2013/08/24(土) - 10:36
エタップ・デュ・ツールが開催される7月7日に合わせ、世界中の女性ライダーへ100kmを走ろうとロードウェアブランドのRaphaが呼びかけた『Women's 100』。国内でも約40名のライダーが、2カ所でのライドへと参加した。前編では伊豆半島・下田でのライドの模様をレポートする。
Raphaが女性へと100kmライドを呼びかけたWomen's 100。フタを開けてみると世界38カ国で有機的にライドが開催され、女性ライドとしては前例のないグローバル規模のイベントとなった。ここではRapha Japanが日本の東西で主催したライドの模様をレポートします。東は伊豆半島下田、西は瀬戸内に浮かぶ小豆島。2つの場所で行われたライドのドキュメント。
Women's 100 in 伊豆
先の5月にWomen's 100のプレトレーニングとして開催した伊東での50kmのライドの余韻をそのままに、7月7日当日の100kmライドも伊豆半島が舞台。半島の南端に位置する下田を発着する100kmのルートは、海沿いはアップダウンに富み、内陸には峠が待つ100km、1800mUPの一筋縄ではいかないコースが設定された。
Rapha Japanの呼びかけに集まったのは、自転車歴も居住地もそれぞれな19名の女性サイクリストたち。下田・白浜の美しいビーチで泳ぎたい気持ちよりも、おそらくは厳しいものになるロードバイクの100kmを選んだ、気骨と情熱に満ちた女性たちだ。
Raphaの女性スタッフが発起人のこのWomen's 100。100kmを走り慣れたライダーには、「いかに」100kmを走るかがテーマであり、もちろん100kmの壁に直面しているライダーはその達成を目的とする。強靭な男性ライダーに導かれての100kmとは違う、それぞれに100kmの意味を見出しながらのライド。女性だけのグループで走るその意味を、このライド後に全てのライダーがそれぞれに掴んでもらえれば。そんな願いを込めたWomen's 100だ。
半島の南端というロケーションもあり、当日朝入りが困難なことから多くの参加者は前泊し、前夜はバーベキューパーティに盛り上がった。いつみても羨ましくなる、共通の話題がある者同士があっというまに打ち解けていく社交性。笑い声が笑い声を呼ぶその連鎖は女性ならではの光景。翌日のライドへの不安を隠せない者も、共に走ることになる仲間を知ったことで幾分か緊張が解けた様子。
肉と魚介の宴から一夜明けた下田は雨が降っていた……。しとしと、という表現では生ぬるいほどに強まる雨足に、早朝から準備を整えてきた参加者たちの表情が曇る。「本当に走るの?」 懸念された暑さはどこへやら、むしろこの雨がライドに過酷さを付与する。昨夜は笑い飛ばせた100kmライドへの不安が、再び曇天のもとにのしかかってくる。
スタートする頃には弱まった雨。レインジャケットを脱ぐか着たままにするか決めきらぬうちにライドがスタート。早速のヒルクライムでは早くもメカトラブル発生。サポート隊のケアを得て、一行は下田の海岸線へと再スタートを切った。
今回、Raphaが東日本でのライドに下田を選んだのは、交通量の少なさや起伏に富む地形といった要因があるが、何よりその明媚で雄大な景色をライダーに味わってもらいたい、その一心からだった。だが見事にその期待と願いは真っ白な霧の中に消えた!
起伏の激しい海岸線を抜けた先、半島の南部には石廊崎の絶景が広がる……はずであった。気落ちする主催者を尻目に、霧に濡らされたライダーたちは真っ白な風景に破顔一笑。前方10m先が見えない視界でのライドを、だからこそ楽しんでいるように見える。悪天候も笑い飛ばすタフネス。女性だけ19名の集団は強力で、前向きだ。
昼食は地元のスパイシなカレーに舌鼓を打ち、後半戦へ。伊豆半島南端の海岸線を時計回りにぐるりと周ってきた格好で、今から半島内陸を横断しにかかる。ここにこの日のハイライトとなる峠越えが待っているのだ。途中で、同じくWomen's 100のライドを走る別のグループと合流。5月に開催したプレライドに参加してくれた面々だ。同じ目標を持つメンバーを増やし、標高316mの婆娑羅(バサラ)峠へ。
この日の天候は大した演出家! 峠越えにかかる段になって、これまで顔を見せなかった太陽が照り出し、じりじりと真夏の日差しをライダーへ浴びせにかかる。これまで比較的涼しい気温で走ってきたライダーは、最後に夏の洗礼を受けることになったが、峠の頂上へやってきたライダーたちの表情の、なんと清々しいこと。汗の一粒までが爽やかに、美しい。
ここまで登れば下り基調で下田のビーチまで向かうのみ。近づくゴールにライダーたちの表情も明るい。スタート地点の白浜にプロトンが戻ってくる頃には、夕日が、ビーチとライダーたちの顔を赤く染めた。100kmのライドを共にした仲間たちと手を取り合って完走を喜び合う全員。
巷の「女子ライド」とは違って、何かご褒美があるわけでも、美味しいグルメがたくさんあるわけでもない今回のライド。
天候は雨に始まり、濃霧、灼熱の太陽とコンディションのタフな一日にも関わらず、ゴールにたどり着いたライダーたちの充実ぶりを見ると、ライドを作り上げるものは素晴らしいルートと、そして仲間とのつながりなのだと思わされた。どうかこの100kmが、参加された全員を次のライドへと掻き立てるものになりますように。
今回の下田ルート作成とライドの運営に当たっては、地元下田のバイクツーリングカンパニーであるアロハバイクトリップに多大な協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。そしてこの日を走った全てのライダーに、御礼と祝福を!
レポートは後編-同日に開催された小豆島でのレポートーに続きます。
text:Yufta Omata(Rapha Japan)
photo:Rapha Japan,Kei Tsuji
Raphaが女性へと100kmライドを呼びかけたWomen's 100。フタを開けてみると世界38カ国で有機的にライドが開催され、女性ライドとしては前例のないグローバル規模のイベントとなった。ここではRapha Japanが日本の東西で主催したライドの模様をレポートします。東は伊豆半島下田、西は瀬戸内に浮かぶ小豆島。2つの場所で行われたライドのドキュメント。
Women's 100 in 伊豆
先の5月にWomen's 100のプレトレーニングとして開催した伊東での50kmのライドの余韻をそのままに、7月7日当日の100kmライドも伊豆半島が舞台。半島の南端に位置する下田を発着する100kmのルートは、海沿いはアップダウンに富み、内陸には峠が待つ100km、1800mUPの一筋縄ではいかないコースが設定された。
Rapha Japanの呼びかけに集まったのは、自転車歴も居住地もそれぞれな19名の女性サイクリストたち。下田・白浜の美しいビーチで泳ぎたい気持ちよりも、おそらくは厳しいものになるロードバイクの100kmを選んだ、気骨と情熱に満ちた女性たちだ。
Raphaの女性スタッフが発起人のこのWomen's 100。100kmを走り慣れたライダーには、「いかに」100kmを走るかがテーマであり、もちろん100kmの壁に直面しているライダーはその達成を目的とする。強靭な男性ライダーに導かれての100kmとは違う、それぞれに100kmの意味を見出しながらのライド。女性だけのグループで走るその意味を、このライド後に全てのライダーがそれぞれに掴んでもらえれば。そんな願いを込めたWomen's 100だ。
半島の南端というロケーションもあり、当日朝入りが困難なことから多くの参加者は前泊し、前夜はバーベキューパーティに盛り上がった。いつみても羨ましくなる、共通の話題がある者同士があっというまに打ち解けていく社交性。笑い声が笑い声を呼ぶその連鎖は女性ならではの光景。翌日のライドへの不安を隠せない者も、共に走ることになる仲間を知ったことで幾分か緊張が解けた様子。
肉と魚介の宴から一夜明けた下田は雨が降っていた……。しとしと、という表現では生ぬるいほどに強まる雨足に、早朝から準備を整えてきた参加者たちの表情が曇る。「本当に走るの?」 懸念された暑さはどこへやら、むしろこの雨がライドに過酷さを付与する。昨夜は笑い飛ばせた100kmライドへの不安が、再び曇天のもとにのしかかってくる。
スタートする頃には弱まった雨。レインジャケットを脱ぐか着たままにするか決めきらぬうちにライドがスタート。早速のヒルクライムでは早くもメカトラブル発生。サポート隊のケアを得て、一行は下田の海岸線へと再スタートを切った。
今回、Raphaが東日本でのライドに下田を選んだのは、交通量の少なさや起伏に富む地形といった要因があるが、何よりその明媚で雄大な景色をライダーに味わってもらいたい、その一心からだった。だが見事にその期待と願いは真っ白な霧の中に消えた!
起伏の激しい海岸線を抜けた先、半島の南部には石廊崎の絶景が広がる……はずであった。気落ちする主催者を尻目に、霧に濡らされたライダーたちは真っ白な風景に破顔一笑。前方10m先が見えない視界でのライドを、だからこそ楽しんでいるように見える。悪天候も笑い飛ばすタフネス。女性だけ19名の集団は強力で、前向きだ。
昼食は地元のスパイシなカレーに舌鼓を打ち、後半戦へ。伊豆半島南端の海岸線を時計回りにぐるりと周ってきた格好で、今から半島内陸を横断しにかかる。ここにこの日のハイライトとなる峠越えが待っているのだ。途中で、同じくWomen's 100のライドを走る別のグループと合流。5月に開催したプレライドに参加してくれた面々だ。同じ目標を持つメンバーを増やし、標高316mの婆娑羅(バサラ)峠へ。
この日の天候は大した演出家! 峠越えにかかる段になって、これまで顔を見せなかった太陽が照り出し、じりじりと真夏の日差しをライダーへ浴びせにかかる。これまで比較的涼しい気温で走ってきたライダーは、最後に夏の洗礼を受けることになったが、峠の頂上へやってきたライダーたちの表情の、なんと清々しいこと。汗の一粒までが爽やかに、美しい。
ここまで登れば下り基調で下田のビーチまで向かうのみ。近づくゴールにライダーたちの表情も明るい。スタート地点の白浜にプロトンが戻ってくる頃には、夕日が、ビーチとライダーたちの顔を赤く染めた。100kmのライドを共にした仲間たちと手を取り合って完走を喜び合う全員。
巷の「女子ライド」とは違って、何かご褒美があるわけでも、美味しいグルメがたくさんあるわけでもない今回のライド。
天候は雨に始まり、濃霧、灼熱の太陽とコンディションのタフな一日にも関わらず、ゴールにたどり着いたライダーたちの充実ぶりを見ると、ライドを作り上げるものは素晴らしいルートと、そして仲間とのつながりなのだと思わされた。どうかこの100kmが、参加された全員を次のライドへと掻き立てるものになりますように。
今回の下田ルート作成とライドの運営に当たっては、地元下田のバイクツーリングカンパニーであるアロハバイクトリップに多大な協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。そしてこの日を走った全てのライダーに、御礼と祝福を!
レポートは後編-同日に開催された小豆島でのレポートーに続きます。
text:Yufta Omata(Rapha Japan)
photo:Rapha Japan,Kei Tsuji
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