2012/06/12(火) - 08:15
直前まで降った雨で路面はスリッピー。加えて細くて鋭いコーナーがゴール前に連続する。まるで落車をわざと招いているような危険なゴールを、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が制した。初日のTTに続くスプリント制覇。ライバルたちに付け入る隙を与えない。
歓声を受けて走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Cor Vos6月11日、ツール・ド・スイス第3ステージ。フランス語圏のマルティニーから、UCI(国際自転車競技連合)本部が置かれたエーグルを抜け、ドイツ語圏のアーベルクまで駆け抜ける。
194.7kmのコースに大きな登りは設定されていないが、アーベルクのゴール前には3級山岳と4級山岳が連続して登場。しかも集団を縦長にするテクニカルコーナーが連続するため、シンプルな大集団スプリントは考えにくい。雨も加わって、コースプロフィール以上に厳しいレースとなった。
逃げるギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ミカエル・モルコフ(デンマーク、チームサクソバンク)、ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Cor Vos逃げたのはギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ミカエル・モルコフ(デンマーク、チームサクソバンク)、ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)の3名。メイン集団に対して10分のリードを稼ぎ出す。
レース後半に入り、徐々にメイン集団のペースが上がり始めたその時、コース上の踏切が閉まってメイン集団がまっ二つに分断される事態が発生。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)らが先行するも、結局は踏切で2分ほど足止めを食らった後続集団を待つように言い渡された。
クックを抜き、スウィフトを振り切るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vosこのトラブルにより、逃げグループは思わぬ形でリードを約2分上乗せした。慌ててリクイガス・キャノンデールやチームスカイがメイン集団を牽引し、ハイスピードで先頭3名を追撃。中切れが起こりそうなスピードで逃げを捕まえにかかる。
ラスト30kmで4分あったタイム差は、ラスト15kmで2分半に。逃げグループからはファンヘネヒテンが脱落し、ボナフォンとモルコフが粘り強く逃げ続ける。
メイン集団内でゴールするルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Cor Vos終盤の3級山岳と4級山岳で大きな動きは見られず、メイン集団はスピードを落とさずに逃げを追い上げる。ラスト1kmでついにボナフォンとモルコフは吸収。100名ほどの集団がアーベルクのゴールに突入した。
スプリントで先行したのはバーデン・クック(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)。番手に付けたサガンはコーナーでバランスを崩して落車しかけたが、とっさにペダルを外してリカバリー。すぐに踏み直し、先行するクックを抜き去った。
トラブルにも冷静に対処し、持ち前の加速で勝利したサガン。「何が起こったのか、そしてどうやって転倒を防いだのか、全く説明が出来ない。ハイスピードでコーナーに突っ込んだおかげで2番手を失わなかった。でもその代わりに、濡れた路面でグリップを失ってしまった。本能的にペダルから脚を外してスリップを防ぎ、そこから先行したクックを追ったんだ」とコメントする。
「チームメイトの奮闘と、少しの運が味方して、勝利を掴むことが出来た。この先のステージでも、チャンスがあればそれを見逃すわけにはいかない」。サガンは個人タイムトライアルに続くステージ優勝。今シーズン10勝目だ。
選手コメントはリクイガス・キャノンデール公式リリースより。
ツール・ド・スイス2012第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4H35'32"
2位 バーデン・クック(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ) +03"
5位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)
7位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
9位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、チームタイプ1)
10位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 11h06'57"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

194.7kmのコースに大きな登りは設定されていないが、アーベルクのゴール前には3級山岳と4級山岳が連続して登場。しかも集団を縦長にするテクニカルコーナーが連続するため、シンプルな大集団スプリントは考えにくい。雨も加わって、コースプロフィール以上に厳しいレースとなった。
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レース後半に入り、徐々にメイン集団のペースが上がり始めたその時、コース上の踏切が閉まってメイン集団がまっ二つに分断される事態が発生。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)らが先行するも、結局は踏切で2分ほど足止めを食らった後続集団を待つように言い渡された。
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ラスト30kmで4分あったタイム差は、ラスト15kmで2分半に。逃げグループからはファンヘネヒテンが脱落し、ボナフォンとモルコフが粘り強く逃げ続ける。
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スプリントで先行したのはバーデン・クック(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)。番手に付けたサガンはコーナーでバランスを崩して落車しかけたが、とっさにペダルを外してリカバリー。すぐに踏み直し、先行するクックを抜き去った。
トラブルにも冷静に対処し、持ち前の加速で勝利したサガン。「何が起こったのか、そしてどうやって転倒を防いだのか、全く説明が出来ない。ハイスピードでコーナーに突っ込んだおかげで2番手を失わなかった。でもその代わりに、濡れた路面でグリップを失ってしまった。本能的にペダルから脚を外してスリップを防ぎ、そこから先行したクックを追ったんだ」とコメントする。
「チームメイトの奮闘と、少しの運が味方して、勝利を掴むことが出来た。この先のステージでも、チャンスがあればそれを見逃すわけにはいかない」。サガンは個人タイムトライアルに続くステージ優勝。今シーズン10勝目だ。
選手コメントはリクイガス・キャノンデール公式リリースより。
ツール・ド・スイス2012第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4H35'32"
2位 バーデン・クック(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ) +03"
5位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)
7位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
9位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、チームタイプ1)
10位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 11h06'57"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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