕込んでおいて走りながらライトを充電できるほか、補給食のゴミをビニール袋に入れてここに収納していた。欠点はダンシングで膝にあたってしまうことで、(シッティングでは問題ない)バッグがずれたら都度手で位置を直していた。
いざ四国へフライト!
出発は12月29日の朝。まずは7時35分のフライトで高松空港を目指す。まだ日も出ていない早朝のもと、自宅から羽田空港までの20kmを自走。空港でバイクを輪行袋にパッキングして、手荷物預け入れにパスした。今回お世話になった国内線はANAで、ハードケースでない普通の輪行袋でも丁寧に取り扱ってくれる印象だった。CO2ボンベも問題なく預け荷物で運ぶことができる。タイヤの空気はビードが落ちない程度に少し抜いておいたが、全然チェックされなかった
。
ちなみに飛行機輪行での四国旅は、松山空港が断然オススメだ。ハードケースを空港に預けておくことができ、工具やフロアポンプも貸してくれる。サイクリストの聖地しまなみ海道は40km程度の距離にあるので、その気になれば自走してもたどり着けるだろう。
様々な準備を済ませ、新たな愛車と共に四国へと飛び立った中谷さん。4日で四国を一周するライドは、一体どのような道のりとなるのでしょうか。後編をお楽しみに。
report:Ryota.Nakatani
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