2012/05/25(金) - 10:39
最後のスプリントステージとなるジロ・デ・イタリア第18ステージは、イタリア期待のスプリンター、アンドレア・グアルディーニがマーク・カヴェンディッシュを封じ込めてステージ勝利を飾った。
昨ステージまでの厳しい山岳ステージを終えたプロトンは、次なる、そして最終決戦の地を目指して南下する。第18ステージは今ジロにおける最後の「平坦」ステージ。サンヴィート・ディ・カドーレからトレヴィーゾにほど近いヴェデラーゴにかけての149kmだ。
標高974mのスタート地点から、標高45mのゴールまでを緩やかに下りるコースは、途中に1つのカテゴリー山岳も含まれていない。翌19・20ステージは超級山岳、最終21ステージが個人タイムトライアルとなっている事を考えると、スプリンターに残されたチャンスはこの18ステージのみ。
多くの有力スプリンターたちが大会から去った今、スタート前からの絶対的な有力候補はマーク・カヴェンディッシュだ。クライマーたちが翌日活躍することを考えて、マリアロッサ・パッシオーネを守る上でポイントを最大限稼ぎたいことは明らか。ヴェデラーゴの大集団スプリントに注目が集まった。
この日の逃げはスタート後すぐに決まる。ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)、アンジェロ・パガーニ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、マヌエーレ・ボアーロ(デンマーク、チームサクソバンク)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)の4名が先頭に立つと、順調にローテーションを回していく。
すでに総合で大きく遅れているメンバーによる逃げだが、大きなタイム差は許されない。レース序盤からカヴェンディッシュ擁するチームスカイが積極的なコントロールを担った。そして84km地点に設定されている中間スプリントポイント手前でレースは動く。
ポイント加算を狙うカヴェンディッシュのため、チームスカイが全力で集団を引き倒すと、それまで2分ほどあったタイム差は一気に減少。そのままの勢いで先頭4名を飲み込むと、アシストに解き放たれたカヴは余裕でラインを1位通過。5ポイントを獲得した。
そしてこの日はスプリンターと同様にアタッカーにもラストチャンス。数少ないチャンスをたぐり寄せようと、ここから
マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシング)などを含む6名が飛び出したが、メンバーが揃っていたため再び集団に引き戻された。
ハイスピードを保つ集団からは、オリヴィエ・カイセン(ベルギー、ロット・ベリソル)にマルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)、ミカエル・ドラージュ(フランス)が合流する形で次なる逃げグループが形成される。
プレミオ・デッラ・フーガ(逃げ賞)を争うカイセンとケイゼルを含む4名の動きはひとまず容認されるものの、残り距離が少ないこともあってメイン集団は大きな猶予を与えない。チームスカイとオメガファーマ・クイックステップは1名ずつアシストを出してタイム差をコントロールし、タイム差は1分前後を推移した。
ヴェデラーゴの街まで14kmを切り、タイム差が10秒を割り込むと、逃げグループからはドラージュがアタック。残りのメンバーが吸収される中逃げ続けるドラージュには、集団から抜けだしたラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)が合流したものの、残り3.6km地点で吸収された。
カヴを勝利に導きたいチームスカイだが、ここまでの動きのために絶対的な主導権を握ることができない。対してチームサクソバンクが残り2.5kmで先頭に立った。順調にアシストを切り離していくサクソバンクだったが、残り1kmを切って再びベルンハルト・アイゼル(オーストリア)に導かれたスカイがリードを開始した。
良い形で最終局面に持ち込んだスカイだったが、ここからカヴの2つ後ろにつけていたグアルディーニが1つ早いタイミングでスプリントを開始した。そこに合わせるように逆ラインから加速したカヴは追い切れず、グアルディーニの力強いスプリントは最後まで持続した。グアルディーニがついにカヴ打倒を果たした。悔しがるカヴ。
グアルディーニはこれがグランツール初勝利。開幕前からイタリア期待のスプリンターとして期待されながらここまで活躍を見せることができていなかった。「ここまでの上りではとても苦しんだよ」と語るグアルディーニは若干22歳。
「スプリントのラストステージだとわかっていたよ。最後の直線は真っ平だから僕に適しているのも知っていたんだ。カヴェンディッシュに勝てることもわかっていたけれど、今日やっと実現することができた。」と自信を語るグアルディーニ。一方カヴェンディッシュは2位。1位の25ポイントを稼ぐことができず。スプリントに加わった別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は13位でフィニッシュしている。
この日のレースはジロ・デ・イタリア史上2番目に速い平均速度をマークし、そのスピードは49.428km/hを記録した。翌日からの決戦を控える総合上位陣は全て集団内でゴールしたため、順位の変動は無かった。
ジロ・デ・イタリア2012第18ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)
3位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
4位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・バラクーダ)
5位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)
6位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ジョフレ・スープ(フランス、FDJ・ビッグマット)
10位 デニス・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)
13位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)
個人総合順位
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 74h47'38"
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +30″
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +01′22″
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +01′36″
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +02′56″
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +03′04″
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +03′19″
8位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +04′13″
9位 トーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +04′38″
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +04′42″
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)
山岳賞 マリアアッズーラ
マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)
新人賞 マリアビアンカ
リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji,Ricccardo.Scanferla
昨ステージまでの厳しい山岳ステージを終えたプロトンは、次なる、そして最終決戦の地を目指して南下する。第18ステージは今ジロにおける最後の「平坦」ステージ。サンヴィート・ディ・カドーレからトレヴィーゾにほど近いヴェデラーゴにかけての149kmだ。
標高974mのスタート地点から、標高45mのゴールまでを緩やかに下りるコースは、途中に1つのカテゴリー山岳も含まれていない。翌19・20ステージは超級山岳、最終21ステージが個人タイムトライアルとなっている事を考えると、スプリンターに残されたチャンスはこの18ステージのみ。
多くの有力スプリンターたちが大会から去った今、スタート前からの絶対的な有力候補はマーク・カヴェンディッシュだ。クライマーたちが翌日活躍することを考えて、マリアロッサ・パッシオーネを守る上でポイントを最大限稼ぎたいことは明らか。ヴェデラーゴの大集団スプリントに注目が集まった。
この日の逃げはスタート後すぐに決まる。ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)、アンジェロ・パガーニ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、マヌエーレ・ボアーロ(デンマーク、チームサクソバンク)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)の4名が先頭に立つと、順調にローテーションを回していく。
すでに総合で大きく遅れているメンバーによる逃げだが、大きなタイム差は許されない。レース序盤からカヴェンディッシュ擁するチームスカイが積極的なコントロールを担った。そして84km地点に設定されている中間スプリントポイント手前でレースは動く。
ポイント加算を狙うカヴェンディッシュのため、チームスカイが全力で集団を引き倒すと、それまで2分ほどあったタイム差は一気に減少。そのままの勢いで先頭4名を飲み込むと、アシストに解き放たれたカヴは余裕でラインを1位通過。5ポイントを獲得した。
そしてこの日はスプリンターと同様にアタッカーにもラストチャンス。数少ないチャンスをたぐり寄せようと、ここから
マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシング)などを含む6名が飛び出したが、メンバーが揃っていたため再び集団に引き戻された。
ハイスピードを保つ集団からは、オリヴィエ・カイセン(ベルギー、ロット・ベリソル)にマルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)、ミカエル・ドラージュ(フランス)が合流する形で次なる逃げグループが形成される。
プレミオ・デッラ・フーガ(逃げ賞)を争うカイセンとケイゼルを含む4名の動きはひとまず容認されるものの、残り距離が少ないこともあってメイン集団は大きな猶予を与えない。チームスカイとオメガファーマ・クイックステップは1名ずつアシストを出してタイム差をコントロールし、タイム差は1分前後を推移した。
ヴェデラーゴの街まで14kmを切り、タイム差が10秒を割り込むと、逃げグループからはドラージュがアタック。残りのメンバーが吸収される中逃げ続けるドラージュには、集団から抜けだしたラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)が合流したものの、残り3.6km地点で吸収された。
カヴを勝利に導きたいチームスカイだが、ここまでの動きのために絶対的な主導権を握ることができない。対してチームサクソバンクが残り2.5kmで先頭に立った。順調にアシストを切り離していくサクソバンクだったが、残り1kmを切って再びベルンハルト・アイゼル(オーストリア)に導かれたスカイがリードを開始した。
良い形で最終局面に持ち込んだスカイだったが、ここからカヴの2つ後ろにつけていたグアルディーニが1つ早いタイミングでスプリントを開始した。そこに合わせるように逆ラインから加速したカヴは追い切れず、グアルディーニの力強いスプリントは最後まで持続した。グアルディーニがついにカヴ打倒を果たした。悔しがるカヴ。
グアルディーニはこれがグランツール初勝利。開幕前からイタリア期待のスプリンターとして期待されながらここまで活躍を見せることができていなかった。「ここまでの上りではとても苦しんだよ」と語るグアルディーニは若干22歳。
「スプリントのラストステージだとわかっていたよ。最後の直線は真っ平だから僕に適しているのも知っていたんだ。カヴェンディッシュに勝てることもわかっていたけれど、今日やっと実現することができた。」と自信を語るグアルディーニ。一方カヴェンディッシュは2位。1位の25ポイントを稼ぐことができず。スプリントに加わった別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は13位でフィニッシュしている。
この日のレースはジロ・デ・イタリア史上2番目に速い平均速度をマークし、そのスピードは49.428km/hを記録した。翌日からの決戦を控える総合上位陣は全て集団内でゴールしたため、順位の変動は無かった。
ジロ・デ・イタリア2012第18ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)
3位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
4位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・バラクーダ)
5位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)
6位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ジョフレ・スープ(フランス、FDJ・ビッグマット)
10位 デニス・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)
13位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)
個人総合順位
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 74h47'38"
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +30″
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +01′22″
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +01′36″
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +02′56″
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +03′04″
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +03′19″
8位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +04′13″
9位 トーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +04′38″
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +04′42″
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)
山岳賞 マリアアッズーラ
マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)
新人賞 マリアビアンカ
リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji,Ricccardo.Scanferla
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