ツアー・オブ・ハイナン第4ステージは果敢に逃げたディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)がステージ優勝を飾った。来季、プロコンチネンタルチームに昇格するというチームに勝ち星をプレゼントした。

逃げ切り勝利を挙げたディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)逃げ切り勝利を挙げたディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム) (c)Sonoko.TANAKA

逃げて逃げて逃げ切ったディオン・ロック

文昌から海南島の主要都市、海口まで163kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第4ステージは、昨ステージに引き続き、スプリントポイントを3つ含む平坦基調のステージだ。

スタートラインに並んだチャイナドレスの女性たちスタートラインに並んだチャイナドレスの女性たち (c)Sonoko.TANAKAスタートを待つ選手たちスタートを待つ選手たち (c)Sonoko.TANAKA

レースは序盤からアタックが頻繁にかかり、20kmをすぎてアレクサンドル・シュミット(ドイツ、エディ・メルクス)、フローリアン・サルジンガー(ドイツ、アトラスパーソナル・ジャクロー)、ディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)3人の逃げが決まる。総合上位に付けるシュミットが3つのスプリントポイントをすべて上位通過し、総合順位を3位までランクアップさせると3選手は集団に吸収された。

ツアー・オブ・ハイナン第4ステージが文昌からスタートツアー・オブ・ハイナン第4ステージが文昌からスタート (c)Sonoko.TANAKAその直後、112km地点で次のアタックが決まる。そして1回目のエスケープに引き続き、4人の逃げに乗ったディオン・ロックが130km地点でさらに単独アタックをかける。残りの3人は集団に吸収される。

集団ではアタックが頻繁にかかりマ・ハンジュン(中国、中国ナショナル)とワン・カンポー(香港、香港ナショナル)が集団から飛び出して2人でロックを追った。
そして、今にも捕らえそうな距離まで、2人とその直後の大集団は迫っていたものの、ゴール手前でロックが後方を振り返ると大きく両手を挙げた。

5秒差の2位にマ・ハンジュン、10秒差の3位にワン・カンポーが続いた。リーダージャージ着たジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)を含む大集団はロックから15秒遅れでゴールを迎えた。

ディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)がチームメイトと喜ぶディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)がチームメイトと喜ぶ (c)Sonoko.TANAKAロックは「最後、35kmを1人で逃げたんだ。監督は自分を信じて走れ!と言っていた。まさか逃げ切れるなんて思っていなかったよ。この勝利を本当に嬉しく思う」とコメント。圧倒的な強さで今日の勝利を手に入れた。彼は4年前に自転車選手に転向したという経歴をもち、前職はライフサーバーで、2年間日本の海を転々としていたという。左腕に刻まれた鯉の絵柄があしらわれたタトゥーも日本で入れたものだそうだ。

来季アジアで初めてプロコンチネンタルチーム昇格を決めたチャンピオンシステムについての取材記事は別記事でお伝えする。


喜びのディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)喜びのディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム) (c)Sonoko.TANAKAステージ上位の表彰式ステージ上位の表彰式 (c)Sonoko.TANAKA


新しいスタイルへ挑戦する愛三工業

愛三工業レーシングチームは集団内でゴール。目立つ展開は作れなかったが、チームメイトの西谷泰治が同日に開催されたジャパンカップで日本人最高位となる2位でフィニッシュしたというニュースに、ハイナン組も沸いている。阿部良之(97年当時マペイ)の優勝はあるものの、日本人のみのチームとしては、歴代最高位になる。

第2ステージの中島康晴のステージ優勝に引き続き、彼らが地道にアジアのレースで戦っていることが成績になって現れてきている。明日からのステージも楽しみにしたい。


別府匠監督のコメント
「綾部選手と盛選手、2人でスプリントに挑んでもいいかと思いますが、今回は経験を積むために、これまでスプリントに参加していない選手も一緒にトレインを組みました。結果として、まったく結果が付いてきませんでしたが、こういう経験も必要ですので、次に繋がればいいと思っています」



ディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)は右腕全体に日本の刺青が刻まれているディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)は右腕全体に日本の刺青が刻まれている (c)Sonoko.TANAKAツアー・オブ・ハイナン2011 第4ステージ結果
1位 ディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム) 3h50'07"
2位 マ・ハンジュン(中国、中国ナショナル) +5"
3位 ワン・カンポー(香港、香港ナショナル) +10"
4位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ) +15"
5位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)
6位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)
7位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
8位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、ジェオックス・TMC)
9位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
10位 ファルスコール・マーテン(オランダ、タイプ1)
22位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
33位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
34位 木守望(愛三工業レーシングチーム)
43位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
67位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)


個人総合成績
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)15h41'00"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)+7"
3位 アレクサンドル・シュミット(ドイツ、エディ・メルクス)
4位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)+11"
5位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)+12"
6位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+13"
7位 ジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)
8位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+15" 
9位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、ジェオックス・TMC)
10位 クリスティアン・ポース(ルクセンブルク、ディフェールダンジュ)+16"
34位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+29"
45位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+2'19"
55位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3'53"
65位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+5'22"


山岳賞
ジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)

ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

アジアンリーダー
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

チーム総合成績
ジェオックス・TMC

photo&text:Sonoko.TANAKA