2013/06/30(日) - 11:43
ツール・ド・フランスの1ステージを使って7月7日に開催されるエタップ・ドゥ・ツール参戦を決めた青木陽子さん。その準備のために南仏ニース近郊で女子合宿に参加してきた。エズ峠やマドン峠を走って見えてきたものは?
7月7日、世界中の女性サイクリストたちにそれぞれの100kmに挑戦しようと呼びかけている「Rapha Women's 100」。この世界同時イベントを盛り上げるために、Raphaでは同じ日にフランスアルプスで開かれる「エタップ・ドゥ・ツール(以下エタップ)」に女性100人を送り込む。わたしもその1人として走ります。
今年21回めを数えるエタップは、スポルティーフイベントの最高峰とも言われるアマチュアイベントで、毎年その年のツール・ド・フランスの1ステージ(仏語でエタップ)を使って開かれるのがポイント。今年は第20ステージが選ばれており、アネシー~アネシー・セムノー約130kmの山頂フィニッシュ! プロが顔をゆがめてゴールするあの山頂フィニッシュを自分で体験できる……のはすばらしく魅力的だけれど、獲得標高は3500m……ハイ、練習するしかありません……。
不安を感じているのは、一緒に走るイギリス人のメンバーも、この企画を立ち上げた本人であるRapha広報のローラでさえ同じこと。一部の女子を除けば、まだ誰もこの規模のヒルクライムに挑戦したことがないので、わたしたちは顔を見合わせては、生唾ゴクリ状態。
そんなわけで広報のローラの発案で、5月上旬、英国人4、米国人1、日本人1という構成のわたしたち女子チームは、南仏ニースの女性向け自転車トレーニングキャンプに行ってきました。
参加したメンバーは、Raphaの広報スタッフ2名、新聞記者、ブロガー、英国人女子ライドの会オーガナイザー、わたしの6名。そのほかに日によって自転車キャンプの主催会社のガイドさんやそのトレーニングパートナーの自転車乗り、オリカ・グリーンエッジの現役女性ライダーが参加してくれて賑やかな女子ライドに。
暖かくて雨が少なく、街のそばに有名な峠がいくつもあるニースからモナコの一帯は、プロレーサーたちも大勢住んでいる、いわばロードサイクリングの聖地とか。期待に胸を高鳴らせて……というよりも、恐怖に心拍数を上げながら(笑)、機体の窓に額を押し付けて、ニース市街の向こうにそびえるたくさんの岩山に目をこらしているうちに、着陸。
ああ、自転車文化の国を走っているんだなぁとワクワク
わたしたちを迎えてくれたのは、ふたりの英国人女性が経営している小さな自転車キャンプとツーリングの会社である。経営者のひとりは英国代表としてオリンピックに出た経験も持つ元プロ。1日だけのサイクリング案内から、今回のように複数日にわたる山岳コース合宿まで対応している。
ヨーロッパではこのような合宿タイプの自転車旅の人気がここ数年急上昇していて、ニースやモナコのほか、バルセロナやマヨルカなどに元プロなどが営む自転車旅会社がたくさんできている。自転車は持ち込みでも、レンタルもできる。
メンバーの中には自転車を始めてまだ数ヶ月という人もいたので、合宿メニューはまずは自転車のフィッティングからスタート。そしてグループで走るときの手信号やホイールを重ねず走ることなどを確認して、初日は有名な海沿いのプロムナード・デ・ザングレなどを流して終了。パンク修理を習ったら、シーフードのお夕飯へゴー♪
2日目は今回の最初のお題、コル・ド・ヴァンス(ヴァンス峠)にチャレンジ。海岸から19.3kmで標高963mまで一息に登る峠で、平均斜度は5%。すでに夏のような陽射しだったので、走る前には水をこまめに飲むこと、自分のペースを守っていいこと、斜度がどう変化していくかなどの注意と説明を受ける。そして途中のヴァンス村の井戸でビドン(ボトル)をいっぱいにしてアタック開始!
だんだん樹々の背が低くなり、ツール中継で見るような景色になってきてドキドキ。低いとはいえ、ここはフランス・アルプス山塊の最南端に位置するのである。
今回の滞在の間中、クルマが自転車に対してやさしいのも印象に残った。もちろん世界中どこに行っても器の小さいドライバーは少数いるが、大半のクルマは抜きやすい状況になるまで、自転車団のうしろでじっと待ってくれる。この点ではイギリスも日本よりはだいぶんマシだが、ここフランスまで理解がある印象ではない。
移動中は可能なときは2列で。フランスには自転車は道の端に1列でへばりつかなければならないというような危険な法律はないので、レーンの中央にまとまって、1台のクルマのように走ることが多い。もちろんレーンが1つしかないようなときには1列になってクルマに追い抜いてもらうなど臨機応変に振舞う。これはイギリスでも同じだが、南仏では自転車がさらに堂々としている印象。
さらにヴァンス峠で感心したのは、1kmごとに山頂までの残りの距離や次の1kmの平均斜度が表示されていること。
「あとどのくらい~?」とヨロけているサイクリストにとっては、これは感涙モノにありがたい! ありがとう、アルプスーマリティーム県!
そして、フランスの自転車乗りの心をがっちりつかむポイントがもうひとつ。ガイドのクレアによると、このあたりは村ごとに「好きなだけ使える公共の飲料水を提供しなければいけない」という法律があるそうで、たしかに村の中心にはたいていこんこんと水の流れる水汲み場がある。
フランスは自転車を排除するどころか、「ようこそ、ようこそ」と招いてくれている。ああ、自転車文化の国を走っているんだなぁとワクワクしてくる。
平日なのに、対向からやってきたり、追い抜いていくサイクリストも多い。プロチームのウエアもなんだかキマっているので、ガイドのクレアに聞くと、「ああ、名前はわからないけどプロだと思う。このへんはプロだらけなのよ!」とニッコリ。サクソ・ティンコフとアージェードゥーゼルのウエアに身を包んだ細ーい男性たちが追い抜きざまにわたしたちのほうに振り返り、「ハーイ」と挨拶してくれたときは正直言ってクラクラしました。
チーム・スカイの選手に遭遇
さてヴァンス峠の山頂では、余裕の顔色が2名、ゼイゼイ言いつつもかろうじて笑顔が2名(わたしはココ)、途中で休憩を入れてもやや蒼白なのが2名といった状況だった。余裕のふたりは熱心なトライアスリートと、自転車は初心者ながらオックスフォードでボート部(真性体育会系)だったというふたり。このふたりはエタップも余裕だろう。
そしてニースに戻る途中にうれしいハプニングが! 途中の小さな集落を抜けるとき、「ヒュ~ッ」とするどい口笛がした。
なんだろうと思っていると、先頭を引いていたガイドアシスタントのアニカが手信号をしてカフェの敷地に入っていく。その先には……チーム・スカイのウエアを着た男子が3名! スプリンターのベン・スウィフト選手もいました。ジロには呼ばれていないので、こうして仲間とトレーニングをしているのだそう。
翌日のコル・ド・ラ・マドン(マドン峠:トレック車の由来になった峠)、翌々日のコル・デズ(エズ峠:パリ-ニースのTTステージとして有名)でもジェンソン・バトンがトライアスロンの自転車練習をしているのに遭遇したし、さすがはモナコも近くてスター・スタデッドなエリアなのだと感心してばかりだった。
マドン峠のあと、ニースに戻る途中の村でカフェ休憩。お隣のテーブルはまた別の自転車合宿であろう男性サイクリストのグループでした。イケメンが多かったので、こちらの女子もちょっとソワソワ。
富裕層の多い地域だからか、アスファルトのコンディションもとてもよくて走りやすい(ヨーロッパの路面は日本に比べると劣ることが多いので)。食事もおいしいし、南仏は自転車乗りには天国なのかもしれないと、帰ってきた今も思う。
話がミーハーに流れてしまったけれど、3つの有名峠をこなした合宿は、ケガもなく大成功。ガイドのクレアからわたしが受けたアドバイスは、「エタップを完走する実力はあると思う。でも、自分を甘やかさないでもっと限界に挑むようにしないと伸びない」というものでした。じつはこれはけっこう真摯に反省、その後のライドではちょっと頑張って、それなりの手応えも得られるようになっています。
次回はニースの後日本に戻って、Raphaの日本での女子トレーニング、自転車の準備のことなどをご報告します。お楽しみに!
Rapha Women's 100とは?
Rapha Women's 100は、世界同日で今年7月7日に開かれる。基本的にはバーチャルのイベントで、参加者それぞれが自分なりの挑戦になりうる100kmを決め、走り切る。そしてその経験を、ソーシャル・ネットワークを使って共有して楽しもうというコンセプトだ。
StravaなどSNSに走行データをアップする
走ったことの表明は、Garmin EdgeなどのGPSデバイスやスマートフォンを持っている人は、走行データをStrava内のWomen's 100イベントページにアップすることで行う。それらが使えない場合にも参加できる方法も現在準備中だ。また、各国・各都市で、現地のRaphaや女性サイクリスト有志が一緒に走るライドを立ち上げている。そのリストはこちらから(※http://www.rapha.cc/rapha-womens-100-find-a-ride)。日本でも合計4つ程度はイベントが立ち上がる予定。
フェイスブックのイベントページ
イベント参加の表明は、Raphaのサイトのイベントページ、あるいはフェイスブックのイベントページで行える。今回のイベント全体では、すでに2600人を超える人がエントリーをしている。
インスタグラムで「#womens100」タグをつけて写真を投稿
写真共有サイトのインスタグラムでは、「#womens100」のタグをつけることで、今回のイベントに参加する女性たちの写真の共有がすでに始まっている。同じ女性サイクリストが見ている世界中の景色は面白い。
●ハッシュタグでインスタグラムの写真を検索する> hashgr.am womens100
エタップ・ドゥ・ツール
エタップ・ドゥ・ツールは1993年に始まった、アマチュア向けのワンデーレース・イベント。ツール・ド・フランスを主催するのと同じASOが、ツール開催期間中に実際にツールの1ステージとして使われるコースを選んで開催するので人気がある。毎回超級山岳も含まれる過酷なコースが選ばれるが、それも人気の理由。
今年のエタップ・ドゥ・ツールのコースには、ツール・ド・フランスの勝負が決まる可能性が高い第20ステージで使われる、アネシー〜アネシー・セムノが選ばれた。130kmで獲得標高3500m、最後の11kmは平均斜度が8.3%だ。このコースを完走すべく、青木陽子さんは走りだした。
profile 青木陽子さん(編集者・ライター)
[img_assist|nid=109943|title=青木陽子さん(編集者・ライター)|desc=|link=node|align=left|width=180|height=]14年前、環境にやさしい交通を考えるためにクロスバイクを購入、都心で片道10kmの自転車通勤に挑戦してみたところ自転車にすっかりハマってしまった。いまやヴィンテージ3台を含む11台の自転車の世話に明け暮れる(本人曰く「乗る時間がない」)という日々を送っている。
空前の自転車ブームに湧いているロンドン郊外に在住、イギリスの自転車政策にもくわしい。ブログ『チャリジェンヌ』や、フェイスブック上のコミュニティ『自転車女子部』などを運営し、女性のための自転車情報や交流の場を提供している。
女性のための自転車コンシェルジュ チャリジェンヌ
フェイスブック 自転車女子部(女性メンバー限定)
「最近はロンドン郊外で短めのブルベに出る程度で、まったく乗り込んでも鍛えてもいなかったので慌てている」という青木陽子さん。バイクは2009年モデルのアンカーRFX8で出場予定。ホイールなどはこれから軽いものを入手する予定とか。
text:Yoko.AOKI
7月7日、世界中の女性サイクリストたちにそれぞれの100kmに挑戦しようと呼びかけている「Rapha Women's 100」。この世界同時イベントを盛り上げるために、Raphaでは同じ日にフランスアルプスで開かれる「エタップ・ドゥ・ツール(以下エタップ)」に女性100人を送り込む。わたしもその1人として走ります。
今年21回めを数えるエタップは、スポルティーフイベントの最高峰とも言われるアマチュアイベントで、毎年その年のツール・ド・フランスの1ステージ(仏語でエタップ)を使って開かれるのがポイント。今年は第20ステージが選ばれており、アネシー~アネシー・セムノー約130kmの山頂フィニッシュ! プロが顔をゆがめてゴールするあの山頂フィニッシュを自分で体験できる……のはすばらしく魅力的だけれど、獲得標高は3500m……ハイ、練習するしかありません……。
不安を感じているのは、一緒に走るイギリス人のメンバーも、この企画を立ち上げた本人であるRapha広報のローラでさえ同じこと。一部の女子を除けば、まだ誰もこの規模のヒルクライムに挑戦したことがないので、わたしたちは顔を見合わせては、生唾ゴクリ状態。
そんなわけで広報のローラの発案で、5月上旬、英国人4、米国人1、日本人1という構成のわたしたち女子チームは、南仏ニースの女性向け自転車トレーニングキャンプに行ってきました。
参加したメンバーは、Raphaの広報スタッフ2名、新聞記者、ブロガー、英国人女子ライドの会オーガナイザー、わたしの6名。そのほかに日によって自転車キャンプの主催会社のガイドさんやそのトレーニングパートナーの自転車乗り、オリカ・グリーンエッジの現役女性ライダーが参加してくれて賑やかな女子ライドに。
暖かくて雨が少なく、街のそばに有名な峠がいくつもあるニースからモナコの一帯は、プロレーサーたちも大勢住んでいる、いわばロードサイクリングの聖地とか。期待に胸を高鳴らせて……というよりも、恐怖に心拍数を上げながら(笑)、機体の窓に額を押し付けて、ニース市街の向こうにそびえるたくさんの岩山に目をこらしているうちに、着陸。
ああ、自転車文化の国を走っているんだなぁとワクワク
わたしたちを迎えてくれたのは、ふたりの英国人女性が経営している小さな自転車キャンプとツーリングの会社である。経営者のひとりは英国代表としてオリンピックに出た経験も持つ元プロ。1日だけのサイクリング案内から、今回のように複数日にわたる山岳コース合宿まで対応している。
ヨーロッパではこのような合宿タイプの自転車旅の人気がここ数年急上昇していて、ニースやモナコのほか、バルセロナやマヨルカなどに元プロなどが営む自転車旅会社がたくさんできている。自転車は持ち込みでも、レンタルもできる。
メンバーの中には自転車を始めてまだ数ヶ月という人もいたので、合宿メニューはまずは自転車のフィッティングからスタート。そしてグループで走るときの手信号やホイールを重ねず走ることなどを確認して、初日は有名な海沿いのプロムナード・デ・ザングレなどを流して終了。パンク修理を習ったら、シーフードのお夕飯へゴー♪
2日目は今回の最初のお題、コル・ド・ヴァンス(ヴァンス峠)にチャレンジ。海岸から19.3kmで標高963mまで一息に登る峠で、平均斜度は5%。すでに夏のような陽射しだったので、走る前には水をこまめに飲むこと、自分のペースを守っていいこと、斜度がどう変化していくかなどの注意と説明を受ける。そして途中のヴァンス村の井戸でビドン(ボトル)をいっぱいにしてアタック開始!
だんだん樹々の背が低くなり、ツール中継で見るような景色になってきてドキドキ。低いとはいえ、ここはフランス・アルプス山塊の最南端に位置するのである。
今回の滞在の間中、クルマが自転車に対してやさしいのも印象に残った。もちろん世界中どこに行っても器の小さいドライバーは少数いるが、大半のクルマは抜きやすい状況になるまで、自転車団のうしろでじっと待ってくれる。この点ではイギリスも日本よりはだいぶんマシだが、ここフランスまで理解がある印象ではない。
移動中は可能なときは2列で。フランスには自転車は道の端に1列でへばりつかなければならないというような危険な法律はないので、レーンの中央にまとまって、1台のクルマのように走ることが多い。もちろんレーンが1つしかないようなときには1列になってクルマに追い抜いてもらうなど臨機応変に振舞う。これはイギリスでも同じだが、南仏では自転車がさらに堂々としている印象。
さらにヴァンス峠で感心したのは、1kmごとに山頂までの残りの距離や次の1kmの平均斜度が表示されていること。
「あとどのくらい~?」とヨロけているサイクリストにとっては、これは感涙モノにありがたい! ありがとう、アルプスーマリティーム県!
そして、フランスの自転車乗りの心をがっちりつかむポイントがもうひとつ。ガイドのクレアによると、このあたりは村ごとに「好きなだけ使える公共の飲料水を提供しなければいけない」という法律があるそうで、たしかに村の中心にはたいていこんこんと水の流れる水汲み場がある。
フランスは自転車を排除するどころか、「ようこそ、ようこそ」と招いてくれている。ああ、自転車文化の国を走っているんだなぁとワクワクしてくる。
平日なのに、対向からやってきたり、追い抜いていくサイクリストも多い。プロチームのウエアもなんだかキマっているので、ガイドのクレアに聞くと、「ああ、名前はわからないけどプロだと思う。このへんはプロだらけなのよ!」とニッコリ。サクソ・ティンコフとアージェードゥーゼルのウエアに身を包んだ細ーい男性たちが追い抜きざまにわたしたちのほうに振り返り、「ハーイ」と挨拶してくれたときは正直言ってクラクラしました。
チーム・スカイの選手に遭遇
さてヴァンス峠の山頂では、余裕の顔色が2名、ゼイゼイ言いつつもかろうじて笑顔が2名(わたしはココ)、途中で休憩を入れてもやや蒼白なのが2名といった状況だった。余裕のふたりは熱心なトライアスリートと、自転車は初心者ながらオックスフォードでボート部(真性体育会系)だったというふたり。このふたりはエタップも余裕だろう。
そしてニースに戻る途中にうれしいハプニングが! 途中の小さな集落を抜けるとき、「ヒュ~ッ」とするどい口笛がした。
なんだろうと思っていると、先頭を引いていたガイドアシスタントのアニカが手信号をしてカフェの敷地に入っていく。その先には……チーム・スカイのウエアを着た男子が3名! スプリンターのベン・スウィフト選手もいました。ジロには呼ばれていないので、こうして仲間とトレーニングをしているのだそう。
翌日のコル・ド・ラ・マドン(マドン峠:トレック車の由来になった峠)、翌々日のコル・デズ(エズ峠:パリ-ニースのTTステージとして有名)でもジェンソン・バトンがトライアスロンの自転車練習をしているのに遭遇したし、さすがはモナコも近くてスター・スタデッドなエリアなのだと感心してばかりだった。
マドン峠のあと、ニースに戻る途中の村でカフェ休憩。お隣のテーブルはまた別の自転車合宿であろう男性サイクリストのグループでした。イケメンが多かったので、こちらの女子もちょっとソワソワ。
富裕層の多い地域だからか、アスファルトのコンディションもとてもよくて走りやすい(ヨーロッパの路面は日本に比べると劣ることが多いので)。食事もおいしいし、南仏は自転車乗りには天国なのかもしれないと、帰ってきた今も思う。
話がミーハーに流れてしまったけれど、3つの有名峠をこなした合宿は、ケガもなく大成功。ガイドのクレアからわたしが受けたアドバイスは、「エタップを完走する実力はあると思う。でも、自分を甘やかさないでもっと限界に挑むようにしないと伸びない」というものでした。じつはこれはけっこう真摯に反省、その後のライドではちょっと頑張って、それなりの手応えも得られるようになっています。
次回はニースの後日本に戻って、Raphaの日本での女子トレーニング、自転車の準備のことなどをご報告します。お楽しみに!
Rapha Women's 100とは?
Rapha Women's 100は、世界同日で今年7月7日に開かれる。基本的にはバーチャルのイベントで、参加者それぞれが自分なりの挑戦になりうる100kmを決め、走り切る。そしてその経験を、ソーシャル・ネットワークを使って共有して楽しもうというコンセプトだ。
StravaなどSNSに走行データをアップする
走ったことの表明は、Garmin EdgeなどのGPSデバイスやスマートフォンを持っている人は、走行データをStrava内のWomen's 100イベントページにアップすることで行う。それらが使えない場合にも参加できる方法も現在準備中だ。また、各国・各都市で、現地のRaphaや女性サイクリスト有志が一緒に走るライドを立ち上げている。そのリストはこちらから(※http://www.rapha.cc/rapha-womens-100-find-a-ride)。日本でも合計4つ程度はイベントが立ち上がる予定。
フェイスブックのイベントページ
イベント参加の表明は、Raphaのサイトのイベントページ、あるいはフェイスブックのイベントページで行える。今回のイベント全体では、すでに2600人を超える人がエントリーをしている。
インスタグラムで「#womens100」タグをつけて写真を投稿
写真共有サイトのインスタグラムでは、「#womens100」のタグをつけることで、今回のイベントに参加する女性たちの写真の共有がすでに始まっている。同じ女性サイクリストが見ている世界中の景色は面白い。
●ハッシュタグでインスタグラムの写真を検索する> hashgr.am womens100
エタップ・ドゥ・ツール
エタップ・ドゥ・ツールは1993年に始まった、アマチュア向けのワンデーレース・イベント。ツール・ド・フランスを主催するのと同じASOが、ツール開催期間中に実際にツールの1ステージとして使われるコースを選んで開催するので人気がある。毎回超級山岳も含まれる過酷なコースが選ばれるが、それも人気の理由。
今年のエタップ・ドゥ・ツールのコースには、ツール・ド・フランスの勝負が決まる可能性が高い第20ステージで使われる、アネシー〜アネシー・セムノが選ばれた。130kmで獲得標高3500m、最後の11kmは平均斜度が8.3%だ。このコースを完走すべく、青木陽子さんは走りだした。
profile 青木陽子さん(編集者・ライター)
[img_assist|nid=109943|title=青木陽子さん(編集者・ライター)|desc=|link=node|align=left|width=180|height=]14年前、環境にやさしい交通を考えるためにクロスバイクを購入、都心で片道10kmの自転車通勤に挑戦してみたところ自転車にすっかりハマってしまった。いまやヴィンテージ3台を含む11台の自転車の世話に明け暮れる(本人曰く「乗る時間がない」)という日々を送っている。
空前の自転車ブームに湧いているロンドン郊外に在住、イギリスの自転車政策にもくわしい。ブログ『チャリジェンヌ』や、フェイスブック上のコミュニティ『自転車女子部』などを運営し、女性のための自転車情報や交流の場を提供している。
女性のための自転車コンシェルジュ チャリジェンヌ
フェイスブック 自転車女子部(女性メンバー限定)
「最近はロンドン郊外で短めのブルベに出る程度で、まったく乗り込んでも鍛えてもいなかったので慌てている」という青木陽子さん。バイクは2009年モデルのアンカーRFX8で出場予定。ホイールなどはこれから軽いものを入手する予定とか。
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