2014/08/30(土) - 08:58
8月3日にチャンピオンシステムが主催するロングライドイベント「Heat Caravan Tsukuba」にCW編集部がお邪魔した。筑波連山を舞台としたハードコースを走った”ヘタレ編集部員” 藤原の体験レポートをお届けします。
ヘタレ藤原 社内でヘタレ君と呼ばれている新卒の編集部員だ。 先輩に誘われて晩御飯に付き合ったのが運の尽きだった。食事中の楽しい雰囲気に流され、わけもわからず冗談半分に「行きます」と言ってしまった。食事会の翌日、私が出社すると編集部の健脚たちさえも敬遠したくなるロングライドイベント「ヒートキャラバンつくば」への取材に同行することになっていたのだ。昨晩の会話は冗談ではなかったようだ....。
アパレルブランドのチャンピオンシステムが主催するこの大会の舞台は茨城県の筑波連山。普段から数多くのサイクリストが集まる"不動峠"をかわきりに、山々を稜線でつないだり、横断したりして筑波山のロープウェイ乗り場、つつじヶ丘にフィニッシュするという走行距離100kmで、獲得標高は3,000mというコースだ。
だいぶ省略して説明してしまったが、不動峠の後は"きのこ山"、"足尾山"、"丸山"、"加波山"、"吾国山"……十分、数多くの山をこなしたと思ったら筑波連山を県道7号線で横断し、また、登り返すという上り坂しか無いコース。私は無慈悲なアップダウンを表示するルートラボのページを一度見て、そっとPCを閉じた。完走できるわけがない!
そもそも、先輩はなぜ、走行距離120km、獲得標高2240mのグランフォンド軽井沢の完走を危ぶまれた私を誘おうと思ったのか。この大会には「チームで走る」というコンセプトがあり、足手まといはいらないはずなのだ。毎回遅れる私のせいで取材のペースが乱れるだろうと思うと、どうも乗り気にならない。というよりは行きたくない。
眼下には筑波周辺の景色が広がる
私は「やっぱり編集部に残ります」のひとことが言えずに、いつのまにか当日の朝を迎えた。どこか獲得標高3000mという自分一人では確実に走らないだろうコースを楽しみにしていたのかもしれない。もはや、開き直ってサイクリング気分に切り替えた。
男体山と女体山からなる筑波山をはじめとする筑波連山の麓にある平沢駐車場が出発地点。気温も朝7時前にして30℃超え。続々と集まる参加者の元気な姿とは違い、私は不安感に駆られている。足切り、脱落、邪魔者。ネガティブなことばかり考えている。何がどう吹っ切れたのかわからないが、今回ばかりは回収されるのもネタにしてもらおう、と考えながらペダルにクリートをはめる。
最初の不動峠の登りでは脚はまだ元気。以前の私ならば取材の足手まといにならないようにゴリゴリとペダルを踏んで先輩方についていったが、回収されることも覚悟した今回は引き足を意識したのんびりペース走で登坂に臨んでいる。先輩方はサイクリングペースでゆっくりだ。
次々と現れる登り坂
登りに苦しむ編集部チーム
チームでまとまって登っていく
「これはいける!」と思ったのもつかの間、なぜか徐々にペースが上がっていく。どうやらこれがサイクリストの性らしい。わけがわからない。いっぱいいっぱいになった私は程なくして千切れる。「これは回収かな……」
峠で待っていてくれた先輩と合流し、回収を免れた後は裏不動を下って行き、きのこ山へアプローチする。途中、県道7号線の峠にあるエイドで休憩。これからは下りだと思っていると、先行するチームは上り坂の林道へ突入していくではないか。起きていることがわからない。峠は登ったら下るのではないのか!
いっぱいいっぱいになりながら走るフジワラ
木陰の中を登っていく
いや~暑かった。
エイドステーションでは補給を怠らない
我々も先行したチームを追うように林道へ突入する。マイペース、引き足、マイペース、引き足…と反復しながらペース走を維持。私のペースでは先輩方にはついていけないが、先輩たちは離れ過ぎたら待っていてくれる。休憩ポイントがあったら先を急がずに休憩を提案してくれる。足手まといになり、非常に申し訳ない。
ハングライダーの離陸地点や湧き水ポイント、風力発電の風車をそばを通り過ぎる林道をつないだ後は、唯一の平坦路で陽を遮るものが何もない道"ブルーライン"に突入する。ボトルが空になって、休憩ポイント無いかな、なんて考えていると、タイミングよくコンビニが現れる。もう少しで「付き切れ」を経験するところだった。
後半部分へ突入した我々を襲うのは登り坂と暑い気温。上がり続ける体の熱にギブアップ寸前まで追いやられた時、磯部さんが清流を発見する。全員がそそくさと電子機器を置き、小川に飛び込んで身体にこもった熱を逃す。生き返った。
風返し峠にむけて平坦路を走っていく
すでに一杯一杯の表情のフジワラ
まだ、登るんですか?
小川で涼んだ後の登坂では身体が軽く、足も心なしか回るようになってる。それでも私は先輩方のペースについていけなく、足手まといだ。先輩たちはそんな私を切り離さない。なぜだろうか。さらに、筑波スカイラインの細かいアップダウンでは私がついていけるペースで進んでくれ、着実に距離を稼いでいく。
最後の裏不動峠では先輩から大きく離されながらも諦めず、ペダルを踏み込む。延々と続く九十九折と急勾配の坂。俯きながら黙々とペダルを踏み込む。足は重く、ペダルを踏み切れない。
完走を祝ってソフトクリームで乾杯
冷たい飲み物は本当に貴重だ 「ああ、もうダメだ」と最後の力を出して顔をあげると見慣れたジャージが視界に入ってくる。と同時に一気に気が緩むのがわかった。辛い坂は終わったのだ。
この日で一番つらい3km程の登坂を終えた私は、バイクから降りるので精一杯。座ったら立ち上がれないのがわかっているのに、地面に腰を掛けてしまう。案の定、立ち上がれない。加えて、ハードな山をクリアしてきてお腹もすき気味。お腹すいたな、と考えてると、先輩が補給食のおすそ分けをしてくれる。お返しで私もおすそわけ。補給食の交換も楽しいものだ。
筑波スカイラインに戻って、また坂を登れば筑波山のつつじヶ丘ロープウェイ乗り場にあるフィニッシュ地点だ。ゴール前も登坂だが、今回は先輩方も足並みを揃えてくれ、4人揃ってフィニッシュを切る。私は迷惑を掛けていたはずの先輩たちが毎度、気にかけてくれることに感謝を覚えながら、ご褒美のソフトクリームを頬張った。
よくよく話を聞いてみると、この大会はチームで「助け合いながら」走るというものだったそうで、私は知らずのうちにこの大会を存分に味わっていたのだ(笑)。
この日の体験から言えることは、ヘタレな人も健脚な人も、チームメイトと一緒に走ることで走り続けることができるということ。ちなみにこの大会の完走率は非常に高かったそうだ。
日頃、私と同じように「ヘタレ」と呼ばれている方、あるいは自分で自分のことをそう思っている人は、ぜひチームの仲間と一緒に難コースにでかけてみてください。案外走れちゃうことが発見できますから!
(でもそうじゃない場合もありますので、そこは自己責任でお願いします・笑)
木陰が多いコースだった
文:ヘタレ藤原(Gakuto. Fujiwara)
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アパレルブランドのチャンピオンシステムが主催するこの大会の舞台は茨城県の筑波連山。普段から数多くのサイクリストが集まる"不動峠"をかわきりに、山々を稜線でつないだり、横断したりして筑波山のロープウェイ乗り場、つつじヶ丘にフィニッシュするという走行距離100kmで、獲得標高は3,000mというコースだ。
だいぶ省略して説明してしまったが、不動峠の後は"きのこ山"、"足尾山"、"丸山"、"加波山"、"吾国山"……十分、数多くの山をこなしたと思ったら筑波連山を県道7号線で横断し、また、登り返すという上り坂しか無いコース。私は無慈悲なアップダウンを表示するルートラボのページを一度見て、そっとPCを閉じた。完走できるわけがない!
そもそも、先輩はなぜ、走行距離120km、獲得標高2240mのグランフォンド軽井沢の完走を危ぶまれた私を誘おうと思ったのか。この大会には「チームで走る」というコンセプトがあり、足手まといはいらないはずなのだ。毎回遅れる私のせいで取材のペースが乱れるだろうと思うと、どうも乗り気にならない。というよりは行きたくない。
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私は「やっぱり編集部に残ります」のひとことが言えずに、いつのまにか当日の朝を迎えた。どこか獲得標高3000mという自分一人では確実に走らないだろうコースを楽しみにしていたのかもしれない。もはや、開き直ってサイクリング気分に切り替えた。
男体山と女体山からなる筑波山をはじめとする筑波連山の麓にある平沢駐車場が出発地点。気温も朝7時前にして30℃超え。続々と集まる参加者の元気な姿とは違い、私は不安感に駆られている。足切り、脱落、邪魔者。ネガティブなことばかり考えている。何がどう吹っ切れたのかわからないが、今回ばかりは回収されるのもネタにしてもらおう、と考えながらペダルにクリートをはめる。
最初の不動峠の登りでは脚はまだ元気。以前の私ならば取材の足手まといにならないようにゴリゴリとペダルを踏んで先輩方についていったが、回収されることも覚悟した今回は引き足を意識したのんびりペース走で登坂に臨んでいる。先輩方はサイクリングペースでゆっくりだ。
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峠で待っていてくれた先輩と合流し、回収を免れた後は裏不動を下って行き、きのこ山へアプローチする。途中、県道7号線の峠にあるエイドで休憩。これからは下りだと思っていると、先行するチームは上り坂の林道へ突入していくではないか。起きていることがわからない。峠は登ったら下るのではないのか!
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ハングライダーの離陸地点や湧き水ポイント、風力発電の風車をそばを通り過ぎる林道をつないだ後は、唯一の平坦路で陽を遮るものが何もない道"ブルーライン"に突入する。ボトルが空になって、休憩ポイント無いかな、なんて考えていると、タイミングよくコンビニが現れる。もう少しで「付き切れ」を経験するところだった。
後半部分へ突入した我々を襲うのは登り坂と暑い気温。上がり続ける体の熱にギブアップ寸前まで追いやられた時、磯部さんが清流を発見する。全員がそそくさと電子機器を置き、小川に飛び込んで身体にこもった熱を逃す。生き返った。
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小川で涼んだ後の登坂では身体が軽く、足も心なしか回るようになってる。それでも私は先輩方のペースについていけなく、足手まといだ。先輩たちはそんな私を切り離さない。なぜだろうか。さらに、筑波スカイラインの細かいアップダウンでは私がついていけるペースで進んでくれ、着実に距離を稼いでいく。
最後の裏不動峠では先輩から大きく離されながらも諦めず、ペダルを踏み込む。延々と続く九十九折と急勾配の坂。俯きながら黙々とペダルを踏み込む。足は重く、ペダルを踏み切れない。
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筑波スカイラインに戻って、また坂を登れば筑波山のつつじヶ丘ロープウェイ乗り場にあるフィニッシュ地点だ。ゴール前も登坂だが、今回は先輩方も足並みを揃えてくれ、4人揃ってフィニッシュを切る。私は迷惑を掛けていたはずの先輩たちが毎度、気にかけてくれることに感謝を覚えながら、ご褒美のソフトクリームを頬張った。
よくよく話を聞いてみると、この大会はチームで「助け合いながら」走るというものだったそうで、私は知らずのうちにこの大会を存分に味わっていたのだ(笑)。
この日の体験から言えることは、ヘタレな人も健脚な人も、チームメイトと一緒に走ることで走り続けることができるということ。ちなみにこの大会の完走率は非常に高かったそうだ。
日頃、私と同じように「ヘタレ」と呼ばれている方、あるいは自分で自分のことをそう思っている人は、ぜひチームの仲間と一緒に難コースにでかけてみてください。案外走れちゃうことが発見できますから!
(でもそうじゃない場合もありますので、そこは自己責任でお願いします・笑)
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文:ヘタレ藤原(Gakuto. Fujiwara)
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