2016/03/02(水) - 10:35
常設トレイル化を目指す新コースで開催された湘南シクロクロスの第4、5戦。湘南ベルマーレ サイクルクラブが中心となって大磯町の山中に作り上げたトレイルを紹介しよう。
4シーズン目を迎えた湘南シクロクロスシリーズの第4・5戦が、大磯町にある新コースで開催された。毎年パワーアップを続ける湘南CXが新しく登場させたのは、2年後を目処に常設化を目指すというトレイルコースだ。
場所は大磯町石神台の住宅街のはずれにある森林地帯。小田原厚木道路の大磯インターチェンジの目と鼻の先にあり、都内からならば高速道路を使い1時間ほどでアクセス可能だ。下道でも国道1号や134号、246号と県道63号を使えば行きやすく、電車でも東海道本線の二宮駅から4kmとアクセスしやすい。これならば常設コースができあがっても気軽に遊びにいけるだろう。
会場至近には車を多く停められる場所がなかったので、駐車場は会場から一歩離れた位置に用意された。閑静な住宅街を進み、東海道新幹線の高架をくぐるとトレイルへの入口が現れる。急勾配の舗装路を登って行くとあっという間に鬱蒼と茂った木々に囲まれ、ダートコースの雰囲気を漂わせてくる。トレイルコースにたどり着くと、落差5mはありそうな巨大なドロップオフが出迎えてくれる。すでに住宅街の様子は一切なく、そこは完全に山の中だ。
コースは1周のうちに、細かい登りとドロップオフでつながれる平坦路、担ぎで駆け上がる崖、山の稜線からの下り坂、左右にスイッチバックしながらの下り、そしてライダーたちを出迎えているドロップオフに戻ってくる。全体的にかなり高めの難易度に仕上げられている。
下りセクションは多くないものの、1本1本バイクを上手にコントロールしないと、前転や曲がりきれずにコースアウトという可能性もあるハードなセクションとなっていた。シングルトラックの斜度がキツいダウンヒルを経験していないと二の足を踏んでしまうだろう。つなぎの区間もいたるところに露出している木の根に細心の注意を払ったり、タイトターンのコーナリングなど気を抜けない場面が数多い。
大会当日は雨の影響を受け、フカフカの腐葉土に覆われたトレールは深い泥となり、乗車率をぐっと引き下げられていた。パワーもテクニックもないC4ライダーはほぼ押し歩き。上級者が集まるC1ライダーでも、速く走るために降車を強いられる場面が多くあった。しかし、乾燥した路面ならば崖の登り斜面以外は全て乗車でクリアできるという。
難しい下りも練習次第ではスムースにクリアできるということだ。真摯に走り続け、走れなかったところを走れるようにする。課題をクリアできるようになれば、テクニックもレベルアップ間違いないだろう。上級者はタイムを削る練習を、初級者は走れないセクションをクリアできるようにする。様々なライダーがスキルアップを目指せるコースと言えるだろう。
このコースを作り上げた、湘南シクロクロスのオーガナイザーである内山靖樹さんにお話を伺った。
― このコースを作ろうと思ったきっかけを教えていただけますか?
シクロクロスやMTBの普及のためには、なにをおいてもまず走る環境が必要です。関西地域ではCXは盛り上がっていますが、関東はまだまだ限られた範囲での盛り上がりだと思います。選手や一般ライダーさん、中高生ライダーが、CXやMTBで楽しめる環境を作ることで、シーンが盛り上がってくれればと思っています。
理想は若いライダーが平日の夕方、学校終わりに走っている姿を見られるコースです。地元の子達がMTBで競い合いながら、スキルを磨いて欲しいです。ゆくゆくはこのコースで練習した子がオリンピックに出場してくれれば嬉しいですよね。一般ライダーさんもこのコースや湘南シクロクロスを足がかりに、カテゴリーを一つづつ昇格し、最終的には全日本選手権のスタートラインに並べるまでスキルアップしてくれればと思います。
ロード系のサイクリストもこういうコースを利用してスキルを身につければ、ロードレースでの落車も減るでしょう。今乗っているバイクの種類を問わずに遊んで頂ければ嬉しいです。
― 誰でも練習できるコースなんですね。難易度が高めなのもそういった理由なのでしょうか。
そうですね。湘南シクロクロスの他のコースと比べると、テクニックが必要なコースでしょう。昔の信州CXはハードコースが多かったんですけど、今はハードコースが少なくなってきています。その中にあって、こういうハードなコースがあれば楽しいのかなと思います。
ただ、難しすぎるのではなく、走った皆が笑えるようなコースということを意識しています。なのでレイアウトは僕だけが考えるのではなく、コース整備を手伝ってくれる皆さんからの意見も取り入れるようにしています。ここ登ったら面白いんじゃないの?とか笑いながらコースを作っています(笑)
今回は雨の影響でC4からC1まで、ほぼすべてのカテゴリーで乗車率が低かったです。本来の乾いた状態であれば、C1ライダーはほぼすべて乗車でクリアできるようになっています。以前の走行会でC1ライダーは5分ほどでラップしていました。ちなみに、今回のラップタイムは7分でした。
― 整備の話が出ましたが、コースを作っているのは湘南ベルマーレなのでしょうか。
はい。湘南ベルマーレのサイクルクラブが、走行会を兼ねたコース整備を行っています。この山は10年以上も放置されていたので、倒木などの清掃が主な作業です。走っているうちに露出した木の根の保護や、腐葉土が溜まった路面の清掃などやることは沢山あります。山の半分も利用しきれていないので、コースもあと少し拡張していこうと思っています。
コース整備はベルマーレのクラブ員でなくても、参加は大歓迎です。第5戦のC2で優勝した選手は、整備を手伝うついでに、コースで練習を行っていましたよ。
― まだまだこのコースは改良されていくんですね。今後、このコースはどうなるのでしょうか。
いつでも自転車やトレランなどを楽しめる指定管理地として2年後に登録できるように話し合いを進めています。公園のように管理された場となるので、入り口には管理棟などを建てたり、水道や、観戦ポイントを設けたりする予定です。
駐車場に関しても近くに入浴施設ができる予定なので、そこを使わせてもらえるという話になっています。今回のレースでは迷惑をかけてしまいましたが、今後はレースや練習終わりに、ひとっ風呂浴びてから帰って頂ければと思います。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:Yuichiro.Hosoda
4シーズン目を迎えた湘南シクロクロスシリーズの第4・5戦が、大磯町にある新コースで開催された。毎年パワーアップを続ける湘南CXが新しく登場させたのは、2年後を目処に常設化を目指すというトレイルコースだ。
場所は大磯町石神台の住宅街のはずれにある森林地帯。小田原厚木道路の大磯インターチェンジの目と鼻の先にあり、都内からならば高速道路を使い1時間ほどでアクセス可能だ。下道でも国道1号や134号、246号と県道63号を使えば行きやすく、電車でも東海道本線の二宮駅から4kmとアクセスしやすい。これならば常設コースができあがっても気軽に遊びにいけるだろう。
会場至近には車を多く停められる場所がなかったので、駐車場は会場から一歩離れた位置に用意された。閑静な住宅街を進み、東海道新幹線の高架をくぐるとトレイルへの入口が現れる。急勾配の舗装路を登って行くとあっという間に鬱蒼と茂った木々に囲まれ、ダートコースの雰囲気を漂わせてくる。トレイルコースにたどり着くと、落差5mはありそうな巨大なドロップオフが出迎えてくれる。すでに住宅街の様子は一切なく、そこは完全に山の中だ。
コースは1周のうちに、細かい登りとドロップオフでつながれる平坦路、担ぎで駆け上がる崖、山の稜線からの下り坂、左右にスイッチバックしながらの下り、そしてライダーたちを出迎えているドロップオフに戻ってくる。全体的にかなり高めの難易度に仕上げられている。
下りセクションは多くないものの、1本1本バイクを上手にコントロールしないと、前転や曲がりきれずにコースアウトという可能性もあるハードなセクションとなっていた。シングルトラックの斜度がキツいダウンヒルを経験していないと二の足を踏んでしまうだろう。つなぎの区間もいたるところに露出している木の根に細心の注意を払ったり、タイトターンのコーナリングなど気を抜けない場面が数多い。
大会当日は雨の影響を受け、フカフカの腐葉土に覆われたトレールは深い泥となり、乗車率をぐっと引き下げられていた。パワーもテクニックもないC4ライダーはほぼ押し歩き。上級者が集まるC1ライダーでも、速く走るために降車を強いられる場面が多くあった。しかし、乾燥した路面ならば崖の登り斜面以外は全て乗車でクリアできるという。
難しい下りも練習次第ではスムースにクリアできるということだ。真摯に走り続け、走れなかったところを走れるようにする。課題をクリアできるようになれば、テクニックもレベルアップ間違いないだろう。上級者はタイムを削る練習を、初級者は走れないセクションをクリアできるようにする。様々なライダーがスキルアップを目指せるコースと言えるだろう。
このコースを作り上げた、湘南シクロクロスのオーガナイザーである内山靖樹さんにお話を伺った。
― このコースを作ろうと思ったきっかけを教えていただけますか?
シクロクロスやMTBの普及のためには、なにをおいてもまず走る環境が必要です。関西地域ではCXは盛り上がっていますが、関東はまだまだ限られた範囲での盛り上がりだと思います。選手や一般ライダーさん、中高生ライダーが、CXやMTBで楽しめる環境を作ることで、シーンが盛り上がってくれればと思っています。
理想は若いライダーが平日の夕方、学校終わりに走っている姿を見られるコースです。地元の子達がMTBで競い合いながら、スキルを磨いて欲しいです。ゆくゆくはこのコースで練習した子がオリンピックに出場してくれれば嬉しいですよね。一般ライダーさんもこのコースや湘南シクロクロスを足がかりに、カテゴリーを一つづつ昇格し、最終的には全日本選手権のスタートラインに並べるまでスキルアップしてくれればと思います。
ロード系のサイクリストもこういうコースを利用してスキルを身につければ、ロードレースでの落車も減るでしょう。今乗っているバイクの種類を問わずに遊んで頂ければ嬉しいです。
― 誰でも練習できるコースなんですね。難易度が高めなのもそういった理由なのでしょうか。
そうですね。湘南シクロクロスの他のコースと比べると、テクニックが必要なコースでしょう。昔の信州CXはハードコースが多かったんですけど、今はハードコースが少なくなってきています。その中にあって、こういうハードなコースがあれば楽しいのかなと思います。
ただ、難しすぎるのではなく、走った皆が笑えるようなコースということを意識しています。なのでレイアウトは僕だけが考えるのではなく、コース整備を手伝ってくれる皆さんからの意見も取り入れるようにしています。ここ登ったら面白いんじゃないの?とか笑いながらコースを作っています(笑)
今回は雨の影響でC4からC1まで、ほぼすべてのカテゴリーで乗車率が低かったです。本来の乾いた状態であれば、C1ライダーはほぼすべて乗車でクリアできるようになっています。以前の走行会でC1ライダーは5分ほどでラップしていました。ちなみに、今回のラップタイムは7分でした。
― 整備の話が出ましたが、コースを作っているのは湘南ベルマーレなのでしょうか。
はい。湘南ベルマーレのサイクルクラブが、走行会を兼ねたコース整備を行っています。この山は10年以上も放置されていたので、倒木などの清掃が主な作業です。走っているうちに露出した木の根の保護や、腐葉土が溜まった路面の清掃などやることは沢山あります。山の半分も利用しきれていないので、コースもあと少し拡張していこうと思っています。
コース整備はベルマーレのクラブ員でなくても、参加は大歓迎です。第5戦のC2で優勝した選手は、整備を手伝うついでに、コースで練習を行っていましたよ。
― まだまだこのコースは改良されていくんですね。今後、このコースはどうなるのでしょうか。
いつでも自転車やトレランなどを楽しめる指定管理地として2年後に登録できるように話し合いを進めています。公園のように管理された場となるので、入り口には管理棟などを建てたり、水道や、観戦ポイントを設けたりする予定です。
駐車場に関しても近くに入浴施設ができる予定なので、そこを使わせてもらえるという話になっています。今回のレースでは迷惑をかけてしまいましたが、今後はレースや練習終わりに、ひとっ風呂浴びてから帰って頂ければと思います。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:Yuichiro.Hosoda
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