2012/06/17(日) - 11:44
ツール・ド・スイス最終日を前に、総合争いは混沌としている。ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が勇敢なる逃げ切り勝利を飾ったその後方で、イエロージャージをかけた闘いが加熱。フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)が総合首位まで14秒差に迫る。
6月16日、ツール・ド・スイスの総合争いを決する最終2連続山岳ステージ。第8ステージは、超級山岳アローザの頂上ゴールを含む148kmの山岳コースで行なわれた。
15km地点で飛び出したのは、すでに総合成績で遅れているミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)がペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)、トーマス・デッケル(オランダ、ガーミン・バラクーダ)、レミ・キュザン(フランス、チームタイプ1)の4人。
5分のタイム差を稼ぎ出した4人は、協調しながら終盤の勝負どころを目指す。ゴール21km手前の2級山岳カスティエルに達するころにはタイム差は3分に。ここでアルバジーニとベリトスの2人が飛び出した。
3月のボルタ・ア・カタルーニャで総合優勝に輝いたアルバジーニと、2月のツアー・オブ・オマーンで総合優勝したベリトス。目標を総合成績からステージ優勝にスイッチした2人のオールラウンダーが、快調に2級山岳カスティエルを駆け上がる。
メイン集団はラボバンクとレディオシャック・ニッサンが懸命にペースを作る。イエロージャージを着るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)は時折千切れそうになりながらも、何とかメイン集団内で2級山岳カスティエルをクリア。
そして迎えた最後の超級山岳アローザ。この登坂距離3900m・平均勾配8.3%・最大勾配15%という登りが始まると、先頭ではアルバジーニの独走が始まる。
ハイペースを刻むメイン集団とのタイム差は減り続けたが、アルバジーニは最後まで崩れること無く走り切り、1分15秒リードを保って独走ゴールした。
スイスを代表するオールラウンダーとしての面目を保ったアルバジーニは「今日の第一目標は、逃げに乗ることだった。何しろ今日のコースは自分が昔住んでいた街を通過する。急勾配の区間は、ひたすら自分のペースを守ることだけを考えた。そこでピーター(ベリトス)が遅れ、独走になったんだ。そこからはオール・オア・ナッシング。全力で走ったよ」。2つのカテゴリー山岳を先頭通過したアルバジーニは山岳賞でもトップに立っている。
一方のメイン集団は、超級山岳アローザに入ってラボバンクとレディオシャック・ニッサンがより一層ペースを上げる。ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)による牽引が始まると、ラスト4kmの急勾配区間でコスタがたまらず脱落する。
するとフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)がアタック。これにミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)が加わり、3名で後続を突き放す。
結局Fシュレク、ニエベ、ライプハイマーの3名は、後続のロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)らを21秒、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)を42秒、そして、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)に守られて走ったイエロージャージのコスタを50秒引き離してゴールした。
コスタはイエロージャージを守ったが、Fシュレクが14秒差、ライプハイマーが21秒差、そしてヘーシンクが25秒差で続く。この日の走りを見る限り、2つの超級山岳を越え、2級山岳にゴールする最終第9ステージで、コスタが再びタイムを失う可能性は高い。
レディオシャック・ニッサンのキム・アンデルセン監督は「今日はリーナス(ゲルデマン)とヤコブ(フグルサング)がフランクのアタックをお膳立てした。明日はとても厳しいステージ。どんなことでも起こり得るだろう」と語っている。
果たしてコスタは14秒のリードを守りきることが出来るか。それとも2年連続最終ステージで総合逆転は起こるのか。アシストに徹したバルベルデが1分04秒差の総合9位にダウンした今、コスタの真価が問われている。
コメントはオリカ・グリーンエッジ公式サイトならびにレディオシャック・ニッサン公式サイトより。
ツール・ド・スイス2012第8ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 3h45'39"
2位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +1'15"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +1'36"
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)
7位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ラボバンク) +1'39"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +1'57"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 29h58'39"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +14"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +25"
5位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +40"
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +42"
7位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +43"
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ラボバンク) +1'01"
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'04"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +1'13"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
チーム総合成績
エウスカルテル・エウスカディ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
6月16日、ツール・ド・スイスの総合争いを決する最終2連続山岳ステージ。第8ステージは、超級山岳アローザの頂上ゴールを含む148kmの山岳コースで行なわれた。
15km地点で飛び出したのは、すでに総合成績で遅れているミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)がペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)、トーマス・デッケル(オランダ、ガーミン・バラクーダ)、レミ・キュザン(フランス、チームタイプ1)の4人。
5分のタイム差を稼ぎ出した4人は、協調しながら終盤の勝負どころを目指す。ゴール21km手前の2級山岳カスティエルに達するころにはタイム差は3分に。ここでアルバジーニとベリトスの2人が飛び出した。
3月のボルタ・ア・カタルーニャで総合優勝に輝いたアルバジーニと、2月のツアー・オブ・オマーンで総合優勝したベリトス。目標を総合成績からステージ優勝にスイッチした2人のオールラウンダーが、快調に2級山岳カスティエルを駆け上がる。
メイン集団はラボバンクとレディオシャック・ニッサンが懸命にペースを作る。イエロージャージを着るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)は時折千切れそうになりながらも、何とかメイン集団内で2級山岳カスティエルをクリア。
そして迎えた最後の超級山岳アローザ。この登坂距離3900m・平均勾配8.3%・最大勾配15%という登りが始まると、先頭ではアルバジーニの独走が始まる。
ハイペースを刻むメイン集団とのタイム差は減り続けたが、アルバジーニは最後まで崩れること無く走り切り、1分15秒リードを保って独走ゴールした。
スイスを代表するオールラウンダーとしての面目を保ったアルバジーニは「今日の第一目標は、逃げに乗ることだった。何しろ今日のコースは自分が昔住んでいた街を通過する。急勾配の区間は、ひたすら自分のペースを守ることだけを考えた。そこでピーター(ベリトス)が遅れ、独走になったんだ。そこからはオール・オア・ナッシング。全力で走ったよ」。2つのカテゴリー山岳を先頭通過したアルバジーニは山岳賞でもトップに立っている。
一方のメイン集団は、超級山岳アローザに入ってラボバンクとレディオシャック・ニッサンがより一層ペースを上げる。ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)による牽引が始まると、ラスト4kmの急勾配区間でコスタがたまらず脱落する。
するとフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)がアタック。これにミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)が加わり、3名で後続を突き放す。
結局Fシュレク、ニエベ、ライプハイマーの3名は、後続のロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)らを21秒、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)を42秒、そして、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)に守られて走ったイエロージャージのコスタを50秒引き離してゴールした。
コスタはイエロージャージを守ったが、Fシュレクが14秒差、ライプハイマーが21秒差、そしてヘーシンクが25秒差で続く。この日の走りを見る限り、2つの超級山岳を越え、2級山岳にゴールする最終第9ステージで、コスタが再びタイムを失う可能性は高い。
レディオシャック・ニッサンのキム・アンデルセン監督は「今日はリーナス(ゲルデマン)とヤコブ(フグルサング)がフランクのアタックをお膳立てした。明日はとても厳しいステージ。どんなことでも起こり得るだろう」と語っている。
果たしてコスタは14秒のリードを守りきることが出来るか。それとも2年連続最終ステージで総合逆転は起こるのか。アシストに徹したバルベルデが1分04秒差の総合9位にダウンした今、コスタの真価が問われている。
コメントはオリカ・グリーンエッジ公式サイトならびにレディオシャック・ニッサン公式サイトより。
ツール・ド・スイス2012第8ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 3h45'39"
2位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +1'15"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +1'36"
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)
7位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ラボバンク) +1'39"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +1'57"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 29h58'39"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +14"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +25"
5位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +40"
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +42"
7位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +43"
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ラボバンク) +1'01"
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'04"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +1'13"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
チーム総合成績
エウスカルテル・エウスカディ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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