2012/06/14(木) - 11:46
逃げ切りを容認された7人によるステージ優勝争い。アタックと吸収を繰り返しながら、逃げグループがゴールに向かう。最終的に6人に絞られたゴールスプリントで、ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)がプロ初勝利を飾った。
雨の中、集団内で走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)ら photo:Cor Vos引き続きスイスは雨。スイス北部のトリンバッハからガンジンゲンまで193kmで行なわれたツール・ド・スイス第5ステージ。総合成績に関係のない選手たちによる逃げ切りが決まった。
この日は3級山岳が6つも設定されたアップダウンコース。コースの難易度的に、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)のステージ3連勝に注目が集まったが、チームメイトのダニエル・オス(イタリア)が逃げに乗ったことでリクイガス・キャノンデールは作戦を変更した。
レインジャケットを着て走るフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)ら photo:Cor Vosオスの他に、カルステン・クローン(オランダ、チームサクソバンク)やウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)ら、脚の揃った7名が逃げグループを形成。その中で総合最上位は総合74位・13分12秒遅れのサルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、チームスカイ)。
イエロージャージ擁するモビスターは、逃げグループにたっぷりとタイム差を与えながら集団をコントロール。逃げにオスを送り込んだリクイガス・キャノンデールが集団コントロールに加わらなかったため、タイム差が縮まることはなかった。
6名によるゴールスプリントを制したウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) photo:Cor Vosタイム差が10分前後を推移したままレース終盤へ。ゴールまで20kmを残してクラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)が逃げグループから飛び出したが、決定的なリードを奪えないまま掴まり、そして切り離される。
逃げ切りを確定させた6名による手に汗握るアタック合戦。互いの顔色をうかがいながら、アタックと牽制、スピードアップとスピードダウンを繰り返す。タイミングの探り合い。どれだけ牽制してもタイム差は10分以上ある。
表彰台でチーズと花束を受け取ったウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) photo:Cor Vosアタックによって逃げグループが分裂する度に、スプリント力のあるオスが後続を率いてギャップを詰める。断続的なアタックはどれも決まらず、6名がまとまった状態でゴールに至る。脚を使ったオスは力無く失速し、その横からタイミングよく飛び出したイサイチェフが勝利した。
昨年シャコベオ・ガリシアからカチューシャに移った26歳のイサイチェフにとって、これがプロレース初勝利。UCIワールドツアーレースの舞台で、終始落ち着いてレースを進め、逃げ切りスプリントという心理戦を制した。
「ツール・ド・スイスのような重要なレースでプロ初勝利を飾るなんて最高にハッピーだ。しかも逃げ切りという素晴らしい勝ち方だった。ゴールスプリントに持ち込まれれば勝てると思っていた。そして比較的簡単に勝ったんだ」と、イサイチェフは語る。山岳ポイントを量産したイサイチェフはフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)から山岳賞ジャージを奪っている。
結局メイン集団は11分遅れでゴール。集団の先頭はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が穫った。逃げ切ったプッチォは総合30位に浮上するのがやっとだった。
選手コメントはカチューシャ公式サイトより。
ツール・ド・スイス2012第5ステージ結果
1位 ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) 4h58'28"
2位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
3位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、チームスカイ)
4位 カルステン・クローン(オランダ、チームサクソバンク)
5位 セバスティアン・ミナール(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +05"
7位 クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'50"
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +11'07"
9位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、チームタイプ1)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 20h53'27"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
エウスカルテル・エウスカディ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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この日は3級山岳が6つも設定されたアップダウンコース。コースの難易度的に、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)のステージ3連勝に注目が集まったが、チームメイトのダニエル・オス(イタリア)が逃げに乗ったことでリクイガス・キャノンデールは作戦を変更した。
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イエロージャージ擁するモビスターは、逃げグループにたっぷりとタイム差を与えながら集団をコントロール。逃げにオスを送り込んだリクイガス・キャノンデールが集団コントロールに加わらなかったため、タイム差が縮まることはなかった。
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逃げ切りを確定させた6名による手に汗握るアタック合戦。互いの顔色をうかがいながら、アタックと牽制、スピードアップとスピードダウンを繰り返す。タイミングの探り合い。どれだけ牽制してもタイム差は10分以上ある。
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昨年シャコベオ・ガリシアからカチューシャに移った26歳のイサイチェフにとって、これがプロレース初勝利。UCIワールドツアーレースの舞台で、終始落ち着いてレースを進め、逃げ切りスプリントという心理戦を制した。
「ツール・ド・スイスのような重要なレースでプロ初勝利を飾るなんて最高にハッピーだ。しかも逃げ切りという素晴らしい勝ち方だった。ゴールスプリントに持ち込まれれば勝てると思っていた。そして比較的簡単に勝ったんだ」と、イサイチェフは語る。山岳ポイントを量産したイサイチェフはフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)から山岳賞ジャージを奪っている。
結局メイン集団は11分遅れでゴール。集団の先頭はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が穫った。逃げ切ったプッチォは総合30位に浮上するのがやっとだった。
選手コメントはカチューシャ公式サイトより。
ツール・ド・スイス2012第5ステージ結果
1位 ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) 4h58'28"
2位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
3位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、チームスカイ)
4位 カルステン・クローン(オランダ、チームサクソバンク)
5位 セバスティアン・ミナール(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +05"
7位 クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'50"
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +11'07"
9位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、チームタイプ1)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 20h53'27"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ウラディミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
エウスカルテル・エウスカディ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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