2016/06/19(日) - 07:23
夏を感じ始めた5月29日(日)、神奈川県小田原市のMAZDAターンパイク箱根にて「箱根ヒルクライム」が開催された。晴天に恵まれたヒルクライムレースに挑んだヘタレ編集部員・藤原がレポートしよう。
年に5回しか交通規制することができないという自動車専用有料道路「MAZDAターンパイク箱根(通称、箱根ターンパイク)」を舞台として開催されるレースイベントが「箱根ヒルクライム」だ。今大会の実走レポートを務めるのは私、ヘタレ編集部員こと藤原である。
突然だが、私のレース出場経験は主にシクロクロスとクリテリウム、チーム耐久エンデューロといった種目に絞られている。ヒルクライムレースとは縁がない。いや、私自身が絞り、ヒルクライムレースから逃げているといった方が良いかもしれない。
なぜヒルクライムレースに出場しないのかというと、他のライダーに対して自分が遅い・パワー不足ということを自覚したくないためだ。弱いという現実を受け入れたくない。
そんな私がなぜ実走するのかというと、理由は至って簡単。ヒルクライマー編集部員ヤスオカ先輩が取材当日に休みを取るため、取材のお鉢が私に回ってきたというだけなのだ。できれば山登り系取材はヒルクライマーに任せたいという気持ちがあるが、先輩からのお願いを無下に断ることができず、私はスタートラインに並んでいる。
これから私が挑むのは、全長約13.4km、平均斜度7%、最大斜度10%というMAZDAターンパイク箱根。スタートから約10kmは8~10%の斜度が続き、ラスト3kmはアップダウンが現れるパンチの効いたヒルクライムコースである。
レースのオープニングセレモニーがはじまる朝8時30分の段階で、気温は21℃を越えており、この日のヒルクライムイベントが、高まる気温と体温との戦いになることを予感させる。時折吹く風が冷たく、それが救いとなることに期待せざるを得ない。
私の真横で鳴り響いたスタートの号砲とともに、集団は4km先まで平均斜度9%が続く急勾配に向かって飛び出していく。記録を狙う元気いっぱいのライダー達は、出だしからダンシングで集団から逃げはじめる。冷静な私は無謀にも思えるダッシュに反応せず、自分のペースを堅持し余裕を残す作戦を取る。
無理にパワーを使わない省エネ作戦のつもりだったが、1km地点でギアはインナーローへと入っており、後がなくなっている。こうなると省エネどころではない。辛さに耐えられるかどうかの我慢比べ大会となる。走行中は1人で考え事をして、少しでも脚の辛さを紛らわせる。
例えば、私は60rpmほどのケイデンスでペダルを踏んでいるが、他のライダーはなぜクルクルとハイケイデンスでペダリングできるのだろう?とか。ペダリングの問題ならばウォークライドの須田コーチによるレッスンを受けに行こうか?とか。ヒルクライムレースで速く走るためには何が必要か?とか。自分の体力不足を棚に上げて、思いついては消えていく思考を繰り返す。
スタートから4km地点、勾配がゆるくなったところで突如視界がひらけ、相模湾が姿をあらわす。これまで森のなかをひたすら進んでいただけに、気持ちが一気に晴れやかになる。ヒルクライムの醍醐味はやはり絶景を楽しめることにあるはずだ。辛さを味わった分だけ景色が綺麗に見える。加えて、ターンパイクからこの眺望をのんびりと見ることができるのは、箱根ヒルクライムだけなのである。
ほんの少しだけ相模湾を見ると、その先10km地点までは再び森のなかとなる。また、考え事をして一人の世界に入り込もうとすると「シクロワイアードいつも見てます!頑張ってください!」と声がかけられる。「ずいぶんと元気だな」と考えながらも、こちらも疲れていると悟られないように「ありがとうございます!」とハツラツと返す。ダラダラと登っている時点で、疲れているのは明確なのだが……。この後にも声を掛けてくれるライダーが沢山いて、話している間だけは元気になれたかなと感じる。
いよいよ10km地点に到達する。白銀山の山頂近く、大観山の尾根ということもあり視界は広い。これまでの登り一辺倒というプロフィールから、アップダウンを繰り返す道へと変化する。この日初めて30km/hオーバーのスピードを出してダウンヒルと辛い登り返しを楽しみ、ゴールへと飛び込む。タイムは1時間19分。ちなみにチャンピオンクラスの優勝タイムは40分フラットである。
ゴール地点の大観山MAZDAスカイラウンジ前は、箱根カルデラを一望できる絶景だ。眼下の芦ノ湖で航行している遊覧船の様子や富士山を見ることができるだけでも、足に溜まった疲労が勲章にさえ変わる気がする。
登り切ったという自己満足感に浸りながら、ウィンドブレーカーを羽織り下山。急勾配のダウンヒルで終始ブレーキレバーを離すことがなかったため、手がしびれてしまうことに。油圧のディスクブレーキならば制動力が高くレバーを軽く握れるため、手がしびれてしまうことは無いのだろう。ディスクブレーキの導入を考えていたら、あっという間にスタート地点とたどり着いてしまう。戻ってきた私はそそくさと着替えて、小田原の美味しい魚介料理を食べに出かけるのであった。
年に5回しか交通規制することができないという自動車専用有料道路「MAZDAターンパイク箱根(通称、箱根ターンパイク)」を舞台として開催されるレースイベントが「箱根ヒルクライム」だ。今大会の実走レポートを務めるのは私、ヘタレ編集部員こと藤原である。
突然だが、私のレース出場経験は主にシクロクロスとクリテリウム、チーム耐久エンデューロといった種目に絞られている。ヒルクライムレースとは縁がない。いや、私自身が絞り、ヒルクライムレースから逃げているといった方が良いかもしれない。
なぜヒルクライムレースに出場しないのかというと、他のライダーに対して自分が遅い・パワー不足ということを自覚したくないためだ。弱いという現実を受け入れたくない。
そんな私がなぜ実走するのかというと、理由は至って簡単。ヒルクライマー編集部員ヤスオカ先輩が取材当日に休みを取るため、取材のお鉢が私に回ってきたというだけなのだ。できれば山登り系取材はヒルクライマーに任せたいという気持ちがあるが、先輩からのお願いを無下に断ることができず、私はスタートラインに並んでいる。
これから私が挑むのは、全長約13.4km、平均斜度7%、最大斜度10%というMAZDAターンパイク箱根。スタートから約10kmは8~10%の斜度が続き、ラスト3kmはアップダウンが現れるパンチの効いたヒルクライムコースである。
レースのオープニングセレモニーがはじまる朝8時30分の段階で、気温は21℃を越えており、この日のヒルクライムイベントが、高まる気温と体温との戦いになることを予感させる。時折吹く風が冷たく、それが救いとなることに期待せざるを得ない。
私の真横で鳴り響いたスタートの号砲とともに、集団は4km先まで平均斜度9%が続く急勾配に向かって飛び出していく。記録を狙う元気いっぱいのライダー達は、出だしからダンシングで集団から逃げはじめる。冷静な私は無謀にも思えるダッシュに反応せず、自分のペースを堅持し余裕を残す作戦を取る。
無理にパワーを使わない省エネ作戦のつもりだったが、1km地点でギアはインナーローへと入っており、後がなくなっている。こうなると省エネどころではない。辛さに耐えられるかどうかの我慢比べ大会となる。走行中は1人で考え事をして、少しでも脚の辛さを紛らわせる。
例えば、私は60rpmほどのケイデンスでペダルを踏んでいるが、他のライダーはなぜクルクルとハイケイデンスでペダリングできるのだろう?とか。ペダリングの問題ならばウォークライドの須田コーチによるレッスンを受けに行こうか?とか。ヒルクライムレースで速く走るためには何が必要か?とか。自分の体力不足を棚に上げて、思いついては消えていく思考を繰り返す。
スタートから4km地点、勾配がゆるくなったところで突如視界がひらけ、相模湾が姿をあらわす。これまで森のなかをひたすら進んでいただけに、気持ちが一気に晴れやかになる。ヒルクライムの醍醐味はやはり絶景を楽しめることにあるはずだ。辛さを味わった分だけ景色が綺麗に見える。加えて、ターンパイクからこの眺望をのんびりと見ることができるのは、箱根ヒルクライムだけなのである。
ほんの少しだけ相模湾を見ると、その先10km地点までは再び森のなかとなる。また、考え事をして一人の世界に入り込もうとすると「シクロワイアードいつも見てます!頑張ってください!」と声がかけられる。「ずいぶんと元気だな」と考えながらも、こちらも疲れていると悟られないように「ありがとうございます!」とハツラツと返す。ダラダラと登っている時点で、疲れているのは明確なのだが……。この後にも声を掛けてくれるライダーが沢山いて、話している間だけは元気になれたかなと感じる。
いよいよ10km地点に到達する。白銀山の山頂近く、大観山の尾根ということもあり視界は広い。これまでの登り一辺倒というプロフィールから、アップダウンを繰り返す道へと変化する。この日初めて30km/hオーバーのスピードを出してダウンヒルと辛い登り返しを楽しみ、ゴールへと飛び込む。タイムは1時間19分。ちなみにチャンピオンクラスの優勝タイムは40分フラットである。
ゴール地点の大観山MAZDAスカイラウンジ前は、箱根カルデラを一望できる絶景だ。眼下の芦ノ湖で航行している遊覧船の様子や富士山を見ることができるだけでも、足に溜まった疲労が勲章にさえ変わる気がする。
登り切ったという自己満足感に浸りながら、ウィンドブレーカーを羽織り下山。急勾配のダウンヒルで終始ブレーキレバーを離すことがなかったため、手がしびれてしまうことに。油圧のディスクブレーキならば制動力が高くレバーを軽く握れるため、手がしびれてしまうことは無いのだろう。ディスクブレーキの導入を考えていたら、あっという間にスタート地点とたどり着いてしまう。戻ってきた私はそそくさと着替えて、小田原の美味しい魚介料理を食べに出かけるのであった。
Amazon.co.jp