2015/05/31(日) - 09:06
数多くあるロングライドイベントの中でも国内屈指の人気を誇る「アルプスあづみのセンチュリーライド」。7年目となった今年は、大幅なコース変更や40kmの部の廃止など大きな変化があった。リニューアルした「AACR」の実走レポートを2回に分けてお届けします。
7回目のアルプスあづみのセンチュリーライド。スキージャンプ競技場が折り返し点の目印だ
前日開催のウェルカムイベントは参加者へのサポートプログラム盛りだくさん
大会開催前日、メイン会場となる梓水苑前広場では様々なイベントが開催された。初心者にも親切な参加者サポートが充実していると好評だ。
まずは大会プロデューサー鈴木雷太さんによるトークショー。今年。地震の影響などで変更箇所の多かったコースのポイントが解説された。そして、今年のAACRのテーマである「100%の安全」についてのレクチャー。交通ルール遵守や右・左折の方法の徹底などは前もって動画などで告知されていたが、改めてハンドサイン(手信号)の出し方などの説明が行われ、その意図についても説明された。
大会プロデューサー鈴木雷太さんによるトークショー
竹谷賢二さんの「即効!ロングライド講座!」
手信号の使い方もレクチャーしてくれた
真剣に聞き入る参加者たち
雷太さんによれば、近年のスポーツバイクブームのお陰でサイクリストが増え続けているが、通行帯などの道路状況や、クルマや歩行者など他の道路利用者の理解などスポーツバイクを取り巻く状況がまだこのブームに追いついていない状況で、事故が起こればスポーツサイクル界が大きなダメージを受けてしまうことを心配しているとのこと。それにはサイクリスト自身の啓蒙を図っていくことが重要で、その先例としてイベントから意識を変えていきたいと考えているという。イベント時に身につけた走り方で、普段のライドを安全に走ってほしいという願いもあるそうだ。
竹谷賢二さん(エンデュアライフ代表)の「即効!ロングライド講座!」では、長距離を走るときのフォームやペダリングのコツ、普段から意識したい身体の動きなどが解説された。示唆に富み、ポイントを得たこの竹谷さんの講座は例年大好評。聞くことで得たコツを走りながら実践すればホントに楽に走れるから不思議だ。
スポーツアロマコンディショニング代表の軽部修子(かるべのりこ)さんによる、アロマオイルを使ったアクティブセルフケアのレクチャーも好評だ。自分でできるマッサージやストレッチ、コリのほぐし方などを教えてくれた。同時に大好評なのがスポーツアロマコンディショニングによる出張マッサージ。
軽部修子さんによるアロマオイルを使ったアクティブセルフケアのレクチャーも好評
鈴木雷太さん、竹谷賢二さん、渡部暁斗さんと弟の善斗選手によるトークショー「私とオリンピックと自転車」
ダイハツWAKEのプロモーションイベントも
AACRグッズが販売されていた
日本のトップサイクリストたちも多くサポートしている軽部さんやスタッフによるマッサージで明日への最終調整を行う人も多い。筆者も50分コースをお願いしたが、肩こりがほぐれ、翌日のペダリングが軽くなるほど効果大。セルフマッサージ用オイルの特別販売もあった。
そして今回の目玉は、鈴木雷太さん、竹谷賢二さんに加えてソチ冬季五輪ノルディック複合個人銀メダリストの渡部暁斗さん、弟の善斗選手による4人のトークショー「私とオリンピックと自転車」。4人がそれぞれの五輪出場経験と日常での自転車とのつきあい方を語った。長野県出身の渡部兄弟。兄の暁斗さんはトレーニングの一環としてバイクライドを取り入れている。弟の善斗さんはスペシャライズドにセットアップしてもらったロードバイクで明日の160kmに挑戦。4人のオリンピアントレインを組んで走るとのこと。
ウェルカムイベント中には他にもスペシャライズドが企画した女子会グルメライドやパンク修理講座、そしてダイハツWAKEのプロモーションイベントなどが開催された。この時点で明日の天気予報は「曇り」で、雨の心配も少々、というものだった。
予想外の好天に恵まれた160kmの実走レポート
朝4時30分。眠い目をこすりながら松本ICを降りる。ひと月も前であればまだ日も昇らぬ時間帯だが、もう6月を目の前にした空は明るい。前日の天気予報を裏切るように雲も少ない空の下、梓川のほとりにある「梓水苑」へと向かうロードレーサーの姿がちらほらと見かけられる。
S組の先頭はこっちです!
大会を盛り上げてくれたMCの二人
ずらっと並べられた自転車たち
ペーサーとなってくれる大会スタッフ
そう、アルプスあずみのセンチュリーライドのスタートへと向かう参加者たちだ。160kmの長丁場ということもあり、もっとも早いS組のスタートは5時30分とかなり早めの時間に設定されている。私たちがスタート地点となる梓水苑に到着するころには既に多くのサイクリストが集まっていた。
大きくそびえるスペシャライズドアーチの前にはズラっと自転車が並べられており、スタートの時を今か今かと待ちわびている気持ちがひしひしと伝わってくる。そんな空気をさらに盛り上げてくれるのが、各種サイクルイベントなどを中心に活躍するMCアケさんとMCダイキさんのお二人。特にアケさんは3年連続のメインMCということもあり、AACRの常連参加者にとってはすでに顔なじみともいえるような存在だ。
次々にスタートゲートをくぐる参加者たち
そんなお二人の軽妙な掛け合いのなか、参加者たちが次々にスタートしていく。AACRのスタート方式は4~6名ほどのグループが30秒間隔でスタートしていくというもの。その30秒の間に、ユニークな質問をされる参加者もいて、待っている時間もすぐに過ぎてしまう。
S組が出発したあとは、コースの北端である白馬までを自転車で走り、梓水苑までを電車で戻ってくるサイクルトレインコースの参加者たちのスタート時間だ。いかにもロードレーサー然としたウエアや機材の参加者が多いS組に比べると、クロスバイクやMTBの姿も多く見受けられ、家族で参加する人もちらほら。私たち取材班もサイクルトレインコースの参加者のスタートを見送ってからコースへと飛び出した。
田んぼの中を突っ切って走っていく
右折は2段階で一時停止してから。
冠雪した北アルプスが遠くに見える
今年からコースが大幅に変更されたというAACRだが、スタートして5分も経たないうちから昨年と違うルートを通ることに。とはいえ、序盤の変化はそんなに大きいものではなく、名物の林檎畑を貫くストレートコースを今年も走っていく。農作業をする地元のおばあちゃんたちに挨拶をしながら走っていくと、信号の無い交差点で参加者の列が出来ていた。
「???」と思っていたが、この交差点に立つ看板を見て納得。一時停止線のある交差点だったのだ。とはいえ、他の大会であれば、減速しながら通過してしまうところ。しかし、今年のAACRでは少し違う光景が見られた。
前日編でも少し触れたが、今年のAACRの掲げる大きな目標は「100%の安全」というもの。以前から、事前車検制を導入するなど安全に対する意識は高かったAACRだが、今回はより踏み込んだ取り組みを行っているのだ。特にこういった踏み切りや交差点の横断や右折での一時停止や並走の禁止といった、普段サイクリストがあまり意識していないルールを啓蒙することに力を入れていた。具体的にはコース上でスタッフが誘導と一時停止を促すというイベント中の取り組みはもちろん、大会に先立ってそれらのルールを説明した動画を公開するなど、安全への取り組みに積極的な姿勢が参加者にも浸透していた様子だった。
最初のエイドに向けて走る
公園内のアーチを渡っていく
気持ちよい空気をエイドで味わった
パンにジャムを付け放題
そんなことに感心していると、あっという間に第1エイドであるあづみの公園穂高エイドに到着。ここでは焼きたてほやほやのパンに、なんとジャムが塗り放題! 朝が早いスタートなので、ブレックファスト代わりにぴったりだ。甘いもの好きな私は、文字通りパンから溢れんばかりにジャムを盛り美味しく頂きました。
他にも、「湯多里饅頭」や「あずさ」といった定番のラインアップは今年も用意されている。ちなみに、昨年からエイド会場のレイアウトが変更されており、公園を通り抜けられるような設計に。もっとも混みあう最初のエイドながらもスムーズに人が流れていたのも好印象。
そこから、あずみの公園大町エイドまでは19.5kmの平坦なコース。途中、特徴的な白壁の民家の横を通り過ぎたりしつつ、平坦基調の道を快調に走っていく。大町エイドへのアプローチは1kmほどの登り区間が現れるが、斜度はそこまで厳しくないので、軽いギアでクルクル回せばいつの間にか到着だ。
いろとりどりの花が道沿いに咲いていた
ハルジオンの脇を走っていく
辛味噌(奥)とネギ味噌(手前)をおにぎりに付け放題
わらび餅も一緒に振る舞われた
大町エイドで振る舞われるのは、AACR名物のネギ味噌おにぎり。今年は加えて辛味噌も登場。異なる二つの味の味噌で、つやつや白米のおにぎりを楽しめると聞いては日本人の血が騒がずにはいられようか、いや、ない!(反語)というわけで、あっという間にペロリとおにぎりを平らげる私。今年も変わらない美味しさが口いっぱいに広がって、なんとも幸せな気分。
ここまではおおむね去年と同じルートをたどってきたが、ここから白馬へと向かうルートに大幅な変更が加えられている。昨年であれば、大町から美麻へとアプローチし、途中には少しキツめの峠が一本挟まれるというコースだったのだが、今年は仁科三湖を北上し、安曇野アートラインを経由し白馬へと向かうルートへと変更されているのだ。
お地蔵さんが見守るなかを走っていく
思わぬトラブルにもモトマヴィックが対応してくれた
これが信州名物「おざんざ」
沢山の漬物が用意された
仁科三湖の手前に、大町木崎エイドが現れる。ここでは沢山の漬物、サラダの食べ放題に「おざんざ」と盛りだくさんのおもてなし。汗をかいた身体にしょっぱい漬物はぴったりだし、地元でとれた野菜をふんだんに使ったみずみずしいサラダはいくらでも食べられそう。つるっとしたのどごしが特徴の細麺のうどんのような「おざんざ」を食べて、この先のプチヒルクライムにエネルギーを蓄える。
そして、エイドを出発すると間もなく、青い水を湛えた木崎湖が現れる。続いて、少しの登りを挟んで中網湖、青木湖と続く仁科三湖を左手に見ながら走っていく。湖のバックには鹿島槍の勇壮な姿が。目を奪われてしまうほどの美しいこれらの湖。その透明度の理由は貧栄養湖でありプランクトンなどの生息量が少ないからだとか。湖畔には釣りを楽しむ人の姿もあり、一日中眺めていても飽きそうにない、ゆったりとした時間が流れていた。
安曇野アートラインを走って白馬へと向かう
大糸線を越えていく
ついつい川があると引き寄せられてしまうのは仕方ない
仁科三湖を越えると、トンネルを通過する。短いもののかなり暗いため、ライトの点灯は必須となる。フロント、リアともに点灯確認をしてからトンネルを走っていく。そういえば、ここまで走ってくる中で昼間点灯をしている人もちらほらと見かけた。安全に対する意識はやはり高めなのだ。
安曇野アートラインを下ると、白く雪化粧が残る白馬連峰が「どどーん!」という擬音が聞こえてきそうな迫力で現れる。周囲を走っているみなさんからも、思わず感嘆の声が漏れているほど。さて、ここからは白馬ジャンプ台エイドまではほぼフラットなはず、と思っていると、今年のルートは一味違った。
白馬五竜への登りを走る
滝が流れる前を走っていく
親子の絆を見せてもらいました
途中川沿いへ左折すると、白馬五竜スキー場へ向かう10%越えの坂が目の前に現れる。距離は500m程度なので押して歩いても時間的には大差ないのだが、エイドを目の前にして現れる難所だけに、少しみなさんもつらそう。でも、去年の「峠」に比べればかなり楽な登りであるのも事実。ジャンプ場エイドでふるまわれるおこわや豚汁をおいしくいただくためにも、ここは気合いで乗り切ってしまうが吉。
その後は、白馬の別荘地の中を通り抜ければ白馬ジャンプ台エイドはすぐそこ。ここまでくれば、後は帰るだけということでエイドもどこかほっとした雰囲気に包まれている。昨年まではジャンプ台の下にあったジェラート屋さんにも多くの参加者が立ち寄っていたのだが、今年は残念ながらお休み。その分、エイドでまったりと休憩している人も多かった。
さて、ここでやっと折り返しのアルプスあづみのセンチュリーライド。がらっと雰囲気の変わった後半のレポートも間もなく公開予定です。この大会最高の絶景はこの先にあるとか。それでは、次回をお楽しみに。
つづく。
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
フォトアルバム(CW FaceBook)
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前日開催のウェルカムイベントは参加者へのサポートプログラム盛りだくさん
大会開催前日、メイン会場となる梓水苑前広場では様々なイベントが開催された。初心者にも親切な参加者サポートが充実していると好評だ。
まずは大会プロデューサー鈴木雷太さんによるトークショー。今年。地震の影響などで変更箇所の多かったコースのポイントが解説された。そして、今年のAACRのテーマである「100%の安全」についてのレクチャー。交通ルール遵守や右・左折の方法の徹底などは前もって動画などで告知されていたが、改めてハンドサイン(手信号)の出し方などの説明が行われ、その意図についても説明された。
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雷太さんによれば、近年のスポーツバイクブームのお陰でサイクリストが増え続けているが、通行帯などの道路状況や、クルマや歩行者など他の道路利用者の理解などスポーツバイクを取り巻く状況がまだこのブームに追いついていない状況で、事故が起こればスポーツサイクル界が大きなダメージを受けてしまうことを心配しているとのこと。それにはサイクリスト自身の啓蒙を図っていくことが重要で、その先例としてイベントから意識を変えていきたいと考えているという。イベント時に身につけた走り方で、普段のライドを安全に走ってほしいという願いもあるそうだ。
竹谷賢二さん(エンデュアライフ代表)の「即効!ロングライド講座!」では、長距離を走るときのフォームやペダリングのコツ、普段から意識したい身体の動きなどが解説された。示唆に富み、ポイントを得たこの竹谷さんの講座は例年大好評。聞くことで得たコツを走りながら実践すればホントに楽に走れるから不思議だ。
スポーツアロマコンディショニング代表の軽部修子(かるべのりこ)さんによる、アロマオイルを使ったアクティブセルフケアのレクチャーも好評だ。自分でできるマッサージやストレッチ、コリのほぐし方などを教えてくれた。同時に大好評なのがスポーツアロマコンディショニングによる出張マッサージ。
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日本のトップサイクリストたちも多くサポートしている軽部さんやスタッフによるマッサージで明日への最終調整を行う人も多い。筆者も50分コースをお願いしたが、肩こりがほぐれ、翌日のペダリングが軽くなるほど効果大。セルフマッサージ用オイルの特別販売もあった。
そして今回の目玉は、鈴木雷太さん、竹谷賢二さんに加えてソチ冬季五輪ノルディック複合個人銀メダリストの渡部暁斗さん、弟の善斗選手による4人のトークショー「私とオリンピックと自転車」。4人がそれぞれの五輪出場経験と日常での自転車とのつきあい方を語った。長野県出身の渡部兄弟。兄の暁斗さんはトレーニングの一環としてバイクライドを取り入れている。弟の善斗さんはスペシャライズドにセットアップしてもらったロードバイクで明日の160kmに挑戦。4人のオリンピアントレインを組んで走るとのこと。
ウェルカムイベント中には他にもスペシャライズドが企画した女子会グルメライドやパンク修理講座、そしてダイハツWAKEのプロモーションイベントなどが開催された。この時点で明日の天気予報は「曇り」で、雨の心配も少々、というものだった。
予想外の好天に恵まれた160kmの実走レポート
朝4時30分。眠い目をこすりながら松本ICを降りる。ひと月も前であればまだ日も昇らぬ時間帯だが、もう6月を目の前にした空は明るい。前日の天気予報を裏切るように雲も少ない空の下、梓川のほとりにある「梓水苑」へと向かうロードレーサーの姿がちらほらと見かけられる。
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大きくそびえるスペシャライズドアーチの前にはズラっと自転車が並べられており、スタートの時を今か今かと待ちわびている気持ちがひしひしと伝わってくる。そんな空気をさらに盛り上げてくれるのが、各種サイクルイベントなどを中心に活躍するMCアケさんとMCダイキさんのお二人。特にアケさんは3年連続のメインMCということもあり、AACRの常連参加者にとってはすでに顔なじみともいえるような存在だ。
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そんなお二人の軽妙な掛け合いのなか、参加者たちが次々にスタートしていく。AACRのスタート方式は4~6名ほどのグループが30秒間隔でスタートしていくというもの。その30秒の間に、ユニークな質問をされる参加者もいて、待っている時間もすぐに過ぎてしまう。
S組が出発したあとは、コースの北端である白馬までを自転車で走り、梓水苑までを電車で戻ってくるサイクルトレインコースの参加者たちのスタート時間だ。いかにもロードレーサー然としたウエアや機材の参加者が多いS組に比べると、クロスバイクやMTBの姿も多く見受けられ、家族で参加する人もちらほら。私たち取材班もサイクルトレインコースの参加者のスタートを見送ってからコースへと飛び出した。
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今年からコースが大幅に変更されたというAACRだが、スタートして5分も経たないうちから昨年と違うルートを通ることに。とはいえ、序盤の変化はそんなに大きいものではなく、名物の林檎畑を貫くストレートコースを今年も走っていく。農作業をする地元のおばあちゃんたちに挨拶をしながら走っていくと、信号の無い交差点で参加者の列が出来ていた。
「???」と思っていたが、この交差点に立つ看板を見て納得。一時停止線のある交差点だったのだ。とはいえ、他の大会であれば、減速しながら通過してしまうところ。しかし、今年のAACRでは少し違う光景が見られた。
前日編でも少し触れたが、今年のAACRの掲げる大きな目標は「100%の安全」というもの。以前から、事前車検制を導入するなど安全に対する意識は高かったAACRだが、今回はより踏み込んだ取り組みを行っているのだ。特にこういった踏み切りや交差点の横断や右折での一時停止や並走の禁止といった、普段サイクリストがあまり意識していないルールを啓蒙することに力を入れていた。具体的にはコース上でスタッフが誘導と一時停止を促すというイベント中の取り組みはもちろん、大会に先立ってそれらのルールを説明した動画を公開するなど、安全への取り組みに積極的な姿勢が参加者にも浸透していた様子だった。
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他にも、「湯多里饅頭」や「あずさ」といった定番のラインアップは今年も用意されている。ちなみに、昨年からエイド会場のレイアウトが変更されており、公園を通り抜けられるような設計に。もっとも混みあう最初のエイドながらもスムーズに人が流れていたのも好印象。
そこから、あずみの公園大町エイドまでは19.5kmの平坦なコース。途中、特徴的な白壁の民家の横を通り過ぎたりしつつ、平坦基調の道を快調に走っていく。大町エイドへのアプローチは1kmほどの登り区間が現れるが、斜度はそこまで厳しくないので、軽いギアでクルクル回せばいつの間にか到着だ。
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大町エイドで振る舞われるのは、AACR名物のネギ味噌おにぎり。今年は加えて辛味噌も登場。異なる二つの味の味噌で、つやつや白米のおにぎりを楽しめると聞いては日本人の血が騒がずにはいられようか、いや、ない!(反語)というわけで、あっという間にペロリとおにぎりを平らげる私。今年も変わらない美味しさが口いっぱいに広がって、なんとも幸せな気分。
ここまではおおむね去年と同じルートをたどってきたが、ここから白馬へと向かうルートに大幅な変更が加えられている。昨年であれば、大町から美麻へとアプローチし、途中には少しキツめの峠が一本挟まれるというコースだったのだが、今年は仁科三湖を北上し、安曇野アートラインを経由し白馬へと向かうルートへと変更されているのだ。
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仁科三湖の手前に、大町木崎エイドが現れる。ここでは沢山の漬物、サラダの食べ放題に「おざんざ」と盛りだくさんのおもてなし。汗をかいた身体にしょっぱい漬物はぴったりだし、地元でとれた野菜をふんだんに使ったみずみずしいサラダはいくらでも食べられそう。つるっとしたのどごしが特徴の細麺のうどんのような「おざんざ」を食べて、この先のプチヒルクライムにエネルギーを蓄える。
そして、エイドを出発すると間もなく、青い水を湛えた木崎湖が現れる。続いて、少しの登りを挟んで中網湖、青木湖と続く仁科三湖を左手に見ながら走っていく。湖のバックには鹿島槍の勇壮な姿が。目を奪われてしまうほどの美しいこれらの湖。その透明度の理由は貧栄養湖でありプランクトンなどの生息量が少ないからだとか。湖畔には釣りを楽しむ人の姿もあり、一日中眺めていても飽きそうにない、ゆったりとした時間が流れていた。
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安曇野アートラインを下ると、白く雪化粧が残る白馬連峰が「どどーん!」という擬音が聞こえてきそうな迫力で現れる。周囲を走っているみなさんからも、思わず感嘆の声が漏れているほど。さて、ここからは白馬ジャンプ台エイドまではほぼフラットなはず、と思っていると、今年のルートは一味違った。
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
途中川沿いへ左折すると、白馬五竜スキー場へ向かう10%越えの坂が目の前に現れる。距離は500m程度なので押して歩いても時間的には大差ないのだが、エイドを目の前にして現れる難所だけに、少しみなさんもつらそう。でも、去年の「峠」に比べればかなり楽な登りであるのも事実。ジャンプ場エイドでふるまわれるおこわや豚汁をおいしくいただくためにも、ここは気合いで乗り切ってしまうが吉。
その後は、白馬の別荘地の中を通り抜ければ白馬ジャンプ台エイドはすぐそこ。ここまでくれば、後は帰るだけということでエイドもどこかほっとした雰囲気に包まれている。昨年まではジャンプ台の下にあったジェラート屋さんにも多くの参加者が立ち寄っていたのだが、今年は残念ながらお休み。その分、エイドでまったりと休憩している人も多かった。
さて、ここでやっと折り返しのアルプスあづみのセンチュリーライド。がらっと雰囲気の変わった後半のレポートも間もなく公開予定です。この大会最高の絶景はこの先にあるとか。それでは、次回をお楽しみに。
つづく。
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
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