2015/06/20(土) - 09:15
多くのプロ選手が愛用することで知られるアイウェアブランド、オークリーが今夏、ロンドンにて自転車ワークショップスペースをオープンした。自転車先進都市ロンドンのバイクコミュニティに新たな風を吹き込むスポットを在英ジャーナリストの青木陽子さんによるレポートで紹介しよう。
ちょっとした自転車エリアになりつつあるクラークンウェルにオープンした「オークリー・イン・レジデンス LONDON」 photo:AOKI YOKO
店内ワークショップスペースでは、無料のメンテナンス講座を受けられる(要予約)。
スペースの一角には自転車に関係したアートの展示スペースと、ロンドン市内の自転車イベントを誰でも告知できる地図が描かれた掲示板が。
ハイパフォーマンス・スポーツアイウェアのオークリーが、この夏のロンドン自転車シーンをいっそう盛り上げてくれそうだ。トレンディなイーストロンドンと観光の中心ウエストエンド、金融街シティに囲まれ、自転車ショップも乱立している人気のクラークンウェル地区に、8月末までの4ヶ月間「ザ・ワークショップ」というスペースをオープン。オークリーが今年2015年から世界の都市をリレーして続けていく「イン・レジデンス」というプロジェクトで、このロンドンはロサンゼルスに続く2都市目だ。
プロジェクト内容はその都市によってさまざまだが、クリエイティビティを軸にして、クリエーターや表現をする多くの人たちをつなげていくのがコンセプトだという。ロサンゼルスではスケートボードのコミュニティに場所を提供し、ロンドンではいまここで盛り上がっている自転車にテーマを絞った。
「ワークショップ」という名前の通り、ここには常設のワークショップスペースがあり、無料の自転車メンテナンス講座が開かれている。やはり地元のグループとの提携で土曜日ごとにロードのロングライドやトラックバイク入門などのライドもさっそく動き始めている。店内奥にあるスクリーンでは自転車の映画上映や、サイクルロードレースなどのパブリック・ビューイングもしていく。もちろん、今や自転車シーンと切っても切り離せない関係にあるコーヒーは、これも地元ロンドンで人気のコーヒーエバンジェリストと提携しての提供だ。もちろん無料Wi-fiも完備。
コーヒーなどソフトドリンクはロンドンでバリスタスクールもしているPRUFROCKが担当。
奥はスクリーン常設のパブリック・ビューイング・スペース。手前には自転車書籍が置かれた閲覧自由の本棚、オークリーの最新モデル「Jawbreaker」などのフィッティングができるコーナーも。
スペースの地下1階はロンドンのメッセンジャーコミュニティに解放される。
左から、フアンアントニオ・フレチャ、エリザベス・リーダー、チャス・クリスチャンセン、ヴィクトリア・ペンデルトン、リッチー・ポート、スコット・ミッチェル。
先日その杮落としが世界各国のプレスを招いて開かれたので参加してきた。1階のワークショップやライブラリーコーナーなどの説明を受け、おいしいコーヒーの時間かと思いきや、「地下も見てください」という。階段を降りるともうひとつのさらに本格的なワークショップがあり、ソファやコインロッカーのスペースまである。ロンドンのメッセンジャーたちが仕事の合間に体を休めたり、バイクの手入れをしたりできるように開放するのだそうだ。なんて太っ腹!
トークショーにはリッチー・ポートやフアンアントニオ・フレチャが登場
とてもシャイなリッチーも、言葉は少ないながら笑いのツボを抑えたやりとりにこの日はおいしいところを持って行きまくり。会場を沸かせていた。 photo:AOKI YOKO
「クルマだらけのロンドンのストリートを走ったらどっちが速いの?」と遠慮ない質問をするヴィクトリアに、リッチーもチャスもたじたじ。
チャスが世界中どこに行くにも持っていくというバイク。ホイール・リムに手描きされたグラフィックがクール。 続くトークショーの司会には元チーム・スカイのクラシック・スペシャリストだったフアンアントニオ・フレチャ、トークゲストにはジロから戻ってきたばかりのリッチー・ポート、メッセンジャー界から外にも発信を続けているチャス・クリスチャンセン、女子トラック競技でオリンピック金メダルなど世界トップに輝き続けイギリスの国民的スターになったヴィクトリア・ペンデルトンなど豪華な顔ぶれが揃った。
メッセンジャーやシングルスピードを楽しむライフスタイルの立場から、ロードレースのトップアスリートとして、またトラック競技者から、女性アスリートとして、写真家として……すべてのトークゲストに自転車という共通点はありながらも幅広いジャンルからの視点を聞いていくことで、この「イン・レジデンス」の狙いが見えてきた。楽しみ方がいろいろなだけにジャンルごとにハッキリと分かれてしまいがちな自転車だが、そんな人たちをクリエイティブでつなげようという狙いだ。
チャスは、「メッセンジャーはバイクパンツなどぴったりしたウエアを着たローディを『スパンドゥ(スパンデックスから)』と陰で呼んでバカにしたりしがちだが、ロード用のウエアはパフォーマンスには不可欠だし、シングルスピードの大会のためにロードでトレーニングするようになって世界が広がった、積極的に架け橋になりたい」「このイン・レジデンスのようなクロスカテゴリな試みはサイコー」と言う。
それに応えてリッチーも「クリエイティブな乗り方やライフスタイルを作っているチャスみたいな人と話すと、僕らのロードレースがいかに退屈なスポーツかわかりますね……」と会場の笑いを誘う自虐コメント。チャスもすかさず「いやいや、僕たちメッセンジャーにとってはあなたたちはこのスポーツのロックスターですよ。山岳を飛ぶように越えて行くとか、時速100kmとか、怖いくらいですよ。でもそんな自分たちが同じタイヤを履いているから話があったりするのは感動しますね」とリスペクトしてみせる。
そこに隣で聞いてたトラックの女王ヴィクトリアが「でもサ、あなたたちがロンドンを走ったらどっちが速いの?」と突っ込むと、フレチャもみんなで考えこんでしまうというシーンも。
BMXとトライアルバイクの共演も。自転車を愛するひとりとして、自転車カルチャーをさらに一段階アップさせていこうというオークリーの試みはほんとうにうれしい。
アスリートもメッセンジャーもヒプスターもコミューターも、自転車が好きなすべての人たちが集うパーティに、ロンドンでは自転車がカルチャーの中心のひとつになっていることを実感。
地元のクロスカテゴリーなサイクリングコミュニティを招いたパーティは大盛況。初夏のなかなか暗くならない空の下、夜11時すぎまで宴は続いた。
そして夜はさらにロンドン地元のサイクリングクラブやメッセンジャーコミュニティ、BMXやトライアルのコミュニティも招待してのパーティに。ロンドンの自転車カルチャーのさらなる成熟、盛り上がりに期待が膨らむ1日だった。
text&photo:青木陽子(AOKI YOKO)



ハイパフォーマンス・スポーツアイウェアのオークリーが、この夏のロンドン自転車シーンをいっそう盛り上げてくれそうだ。トレンディなイーストロンドンと観光の中心ウエストエンド、金融街シティに囲まれ、自転車ショップも乱立している人気のクラークンウェル地区に、8月末までの4ヶ月間「ザ・ワークショップ」というスペースをオープン。オークリーが今年2015年から世界の都市をリレーして続けていく「イン・レジデンス」というプロジェクトで、このロンドンはロサンゼルスに続く2都市目だ。
プロジェクト内容はその都市によってさまざまだが、クリエイティビティを軸にして、クリエーターや表現をする多くの人たちをつなげていくのがコンセプトだという。ロサンゼルスではスケートボードのコミュニティに場所を提供し、ロンドンではいまここで盛り上がっている自転車にテーマを絞った。
「ワークショップ」という名前の通り、ここには常設のワークショップスペースがあり、無料の自転車メンテナンス講座が開かれている。やはり地元のグループとの提携で土曜日ごとにロードのロングライドやトラックバイク入門などのライドもさっそく動き始めている。店内奥にあるスクリーンでは自転車の映画上映や、サイクルロードレースなどのパブリック・ビューイングもしていく。もちろん、今や自転車シーンと切っても切り離せない関係にあるコーヒーは、これも地元ロンドンで人気のコーヒーエバンジェリストと提携しての提供だ。もちろん無料Wi-fiも完備。




先日その杮落としが世界各国のプレスを招いて開かれたので参加してきた。1階のワークショップやライブラリーコーナーなどの説明を受け、おいしいコーヒーの時間かと思いきや、「地下も見てください」という。階段を降りるともうひとつのさらに本格的なワークショップがあり、ソファやコインロッカーのスペースまである。ロンドンのメッセンジャーたちが仕事の合間に体を休めたり、バイクの手入れをしたりできるように開放するのだそうだ。なんて太っ腹!
トークショーにはリッチー・ポートやフアンアントニオ・フレチャが登場



メッセンジャーやシングルスピードを楽しむライフスタイルの立場から、ロードレースのトップアスリートとして、またトラック競技者から、女性アスリートとして、写真家として……すべてのトークゲストに自転車という共通点はありながらも幅広いジャンルからの視点を聞いていくことで、この「イン・レジデンス」の狙いが見えてきた。楽しみ方がいろいろなだけにジャンルごとにハッキリと分かれてしまいがちな自転車だが、そんな人たちをクリエイティブでつなげようという狙いだ。
チャスは、「メッセンジャーはバイクパンツなどぴったりしたウエアを着たローディを『スパンドゥ(スパンデックスから)』と陰で呼んでバカにしたりしがちだが、ロード用のウエアはパフォーマンスには不可欠だし、シングルスピードの大会のためにロードでトレーニングするようになって世界が広がった、積極的に架け橋になりたい」「このイン・レジデンスのようなクロスカテゴリな試みはサイコー」と言う。
それに応えてリッチーも「クリエイティブな乗り方やライフスタイルを作っているチャスみたいな人と話すと、僕らのロードレースがいかに退屈なスポーツかわかりますね……」と会場の笑いを誘う自虐コメント。チャスもすかさず「いやいや、僕たちメッセンジャーにとってはあなたたちはこのスポーツのロックスターですよ。山岳を飛ぶように越えて行くとか、時速100kmとか、怖いくらいですよ。でもそんな自分たちが同じタイヤを履いているから話があったりするのは感動しますね」とリスペクトしてみせる。
そこに隣で聞いてたトラックの女王ヴィクトリアが「でもサ、あなたたちがロンドンを走ったらどっちが速いの?」と突っ込むと、フレチャもみんなで考えこんでしまうというシーンも。



そして夜はさらにロンドン地元のサイクリングクラブやメッセンジャーコミュニティ、BMXやトライアルのコミュニティも招待してのパーティに。ロンドンの自転車カルチャーのさらなる成熟、盛り上がりに期待が膨らむ1日だった。
text&photo:青木陽子(AOKI YOKO)
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