2016/08/07(日) - 09:43
台湾で開催される東アジア最高峰のヒルクライム大会「MAXXIS太魯閣国際ヒルクライム2016」。2014年は悪天候で登頂を果せなかった田代恭崇さんがリベンジ。日本からのツアーの様子と大会前日の観光サイクリングレポートをお楽しみください。
前日の足慣らしサイクリングでツアー参加者と太魯閣渓谷の入口で記念写真。大会コースでここから緩い登りが始まり壮大な渓谷美を楽しめる photo:Yasutaka.Tashiro
私、田代恭崇は今回「MAXXIS太魯閣国際ヒルクライム2016」にチャレンジする参加者の皆さんのサポーターとして、東武トップツアーズ主催の参戦ツアーに同行した。
台湾は現役時代に「ツール・ド・台湾」に何度か出場した事があり、2006年にはステージ2勝した思い出がある。引退後も何度か自転車関係の仕事で訪れたが、みなさん親日的で日本語を話せる人も多く、ご飯が美味しい。楽しい思い出もたくさんあり、大好きな国の1つだ。
ツアー参加者は一緒に走ればすぐに仲間だ photo:Yasutaka.Tashiro
海岸線のサイクリングロードは爽快そのもの photo:Yasutaka.TashiroMAXXIS太魯閣国際ヒルクライムは、台湾の3,000mを越す中央山脈を挟んで中央東部に位置する花連の海岸線をスタートし、美しい太魯閣(タロコ)渓谷を抜け、一般道で到達できる東アジア最高地点である標高3,275mの武嶺(ウーリン)まで登る約90kmの壮大なヒルクライム大会だ。運営は日本企業のR1ジャパンが行っており、アジアでのクルマやモーターサイクルのクロスカントリーラリーや、おなじみタイでの「チェンライ国際MTBチャレンジ」なども手掛けている。
コースは、最高峰のインターナショナルクラス(約90Km/3275m)、楽しく挑戦できるチャレンジクラス(約74Km/2,374m)、そして渓谷美を楽しむ太魯閣サイクリング(約44Km/480m)の3つが用意されており、脚力・実力と目的に合わせて選べるようになっている。
じつは2014年大会に初参加しインターナショナルクラスにチャレンジしたものの、標高2,375mの関原から先は悪天候で、標高3,275mの武嶺へはたどり着けなった。2回目の参加は私にとってリベンジなのだ。
6月24日(金)朝、ツアーに参加するみなさんと成田空港から台北桃園空港に飛行機で向かった。現地で、名古屋・大阪・福岡から合流したみなさんを含め計23名のツアーがここからスタート。北東部の台北から中央東部の花連までは約200km離れている。一昨年は車での移動で海岸線の山岳路に揺られること5時間と、本当に大変だった。今年は特急電車で約2時間、しかも自転車は空港からトラックでホテルまで輸送してくれるという嬉しいラクラク移動。みなさんと電車旅を楽しんだ。
到着後はフリーの夕食だったので、みなさん思い思いに屋台が並ぶ夜市へと繰り出していった。自転車で登るだけじゃもったいない。台湾はご飯がおいしい! この国の楽しみかたの醍醐味は「食べること」が大きな比重を占めているのだ。
このあたりで捕れるマンボウの像の前でツアー参加者全員集合。マンボウ専門店があって食べれることができる photo:Yasutaka.Tashiro
私はというと大会主催者のみなさんと一緒に食事に出かけ、ウミヘビの炒め物に初チャレンジ。「え~」と思ったがこれがおいしい。こんな出会いも楽しみの1つ。そして南の島の歓迎はお酒がつきもの。いつも通りへべれけになり、朝起きて気がつくと腕にはぎっしり「I ♡ TW」の文字が……(笑)。これもまたいい思い出だ!
6月25日(土)大会前日は、自由参加の花連周辺・太魯閣渓谷観光サイクリング50km。そして大会受付と事前説明会が行われた。
朝から気温は30℃を超え、暑い。海岸線の山岳地帯なので雨も降ったりやんだり、太陽が一気に顔をだし日差しが厳しかったりと、空模様も目まぐるしく変わるまさに熱帯地域の気候だ。観光サイクリングへは台湾自転車メーカーのサポートを受けて活動するMTB選手の廣瀬由紀さんも一緒に帯同してくれた。
サイクリングの締めは花連市内の有名なガチョウ肉店で乾杯 photo:Yasutaka.Tashiro
日本人向けの事前説明会が用意されるのは嬉しい photo:Yasutaka.Tashiro
南の島の歓迎はお酒をよく飲む。飲み比べの台湾式飲みはほどほどに photo:Yasutaka.Tashiroホテルのロビーで、私からは長距離のヒルクライム完走を目指したペース配分のアドバイスをさせてもらった。そして最高峰のインターナショナルクラス(約90Km/3275m)で、私は上りのペースメイクになるように6時間を目安に完走を目指すことを皆さんにお伝えした。台湾をよく知る廣瀬さんからも、道のコンディションや注意点など詳しく説明をいただいた。
明日の本番のスタート地点となっている花連県新城郷秀林國中まではホテルから約25km。海岸線のサイクリングロードを気持ちよくみんなで走る。これまでの移動も一緒でサイクリングも一緒なら、あっというまにみんな仲間となって笑いが絶えない。
太魯閣渓谷の入り口でみんなで記念撮影。ここから先は大理石が浸食されてできた大渓谷で圧巻の景色。台湾でも景観地として人気のスポットだ。ここで渓谷沿いをさらに走る人と花連市内へランチを食べに行く人に分かれ、私たちは花連市内のガチョウ肉店へ。昨夜すでにガチョウ肉を召し上がった人たちは近くの小籠包店へ。そして台湾といえばやっぱり自転車王国。市内のサイクルショップへ見学しに行ったりと、みなさん思い思いに台湾を堪能。足慣らしの観光サイクリングはいい感じとなった。
ホテルに戻り一休みして、夕方からの大会受付と事前説明会に参加。宿泊しているホテルの1階が会場になっているのでありがたい。日本人向けの受付と日本人向けの事前説明会もあり安心だ。
説明会では、コースの詳細、エイドステーションでの飲み物や食べ物の紹介、注意点などにくわえ、「配布物の赤色のリボンは、日本からの参加者の証になるのでヘルメットの後ろにつけてください」と説明があった。台湾では所属しているチームや家族が大会中も並走車からサポートするのが一般的で、彼らは日本からきた参加者へもチームや家族同様に水やバナナをくれたり、困った時には助けてくれると。大会側のサポートと共に嬉しいサポートだ。
そして最後に、日本語を話せるスタッフが各エイドステーションにいて、困った時は日本語を話せる大会エマージェンシーコールを案内してくれた。海外大会で不安なことも多いが、これもまた嬉しいサポートだ。
明日の朝は早い。でも今夜も食べることを楽しむ! 本番前夜なので、ホテル近くの食堂で水餃子とライス、ちょっとの台湾ビールでエネルギーチャージ。明日の本番へ備え気持ちもお腹も満たした。(つづく)
筆者プロフィール
田代恭崇さん(リンケージサイクリング)
田代恭崇さん(リンケージサイクリング) サイクリングプランナー。2004年アテネ五輪ロード日本代表。10年間ブリヂストンアンカーに所属し、ヨーロッパプロレースや全日本選手権等多くの優勝を飾る。07年で選手を引退し、08年ブリヂストンサイクルに入社。スポーツ自転車の商品企画、販売促進、広報、マーケティング、ショールーム運営、サイクリングイベント等の業務を6年間担当。
2013年には“世界一過酷” なアマチュアサイクリストの祭典 “オートルート・アルプス” で日本人初完走を果たす。2014年よりフリーランスとしてサイクリングの魅力を伝える活動を始める。 同年、サイクリングイベントやスクール、コーチを行うリンケージサイクリングを創業。
report&photo: 田代恭崇(Yasutaka.Tashiro)
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私、田代恭崇は今回「MAXXIS太魯閣国際ヒルクライム2016」にチャレンジする参加者の皆さんのサポーターとして、東武トップツアーズ主催の参戦ツアーに同行した。
台湾は現役時代に「ツール・ド・台湾」に何度か出場した事があり、2006年にはステージ2勝した思い出がある。引退後も何度か自転車関係の仕事で訪れたが、みなさん親日的で日本語を話せる人も多く、ご飯が美味しい。楽しい思い出もたくさんあり、大好きな国の1つだ。
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コースは、最高峰のインターナショナルクラス(約90Km/3275m)、楽しく挑戦できるチャレンジクラス(約74Km/2,374m)、そして渓谷美を楽しむ太魯閣サイクリング(約44Km/480m)の3つが用意されており、脚力・実力と目的に合わせて選べるようになっている。
じつは2014年大会に初参加しインターナショナルクラスにチャレンジしたものの、標高2,375mの関原から先は悪天候で、標高3,275mの武嶺へはたどり着けなった。2回目の参加は私にとってリベンジなのだ。
6月24日(金)朝、ツアーに参加するみなさんと成田空港から台北桃園空港に飛行機で向かった。現地で、名古屋・大阪・福岡から合流したみなさんを含め計23名のツアーがここからスタート。北東部の台北から中央東部の花連までは約200km離れている。一昨年は車での移動で海岸線の山岳路に揺られること5時間と、本当に大変だった。今年は特急電車で約2時間、しかも自転車は空港からトラックでホテルまで輸送してくれるという嬉しいラクラク移動。みなさんと電車旅を楽しんだ。
到着後はフリーの夕食だったので、みなさん思い思いに屋台が並ぶ夜市へと繰り出していった。自転車で登るだけじゃもったいない。台湾はご飯がおいしい! この国の楽しみかたの醍醐味は「食べること」が大きな比重を占めているのだ。
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私はというと大会主催者のみなさんと一緒に食事に出かけ、ウミヘビの炒め物に初チャレンジ。「え~」と思ったがこれがおいしい。こんな出会いも楽しみの1つ。そして南の島の歓迎はお酒がつきもの。いつも通りへべれけになり、朝起きて気がつくと腕にはぎっしり「I ♡ TW」の文字が……(笑)。これもまたいい思い出だ!
6月25日(土)大会前日は、自由参加の花連周辺・太魯閣渓谷観光サイクリング50km。そして大会受付と事前説明会が行われた。
朝から気温は30℃を超え、暑い。海岸線の山岳地帯なので雨も降ったりやんだり、太陽が一気に顔をだし日差しが厳しかったりと、空模様も目まぐるしく変わるまさに熱帯地域の気候だ。観光サイクリングへは台湾自転車メーカーのサポートを受けて活動するMTB選手の廣瀬由紀さんも一緒に帯同してくれた。
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明日の本番のスタート地点となっている花連県新城郷秀林國中まではホテルから約25km。海岸線のサイクリングロードを気持ちよくみんなで走る。これまでの移動も一緒でサイクリングも一緒なら、あっというまにみんな仲間となって笑いが絶えない。
太魯閣渓谷の入り口でみんなで記念撮影。ここから先は大理石が浸食されてできた大渓谷で圧巻の景色。台湾でも景観地として人気のスポットだ。ここで渓谷沿いをさらに走る人と花連市内へランチを食べに行く人に分かれ、私たちは花連市内のガチョウ肉店へ。昨夜すでにガチョウ肉を召し上がった人たちは近くの小籠包店へ。そして台湾といえばやっぱり自転車王国。市内のサイクルショップへ見学しに行ったりと、みなさん思い思いに台湾を堪能。足慣らしの観光サイクリングはいい感じとなった。
ホテルに戻り一休みして、夕方からの大会受付と事前説明会に参加。宿泊しているホテルの1階が会場になっているのでありがたい。日本人向けの受付と日本人向けの事前説明会もあり安心だ。
説明会では、コースの詳細、エイドステーションでの飲み物や食べ物の紹介、注意点などにくわえ、「配布物の赤色のリボンは、日本からの参加者の証になるのでヘルメットの後ろにつけてください」と説明があった。台湾では所属しているチームや家族が大会中も並走車からサポートするのが一般的で、彼らは日本からきた参加者へもチームや家族同様に水やバナナをくれたり、困った時には助けてくれると。大会側のサポートと共に嬉しいサポートだ。
そして最後に、日本語を話せるスタッフが各エイドステーションにいて、困った時は日本語を話せる大会エマージェンシーコールを案内してくれた。海外大会で不安なことも多いが、これもまた嬉しいサポートだ。
明日の朝は早い。でも今夜も食べることを楽しむ! 本番前夜なので、ホテル近くの食堂で水餃子とライス、ちょっとの台湾ビールでエネルギーチャージ。明日の本番へ備え気持ちもお腹も満たした。(つづく)
筆者プロフィール
田代恭崇さん(リンケージサイクリング)
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2013年には“世界一過酷” なアマチュアサイクリストの祭典 “オートルート・アルプス” で日本人初完走を果たす。2014年よりフリーランスとしてサイクリングの魅力を伝える活動を始める。 同年、サイクリングイベントやスクール、コーチを行うリンケージサイクリングを創業。
report&photo: 田代恭崇(Yasutaka.Tashiro)
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