2012/09/06(木) - 10:19
2回目の休養日明けとなったブエルタ・ア・エスパーニャ2012第17ステージ。メイン集団から飛び出したコンタドールが逃げグループに合流し、結果として残り13kmから独走体制に入る。バルベルデが差を詰めるが届かず、王者コンタドールがステージを制した。総合上位3名の順位が大きく入れ替わった。
ステージ優勝・総合1位・敢闘賞のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)
ロドリゲスを2分38秒引き離してゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Kei Tsuji本能で無意識にアタックしていた。今日の走りが少しは揺さぶりになったと信じている。今日は本当にカミカゼみたいに走れた。そうする必要もあった。
天使と悪魔が、ぼくの背後にいるように感じた。一方は「アタックしなさい」と言って、もう一方が「アタックしてはダメ」と言う。適切なほうの助言に従った。最後の15kmではアドバンテージを失ったけど、あれは今日はあまり補給していなかったからだ。他の選手たちに捉まるのが恐かった。
(身体の調子については)絶好調の日ではない。でも、高いモチベーションは維持できている。総合2位は悪くはない成績だけど、これまでずっと勝とうとしてきた。誰もが無理だと思っていたかもしれないけれど。
残り50kmでのアタックは無我夢中だった。チームメイトには無線で「全力」で走れと命じただけだった。その後は他のチームに無線が支配されてしまっていた。2011年ツール・ド・フランスのラルプデュエズのとき(第19ステージ)と同じ気持ちで登った。
マイヨロホに袖を通したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Unipublic(今日の勝利の評価について)自分のキャリアで最重要なものが3つになった。最初は大きなアクシデントの後に復帰した2005年のツアー・ダウン・アンダー。2つめが2007年のパリ~ニースだった。
まだブエルタは終わってないけど、今大会でのホアキン・ロドリゲスのここまでの健闘は称えられるべきだ。険しいゴールで彼を落とすことができなかった。だから毎日、次の日の戦略を考えざるを得なかった。タイムを多く失わないで、彼を攻撃できるのに最適な場所はどこか? そのことばかり考えていた。
総合3位・ポイント賞のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2分38秒遅れでゴールしたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiこうなるとは予想していなかった。ブエルタでの総合優勝の機会を失って残念だ。ここにいる以上、そうなってもおかしくない。勝つこともあれば、勝たないこともある。それがスポーツだ。
今日のフエンテ・デのステージは歴史的なものになるし、自分もそれを誇りに思う。コンタドールは自分が最強であることを示した。彼のチームもそうだ。彼が登っていくのを見たときには、このような残念な結末になるとは、まったく思いもよらなかった。
最後の5kmでは、まったく違った心境を経験していた。ラホス峠の下りで、モビスターの選手のヘルプを得られれば、状況が改善できるかと思ったけど、そうはならなかった。今日は絶対に寝つけないだろう。
総合2位にアップ、ステージ2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
コンタドールを追うアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Unipublicコンタドールがラホス峠でアタックしたときは、プリト(ホアキン・ロドリゲス)の後ろに付いていた。ぼくたちは別のレースをしていた。ぼくの目的は、おもにフルームとの差を開くことだった。自分のためのレースをせざるを得なかった。このようなレースになって、プリトには申し訳なく思う。
ゴール付近では全力で走った。これでマドリードの表彰台に一歩近づいた。しかし、今日は自転車に乗っているのが、ずっとハードだった。
山岳賞のサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
ラッキーという以外の言葉がない。今日はラッキーな日だった。今日は好調な日じゃなかった。山岳ポイントをまったく取れなかったけど、ホアキン(ロドリゲス)も同様に獲得できなかった。それでも、このような良い結果になった。
土曜日(第20ステージ)は全力で走る必要があるだろう。2年前のジロで、マット(マシュー)・ロイドと同じ状況になったことがある。山岳賞を取るには、しっかり走って戦う以外の選択肢がない。
総合4位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
4分58秒遅れでゴールしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji今日は一日中バルベルデを見ることがなかったと思う。何人かの選手の後に付くだけで精一杯だったし、アタックも多かった。もうヘトヘトだ。敗北を認めるよ。ブエルタはハードな大会で、ぼくの将来にとっては良い経験になっている。とても楽しんでいる。それで十分だ。
ステージ5位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
休養日明けは、選手ごとに様子が異なっている。コンタドールのアタックの前に、先頭集団にいたんだ。調子は良かったけど、コンタドールやバルベルデといった偉大な王者相手にレースするのは難しかった。少なくとも、今日のステージは世界選手権に向けてのいい準備運動になったと思う。
ステージ6位のヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
今日は逃げに入ろうと決めていた。結局、自分のチームメイトが誰もいない10名の集団で先行して、その後でやってきたガーミンと一緒に走った。オサルバ峠でモンクティエと一緒にアタックして先頭集団に追いついた。
メイン集団との差が1分になったときは、ぼくたちに有利な状況になったと思った。でも、コンタドールの独擅場が始まってしまった。彼のアタックは素晴らしかった。今日は歴史的な自転車レースを最前列で目撃した。レースの最初の2時間で力を使い果たしていて、バルベルデを追えなかった。場合によっては、ぼくが2位でゴールできたかもしれなかった。コンタドールは勝利に値すると思う。
ステージ13位のアルノー・ジャネソン(フランス、FDJ・ビッグマット)
自分の健康的な問題を終えて、レースの先頭に復帰できて、とても気分が良い。先頭集団にいることに全力を尽くした。脚の状態は良くはなかったけど、やる気だけはあった。強豪の選手たちと先行できたことに満足している。
サクソバンク・ティンコフバンクのブラッドリー・マクギー第2監督
ゴール後、地面に座り込む選手たち photo:Kei Tsuji今日の準備はしていた。ブエルタの前には、このステージを視察することに戸惑っていた。でも、視察したおかげで、最後の2つ登りを熟知できたし、とくに下りが重要なことも理解できた。レースが混戦模様なら、チャンスはあるだろうと信じていた。
最初のチャンスは序盤に集団が分裂したときだった。このときは全力で行かせた。我々の銃には一発しか弾丸が入ってなかったので、すぐに再装填して再びアタックさせた。アルベルトのやる気の高さは、彼の声から理解できた。今日のチャンスが生まれた理由は、選手たちがしっかりまとまっていたことだ。そして、最後の登りでも揺らがなかったアルベルトの強さも、その理由のひとつだ。
コンタドールの凄まじいアタックを語る土井雪広(アルゴス・シマノ)
コンタドールのアタックの速さは信じられん。速すぎ。でもそんなリアルなアタックを見れて幸せだった。笑 彼のアタックの速さを見た瞬間あきらめた自分に、山岳を越えた後のグルペット内で笑ってしまったぐらい。何だったんだあの速さは?ってね。笑
20分51秒遅れでゴールした土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) photo:Kei Tsuji僕はフルームを率いるスカイの隊列のすぐ後ろを走っていたけど、チームスカイのコロンビアブラザーズがフルームを引き上げるためのペースアップにもう脚がパンクした。400w前後で2級山岳をずっと走っていたのについていけんかった。というか速すぎて集団分解!!!笑
今日は僕自身いろいろ挑戦し、動き回りエネルギーをいっぱい使ったけど、そこまで疲れてはいない。どちらかと言えば1週目より感覚的には疲れがない。調子も良い。
さて明日はどんなレースになるのだろう。ジョンのために全エネルギーを出し、今度こそ5勝目に導きたい。
(土井雪広のブログより抜粋)
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text: Seiya.YAMASAKI
photo:kei.Tsuji,CorVos,Unipblic
ステージ優勝・総合1位・敢闘賞のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)
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天使と悪魔が、ぼくの背後にいるように感じた。一方は「アタックしなさい」と言って、もう一方が「アタックしてはダメ」と言う。適切なほうの助言に従った。最後の15kmではアドバンテージを失ったけど、あれは今日はあまり補給していなかったからだ。他の選手たちに捉まるのが恐かった。
(身体の調子については)絶好調の日ではない。でも、高いモチベーションは維持できている。総合2位は悪くはない成績だけど、これまでずっと勝とうとしてきた。誰もが無理だと思っていたかもしれないけれど。
残り50kmでのアタックは無我夢中だった。チームメイトには無線で「全力」で走れと命じただけだった。その後は他のチームに無線が支配されてしまっていた。2011年ツール・ド・フランスのラルプデュエズのとき(第19ステージ)と同じ気持ちで登った。
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まだブエルタは終わってないけど、今大会でのホアキン・ロドリゲスのここまでの健闘は称えられるべきだ。険しいゴールで彼を落とすことができなかった。だから毎日、次の日の戦略を考えざるを得なかった。タイムを多く失わないで、彼を攻撃できるのに最適な場所はどこか? そのことばかり考えていた。
総合3位・ポイント賞のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
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今日のフエンテ・デのステージは歴史的なものになるし、自分もそれを誇りに思う。コンタドールは自分が最強であることを示した。彼のチームもそうだ。彼が登っていくのを見たときには、このような残念な結末になるとは、まったく思いもよらなかった。
最後の5kmでは、まったく違った心境を経験していた。ラホス峠の下りで、モビスターの選手のヘルプを得られれば、状況が改善できるかと思ったけど、そうはならなかった。今日は絶対に寝つけないだろう。
総合2位にアップ、ステージ2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
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ゴール付近では全力で走った。これでマドリードの表彰台に一歩近づいた。しかし、今日は自転車に乗っているのが、ずっとハードだった。
山岳賞のサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
ラッキーという以外の言葉がない。今日はラッキーな日だった。今日は好調な日じゃなかった。山岳ポイントをまったく取れなかったけど、ホアキン(ロドリゲス)も同様に獲得できなかった。それでも、このような良い結果になった。
土曜日(第20ステージ)は全力で走る必要があるだろう。2年前のジロで、マット(マシュー)・ロイドと同じ状況になったことがある。山岳賞を取るには、しっかり走って戦う以外の選択肢がない。
総合4位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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ステージ5位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
休養日明けは、選手ごとに様子が異なっている。コンタドールのアタックの前に、先頭集団にいたんだ。調子は良かったけど、コンタドールやバルベルデといった偉大な王者相手にレースするのは難しかった。少なくとも、今日のステージは世界選手権に向けてのいい準備運動になったと思う。
ステージ6位のヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
今日は逃げに入ろうと決めていた。結局、自分のチームメイトが誰もいない10名の集団で先行して、その後でやってきたガーミンと一緒に走った。オサルバ峠でモンクティエと一緒にアタックして先頭集団に追いついた。
メイン集団との差が1分になったときは、ぼくたちに有利な状況になったと思った。でも、コンタドールの独擅場が始まってしまった。彼のアタックは素晴らしかった。今日は歴史的な自転車レースを最前列で目撃した。レースの最初の2時間で力を使い果たしていて、バルベルデを追えなかった。場合によっては、ぼくが2位でゴールできたかもしれなかった。コンタドールは勝利に値すると思う。
ステージ13位のアルノー・ジャネソン(フランス、FDJ・ビッグマット)
自分の健康的な問題を終えて、レースの先頭に復帰できて、とても気分が良い。先頭集団にいることに全力を尽くした。脚の状態は良くはなかったけど、やる気だけはあった。強豪の選手たちと先行できたことに満足している。
サクソバンク・ティンコフバンクのブラッドリー・マクギー第2監督
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最初のチャンスは序盤に集団が分裂したときだった。このときは全力で行かせた。我々の銃には一発しか弾丸が入ってなかったので、すぐに再装填して再びアタックさせた。アルベルトのやる気の高さは、彼の声から理解できた。今日のチャンスが生まれた理由は、選手たちがしっかりまとまっていたことだ。そして、最後の登りでも揺らがなかったアルベルトの強さも、その理由のひとつだ。
コンタドールの凄まじいアタックを語る土井雪広(アルゴス・シマノ)
コンタドールのアタックの速さは信じられん。速すぎ。でもそんなリアルなアタックを見れて幸せだった。笑 彼のアタックの速さを見た瞬間あきらめた自分に、山岳を越えた後のグルペット内で笑ってしまったぐらい。何だったんだあの速さは?ってね。笑
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今日は僕自身いろいろ挑戦し、動き回りエネルギーをいっぱい使ったけど、そこまで疲れてはいない。どちらかと言えば1週目より感覚的には疲れがない。調子も良い。
さて明日はどんなレースになるのだろう。ジョンのために全エネルギーを出し、今度こそ5勝目に導きたい。
(土井雪広のブログより抜粋)
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text: Seiya.YAMASAKI
photo:kei.Tsuji,CorVos,Unipblic
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