2015/08/30(日) - 09:22
ツール・ド・フランスへの帯同も数日を数え、ようやく馴染んできたところで、今回はちょっとレース運営者目線で、レースの現場を支える「働く人たち」を紹介します。数多くの関係者が関わるマンモスイベントだけに、そのお仕事も様々です。
スタート時間15分前に出発! コース沿道にはたくさんの観客。沿道は黄色、赤・白、緑、青のツール・ド・フランスのラッピングでいっぱいです。どれも楽しくなるようなものばかり。選手が来るのを、今か今かと待っているたくさんの観客。選手ではない私たちの車にさえも手を振り、大歓声で迎えてくれます。
大盛り上がりの沿道の応援団とともに
レースに帯同し選手やチームの警備にあたるジャンダルマリ ツール・ド・フランスもツアー・オブ・ジャパンも、公道が使われるレースであり、警察の協力がなくては成り立たないイベントです。ツアー・オブ・ジャパンの場合、沿道の警備、立哨に当たるのは、ステージ開催各地の競技役員が主で、警察、自主警備の方々にも協力をお願いしています。コース上の安全管理や選手の誘導は、競技役員が行っています。
ツール・ド・フランスの場合、レースを全面的にサポートするのは、ポリスナシオナルとジャンダルマリと呼ばれる2つの系統の警察のようです。どちらも警察ですが、ポリスナシオナルは警察庁管轄の警察で、ジャンダルマリは国防省管轄の警察。日本で言えば機動隊にあたるのでしょうか、軍隊所属の警察機構で、大統領の護衛から街なかの交通整理、取り締りなどもしているそう。全レースのルートを選手とともにオートバイで走るのは約48名の選ばれた精鋭たち。
ツールの運営に当たるポリスナシオナルとジャンダルマリの人数をすべて合わせると、その数約23,000人!。 この数の中には、ルート上の各地域の立哨に当たる、つまりコースに合流するすべての脇道に立つジャンダルマリもこの数に含まれています。
ツールの各ゲートではIDチェックがあります。パスのランクや種別によって交通整理されます
ヴィラージュでは様々なグッズをいただけます
ジャンダルマリには、ポニーテールをしたパリジェンヌ風女性のジャンダルマリもいて、かわいい。キャラバン隊にはジャンダルマリの宣伝車もあり、隊員募集の広告も。
ジャンダルマリは、日本で言えば自衛隊に相当するのかなぁ? とっても難しいかもしれませんが、ツアー・オブ。ジャパンも自衛隊員の皆さんの協力が仰げたらなんて素晴らしいのでしょう! なんて考えてしまうのでありました。
矢印看板はずしも大切なお仕事
コース上には本当にたくさんの観客が居ます。選手ではない私たちの車にさえも手を振り喜ぶ観客に私たち。おもしろい応援団がいると車を停めて撮影したりしますが、時には大興奮で車に乗り出してくる人たちも(笑)。
沿道の観客たちにはプレスの私達まで好奇の対象?笑
すかさずクルマに乗り込んできたのには正直肝を冷やしました.....
選手が来るのを沿道で待ち伏せして撮影したあとは、「ボワチュール・バレ」と呼ばれる最後尾の車のあとを追いかけることになります。「バレ」とはフランス語でbalai=ほうきということで、つまり「選手収容車」。日本で言う「SAGワゴン」です。ボワチュールバレが来たらレース御一行はこれで終わり、ということで、このボワチュールバレを抜かないように、レースを追いかけていきます。
そしてそのボワチュールバレのすぐ後ろで、レースの進行方向を示す「→」サインの標示看板をひたすら回収していく車がありました。トラックを停めては降り、停めては降り、コースの右側もあれば左側もあり....。
けっこう体力も脚力も使うことでしょう。助手席に乗り、標示看板である矢印をひたすら回収していくという「矢印外し」を任されているのがドミニクさんです。
コースの進行方向を示す矢印看板を撤去する係のドミニクさん
矢印看板を観客に差し上げるドミニクさん 矢印看板を付ける人がいれば回収する人もあり。ドミニクさんは全ステージ、すべてのコースで看板を撤去し続けているそうです。そんなドミニクさんの乗った車の後ろを走っていると、なんと観客に看板をあげているではありませんか!
この標示看板はレース終了後に全て廃棄されるそうで、欲しがる観客にはプレゼントしているそう。確かにこの矢印を積んだキャンピングカーがたくさんありました。きっとドミニクさんからもらったんですね。
選手がコースを走るために重要な目印となる標示看板。私も2枚いただきました。せっかくなので日本に持ち帰ってきました。その矢印標識は現在自転車文化センターに展示していただいてますので、機会があればぜひ見に行ってみてください。
ツールのための道の準備と安全管理をするナタリーさん
ツールのコース管理をするイゼール・コンセイルジェネラルのナタリーさん
人人人のオランダコーナー。残念ながらゴミの数もすごい グランドン峠の山岳ポイントで偶然話しかけたのは、イゼール県のコンセイル・ジェネラルに勤務するナタリーさん。「コンセイル・ジェネラル」とは、日本で言えば、県庁や県議会の交通局に当たります。ナタリーさんの仕事は、簡単に言うと、「ツールのための道の準備をすること」。その仕事の内容を聞いてみました。
興奮する観客たちを制止するジャンダルマリ 「私の仕事は毎年11月、ツールのルートが決まるとともに始まるんですよ。土砂崩れや地すべりの恐れはないか、舗装の状況はどうか、穴は空いていないか、すべての道路を見て回るんですが、冬の間もやらないと間に合わないので、雪が多く降るところではそれこそ雪かきをしてから始めるんですよ」。
私もツアー・オブ・ジャパンの東京ステージのコース視察をしましたが、選手の安全な走行のため、観客の安全のために、道路をすべて見てまわることは、ある意味地味で、気が遠くなるような、がしかし大切な仕事でしたので、ナタリーさんの話を身を乗り出して聞いていました。とても共感するところがありました。
今回、ツール開幕ひと月前に、第20ステージのコースが変更になっていたのですが、そのことについても聞いてみました。
「4月に地すべりがあり、シャンボン峠が閉鎖になりました。ツールに間に合うよう復旧にあたっていたのですが、7月25日までに間に合わず、やむを得ずコースの変更を決めました。これは私たちのイゼール県だけでなく、となりのサボワ県までかかってくるのでできればコースも変更したくなかったのですが、安全のためには仕方ありません」。
「観客はキャンピングカーで観戦に来るのですが、その数と言ったらすごいですよね。普段は大丈夫なところも、大型の車が何台も通ることで、路面が弱くなったりすることも考えなければなりません。天気が悪いときのことも考えなければ...」
レース後にラルプ・デュエズのオランダコーナーを掃除するイゼール・コンセイルジェネラルの清掃車(ナタリーさんから送っていただいた写真)
ジャンダルマリを道路に配置させることもナタリーさんの仕事で、「ラルプデュエズなどは大人気のところですから、選手に危険が及ばないために、20メートルごとにジャンダルマリを配置させるよう地域にお願いするんです」。そしてナタリーさんの仕事はツールが終わったあとも続きます。「観客が捨てていったゴミを拾い、きれいに清掃し、道路を元通りにします。これもとても大切な仕事です」。
ツール・ド・フランスもツアー・オブ・ジャパンも、このような方たちの仕事がレースを支えていくのだということを改めて実感しました。
サル・ド・プレス(プレスセンター)で働く人々とその現場
体育館のようなプレスセンター。コミュニケをジャーナリストに配る広報担当スタッフ
プレスセンター入り口にはさいたまクリテの看板が飾られていました!
表彰台脇の記者会見会場とはモニターでつながれていて、通信で勝利者インタビューが行われます
チーフコミッセールはミロスラフ・ヤーノ氏。2013年、野辺山シクロクロスでも来日しており、UCIの倫理規程集の表紙になるほどの方
プレスセンター脇に待機する負傷した選手が直ちに治療を受けられるドクターメディカルトラック
プレスセンターには食事を振る舞ってくれるブッフェがあります。忙しくて食事の時間が取れないので助かります
プロフィール
目黒誠子(めぐろせいこ)
ツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。
ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。
スタート時間15分前に出発! コース沿道にはたくさんの観客。沿道は黄色、赤・白、緑、青のツール・ド・フランスのラッピングでいっぱいです。どれも楽しくなるようなものばかり。選手が来るのを、今か今かと待っているたくさんの観客。選手ではない私たちの車にさえも手を振り、大歓声で迎えてくれます。


ツール・ド・フランスの場合、レースを全面的にサポートするのは、ポリスナシオナルとジャンダルマリと呼ばれる2つの系統の警察のようです。どちらも警察ですが、ポリスナシオナルは警察庁管轄の警察で、ジャンダルマリは国防省管轄の警察。日本で言えば機動隊にあたるのでしょうか、軍隊所属の警察機構で、大統領の護衛から街なかの交通整理、取り締りなどもしているそう。全レースのルートを選手とともにオートバイで走るのは約48名の選ばれた精鋭たち。
ツールの運営に当たるポリスナシオナルとジャンダルマリの人数をすべて合わせると、その数約23,000人!。 この数の中には、ルート上の各地域の立哨に当たる、つまりコースに合流するすべての脇道に立つジャンダルマリもこの数に含まれています。


ジャンダルマリには、ポニーテールをしたパリジェンヌ風女性のジャンダルマリもいて、かわいい。キャラバン隊にはジャンダルマリの宣伝車もあり、隊員募集の広告も。
ジャンダルマリは、日本で言えば自衛隊に相当するのかなぁ? とっても難しいかもしれませんが、ツアー・オブ。ジャパンも自衛隊員の皆さんの協力が仰げたらなんて素晴らしいのでしょう! なんて考えてしまうのでありました。
矢印看板はずしも大切なお仕事
コース上には本当にたくさんの観客が居ます。選手ではない私たちの車にさえも手を振り喜ぶ観客に私たち。おもしろい応援団がいると車を停めて撮影したりしますが、時には大興奮で車に乗り出してくる人たちも(笑)。


選手が来るのを沿道で待ち伏せして撮影したあとは、「ボワチュール・バレ」と呼ばれる最後尾の車のあとを追いかけることになります。「バレ」とはフランス語でbalai=ほうきということで、つまり「選手収容車」。日本で言う「SAGワゴン」です。ボワチュールバレが来たらレース御一行はこれで終わり、ということで、このボワチュールバレを抜かないように、レースを追いかけていきます。
そしてそのボワチュールバレのすぐ後ろで、レースの進行方向を示す「→」サインの標示看板をひたすら回収していく車がありました。トラックを停めては降り、停めては降り、コースの右側もあれば左側もあり....。
けっこう体力も脚力も使うことでしょう。助手席に乗り、標示看板である矢印をひたすら回収していくという「矢印外し」を任されているのがドミニクさんです。


この標示看板はレース終了後に全て廃棄されるそうで、欲しがる観客にはプレゼントしているそう。確かにこの矢印を積んだキャンピングカーがたくさんありました。きっとドミニクさんからもらったんですね。
選手がコースを走るために重要な目印となる標示看板。私も2枚いただきました。せっかくなので日本に持ち帰ってきました。その矢印標識は現在自転車文化センターに展示していただいてますので、機会があればぜひ見に行ってみてください。
ツールのための道の準備と安全管理をするナタリーさん



私もツアー・オブ・ジャパンの東京ステージのコース視察をしましたが、選手の安全な走行のため、観客の安全のために、道路をすべて見てまわることは、ある意味地味で、気が遠くなるような、がしかし大切な仕事でしたので、ナタリーさんの話を身を乗り出して聞いていました。とても共感するところがありました。
今回、ツール開幕ひと月前に、第20ステージのコースが変更になっていたのですが、そのことについても聞いてみました。
「4月に地すべりがあり、シャンボン峠が閉鎖になりました。ツールに間に合うよう復旧にあたっていたのですが、7月25日までに間に合わず、やむを得ずコースの変更を決めました。これは私たちのイゼール県だけでなく、となりのサボワ県までかかってくるのでできればコースも変更したくなかったのですが、安全のためには仕方ありません」。
「観客はキャンピングカーで観戦に来るのですが、その数と言ったらすごいですよね。普段は大丈夫なところも、大型の車が何台も通ることで、路面が弱くなったりすることも考えなければなりません。天気が悪いときのことも考えなければ...」

ジャンダルマリを道路に配置させることもナタリーさんの仕事で、「ラルプデュエズなどは大人気のところですから、選手に危険が及ばないために、20メートルごとにジャンダルマリを配置させるよう地域にお願いするんです」。そしてナタリーさんの仕事はツールが終わったあとも続きます。「観客が捨てていったゴミを拾い、きれいに清掃し、道路を元通りにします。これもとても大切な仕事です」。
ツール・ド・フランスもツアー・オブ・ジャパンも、このような方たちの仕事がレースを支えていくのだということを改めて実感しました。
サル・ド・プレス(プレスセンター)で働く人々とその現場







目黒誠子(めぐろせいこ)
ツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。
ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。
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