2014/12/25(木) - 09:04
12月13日(土)、名古屋からも程近い愛知県長久手市にある愛・地球博記念公園にて「ヴェロフェスタinモリコロパーク」が開催された。数年に1度という大寒波が襲来し今冬1番の冷え込みとなった中、豪華ゲストライダー陣と共に約450人の参加者がロードレースやエンデューロを楽しんだ。
ゲストライダーの先導と共にエンデューロがスタート
あまりの寒さに手がかじかんでしまい、ゼッケンを取り付けるのにも一苦労
自転車を担いでサイクリングコースへ。奥に見えるのがレンタルサイクルの受付所だ
今回が第1回目となるヴェロフェスタinモリコロパークが開催されたのは愛・地球博記念公園。大会名の一部となっている「モリコロパーク」という愛称で親しまれる県営公園で、2005年に開催された愛知万博の会場であり名古屋市の東に隣接する愛知県長久手(ながくて)市に位置する。
名古屋市内からは車で30分ほどとアクセスは良好。地下鉄と日本で唯一営業運転をおこなうリニアモーターカー「リニモ」を乗り継いでアクセスすることもできるが、自転車でもほとんど移動時間が変わらないことから、ウォームアップを兼ねて自走で会場入りする参加者が非常に多かった。
初心者向けのレースとあってスタート前のブリーフィングは念入りに行われた
青空が広がる中始まったロードレース
ジャンの音と共にラスト1周へ
マイヨジョーヌを着てガッツポーズで優勝とはあっぱれ
さて、今回のイベントで使用されたのは、普段はレンタルサイクルの利用者で賑わっているという公園内の常設サイクリングコース。ただし代々木公園や駒沢公園のそれとは異なり、歩行者やランナーなどが一切立ち入ることができない専用道となっている。
大会主催者の加藤康則さん(右)。Coupe de AACAの仕掛け人でもある 「このサイクリングコースは愛・地球博記念公園の前身である愛知青少年公園の時代から園内に設けられており、当時から近辺のサイクリストの憩いの場として賑わい、国際大会なども開催されていた場所なのです」とは今大会の主催者である加藤康則さん。万博終了から暫くの後、再舗装などを経て2012に再オープンしたがコースレイアウトは従来とほぼ同じとのこと。
ほとんどが緩やかなアップダウンという1周5.1kmの中にはテクニックを要する連続コーナーや斜度7%の高速ダウンヒル、さらには立体交差も。一部からはかつて全日本選手権の舞台にもなった広島中央森林公園の短縮版という声もあり、初心者が高速走行を楽しめる一方で上級者でも攻めがいあると参加者からの評判も高い。
そんなチャレンジングなコースを舞台に開催される今大会のコンセプトはエントリーライダーに向けた親しみやすい雰囲気の大会。中京圏といえば、Coupe de AACAや長良川クリテを筆頭に年間を通してロードレースが定期的に開催されている地域だが、新規大会を開催する意義について主催の加藤さんは以下の様に説明する。
続々とスタート地点に集まってくるエンデューロの参加者の皆さん
決して規模が大きいわけではないが、豪華ゲストライダーが集結した
現ロードレース全日本王者の佐野淳哉選手はまさかの半袖ジャージで疾走
イベントを盛り上げたちゃりん娘の皆さんもエンデューロに参加
「同じくCoupe de AACAなども主催しており、こちらは上級者を中心に好評頂いている一方でビギナーの方からは『ちょっとレベルが高すぎて、参加しづらい』という声が挙がっていました。そこで、もっとエントリーに参加して貰いやすい大会をと考えており、会場側の方からも『幅広く楽しめる大会であれば』と会場を貸して頂き、開催に至ったのが今回のヴェロフェスタなのです。」
この日のオープニングイベントはエントリーライダー向けのロードレース。日差しはあったものの、数年に一度の大寒波と言うこともあって気温はレースが始まる9時頃でも5℃程度。多くの方参加者が厚手の冬用ウエアを着込んだが、中にはショーツで生足と気合の入った方も。カテゴリーはコースを2周するビギナーと3周するスポーツの2つで、共に最後は小集団でのスプリントとなったものの、バッチリと両手を挙げての圧勝という形で勝負が決まった。
愛・地球博記念公園にて開催されたヴェロフェスタinモリコロパーク
色づいた木々の間を駆け抜ける先頭集団
沿道で鮮やかに咲き誇っていたツバキの花
コースは公園のシンボルの1つである観覧車の近くも通過
続いては60分、90分、120分と3つのカテゴリーで争われたメインイベントのエンデューロ。決して人数が多いとはいえな今大会ながら多くのゲストライダーが集結した。それも、現ロードレース全日本王者の佐野淳哉選手や今季限りでの引退を発表している宮澤崇史選手、地元愛知を拠点とする愛三工業レーシングからは綾部勇成選手、伊藤雅和選手、平塚吉光選手、中根英登選手の4名ととても豪華。
そして、イベント中で新設が発表された新たなUCIコンチネンタルチーム「キナンプロサイクリング」に移籍する日本人選手6名も。2009年以来4年ぶりに現役復帰する山本雅道選手や、トップチームから移籍の伊丹健治選手や野中竜馬選手、水野恭兵選手、中西重智選手、阿曽圭佑選手が参加した。
愛知万博マスコットキャラクターのモリゾーとキッコロがレースを見守る
すっかり葉が落ちた木々の間を行く
コースの途中には立体交差も
一方の参加者は、初心者向けのイベントであり、車種についても規制されていないながらも、ロードレーサーと専用のウェアでバッチリ決めた方が多数を占めた。そして女性ライダーも多く、多くの方が男性参加者に混じって集団走行を楽しんでいたりと、割と単独で走っている女性ライダーが多い関東のレースとは対照的な印象だ。
筆者が沿道から見ていて感じたのが、とにかくレース運営がコンパクトかつスマートで、一般的なエンデューロでは多い立哨がとにかく少ないこと。クローズドコースで舗装状態が良好であることもあるが、大会運営がCoupe de AACAのスタッフと愛知車連の審判団という自転車競技を熟知したメンバーだったことが主な要因となったはず。
キッズライダー同士の負けられない戦いがある
男性に混じって速い集団で走る女子レーサーが多かった
一方で、可愛らしいウェアコーディネートでエンデューロを楽しむ女性ライダーも
かっこいいガッツポーズが決まる
等間隔でモトを走らせ、3カテゴリーそれぞれにペースメーカーとしてゲストライダーを配したことで、落車を始めとした重大なトラブルはほとんど発生せず。仮に落車等があってもこれならすぐに対処できる体制で、初めてのレースという参加者の皆さんも安心して走りに集中できたに違いない。
序盤は招待選手を含め、ほとんどのライダーが寒すぎるという表情をしていたが、体が温まってくるとどの参加者も冷たい空気を切り裂きながら思い思いのペースで快走していく。一方、暖房の効いた公園内のホールではペーサーの任を終えた宮沢選手&佐野選手をゲストに迎えてのトークショーを開催。この中でMCを務めたちゃりん娘の松本奈々さんから佐野選手と出会いについて聞かれた宮澤選手は「東京に荒川で練習していたら、とても荒削りな走りをする選手とすれ違い、気になって引き返して、名前を聞いたのが最初です」というエピソードを披露し、会場の笑いを誘った。
超がつくほど寒かった今回のレース。ゴール後ニカップスープで暖をとる参加者も
筆者は公園内の売店で手作りされている味噌カツドッグを食べてみました
地元愛知に居を構える深谷産業はミノウラの3本ローラーの体験会を実施
元チームメイトである宮澤崇史選手と佐野選手選手によるトークショーも開催された
トレック、キャノンデール、スコット、GDRから試乗車が集結
出展ブースには中京・関西圏のレースでお馴染みのイナーメ・スポーツアロマも
また、このホール内にはブース出展もあり、トレック、スコット、キャノンデール、シュワルベなどを扱うPRインターナショナル、グラファイトデザインなどが最新の2015モデルを展示。中京圏のレースではお馴染みのイナーメ・スポーツアロマのコーナーではオリジナルマッサージオイルの販売に加え、様々な会場で好評を博している100円マッサージのサービスも。
60分、90分と順調に各カテゴリーが終了し、12時を過ぎたころに最長カテゴリーの120分クラスがゴール。普段のレースであれば冷たい飲み物が欲しくなるところだが、この日ばかりを温かいものが欲しいということで、終了後に魔法瓶で持参したお湯でカップスープ作って飲んでで体を温めるという参加者の姿もちらほら。冬のレースらしい光景である。
締めは宮澤選手によるサプライズじゃんけん大会
ポディウムも用意された本格的な表彰式
じゃんけん大会でキャップをゲットした参加者の皆さんと宮澤選手
最後は自転車パーツからお菓子の詰め合わせまでバリエーションに富んだ景品が用意されたお楽しみ抽選会、次いで表彰式、そしてサプライズで宮澤選手提供のキャップ&ポスターカード争奪ジャンケン大会が行われ、イベントは終了。参加者は寒空の中、足早に家路へと着いた。
COUPE DE AACAといい、長良川クリテといい中京圏のロードレースシーンは非常に活況と聞いていたが、それらとは対照的な初心者向けイベントでもその勢いを感じることができた今回のヴェロフェスタinモリコロパーク。こんな和気あいあいとした雰囲気のレースが関東圏にも増えてくれればと期待し、次回はもう少し暖かな日に開催されることを願いつつ、このレポートを締めくくりたい。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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今回が第1回目となるヴェロフェスタinモリコロパークが開催されたのは愛・地球博記念公園。大会名の一部となっている「モリコロパーク」という愛称で親しまれる県営公園で、2005年に開催された愛知万博の会場であり名古屋市の東に隣接する愛知県長久手(ながくて)市に位置する。
名古屋市内からは車で30分ほどとアクセスは良好。地下鉄と日本で唯一営業運転をおこなうリニアモーターカー「リニモ」を乗り継いでアクセスすることもできるが、自転車でもほとんど移動時間が変わらないことから、ウォームアップを兼ねて自走で会場入りする参加者が非常に多かった。
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そんなチャレンジングなコースを舞台に開催される今大会のコンセプトはエントリーライダーに向けた親しみやすい雰囲気の大会。中京圏といえば、Coupe de AACAや長良川クリテを筆頭に年間を通してロードレースが定期的に開催されている地域だが、新規大会を開催する意義について主催の加藤さんは以下の様に説明する。
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この日のオープニングイベントはエントリーライダー向けのロードレース。日差しはあったものの、数年に一度の大寒波と言うこともあって気温はレースが始まる9時頃でも5℃程度。多くの方参加者が厚手の冬用ウエアを着込んだが、中にはショーツで生足と気合の入った方も。カテゴリーはコースを2周するビギナーと3周するスポーツの2つで、共に最後は小集団でのスプリントとなったものの、バッチリと両手を挙げての圧勝という形で勝負が決まった。
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そして、イベント中で新設が発表された新たなUCIコンチネンタルチーム「キナンプロサイクリング」に移籍する日本人選手6名も。2009年以来4年ぶりに現役復帰する山本雅道選手や、トップチームから移籍の伊丹健治選手や野中竜馬選手、水野恭兵選手、中西重智選手、阿曽圭佑選手が参加した。
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筆者が沿道から見ていて感じたのが、とにかくレース運営がコンパクトかつスマートで、一般的なエンデューロでは多い立哨がとにかく少ないこと。クローズドコースで舗装状態が良好であることもあるが、大会運営がCoupe de AACAのスタッフと愛知車連の審判団という自転車競技を熟知したメンバーだったことが主な要因となったはず。
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60分、90分と順調に各カテゴリーが終了し、12時を過ぎたころに最長カテゴリーの120分クラスがゴール。普段のレースであれば冷たい飲み物が欲しくなるところだが、この日ばかりを温かいものが欲しいということで、終了後に魔法瓶で持参したお湯でカップスープ作って飲んでで体を温めるという参加者の姿もちらほら。冬のレースらしい光景である。
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COUPE DE AACAといい、長良川クリテといい中京圏のロードレースシーンは非常に活況と聞いていたが、それらとは対照的な初心者向けイベントでもその勢いを感じることができた今回のヴェロフェスタinモリコロパーク。こんな和気あいあいとした雰囲気のレースが関東圏にも増えてくれればと期待し、次回はもう少し暖かな日に開催されることを願いつつ、このレポートを締めくくりたい。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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