2016/05/12(木) - 09:04
サイクリングシューズの老舗ブランド「LAKE(レイク)」が国内の新たな代理店と契約を締結。東京・赤坂にオーナーと開発責任者等らが来日し、プレゼンテーションを行った。
約2年間、国内展開の途絶えていた高機能サイクリングシューズ「LAKE(レイク)」の再展開が始まる。国内での独占販売権を新たに取得したのは、パワータップなどを取り扱う株式会社キルシュベルク(兵庫県西宮市)。そのレイクのブランド紹介やテクノロジー、製品ラインアップについての発表の機会にと、現在のLAKE Cycling社オーナーと開発責任者が来日し、プレゼン&ローンチイベントを東京・赤坂において行った。
サイクリングシューズ専業メーカーのLAKE Cycling社は、1982年にアメリカのイリノイ州エヴァンストンにて創業した。カーボンソールを採用した量産シューズ、マウンテンバイクやトライアスロンといった各競技に特化した専用のシューズ、極寒仕様に耐えるウィンター用のシューズ、あるいは熱成形のできるシューズなど、これまでに数多くの「業界初」を送り出してきたシューズメーカーだ。
ジロ・デ・イタリアを制したアメリカ人選手アンディ・ハンプステンやツール・ド・フランスを制したカルロス・サストレ、ほかにもタイラー・ファラー、チームルームポット、ベン・ベルデンなどのトップサイクリストが使用。小規模なメーカーだが、その高いフィット感やカスタム性などにより愛されてきたブランドだ。
現行の製品の多くには本革アッパーが採用されており、また上位モデルでは熱成形式ヒールやカラーカスタマイズなど、自分だけの一足を実現するサービスを提供している。アメリカンで生まれたブランドながら、買収によって現在はオランダ企業となっている。
このローンチイベントでは Lake Cycling社のオーナーと約20年に渡り同社のデザイナーを務めている開発責任者が出席、日本代理店となる株式会社キルシュベルグのホストにより製品説明を行った。
まず日本代理店となる株式会社キルシュベルク(兵庫県西宮市)は、2012年にパワーメーターの米国ブランド『パワータップ』の国内代理店として創業。2016 年からは車載サイクルラック(キャリア) ブランド『サリス』の取り扱いを開始している。今回のLakeブランドの国内販売権獲得で、3ブランド体制となる。
株式会社キルシュベルクの中川悟志氏は言う。「サイクリング界のなかでパワータップ同様に企業理念に共感できる、高価でもいいから自信を持って販売することができる品質の高い製品を探していました。弊社の重視するブランドの価値と、レイク社の製品の高品質な点や思想が合致しました。確かに高価なシューズですが、ユーザーは必ず価値を見出してくれるだろうと思い、取り扱うことを決心しました」。
LAKE Cycling社オーナーのボブ・マース氏は、ブランドを取得して4年半になるというオランダ人。クリス・ハッチンス氏は1998年からレイクの専業デザイナーとして、現ラインナップのすべてのシューズの設計・デザインを手がけてきた人物だ。
レイク製品の、ネーミングでカテゴライズされるプロダクツラインは主に4つ。ロード用の「CX」、トライアスロン用の「TX」、マウンテンバイク&オフロードの「MX」、ウィンター用の「MXZ」だ。
ロードモデル最高峰のCX402は、アッパーにカンガルー皮を使用。オーブンにより熱成形できるカーボンソールをもつ。アッパーはカラーオーダーも可能で、切り替えパネルごとにカラー指定が可能で、ロゴの色なども指定可能。また、プリントによるオーダーにも対応し、デザイン柄を入れたり、チームやショップのロゴマークなどを入れることもできるという、まさにフルカスタマイズ可能なシューズだ。カラーオーダーは67,800円から可能となる。
セカンドモデルのCX237は牛の本皮と100%カーボンソール、3色のアッパーによるモデルで、34,800円のプライス。サードモデルのCX217は¥27,800のモデル。以下CX175、CX160と、ロードは全5モデルの展開だ。
トライアスロンモデルのTX222はレイク独自の速乾性のあるマイクロファイバーを使用。100%カーボンソールで27,800円。マウンテンバイク&オフロードモデルのMX237は、ロードのCX237とアッパーが共通。また、237のシクロクロス用のリミテッドエディションの発売が予定されている。これはシクロクロス東京の会場のブースで展示されていたので、目にした人もいるだろう。
ラバーソール装備のオフロードモデルは、そのラバーソールの素材に天然ゴムを採用している。そしてすべてのシューズのスペアパーツやスパイクなども用意し、リペアに対応。ユーザーが長く愛用できることも重視する。
熱成形が可能なカーボンインソールも単体で用意する。これはレイクのシューズに限らずどのメーカーのシューズにも使用できるインナーソールで、熱成形によりフィットさせるため、ぶれずに安定したペダリングが可能になるという。価格は8,000円だが、初年度は7,000円で販売するという。
LAKE Cycling社の開発責任者のクリス・ハッチンス氏に訊く
「熱成形カーボンソールと3種類のラストを用意することで高いフィッティングを実現」
ハッチンス氏: レイク社製シューズの他ブランドとの最も大きな違い、そして重要な点は3種類が用意されたラスト(足型)です。同じ長さ(サイズ)でも幅の異なる3種のラストを用意することで、違った足型にも対応します。また、タイプとしてレギュラーとワイドを用意。ワイドは15mm胴囲が長くなるため、もともと足型が広めで幅広の傾向がある日本人にはとくに合いやすいものです。
本皮にこだわるのはなぜでしょう?
上位モデルのカンガルー皮は、軽量で通気性に優れるという特長があり、その厚みは0.7〜0.9mmという薄さ。カウ(牛)レザーよりも強度に優れるため、軽量で耐久性に優れます。本皮を使用する理由は通気性に優れることと、足形に自然に馴染むこと、そして皮自体に自然な抗菌作用があることです。下位モデルのPUコートのアクションレザー(本皮)も非常に高品質なものを使用しており、フィット感がありつつ雨や水に強いという特徴があります。
レイクの熱成形の考え方を教えて下さい
他社の熱成形シューズとの違いは、他社が硬くて伸びないアッパーを足に合わせるという方法をとっているのに対し、レイクのシューズはカーボンソールの土踏まずからヒールカウンターにかけてを熱成形することでフィットさせることです。本皮アッパーは素材自体が足にフィットするため成形する必要はなく、アッパーが自然に足の形に合わせてくれます。
レイクの考えでは、ペダリングにおいてはヒールのホールドが重要で、ペダルストロークにシューズがしっかりとついてくること。それが力を逃さないペダリングに繋がります。そのため、カーボンソールのヒール周辺をしっかりと踵の形に合わせてフィットさせることに重点を置いています。
アジアンフィットを掲げるブランドがありますが、日本人の足型は研究されましたか?
日本人、アジア人の足型へのフィットに関しては、日本のメーカーがレイク社にシューズ開発を依頼した1991年からの数年間、日本人向けのサイクリングシューズをつくることで足型を研究し尽くした経緯があります。また、レイクはアジアでサイクリングシューズを製造した初めてのブランドであるため、アメリカや欧州に加えて韓国などでもリサーチを重ねたため、その頃の研究の成果により、現在多くのラストがあります。
じつはアジアンフィット(=アジア人のラスト)というのは単なるマーケティング用語にすぎない面があります。日本人は傾向として幅広ラストで、レイク社のワイドが合いやすい。そして例えばチェコ人のラストは日本人とほとんど同じ。日本人のラストも欧米人に比べてワイドな傾向があるということにすぎません。
約2年の空白期間をおいて再び日本での展開を始めるレイクのサイクリングシューズ。現在株式会社キルシュベルクではレイク社の製品づくりに共鳴できるサイクルショップなどの取扱店を募っている。この日のプレゼンを皮切りに、12日は同会場で15時まで試着及びトレーナー上での試乗会を開催。関西では5月18・19日に同様のブランドローンチを大阪市都島区で開催する。また今後はJBCFのレースなどイベントでもブース展開し、ユーザーが触れることができる機会を設けていくという。
photo&text:Makoto.AYANO
約2年間、国内展開の途絶えていた高機能サイクリングシューズ「LAKE(レイク)」の再展開が始まる。国内での独占販売権を新たに取得したのは、パワータップなどを取り扱う株式会社キルシュベルク(兵庫県西宮市)。そのレイクのブランド紹介やテクノロジー、製品ラインアップについての発表の機会にと、現在のLAKE Cycling社オーナーと開発責任者が来日し、プレゼン&ローンチイベントを東京・赤坂において行った。
サイクリングシューズ専業メーカーのLAKE Cycling社は、1982年にアメリカのイリノイ州エヴァンストンにて創業した。カーボンソールを採用した量産シューズ、マウンテンバイクやトライアスロンといった各競技に特化した専用のシューズ、極寒仕様に耐えるウィンター用のシューズ、あるいは熱成形のできるシューズなど、これまでに数多くの「業界初」を送り出してきたシューズメーカーだ。
ジロ・デ・イタリアを制したアメリカ人選手アンディ・ハンプステンやツール・ド・フランスを制したカルロス・サストレ、ほかにもタイラー・ファラー、チームルームポット、ベン・ベルデンなどのトップサイクリストが使用。小規模なメーカーだが、その高いフィット感やカスタム性などにより愛されてきたブランドだ。
現行の製品の多くには本革アッパーが採用されており、また上位モデルでは熱成形式ヒールやカラーカスタマイズなど、自分だけの一足を実現するサービスを提供している。アメリカンで生まれたブランドながら、買収によって現在はオランダ企業となっている。
このローンチイベントでは Lake Cycling社のオーナーと約20年に渡り同社のデザイナーを務めている開発責任者が出席、日本代理店となる株式会社キルシュベルグのホストにより製品説明を行った。
まず日本代理店となる株式会社キルシュベルク(兵庫県西宮市)は、2012年にパワーメーターの米国ブランド『パワータップ』の国内代理店として創業。2016 年からは車載サイクルラック(キャリア) ブランド『サリス』の取り扱いを開始している。今回のLakeブランドの国内販売権獲得で、3ブランド体制となる。
株式会社キルシュベルクの中川悟志氏は言う。「サイクリング界のなかでパワータップ同様に企業理念に共感できる、高価でもいいから自信を持って販売することができる品質の高い製品を探していました。弊社の重視するブランドの価値と、レイク社の製品の高品質な点や思想が合致しました。確かに高価なシューズですが、ユーザーは必ず価値を見出してくれるだろうと思い、取り扱うことを決心しました」。
LAKE Cycling社オーナーのボブ・マース氏は、ブランドを取得して4年半になるというオランダ人。クリス・ハッチンス氏は1998年からレイクの専業デザイナーとして、現ラインナップのすべてのシューズの設計・デザインを手がけてきた人物だ。
レイク製品の、ネーミングでカテゴライズされるプロダクツラインは主に4つ。ロード用の「CX」、トライアスロン用の「TX」、マウンテンバイク&オフロードの「MX」、ウィンター用の「MXZ」だ。
ロードモデル最高峰のCX402は、アッパーにカンガルー皮を使用。オーブンにより熱成形できるカーボンソールをもつ。アッパーはカラーオーダーも可能で、切り替えパネルごとにカラー指定が可能で、ロゴの色なども指定可能。また、プリントによるオーダーにも対応し、デザイン柄を入れたり、チームやショップのロゴマークなどを入れることもできるという、まさにフルカスタマイズ可能なシューズだ。カラーオーダーは67,800円から可能となる。
セカンドモデルのCX237は牛の本皮と100%カーボンソール、3色のアッパーによるモデルで、34,800円のプライス。サードモデルのCX217は¥27,800のモデル。以下CX175、CX160と、ロードは全5モデルの展開だ。
トライアスロンモデルのTX222はレイク独自の速乾性のあるマイクロファイバーを使用。100%カーボンソールで27,800円。マウンテンバイク&オフロードモデルのMX237は、ロードのCX237とアッパーが共通。また、237のシクロクロス用のリミテッドエディションの発売が予定されている。これはシクロクロス東京の会場のブースで展示されていたので、目にした人もいるだろう。
ラバーソール装備のオフロードモデルは、そのラバーソールの素材に天然ゴムを採用している。そしてすべてのシューズのスペアパーツやスパイクなども用意し、リペアに対応。ユーザーが長く愛用できることも重視する。
熱成形が可能なカーボンインソールも単体で用意する。これはレイクのシューズに限らずどのメーカーのシューズにも使用できるインナーソールで、熱成形によりフィットさせるため、ぶれずに安定したペダリングが可能になるという。価格は8,000円だが、初年度は7,000円で販売するという。
LAKE Cycling社の開発責任者のクリス・ハッチンス氏に訊く
「熱成形カーボンソールと3種類のラストを用意することで高いフィッティングを実現」
ハッチンス氏: レイク社製シューズの他ブランドとの最も大きな違い、そして重要な点は3種類が用意されたラスト(足型)です。同じ長さ(サイズ)でも幅の異なる3種のラストを用意することで、違った足型にも対応します。また、タイプとしてレギュラーとワイドを用意。ワイドは15mm胴囲が長くなるため、もともと足型が広めで幅広の傾向がある日本人にはとくに合いやすいものです。
本皮にこだわるのはなぜでしょう?
上位モデルのカンガルー皮は、軽量で通気性に優れるという特長があり、その厚みは0.7〜0.9mmという薄さ。カウ(牛)レザーよりも強度に優れるため、軽量で耐久性に優れます。本皮を使用する理由は通気性に優れることと、足形に自然に馴染むこと、そして皮自体に自然な抗菌作用があることです。下位モデルのPUコートのアクションレザー(本皮)も非常に高品質なものを使用しており、フィット感がありつつ雨や水に強いという特徴があります。
レイクの熱成形の考え方を教えて下さい
他社の熱成形シューズとの違いは、他社が硬くて伸びないアッパーを足に合わせるという方法をとっているのに対し、レイクのシューズはカーボンソールの土踏まずからヒールカウンターにかけてを熱成形することでフィットさせることです。本皮アッパーは素材自体が足にフィットするため成形する必要はなく、アッパーが自然に足の形に合わせてくれます。
レイクの考えでは、ペダリングにおいてはヒールのホールドが重要で、ペダルストロークにシューズがしっかりとついてくること。それが力を逃さないペダリングに繋がります。そのため、カーボンソールのヒール周辺をしっかりと踵の形に合わせてフィットさせることに重点を置いています。
アジアンフィットを掲げるブランドがありますが、日本人の足型は研究されましたか?
日本人、アジア人の足型へのフィットに関しては、日本のメーカーがレイク社にシューズ開発を依頼した1991年からの数年間、日本人向けのサイクリングシューズをつくることで足型を研究し尽くした経緯があります。また、レイクはアジアでサイクリングシューズを製造した初めてのブランドであるため、アメリカや欧州に加えて韓国などでもリサーチを重ねたため、その頃の研究の成果により、現在多くのラストがあります。
じつはアジアンフィット(=アジア人のラスト)というのは単なるマーケティング用語にすぎない面があります。日本人は傾向として幅広ラストで、レイク社のワイドが合いやすい。そして例えばチェコ人のラストは日本人とほとんど同じ。日本人のラストも欧米人に比べてワイドな傾向があるということにすぎません。
約2年の空白期間をおいて再び日本での展開を始めるレイクのサイクリングシューズ。現在株式会社キルシュベルクではレイク社の製品づくりに共鳴できるサイクルショップなどの取扱店を募っている。この日のプレゼンを皮切りに、12日は同会場で15時まで試着及びトレーナー上での試乗会を開催。関西では5月18・19日に同様のブランドローンチを大阪市都島区で開催する。また今後はJBCFのレースなどイベントでもブース展開し、ユーザーが触れることができる機会を設けていくという。
photo&text:Makoto.AYANO
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