2015/12/10(木) - 09:06
ツール・ド・おきなわ国際レース参加を見送り、100kmサイクリングの部を走った沖縄好きの女子レーサー、西加南子さん。「レースでやらないことをする」ことをテーマに走った100km。たくさん食べて楽しんだけど、やはりレーサーの血が騒いだ?
現地でいきなり倍の100kmに??
毎年、春先に長期滞在している沖縄。今回はツール・ド・おきなわのサイクリング部門にゲストとして参加した。レースではない。事前に担当者からは「チャレンジサイクリング50kmに参加してくださいね〜」と聞いていたが、現地入りしてからチャレンジサイクリング50kmは無いと知る…。
慌てて問い合わせすると、「じゃあ100kmでいいですね?」「はい、まぁいいです・笑」。
ということで、予定の50kmから倍の100kmになった。せっかく沖縄まできたのだから、倍楽しめてお得か? と気軽に考えていた。
春先の沖縄滞在時は、いつも名護から北部方面にばかり走っているが、今回の100kmチャレンジサイクリングは名護から南下するコース。コース図をよく見ると、東と西を行ったり来たりする、かなり登りの多いコースだ。サイクリング大会前日、普通にサイクリングじゃ面白くない!ということで、何かテーマを決めて走ろうと考えた。「レース参加ではしないことをトコトンしてみよう!」ということにしてみた。
ならばレースでは絶対にやらないことをしよう
まず始めに、レースでは絶対にありえないが、スタート1時間前に起き、レーサージャージに着替えて日焼け止めを塗るだけで自転車に乗って外に出る。そのままダッシュでマックではなくA&Wへ(沖縄らしくしてみた)。A&Wとは、沖縄のバーガーショップチェーンだ(最近は誰でも知ってますね)。
スタートは早いのでホテルで朝食はとれないが、買い出しはしなかった。大丈夫、コンビニもマックも24時間営業だ。レースではありえないが、なんて便利だ。
ここでモーニングセットのハムエッグサンドとコーヒーを食べる。どうせなら、思いっきりジャンキーにホットドックとルートビアにするべきだった(笑)。
ここでサイクリングに参加するという地元のおじさま2人に声を掛け、記念写真。スタート地点に向かうと、レーススタートの人達が緊張した面持ちで待機していた。本気の面々を横目に、緩い感じの手書きゼッケンを背につけ、ここぞとばかりに知りあいを見つけて茶々をいれる(笑)。
オリオンビール工場横から始まるサイクリング
レースクラスのスタートが終わり、いよいよサイクリングのスタートとなった。サイクリングのスタートでも2名がダッシュで先導バイクの後ろを走っていった。
私も危うくダッシュしそうになったが、今日は「違う違う」と慌てて脚を緩める。スタートして1kmもしないうちに、いきなりオリオンビール工場横から山を登る! これが長い。結構長い。中腹で来た道を振り返ると、朝日に照らされた名護の街と海が綺麗に見える。
しかし、スタート直後の激坂に、ほとんどの人が一生懸命で風景を振り返らない、振り返れない(笑)。頂上のトンネルを越え、下り切ると最初の休憩ポイント”わんさか大浦パーク”がある。ここは普段から私のお気に入り休憩ポイントだ(マンゴーのマフィンが美味しいのだ)。
今回は補給所で用意してくれていたサーターアンダギー(沖縄の揚げドーナツ)、バナナ、黒糖を口に放り込む! まだ一山しかこえていないのに食べ過ぎ…。いいのだ、レースでやれないことをするのだから。
何度も上る坂、坂
補給所から出発後、すぐに大浦湾からトンネルに向かって真っ直ぐ伸びる登り坂が見える。スタートから登って下って、すぐに登りなのだ。2つ目の峠を登りきって名護に向かって下り、58号線に出て海岸線を走る。2回も峠を登ったがまだ距離は20kmほど…。
海岸線を許田まで少し走ると、また東海岸に向かって峠を登ることになる。3つ目の峠、いいペースで登り、先回りをして写真を撮る。すでに笑顔より必死な表情で登る人が増えてくる。後ろには青い海が見えるのに!
その後、下って東海岸の宜野座に出てからは、国道を外れ海側の宜野座バイパスを走る。海岸沿いにサトウキビ畑が広がって、とても沖縄らしい風景だ。そこで交通安全の看板を発見。『酒飲んで車待つ人五つ星』(写真の五つ星、ちゃんと読んでくださいね!)。沖縄は面白いだじゃれ標語が書かれた看板を多く見かける。それを見つけてクスッとするのが沖縄を走る時の楽しみの一つだ。
日焼け止めを塗り忘れてしまった!
走ってくるサイクリストを待ちながら大根を間引いていたお母さんに話しかける。こんなに雨が少なくて暑い11月は無いそうだ。「やっぱり今日暑いですよね」。日焼け止めを塗り忘れた耳からジリジリと焼ける音がしている気がした。
国道に戻る最中にサイクリストの中に懐かしいジャージを発見!”オリベッティ・ツールド・ジャパン”のチャンピオンジャージだ。沖縄のサイクリストだが、なるしまフレンド会長の鳴嶋英男さんから頂いたとのこと。納得。鳴嶋さんも花粉症があって、冬は沖縄にいらっしゃることが多いのだ。
峠ではないがアップダウンの続く国道を走り続け、金武(きん)の町に入った。ちょっとノスタルジックな繁華街に入ると、2つ目の補給所”金武町アクティブパーク”があった。ここの補給所も食べ物満載だ。レースではやらないことをするのが今回のテーマなので、あるものは全部食べる!レースでパイは食べないがタームパイも食べる!ねっとりとした田芋の餡がパイと中々合う。ここでも満腹だ。
迷わずアイスクリームをペロリ
休憩中、2年前に沖縄の月例サイクリングでも出会ったヘルメットを装飾したサイクリストに再会した。この方、季節ごとのテーマに合わせて装飾も変えているのだ。前回は3月に会ったのでお雛様、今回はトロピカルな装飾で、ツール・ド・おきなわ仕様だったのか? ユニークなサイクリストがいるのも沖縄らしい。
ノンビリ休んでしまったので、ちょっと焦って国道に戻った。走りだしてすぐにアイスクリームのパラソルが…。東北でババヘラアイス(知ってます?)を見過ごせない私が素通りするわけがない。ということでお腹が一杯なのに自転車を降りてアイスを注文。
とても暑かったので、さっぱりしたミルクアイスが美味しい。最初は小さくしてなんて言ったけど、ダブル(これが通常)のままで良かった。その後しばらくお腹をタプタプいわせながら走り、伊芸の先でまた屋嘉の峠を登る。ここはかなり斜度もキツくて、歩いている人もいた。下って58号に出るも、別のルートでまた同じ峠を越える。時間的にも気温がMAXに達したころで、暑い。もはや修行だ…。
東海岸の国道に戻り、グッタリしたところで3つ目の補給所”伊芸海浜公園”に到着。ここはおにぎり2種類、サンドイッチ、バナナ、ミカン、黒糖、サーターアンダギー、その他諸々食べ物満載の休憩所だった。疲れてお腹も空いてきたので、食べる食べる、ほぼ全種類。その後、お昼休憩所があることも忘れて…。お腹一杯でのんびりと国道を走り、途中のタイやベトナムでみたようなマーケットにも寄り道。
かりゆしカンナタラソ・ラグーナですでに満腹
すぐにお昼休憩の”かりゆしカンナタラソ・ラグーナ”に到着した。お弁当、豚汁、フライドチキンが用意されていた。さっきあれだけ食べたのに、とりあえずいただきます! 何しろレースでしないことをするのが今回のテーマだから。弁当、豚汁はまだいけたが、ここでフライドチキンはかなりキツイ。何しろひとつ前の補給所であれだけ満腹になってしまったから。
あとはもう一つ峠を越えればゴールまでは海岸線の平地だ〜!ということで、金武ダムを登り、ダム湖の回りをまわって最後の峠を越える。暑いけど、もう登らなくていいと思うとすでにここで達成感がある。
58号側に下ると多少の風があっても気持ちは軽い。なぜならもう登らなくていいから。(何度も言う)サイクリングでこんなに登らされたのは初めてだ!
サイクリングのつもりが本気で踏んだゴールまで
58号をノンビリ走っていると、本島1周サイクリングの先頭集団がかなりの速さで抜いてきた。思わず飛びつく。もう楽をするための習性は止められない。そのまま快速列車でゴールまで行きそうになったが、「いやいや、このレポートのための写真を撮らなくてどうする私!」と泣く泣く下車。
サイクリストの写真を撮り、半ばフィニッシュした気持ちでのんびり走っているとていると、また本島1周サイクリングの集団が来た。今度の集団は「西さん、引いてください!」というリクエストが…。見栄を張ってゴールまでの海岸線15分ほどはかなり本気で踏んだ(笑)。
ゴールした時にはサイクリングとは思えないやり切った感があった。レースではやらないことをするのが今回のテーマ。レースでは消化のことを考え、食べる物も内容も時間も考えて食べる。が、今回はそこかしこでジャンキーなもの含め、色んな物を食べて満腹状態になって楽しんだ。
その割には意外と走れた。かといってレースではやらないが…。
お腹も脚も満腹で大満足なサイクリングだった。それにしても、登った、登った。この100kmサイクリング、とっても濃い充実感がある。
text&photo:Kanako NISHI
現地でいきなり倍の100kmに??
毎年、春先に長期滞在している沖縄。今回はツール・ド・おきなわのサイクリング部門にゲストとして参加した。レースではない。事前に担当者からは「チャレンジサイクリング50kmに参加してくださいね〜」と聞いていたが、現地入りしてからチャレンジサイクリング50kmは無いと知る…。
慌てて問い合わせすると、「じゃあ100kmでいいですね?」「はい、まぁいいです・笑」。
ということで、予定の50kmから倍の100kmになった。せっかく沖縄まできたのだから、倍楽しめてお得か? と気軽に考えていた。
春先の沖縄滞在時は、いつも名護から北部方面にばかり走っているが、今回の100kmチャレンジサイクリングは名護から南下するコース。コース図をよく見ると、東と西を行ったり来たりする、かなり登りの多いコースだ。サイクリング大会前日、普通にサイクリングじゃ面白くない!ということで、何かテーマを決めて走ろうと考えた。「レース参加ではしないことをトコトンしてみよう!」ということにしてみた。
ならばレースでは絶対にやらないことをしよう
まず始めに、レースでは絶対にありえないが、スタート1時間前に起き、レーサージャージに着替えて日焼け止めを塗るだけで自転車に乗って外に出る。そのままダッシュでマックではなくA&Wへ(沖縄らしくしてみた)。A&Wとは、沖縄のバーガーショップチェーンだ(最近は誰でも知ってますね)。
スタートは早いのでホテルで朝食はとれないが、買い出しはしなかった。大丈夫、コンビニもマックも24時間営業だ。レースではありえないが、なんて便利だ。
ここでモーニングセットのハムエッグサンドとコーヒーを食べる。どうせなら、思いっきりジャンキーにホットドックとルートビアにするべきだった(笑)。
ここでサイクリングに参加するという地元のおじさま2人に声を掛け、記念写真。スタート地点に向かうと、レーススタートの人達が緊張した面持ちで待機していた。本気の面々を横目に、緩い感じの手書きゼッケンを背につけ、ここぞとばかりに知りあいを見つけて茶々をいれる(笑)。
オリオンビール工場横から始まるサイクリング
レースクラスのスタートが終わり、いよいよサイクリングのスタートとなった。サイクリングのスタートでも2名がダッシュで先導バイクの後ろを走っていった。
私も危うくダッシュしそうになったが、今日は「違う違う」と慌てて脚を緩める。スタートして1kmもしないうちに、いきなりオリオンビール工場横から山を登る! これが長い。結構長い。中腹で来た道を振り返ると、朝日に照らされた名護の街と海が綺麗に見える。
しかし、スタート直後の激坂に、ほとんどの人が一生懸命で風景を振り返らない、振り返れない(笑)。頂上のトンネルを越え、下り切ると最初の休憩ポイント”わんさか大浦パーク”がある。ここは普段から私のお気に入り休憩ポイントだ(マンゴーのマフィンが美味しいのだ)。
今回は補給所で用意してくれていたサーターアンダギー(沖縄の揚げドーナツ)、バナナ、黒糖を口に放り込む! まだ一山しかこえていないのに食べ過ぎ…。いいのだ、レースでやれないことをするのだから。
何度も上る坂、坂
補給所から出発後、すぐに大浦湾からトンネルに向かって真っ直ぐ伸びる登り坂が見える。スタートから登って下って、すぐに登りなのだ。2つ目の峠を登りきって名護に向かって下り、58号線に出て海岸線を走る。2回も峠を登ったがまだ距離は20kmほど…。
海岸線を許田まで少し走ると、また東海岸に向かって峠を登ることになる。3つ目の峠、いいペースで登り、先回りをして写真を撮る。すでに笑顔より必死な表情で登る人が増えてくる。後ろには青い海が見えるのに!
その後、下って東海岸の宜野座に出てからは、国道を外れ海側の宜野座バイパスを走る。海岸沿いにサトウキビ畑が広がって、とても沖縄らしい風景だ。そこで交通安全の看板を発見。『酒飲んで車待つ人五つ星』(写真の五つ星、ちゃんと読んでくださいね!)。沖縄は面白いだじゃれ標語が書かれた看板を多く見かける。それを見つけてクスッとするのが沖縄を走る時の楽しみの一つだ。
日焼け止めを塗り忘れてしまった!
走ってくるサイクリストを待ちながら大根を間引いていたお母さんに話しかける。こんなに雨が少なくて暑い11月は無いそうだ。「やっぱり今日暑いですよね」。日焼け止めを塗り忘れた耳からジリジリと焼ける音がしている気がした。
国道に戻る最中にサイクリストの中に懐かしいジャージを発見!”オリベッティ・ツールド・ジャパン”のチャンピオンジャージだ。沖縄のサイクリストだが、なるしまフレンド会長の鳴嶋英男さんから頂いたとのこと。納得。鳴嶋さんも花粉症があって、冬は沖縄にいらっしゃることが多いのだ。
峠ではないがアップダウンの続く国道を走り続け、金武(きん)の町に入った。ちょっとノスタルジックな繁華街に入ると、2つ目の補給所”金武町アクティブパーク”があった。ここの補給所も食べ物満載だ。レースではやらないことをするのが今回のテーマなので、あるものは全部食べる!レースでパイは食べないがタームパイも食べる!ねっとりとした田芋の餡がパイと中々合う。ここでも満腹だ。
迷わずアイスクリームをペロリ
休憩中、2年前に沖縄の月例サイクリングでも出会ったヘルメットを装飾したサイクリストに再会した。この方、季節ごとのテーマに合わせて装飾も変えているのだ。前回は3月に会ったのでお雛様、今回はトロピカルな装飾で、ツール・ド・おきなわ仕様だったのか? ユニークなサイクリストがいるのも沖縄らしい。
ノンビリ休んでしまったので、ちょっと焦って国道に戻った。走りだしてすぐにアイスクリームのパラソルが…。東北でババヘラアイス(知ってます?)を見過ごせない私が素通りするわけがない。ということでお腹が一杯なのに自転車を降りてアイスを注文。
とても暑かったので、さっぱりしたミルクアイスが美味しい。最初は小さくしてなんて言ったけど、ダブル(これが通常)のままで良かった。その後しばらくお腹をタプタプいわせながら走り、伊芸の先でまた屋嘉の峠を登る。ここはかなり斜度もキツくて、歩いている人もいた。下って58号に出るも、別のルートでまた同じ峠を越える。時間的にも気温がMAXに達したころで、暑い。もはや修行だ…。
東海岸の国道に戻り、グッタリしたところで3つ目の補給所”伊芸海浜公園”に到着。ここはおにぎり2種類、サンドイッチ、バナナ、ミカン、黒糖、サーターアンダギー、その他諸々食べ物満載の休憩所だった。疲れてお腹も空いてきたので、食べる食べる、ほぼ全種類。その後、お昼休憩所があることも忘れて…。お腹一杯でのんびりと国道を走り、途中のタイやベトナムでみたようなマーケットにも寄り道。
かりゆしカンナタラソ・ラグーナですでに満腹
すぐにお昼休憩の”かりゆしカンナタラソ・ラグーナ”に到着した。お弁当、豚汁、フライドチキンが用意されていた。さっきあれだけ食べたのに、とりあえずいただきます! 何しろレースでしないことをするのが今回のテーマだから。弁当、豚汁はまだいけたが、ここでフライドチキンはかなりキツイ。何しろひとつ前の補給所であれだけ満腹になってしまったから。
あとはもう一つ峠を越えればゴールまでは海岸線の平地だ〜!ということで、金武ダムを登り、ダム湖の回りをまわって最後の峠を越える。暑いけど、もう登らなくていいと思うとすでにここで達成感がある。
58号側に下ると多少の風があっても気持ちは軽い。なぜならもう登らなくていいから。(何度も言う)サイクリングでこんなに登らされたのは初めてだ!
サイクリングのつもりが本気で踏んだゴールまで
58号をノンビリ走っていると、本島1周サイクリングの先頭集団がかなりの速さで抜いてきた。思わず飛びつく。もう楽をするための習性は止められない。そのまま快速列車でゴールまで行きそうになったが、「いやいや、このレポートのための写真を撮らなくてどうする私!」と泣く泣く下車。
サイクリストの写真を撮り、半ばフィニッシュした気持ちでのんびり走っているとていると、また本島1周サイクリングの集団が来た。今度の集団は「西さん、引いてください!」というリクエストが…。見栄を張ってゴールまでの海岸線15分ほどはかなり本気で踏んだ(笑)。
ゴールした時にはサイクリングとは思えないやり切った感があった。レースではやらないことをするのが今回のテーマ。レースでは消化のことを考え、食べる物も内容も時間も考えて食べる。が、今回はそこかしこでジャンキーなもの含め、色んな物を食べて満腹状態になって楽しんだ。
その割には意外と走れた。かといってレースではやらないが…。
お腹も脚も満腹で大満足なサイクリングだった。それにしても、登った、登った。この100kmサイクリング、とっても濃い充実感がある。
text&photo:Kanako NISHI
Amazon.co.jp
(モンベル)mont-bell ライトシェル サイクルジャケット
mont-bell
(パールイズミ)PEARL IZUMI 1700 サイクル ウィンターグローブ 指付 [メンズ]
PEARL IZUMI