三重県桑名市にあるパンプトラック GONZO PARK(ゴンゾーパーク)で、「クリフォード」と銘打って開催されたダートクリテリムレースは、MTBだけでなくシクロクロスバイクなどでも走れるフリースタイルレース。主催者がこのレースに込めた思いとは?

2月10日に三重県桑名市のGONZO PARKで開催された「クリフォード」は、過去にDHライダーとして活躍した丸山由紀夫さんが主催する。このレースとは別に東海各地域にあるMTBパークにて行われるタイム計測走行会「ML OPEN」も主催している。

快晴の下、クリフォードがスタート快晴の下、クリフォードがスタート ショートコースなので選手同士の競り合いが頻繁に見られるショートコースなので選手同士の競り合いが頻繁に見られる


ML OPENはDHレースのように一人で走るタイム計測レースであるが、クリフォードは周回コースで行われるMTBのクリテリウムレースとなっている。
コースとなっているGONZO PARKは、バンプトラックと呼ばれるBMXやフリーライドのMTBが主に走るコースで、縦の動きで走るコブや、斜度のあるカーブを曲がりながら走るバームを組み合わせて、レース用の特設コースとして登りの区間を設けた800mのコースを周回する。

女子高生が華麗にジャンプを舞う?女子高生が華麗にジャンプを舞う? ショッカーも負けじとジャンプ!ショッカーも負けじとジャンプ!


クラスはレベルに合わせて4つとキッズ&レディースに別れ、それぞれ10分から25分の競技時間内で周回し、周回遅れは失格となる。2回目の開催となる今年のクリフォードは、初めてシクロクロスクラスを設定した。バンプトラックでシクロクロスバイクのレースは初めての試みだ。そしてシクロクロスには欠かせないシケインも設けられ、シケインを制作したのはBUCHO COFFEEで有名な、レース会場で自ら焙煎したコーヒーをブースで提供する2012シクロクロスマスターズチャンプの筧太一(BUCYO CLT IX)だ。
参加する東海ライダーを中心に初級と中・上級二クラスに分かれて、各クラスとも20分の競技時間で、AJOCC等シクロクロス主管団体の規定とは関係ない独自のルール設定となっている。

手に汗握る興奮のレース

レース当日は快晴の天気の下で行われた。ダブルエントリーも合わせて約120名のエントリーとなり、遠くは横浜からも参加者する人も。それでも冬風邪等でキャンセルも多かったとか。
ブースで朝早くからBUCYO CAFEでコーヒーを飲みながら、参加者はイベント談義を楽しみながら試走をしてレースに備える。

バンプトラックなのでコースが見渡せるので観戦しやすいバンプトラックなのでコースが見渡せるので観戦しやすい シクロクロスバイクだとコブを登るのは難しいのだシクロクロスバイクだとコブを登るのは難しいのだ


まずは初心者クラスのC4からスタート。慣れないと難しいコブの連続するBMXセクションや大きなジャプセクション、特設のキャンバーセクションといった難易度の高い場所が多く、短いコースを周回するため10分と言えども疲労は大きい。C3やC2になるとレベルの高いXCライダーとDHライダーが走るレースは面白くなっていく。傾斜に作られた見渡せるコースレイアウトなのでレース展開が分かりやすく、各ライダーのセクションでの競り合いは見応えが有る。

C1でトップを快走する平賀源内(SSSS)C1でトップを快走する平賀源内(SSSS) BUCYO CAFEブースでは暖かいスープスパゲティが提供されたBUCYO CAFEブースでは暖かいスープスパゲティが提供された


またダートジャンプが得意なライダーは大きくジャンプしてのエアを披露してくれるので、観客からは歓声が挙った。場を沸かす女子高校生やショッカーといったコスプレライダーが走り、またMCも務める丸山さんも実況が場を盛り上げる。

C1で嬉しい勝利を獲った平賀源内(SSSS)C1で嬉しい勝利を獲った平賀源内(SSSS) Jシリーズのエリートクラスの選手が参加する最上級クラスのC1はまさに激戦!登りか下りかどこのセクションで仕掛けるのかわくわくしながら見るレース展開はとても面白い。レースは中盤に後続から抜けでて独走を決めた平賀源内(SSSS)が優勝した。

平賀は今年からJエリートで走るライダー。「今日は最後まで辛かったですが、縦の動きが楽しくて良かったです。初めてバンプトラックを走って、試走の時からすごく楽しくて、加速していく感じが楽しい。レースは強い人ばかりで蓋を開けたら勝てて良かったです」

バンプトラックを走るシクロクロス

お昼からコースを一部変更してのシクロクロスクラス。コース手前のよく見える位置に置かれたシケインは、黒をベースに黄色で「BUCYO」と書かれた特製シケイン。コースで一番目立つ部分なので、オシャレな作りに筧の意気込みを感じる。

シクロクロスクラスも接戦のレースとなったシクロクロスクラスも接戦のレースとなった 自分の製作したシケインを飛ぶの筧太一(BUCYO CLT IX)自分の製作したシケインを飛ぶの筧太一(BUCYO CLT IX)


レースは初級者のクラスからスタート。初級といってもシクロクロスC3上位で走る選手となると序盤はパックで走るレース展開となり見応え十分。シクロクロスバイクだと大きなコブをスピードを出して超えるのは難しく、サスペンションフォークが無く重心が高いので、下る時には後ろに体重移動をしておかないと前へ転倒する恐れが有る。
コーナーのバームもキャンバーに見立てて走る事もできたりするので、選手同士慎重にかつ大胆に競う。またMTBレースしか知らない人だと、初めて見るシケインを「どうやって超えるのか」の疑問を自転車を担いで超える事に驚いたようだ。

シクロクロスで颯爽と走る!シクロクロスで颯爽と走る! シケインでのジャンプがマリオにそっくりシケインでのジャンプがマリオにそっくり


上級クラスは筧がスタートからマスターチャンプらしくトップを独走し、シケインを超える速さに会場は歓声が上がる!
2番手から4番手は赤塚剛司(Mt.Hase321)・児玉利文(104サイクル)・オッチー(Circles Racing Club)の接戦となり、連続でシケインを飛ぶ展開にも歓声が飛んだ。
レースは筧がキャンバー区間で滑って転倒するアクシデントもあったものの独走勝利。2位争いは児玉がコースを見間違えてテープに絡んで脱落、赤塚がオッチーを振り切った。

シクロクロス上級クラスはスタートのスピードは速いシクロクロス上級クラスはスタートのスピードは速い 上級クラス2位争いは熾烈上級クラス2位争いは熾烈


筧は自身がスポンサー提供するコーヒーを手にして満面の笑みで優勝を噛み締めた。

筧「MTBとシクロクロスの両方レースがあって、今はクロスシーズンなので絶対勝ちたかった。MTBはアップとして上げるだけ上げて一時間後のクロスのレースに合わせる感じでした。だからタレずにガンガン行きました。
いつもここでシクロクロスのトレーニングをしていて、いつもと同じ感じでレースができました。自分の作ったロゴ入りのシケインを飛び越えるのは感無量ですね。ほんとはバニーホップをやりたかったですが、練習ではうまくいかなかったので止めました。この後のレースはMTBのエキスパートクラスで走って、勝ってエリートに上がりたい。マスターのタイトルは獲ったので、来シーズンのクロスは全日本でシングルを狙って行きたい!」

優勝は筧太一(BUCYO CLT IX)優勝は筧太一(BUCYO CLT IX) 自ら焙煎するコーヒーを手にしての勝利自ら焙煎するコーヒーを手にしての勝利



クリフォードが狙うレーススタイルとは?

このようなバイク車種に拘らないレースを思い立った経緯を丸山さんに聞いてみた。

「MTB・シクロクロス・BMXといった各レースで、たとえばMTBでもダウンヒルにクロスカントリーと分かれています。その種目ごとにいろいろな考えがありますが、そういう境を無くしてレースをしよう、という考えです。違うジャンルのライダーが同じカテゴリーで走るレースとして、クリフォードは成立していると思います。」

クリフォード主催者の丸山由紀夫クリフォード主催者の丸山由紀夫 「クロスカントリーの選手でもシクロクロスを見てもらえればクロスの選手の凄さもわかると思います。ダウンヒルの選手もクロスカントリーとクロスの選手を見る事で、みんながそれぞれの魅力に気づいてくれたと思うので、今回はシクロクロスクラスも取り入れてみました。主催者としては良かったです。」

「もともと僕がダウンヒルの選手で、GONZOのようなバンプトラックで練習していました。自分もシクロクロスに出るようになって、”クロスのライダー達にこんな練習方法も有るんじゃないか”と思って、実際にクロス車でバンプトラックを走ってみると面白い。他競技の間ではなかなか受け入れられない、考え方の違いで嫌がる人も多いけど、広く考えて走ってみてもと思います。今日のレースで楽しいと思っていただけたら嬉しいです。」

「別の”ML OPEN”は初心者の人達がダートでバイクに触れようという走行会から、クリフォードはそこから一つレベルアップして、下った事しかないイベントから登りを含めた耐久系のレースに参加してもらう。慣れている人は走るだけでなくテクニック、こぐだけでは速くならないことを感じてもらったと思います。クリフォードはテクニカルを重視した他所ではやらないレースとして、今年はあと2・3回、そして来年以降も続けていきたいです」

親しみやすいイベントを開催する今後のクリフォード、そしてML OPENに注目しよう。

またクリフォードでお会いしましょう!またクリフォードでお会いしましょう!


text&photo:Akihiro NAKAO

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