2012/07/17(火) - 10:51
ツール・ド・フランス65回目の登場となる定番都市ポーで、逃げ切った6名によるゴールスプリントバトル。実力者揃いの逃げグループをセレクションにかけ、得意のゴールスプリント勝負に持ち込んだピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)が勝利した。
重要な山岳ステージを結ぶ典型的なトランジションステージ。とは言っても単純なフラットコースではなく、158kmの道のりは短いアップダウンの連続。レース終盤には3つのカテゴリー山岳が設定されており、平坦ステージながら一日の獲得標高差は2500mに達する。
生粋のスプリントステージではなく、逃げ切りにもチャンスがあるコース。パリが1週間後に迫った今、まだ結果を残していないチームを中心に、激しいアタック合戦が繰り広げられた。
レースはスタート直後からスピードアップ。キンキンに長く伸びた集団が、断続的に登場する標高差50mほどの丘を越えていく。このハイスピードな展開に、朝から体調不良を訴えていたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)ら、合計6名がバイクを降りた。
35km地点で新城幸也(ユーロップカー)、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・シャープ)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、ベアト・グラブシュ(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が先行。ハイスピードでローテーションを回す。
TTスペシャリストを揃えたこの5名グループは、一時的に20秒のリードを稼ぎ出す。しかし、メイン集団はスピードを落とさない。結局ユキヤらはゴールまで98kmを残して吸収。次に飛び出した5名の逃げが決まった。
62km地点で飛び出したのはトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)という、こちらも脚の揃った5名。これにニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)が単独で追いつく。
ゴールまで60kmを残してタイム差は6分30秒まで拡大。スプリンターを抱えるロット・ベリソルが一旦はメイン集団の先頭に立ってペースを戻したものの、すぐに先頭から姿を消す。オリカ・グリーンエッジやリクイガス・キャノンデールも集団牽引に興味を示さず、実質的に6名の逃げ切りが容認された。
コース上にオイルが撒かれていたという情報(事前に大会側が清掃した)も有り、メイン集団は更にスピードを落として走行。タイム差はグングン広がり、ゴールまで11kmを残して11分40秒まで広がる。ここからステージ優勝を懸けた手に汗握る闘いが始まった。
すでに敢闘賞獲得が決まっていたセレンセンがラスト10kmで真っ先にアタックを仕掛けると、逃げグループ内の協調体制は完全に崩壊する。ラスト6kmのタイミングで今度はフェドリゴがアタックし、ヴァンデヴェルデが合流。ヴォクレールらが牽制と躊躇で互いの顔を見合うその前で、フェドリゴとヴァンデヴェルデが踏んでいく。この動きが決まった。
フェドリゴとヴァンデヴェルデが牽制しながらフラムルージュ。ラスト200mでゴールスプリントが始まると、ヴァンデヴェルデは手も脚も出ず。フェドリゴが先頭を守ったままゴールに飛び込んだ。
昨年、感染症の一種であるライム病を患い、9年ぶりにツールを欠場するとともに、冴えないシーズンを送ったフェドリゴ。病気から復帰した今シーズンはクリテリウム・アンテルナシオナルでステージ優勝&総合2位。そしてこのツールで自身4度目の勝利を手にした。
フェドリゴは2010年大会のポーにゴールする第16ステージでも優勝している。33歳のベテランパンチャーは「何かを起こせそうだと感じる日だった。いろんな脚質の選手が混ざった逃げだったので戦略が立てにくかった。直感で『このタイミングだ』と思ってアタックしたんだ」と振り返る。
「昨年の闘病はツール・ド・フランスよりもずっとずっと厳しいものだった。病気が痛みとの闘い方を教えてくれたように思う。チームとして1週目にティボー・ピノが結果を残したので、プレッシャーは軽減されていた。これからは彼の総合10位を守るために走りたい」。
ハイスピードな展開に持ち込まれたレース前半とは打って変わって、比較的ゆったりとしたペースでレース後半を消化したメイン集団は11分50秒遅れでゴール。この日が誕生日のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が集団スプリントを制した。
ステージ9位&中間スプリント7位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)はポイント賞のリードを広げることに成功。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌを着て2度目の休息日を迎える。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2012第15ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット) 3h40'15"
2位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)
3位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +12"
4位 ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)
5位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス) +01'08"
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +11'50"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
10位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
114位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 68h33'21"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +2'05"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2'23"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +3'19"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +4'48"
6位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン) +6'15"
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +6'57"
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ) +7'30"
9位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +8'31"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +8'51"
92位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +1h47'36"
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)
新人賞 マイヨ・ブラン
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
敢闘賞
ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano
重要な山岳ステージを結ぶ典型的なトランジションステージ。とは言っても単純なフラットコースではなく、158kmの道のりは短いアップダウンの連続。レース終盤には3つのカテゴリー山岳が設定されており、平坦ステージながら一日の獲得標高差は2500mに達する。
生粋のスプリントステージではなく、逃げ切りにもチャンスがあるコース。パリが1週間後に迫った今、まだ結果を残していないチームを中心に、激しいアタック合戦が繰り広げられた。
レースはスタート直後からスピードアップ。キンキンに長く伸びた集団が、断続的に登場する標高差50mほどの丘を越えていく。このハイスピードな展開に、朝から体調不良を訴えていたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)ら、合計6名がバイクを降りた。
35km地点で新城幸也(ユーロップカー)、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・シャープ)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、ベアト・グラブシュ(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が先行。ハイスピードでローテーションを回す。
TTスペシャリストを揃えたこの5名グループは、一時的に20秒のリードを稼ぎ出す。しかし、メイン集団はスピードを落とさない。結局ユキヤらはゴールまで98kmを残して吸収。次に飛び出した5名の逃げが決まった。
62km地点で飛び出したのはトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)という、こちらも脚の揃った5名。これにニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)が単独で追いつく。
ゴールまで60kmを残してタイム差は6分30秒まで拡大。スプリンターを抱えるロット・ベリソルが一旦はメイン集団の先頭に立ってペースを戻したものの、すぐに先頭から姿を消す。オリカ・グリーンエッジやリクイガス・キャノンデールも集団牽引に興味を示さず、実質的に6名の逃げ切りが容認された。
コース上にオイルが撒かれていたという情報(事前に大会側が清掃した)も有り、メイン集団は更にスピードを落として走行。タイム差はグングン広がり、ゴールまで11kmを残して11分40秒まで広がる。ここからステージ優勝を懸けた手に汗握る闘いが始まった。
すでに敢闘賞獲得が決まっていたセレンセンがラスト10kmで真っ先にアタックを仕掛けると、逃げグループ内の協調体制は完全に崩壊する。ラスト6kmのタイミングで今度はフェドリゴがアタックし、ヴァンデヴェルデが合流。ヴォクレールらが牽制と躊躇で互いの顔を見合うその前で、フェドリゴとヴァンデヴェルデが踏んでいく。この動きが決まった。
フェドリゴとヴァンデヴェルデが牽制しながらフラムルージュ。ラスト200mでゴールスプリントが始まると、ヴァンデヴェルデは手も脚も出ず。フェドリゴが先頭を守ったままゴールに飛び込んだ。
昨年、感染症の一種であるライム病を患い、9年ぶりにツールを欠場するとともに、冴えないシーズンを送ったフェドリゴ。病気から復帰した今シーズンはクリテリウム・アンテルナシオナルでステージ優勝&総合2位。そしてこのツールで自身4度目の勝利を手にした。
フェドリゴは2010年大会のポーにゴールする第16ステージでも優勝している。33歳のベテランパンチャーは「何かを起こせそうだと感じる日だった。いろんな脚質の選手が混ざった逃げだったので戦略が立てにくかった。直感で『このタイミングだ』と思ってアタックしたんだ」と振り返る。
「昨年の闘病はツール・ド・フランスよりもずっとずっと厳しいものだった。病気が痛みとの闘い方を教えてくれたように思う。チームとして1週目にティボー・ピノが結果を残したので、プレッシャーは軽減されていた。これからは彼の総合10位を守るために走りたい」。
ハイスピードな展開に持ち込まれたレース前半とは打って変わって、比較的ゆったりとしたペースでレース後半を消化したメイン集団は11分50秒遅れでゴール。この日が誕生日のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が集団スプリントを制した。
ステージ9位&中間スプリント7位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)はポイント賞のリードを広げることに成功。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌを着て2度目の休息日を迎える。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2012第15ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット) 3h40'15"
2位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)
3位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +12"
4位 ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)
5位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス) +01'08"
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +11'50"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
10位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
114位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 68h33'21"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +2'05"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2'23"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +3'19"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +4'48"
6位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン) +6'15"
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +6'57"
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ) +7'30"
9位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +8'31"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +8'51"
92位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +1h47'36"
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)
新人賞 マイヨ・ブラン
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
敢闘賞
ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano
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